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英雄伝説~灰の軌跡~

作者:sorano
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第12話

12月6日、同日10:00―――



~貴族連合軍旗艦・パンダグリュエル・甲板~



「ふわああっ……」

貴族連合軍の旗艦―――”パンダグリュエル”の甲板で煙草を吸っていた真紅のコートを纏った男――――結社”身喰らう蛇”の執行者No.Ⅰ”劫炎のマクバーン”はあくびをした。

「―――フフ、随分と暇そうではないか。」

するとその時白いマントを纏った仮面の紳士が艦内への出入り口から現れて男に話しかけた。

「……ブルブランか。暇なのは当たり前だろうが。相手は雑魚ばっかりで、愉しめそうな相手は一人もいないしよ。」

「フフ、”鋼”殿と並ぶ強さを持つと言われている君を愉しませる相手を持ってこいなんて、無茶な注文だよ。まあ、君の気持も理解できるよ。我が好敵手や”有角の若獅子”達も一向に動きを見せないしね。」

マクバーンの言葉に対して仮面の紳士―――結社”身喰らう蛇”の執行者No.Ⅹ”怪盗紳士ブルブラン”は静かな笑みを浮かべて答えた後マクバーンの言葉に同意するかのように若干不満げな表情になった。

「お前はいいよな……ガキ共相手に愉しめる意味不明な頭をしていて……こうなったら、いっそ”蒼の騎士”とやりあえるように”深淵”に掛け合おうかね。”騎神”とやらが相手なら、ちょっとは愉しめそうだしな。」

「ハハ、それは無理な相談だろう。”蒼の騎士”は”幻焔計画”に必要な存在だし、そもそも”深淵”殿が自分の騎士を”鋼”殿と並ぶ”結社最強”である君と戦わせるみたいな計画に支障が出かねない事に絶対に首を縦にふらないだろう。ただでさえユミルの件が失敗した挙句”黒兎(ブラックラビット)”を失った事による想定外の出来事に内心焦っているだろうしね。」

「……メンフィルか。そう言えばアルバレアが雇った猟兵共が襲撃したのはユミルだったな。クク、いっそ”ハーメル”の件のようにユミルの件を盾にしてメンフィルがこの内戦に介入して来たら、愉しめそうなんだがな。メンフィルにはレーヴェの阿呆に加えて”英雄王”を始めとした愉しめそうな連中もゴロゴロいるって話だろう?」

ブルブランの話を聞いてある事を思い出したマクバーンは不敵な笑みを浮かべて答えた。

「フフ、そうなったらそうなったで私も更に愉しめそうなのだがね。メンフィルが出てくれば、必ず我が麗しの姫君の一人も出てくるだろうしね。」

「――――うふふ、懲りずにまだプリネお姉様とクローゼお姉さんを狙っているなんて、いけないストーカーさんね。」

ある人物を思い浮かべたブルブランが酔いしれた表情で答えると空から少女の声が聞こえてきた。



「あん?」

「この声は確か………」

突然聞こえてきた声にマクバーンが首を傾げ、心当たりがあるブルブランが眉を顰めて周囲を見回していると何と片手にレンを乗せた”パテル=マテル”が”パンダグリュエル”の上空から現れて甲板に降り立った!

「クスクス、初めまして、結社の”執行者”――――”劫炎のマクバーン”と”怪盗紳士ブルブラン”。」

レンは小悪魔な笑みを浮かべてスカートを摘み上げて上品に会釈をした後マクバーン達を見下ろしていた。

「その人形は確かノバルティスの爺が騒いでいた”パテル=マテル”……って事はお前が”殲滅天使”か」

「フッ、噂をすれば影、か。何故君がこの場に現れたのかな?」

パテル=マテルを見て何かに気づいたマクバーンは興味ありげな表情でレンを見つめ、ブルブランは口元に笑みを浮かべてレンに問いかけた。

「うふふ、それを答える前に一つだけ訂正しておくわ。この場に現れたのは”レンだけ”じゃないわよ?」

「何……?」

意味ありげな笑みを浮かべたレンの言葉を聞いたブルブランが眉を顰めたその時、何とペガサスや飛竜を始めとした多くの翼を持つ騎獣達を駆る騎士達がパンダグリュエルの上空から現れ、更にパンダグリュエルと同等かそれ以上の大きさのメンフィル帝国軍の戦艦がパンダグリュエルの全方位から現れ、パンダグリュエルを完全に包囲した!



~パーティーホール~



「な―――あの紋章は……メンフィル帝国……!?何故メンフィル帝国がこの艦に襲撃を……――――!まさか……ユミルの件か!?バカな……被害も軽微で死者も出ていないのに、メンフィル帝国はエレボニア帝国との戦争に踏み切ったというのか!?」

一方メンフィル軍の登場を艦内のVIP達が休む区画にあるパーティーホールから見ていた貴族連合軍の”総参謀”にしてユーシスの兄―――ルーファス・アルバレアはメンフィル帝国軍の登場に困惑していたが、すぐに心当たりを思い出して信じられない表情で声を上げた。

「クッ……―――ブリッジ、私だ。何故今までメンフィル帝国軍の接近に気づかなかった!?」

すぐに気を取り直して現状を把握する為にルーファスはブリッジに通信をした。

「う、うわあああああっ!?い、一体どうなっているんだ!?」

「メ、メンフィル軍だと!?」

すると通信の外から混乱している様子の貴族連合軍の兵士達の声が聞こえてきた。

「こちら、ブリッジ!我々もその事に驚き、今観測に確認する所です!おい、何故今まで気付かな……え。な、何を……ギャアアアアアアッ!?」

「ヒッ!?お前もどうし―――グアアアアアッ!?」

そしてルーファスの通信に応答した貴族連合軍の兵士はルーファスの指示に答えようとしたが、通信機からは兵士達の悲鳴や断末魔が聞こえてきた。

「!!パンダグリュエルの乗組員達の一部とメンフィル兵達がすり替わっていたというのか……!クッ……まずは迎撃態勢を……いや、乗組員達の中にメンフィル兵がいる以上、メンフィル軍に兵達の配置が筒抜けだ……!―――やむを得ん。裏の協力者達に時間を稼いでもらい、殿下と少数の部下達と共に艦から脱出するしかないな……裏の協力者達――――”劫炎のマクバーン”を始めとした結社の使い手達ならば、メンフィル兵が相手でも時間を稼ぎ、自力で脱出する事も可能だろう。」

通信機から聞こえてきた異常事態を耳にしてすぐに状況を悟ったルーファスは焦りの表情で考え込み、やがて答えが出るとある人物達に連絡する為に再び通信機を取り、通信相手を変えようとしたその時

「―――リウイ陛下!ブリッジの制圧は完了しました!」

通信機からルーファス達貴族連合軍にとって更なる凶報となる声が聞こえてきた。



~メンフィル帝国軍旗艦・”始まりの方舟”モルテニア・ブリッジ~



一方その頃メンフィル帝国軍の旗艦のブリッジに仲間達と共に待機していたリウイはパンダグリュエルの潜入していた兵士からの連絡を受け取り、指示を出していた。

「よし―――誇り高きメンフィルの戦士達よ!雌伏の時は終わりだ!これより”パンダグリュエル制圧作戦”を開始する!今こそ武器を取り、メンフィルの”怒り”、エレボニア帝国に思い知らせろっ!」

「御意ッ!!」

「オォォォォオ―――――ッ!!」

「ペテレーネ、エヴリーヌ!」

メンフィル兵達への指示を終えたリウイは自分達と共にいるペテレーネとエヴリーヌに視線を向け

「はいっ!」

「は~い♪」

「御武運を!」

視線を向けられた二人はそれぞれ返事をして、ブリッジにいるメンフィル兵達に見守られながら転移魔術を発動してリウイ達と共にその場から消えた。



~パンダグリュエル・パーティーホール~



「バカな……”英雄王”までもが直々に出陣しているだと……!?クッ……一刻も早く殿下をお連れして、パンダグリュエルから脱出をしなければ……!私はこんな所で終わる訳にはいかない……!」

通信機から聞こえてきたメンフィル兵のリウイへの報告を聞いていたルーファスは信じられない表情をした後血相を変えて部屋から飛び出した!

~パンダグリュエル・甲板~



「メンフィル帝国軍……!と言う事はまさか、本当にユミルの件を盾にメンフィル帝国はエレボニア帝国に戦争を仕掛けたのか……!」

「クスクス、大正解♪大正解したご褒美に良い事を教えてあげる。今回の作戦―――”パンダグリュエル制圧作戦”にはパンダグリュエルで待機している貴方達結社を含めた”裏の協力者達”の殲滅も目的の一つなのよ♪」

メンフィル軍の登場の理由を悟ったブルブランにレンは残虐な笑みを浮かべてブルブラン達にとっての凶報を伝えた。

「何……っ!?」

「ほう……?クク、まさかお前とそのガラクタでオレ達を殺せると思っているのか?」

レンの言葉にブルブランが驚いている中マクバーンは好戦的な笑みを浮かべてレンに問いかけた。

「や~ね、”怪盗紳士”はともかくあのシルフィアお姉さんと互角に渡り合った”鋼の聖女”と並ぶ可能性がある貴方相手にレンとパテル=マテルじゃ勝ち目がある訳ないんだから、レンが貴方達の相手をする訳ないじゃない♪貴方達の相手は”貴方達を確実に殺せるメンバー”が相手よ。」

マクバーンの問いかけに対して笑顔で答えたレンが子供が浮かべる無邪気な笑顔から残虐な笑顔へと変えて答えると、タイミング良くペテレーネとエヴリーヌの転移魔術によってリウイ達が甲板に現れた!

「!!ハハハハハッ!まさかこの船にて貴女と再び邂逅する事になるとは!我が麗しの”姫君の中の姫君(プリンセスオブプリンセス)”!そしてもう一人の我が好敵手よ!」

リウイ達の登場にブルブランは驚いた後高々と笑ってプリネ達を見つめ

「やれやれ……そういう所も全く変わっていなかったようだな。だが……それも今日で”最後”だ。カリンを狙い続けている以上、一切の容赦はしない。」

「―――”リベルアーク”で止めを刺さず、むざむざと撤退を許した結果罪無きエレボニアの民達を傷つける事になってしまった私の責任………今、ここで果たさせて頂きます!」

「貴方の命運も今日で終わりです。―――”怪盗紳士”ブルブラン!貴方はここで仕留めます!」

「我と”美”を巡った好敵手よ。せめてもの手向けとして我自らの手でお前を”冥き途”へ送ってやろう!」

「クフッ♪そう言えばお前はエステル達が言っていたエヴリーヌの可愛い妹のプリネを手に入れようとしていたえ~と……ああ、思い出した。”変態仮面”だったね……ちょうどいい機会だから、2度とプリネを狙えないように塵も残さず駆除してあげる♪」

対するレーヴェは呆れた表情をした後目を細めて剣をブルブランに突き付け、プリネとツーヤ、プリネ達と共にいる一角の魔神―――ソロモン72柱の一柱である魔神アムドシアスは決意の表情でそれぞれの武器を構え、エヴリーヌは凶悪な笑みを浮かべて自身の得物である弓を構えた。



「クク……まさかこんな形でレーヴェの阿呆どころかアンタと会えるとはな。”英雄王”―――リウイ・マーシルン。」

「結社”身喰らう蛇”の執行者No.Ⅰ―――”劫炎のマクバーン”。お前のような雑魚如きがあのシルフィアと互角に戦った”鋼の聖女”と同格とはとても思えんが……俺達の理想を阻むのならば、容赦は一切しない。」

「覚悟するがいい、愚かな結社の”執行者”よ。貴様が例えどのような弱者であろうと、我等メンフィル帝国に刃を向けたからには我が全身全霊を持って貴様を葬る。」

好戦的な笑みを浮かべるマクバーンの言葉に対してリウイとゼルギウスは挑発とも取れる宣言をし

「クククク…………随分と舐められたものだなぁ?幾ら”英雄王”でも、この俺相手にそんな事をほざくとは、調子に乗りすぎだぜ?」

二人が自分を”格下”に見ている事に内心怒りを感じたマクバーンは不敵な笑みを浮かべた後、自分の足元から凄まじい黒き焔と闘気を吹き上げさせ始めた!



「この俺相手にそこまで言うからには、俺を今までの中で一番”アツく”させろよ――――!」

そしてマクバーンは全身に膨大な黒き焔を纏い、自らを”焔”を纏った”魔人”―――”火焔魔人”と化させた後異空間から黒き魔剣を取りだした!

「ハハハハハハッ!久方ぶりに見たな、君の”本気”を!しかもまさかその剣まで使うとはね。」

「弱っ。ただの見かけ倒しじゃん。あれなら、ゼフィラでも勝てると思うよ。」

「あの、エヴリーヌお姉様……”魔神”だと比較対象にならないのですが……それよりも”劫炎”が持つあの剣はまさかレーヴェのかつての剣と同じ……」

変わり果てたマクバーンを見たブルブランが高々と声を上げ、マクバーンの強さを瞬時に悟って呆れたエヴリーヌの推測を聞いたプリネは冷や汗をかいて指摘した後マクバーンが持つ魔剣に視線を向け

「ああ。―――”アングバール”。”匠王”によって造られた”レーヴァテイン”の元となった”ケルンバイター”と対になる魔剣だ。」

「レーヴェさんの剣と……!」

レーヴェの説明を聞いたツーヤは目を見開いた。



「クク、そこにいる阿呆のと違って俺との相性が”良すぎる”せいかコイツはこんな風になっちまうけどな……」

レーヴェに視線を向けたマクバーンが凶悪な笑みを浮かべると魔剣は黒き焔の剣と化した!

「「……………………」」

「さて……始めるとするか?ま、この”力”の前には抗うだけムダだと思うがな。」

静かな表情でそれぞれの得物を構えているリウイとゼルギウスに対し、マクバーンは不敵な笑みを浮かべた。

「―――”雑魚”が。”その程度の力”、俺達の世界では良くてせいぜい下級の”魔神”クラスだ。」

「あん……」

しかしリウイが呟いた言葉を聞き、眉を顰めた。するとその時!

「――――我が深淵に眠りし光と闇の力よ………今こそ目覚めろっ!オォォォォ――――――――――ッ!!」

「はああっ!―――猛招来!!」

リウイが雄たけびを上げるとリウイの全身から膨大な闘気や魔力、そして”神気”がさらけ出され始め、ゼルギウスは全身に膨大な闘気を練った後咆哮して全身にマクバーンが纏う黒き焔をも超える勢いの闘気を纏った!

「そう言えばお前と肩を並べて戦うのはこれが初めてだな、ゼルギウス。リフィア自慢の”守護神”の”力”、見せてもらうぞ。」

「御意。ならば私は偉大なるメンフィル帝国を建国したメンフィルの大いなる父にして”英雄王”であられるリウイ皇帝陛下の御力、とくと拝見させて頂きます。」

それぞれの”力”を解放したリウイとゼルギウスは互いに視線を交わして口元に笑みを浮かべた。

「―――ペテレーネ!手筈通りアレを発動しろ!」

「はい!アーライナよ……!」

そしてリウイの指示によって発動したペテレーネの魔術はリウイ達と執行者達だけを異空間へと転移させ、その場に残ったのはレンと術を発動しているペテレーネだけになり、リウイ達が転移するのを見守っていたパンダグリュエルの上空に待機していたメンフィル兵達は次々と甲板に着陸して騎獣から降り、一部の兵士達は即座に動いて術を発動しているペテレーネの護衛を始めた。



「――――総員、突撃開始!既に艦内で戦っている同胞達と連携して、貴族連合軍を殲滅しなさい!」

「おおっ!!」

レンの号令によってメンフィル兵達は次々と艦内に突入した!

「さてと、レンもそろそろ行くわ。ママの護衛、お願いね、セオビットお姉様。」

「ええ、私とエヴリーヌの分も含めて存分に暴れてきなさい。」

「は~い♪……あら?」

メンフィル兵達の突入を見守っていたレンはペテレーネの護衛の兵達と共に残っているセオビットに声をかけた後他のメンフィル兵達と共に突入せずに甲板に残っているリィン達が気になり、リィン達に近づいて声をかけた。



「うふふ、この作戦で一番の手柄首を狙っているリィンお兄さん達がどうして艦内に突入していないのかしら♪」

「レン皇女殿下。先程の号令、お疲れ様です。」

「わたくし達は作戦が始まる少し前に”パンダグリュエル”に潜入して、脱出用の飛行艇が停泊している格納庫を探しているベルフェゴール様を待っているんです。」

レンに声をかけられたエリゼは会釈をし、セレーネがレンの疑問に答えた。

「脱出用の飛行艇が停泊している格納庫を……?――――なるほどね。すぐに自軍の不利を悟ったルーファス・アルバレアがアルフィン皇女を連れてパンダグリュエルからの脱出を図ると予測して、先回りするつもりなのね?」

セレーネの話を聞いて不思議そうな表情をしたレンだったがすぐにリィン達の狙いを悟り、興味ありげな表情でリィン達を見つめた。

「はい。最も、俺達がその手段に取ろうと思ったのは俺やエリゼと違って、エレボニアの貴族達の事情に明るいステラがルーファス・アルバレアの性格をある程度知っていたお陰でもありますが。」

「フフ、さすがにそれは過剰評価ですよ、リィンさん。ルーファス・アルバレアの評判はエレボニアどころか他国の社交界でも有名になれる程彼の者の名が轟いていたお陰で、私のような箱入り娘でも知る事ができただけですよ。」

リィンの説明を聞いたステラは苦笑しながらリィンに指摘し

「クスクス、要するにルーファス・アルバレアの聡明さを逆手に取ったのね♪まあ、実際この巨大な船の中をやみくもに探し回るよりも、脱出する場所を特定してそこで待ち構えていた方が効率がいいわね。――――と言う事でレンもリィンお兄さん達に加勢させてもらうわね♪」

「ええっ!?レ、レン皇女殿下が私達にですか!?」

「一体何故でしょうか……?」

リィン達の考えを理解してリィン達に感心したレンは加勢の申し出をし、レンの加勢の申し出にセレーネは驚き、エリゼは目を丸くしてレンに問いかけた。



「レンもリィンお兄さん達と同じで手柄首になる人物達――――”帝国解放戦線”の幹部を狙っているからよ。」

「”帝国解放戦線”……確かエレボニアでテロ活動を行っていたテロリスト達の名前がその名でしたね。」

「ああ……そして”西ゼムリア通商会議”でもオズボーン宰相を殺害する為にオルキスタワーに乗り込んできた飛行艇に積んでいた爆薬を使って、オルキスタワーにいる多くの人達ごと葬ろうとしていた狂人達だ。」

「最もその方達の企みはルファディエル様やヴァイスハイト様達に読まれていて、二大国からクロスベルを守る為に上手く利用されましたが……」

「もしかして殿下が”帝国解放戦線”の幹部の首を狙っているのは”西ゼムリア通商会議”の件なのでしょうか?」

レンの話を聞いてある事を思い出したステラの話にリィンは頷いた後かつての出来事を思い出して表情を厳しくし、リィン同様かつての出来事を思い出していたセレーネは苦笑し、レンが”帝国解放戦線”の幹部達の首を狙っている理由を悟ったエリゼはレンに訊ねた。

「ええ。うふふ、皇族―――いえ、レン達メンフィル皇族の命を狙った罪がどれ程愚かな事なのか、レン達メンフィル皇族自らの手で思い知らせてあげるのが”筋”でしょう?」

凶悪な笑みを浮かべたレンの答えを聞いたリィン達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。



「ハ、ハハ………わかりました。こちらとしてもレン皇女殿下の加勢はとても心強いです。短い間になりますが、よろしくお願いします。」

「うふふ、こちらこそよろしくね♪」

「―――待たせたわね。」

乾いた声で笑った後気を取り直したリィンの言葉にレンが笑顔で答えたその時ベルフェゴールが転移魔術でリィン達の傍に現れた。

「ベルフェゴール、脱出艇がある格納庫を見つけたのか?」

「ええ。……あら?確かその娘はメンフィル皇女の………その娘も一緒でいいのかしら?」

リィンの問いかけに頷いたベルフェゴールはレンに気づくと不思議そうな表情でリィンに確認した。

「ああ、ありがたい事にレン皇女殿下も加勢してくださるとの事だ。」

「よろしくね、ベルフェゴールお姉さん♪」

リィンの答えに続くようにレンは笑顔でベルフェゴールに声をかけた。

「――――わかったわ。格納庫では既に脱出艇の準備をしていたから、転移したらすぐに戦闘を始められるようにしておいたほうがいいわよ。」

「わかった。すぐに頼む、ベルフェゴール。」

「了解。」

「みんな、いつでも戦闘が始められるようにだけしておいてくれ!」

「「「はいっ!」」」

「は~い♪」

そしてリィン達はベルフェゴールの転移魔術でその場から消えて脱出用の飛行艇が停泊している格納庫に現れた!



~格納庫~



「一刻も早くルーファス様と殿下をお逃がしする為に脱出艇の準備を急げ!」

「くそっ、メンフィルと戦争になったなんて聞いていないぞ!?宣戦布告もせずに戦争を仕掛けてくるとか、あいつらには誇りはないのかよ!?」

「無駄口を叩いている暇があったら、手を動かせ!」

リィン達が転移する少し前貴族連合軍の兵士達は脱出艇の準備の為に忙しく動き回っていた。そしてそこにリィン達がベルフェゴールの転移魔術によって現れ

「え――――」

「な――――」

「二の型―――疾風!!」

「そこっ!」

「刃よ、伸びよッ!」

「スパイラルピアス!!」

「うふふ、死んじゃえ♪」

自分達の登場によって呆けている貴族連合軍の兵士達の隙を逃さないかのようにリィン達はまさに電光石火のような早さで兵士達を瞬殺した!



「何事だ!?」

「なっ!?お、お前達は何者だ!?」

「ま、まさかメンフィル軍か……!?」

「クッ……もうここまで来たのか……!?」

するとその時騒ぎを聞きつけた脱出用の飛行艇の中で準備をしていた貴族連合軍の兵士達が次々と飛行艇から現れ

「―――まずは脱出艇の乗組員達を殲滅。その後こちらに向かっていると思われるルーファス・アルバレア達をこの場で待ち構えて討ち取るぞ!」

「「「はいっ!!」」」

「は~い♪」

「了解♪」

リィンの号令に力強く答えたエリゼ達はリィンと共に貴族連合軍の兵士達の殲滅を開始した!そしてリィン達が殲滅を終えて数分すると、エレボニアの帝位継承者の一人にしてオリヴァルト皇子の腹違いのエレボニア皇女――――アルフィン・ライゼ・アルノール皇女と、アルフィン皇女を護衛している少数の兵士達と”帝国解放戦線”の幹部――――ヴァルカンとスカーレット、そして結社”身喰らう蛇”の最高幹部の一人である第七柱”鋼の聖女”直属の戦乙女の部隊―――”鉄機隊”の筆頭隊士である”神速のデュバリィ”と共にルーファスが格納庫に現れた!






 
 

 
後書き
という訳でマクバーンとブルブランは運命が改変された少年~の時以上のえげつない面子と戦う羽目になりましたwwなお、あの二人とリウイ達との戦闘は省略します。だって、書かなくても結果はわかりきっているでしょう?(黒笑)そして今回の話でレンがゲスト参戦し、リィン達と共に戦いますww 
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