ナンパは危険
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第四章
美人からだ。こう彼に言ってきたのだった。
「先にね」
「先にといいますと」
「貴方からシャワーを浴びて」
こうしたホテルはバスルームがガラス張りになっていて外から丸見えだ。それもまたこうしたホテルの趣きである。そしてそのバスルームに先にだというのだ。
「私は後から入ります」
「ではそれから」
「バスルームで楽しみますか?」
美人の方から尋ねてきた。
「そうされますか」
「そうですね。ベッドでもいいですが」
小泉もだ。美人のその誘いに応えた。
そしてだ。こう美人に返したのである。
「そこで楽しむのもいいですね」
「そうした経験もありますね」
「はい」
余裕のある微笑みでだ。小泉は答えた。
今二人は部屋のベッドの上に横に並んで座っている。二人用の大きく白いベッドだ。ベッドは柔らかく清潔だ。部屋の中にはソファーもテレビもあるがそうしたものは目には入っていない。
ベッドからそのバスルームを見ながらだ。小泉は答えたのである。
「何度も」
「では最初はです」
「バスルームで、ですね」
「楽しみましょう」
「では」
気取った、遊んでいる時の顔で頷いた。そうしてだった。
小泉は先にバスルームに向かった。そのうえで。
彼は服を脱ぎバスルームに入ってシャワーを浴びた。それから身体を洗っていると。
バスルームの中に美人も入ってきた。早速だった。
その見事な白い裸身が姿を現わしてきた。小泉はその顔を見てから。
胸を見た。豊かな、ギリシア彫刻のそれを思わせる奇麗な胸だった。
その胸を見ただけで彼は今宵のこれからのことを考える。最高の宴になることを。
腰もだった。見事なくびれだ。顔立ちだけでなく肢体も素晴しいものだった。
そこまで見て次にだった。秘密の、最大の秘密の場所を見た。だが。
そこには見慣れたものがあった。しかしそれは本来はそこにはない筈のものだった。小泉はその見慣れたものを見て思わず目を瞠った。
それでだ。唖然としてこう言ったのだった。
「な、これは一体」
「ではです」
美人はゆっくりと近寄りながらだ。彼に言ってくる。
「まずはこの場で楽しみましょう」
「あ、あの貴方は」
「私が何か」
「まさかと思うのですが」
「男です」
聞きたくない返答だった。何よりも。
「そう言っていませんでしたか」
「今はじめて聞きましたけれど」
「そうだったのですか。ですが」
見れば巨大なものだった。小泉のものの倍以上はありそれが雄々しく隆起していた。黒光りするそれを誇示しながらだ。美人は小泉にさらに近寄っていた。
その彼がだ。こう言ってきたのだ。
「今わかりましたね」
「そんな、じゃあ宴も」
「どちらにされますか?」
美人の物腰は変わらない。淑女のそれのままだ。
その物腰で傍まで来て。こう言ってきたのだ。
「貴方の方から。それとも私の方から」
「俺はその」
「迷っておられるのなら」
もうすぐ傍まで来ていた。逃げられる距離ではなくなっていた。
美人は彼の手を掴んできてだ。気品のある微笑みでこう言ってきた。
「私の方から」
「私の方からって。あの」
「最初は私が教えさせてもらいます」
背中を向けさせられた。美人が後ろになったのだ。
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