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レーヴァティン

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第二話 異世界その三

「我々を苦しめています」
「そして国ごとにか」
「争っています」
「それでは海の魔神を倒すどころじゃないですね」
 久志も話を聞いて言った。
「とても」
「はい、実際」
「海の魔神を倒してその海から大陸を出して世界を救おうと思えば」
「まずはです」
「そこからですね」
 島を平和にすることからだというのだ。
「何といいましても」
「とかく今この島も東の島も」
「各国同士の戦争と巨人に悩まされていますか」
「しかも盗賊が蔓延りドラゴンやキマイラといった凶暴な野獣達も出ていて」
「もうどうしようもない」
「そんな状況です」
「よくある話だな」
 英雄はここまで聞いて沈着な声で述べた。
「こうした世界では」
「そうなのですか」
「そうだ、よくな」 
 こう神父に言うのだった。
「ある、そしてだな」
「そして?」
「この島、東の島も何とかしてだ」
 そしてというのだ。
「それからだな」
「海の魔神を倒し」
「そこから世界を救うか」
「そうなります」
「話はわかった」
 英雄はあらためて言った。
「俺もな」
「それは何よりです」
「俺は別に世界を救うことには興味はない」
 英雄の言葉はここでは素っ気ないものだった。
「別にな」
「おい、そこでそう言うのか」
「実際にそうだから言う」
 久志にも素っ気ない口調で言う。
「嘘は嫌いだ」
「しかしな、こうした時はな」
「嘘でもか」
「いや、俺も嘘は嫌いだよ」
 久志は英雄に眉を顰めさせて言った。
「そうしたことはな」
「ならいいな」
「けれど困っている人達を見捨てるのか」
「この世界をか」
「ああ、それはいいのかよ」
「俺は弱い者いじめは嫌いだが弱い奴も嫌いだ」
 英雄はこうも言った。
「どちらもな」
「おい、それってつまりは」
「そうだ、困っている奴は自分で何とかしろ」
「そう言うのかよ」
「自分でな。しかしだ」
「しかし?何だよ」
「何よりも弱い者いじめをしている奴が嫌いだ」
 弱い者よりも遥かにというのだ。 
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