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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第二章 Lost Heros
  銀白VS切札&剣



地下格納庫からの広く大きな通路を、一台のバイクが走っていく。

そのハンドルを握るのは仮面ライダーブレイド・剣崎一真。
そしてそのバイクに押され続け、前部にしがみつき後ろ向きで進まされていくのは蒔風だ。



本来ならばここで足を地面につけ、その勢いを殺してバイクを持ち上げてから投げ飛ばしてやるところなのだが、突っ込んできたバイクを受けるために右腕で押さえている状態だし、このままの維持なら勢いで張り付いていられるが、踏ん張って止めるとなるとできないと体の感覚で悟っていた。


ゆえにこのバイクが止まるか、強引に転がり落ちて自ら脱するかしないとこの状況は変わらない。



それに後ろ向きだからわかったことだが、このバイクの五十メートルほど後方にはリボルギャリーがあり、だんだんと迫ってきているのが見えた。




グォン!!!




と、そうして状況を考えているとバイクがついに地上へと飛び出した。

場所は工場地帯側面を走る道路だ。



おそらくは工場の敷地内だからか、走っている車はほかに一台もなく、トラックなどの大型車両が走るためにその幅は以上に広い。見た限り延々と道路は伸びていた。



「ッ・・・うまく着地・・・できるといいなっと!!!」




そして蒔風は即座に右腕をまげてバネのように跳ねてバイクから離脱した。

慣性の法則か蒔風はバイクと並行して宙を流れていくが、いずれは地面に落ちるだろう。



《ワールド!!!》



が、そうはいかないのがこの男だ。



メモリを取り込み、その足にローラーブーツ型デバイス「マッハキャリバー」を履き、右腕にはリボルバーナックルを装備してウイングロードを展開、その上を滑走していった。




「もしこれがギンガだったらナックルは使えなかったな・・・あぶねぇあぶねぇ」


そんなことを呟きながら、蒔風が跳躍。ブルースペイダーに向かって飛びかかっていった。



真上から迫る蒔風。
その蒔風にブレイドはハンドルを固定し、ブレイラウザーを真っ直ぐに突き出した。

それをリボルバーの手首に当たる部分で受け、バイクの前部に立ち乗ってブレイドと組み合う蒔風。


その着地の衝撃でバイクはコマのように回転するが、乗っている両者はそんなことは気にしていられない。


ブレイドが空いた片腕で蒔風の足を攻撃するが、攻撃された片足を上げてそれを受け止める蒔風。
ブレイラウザーを押しのけて拳を放ち、さらに足で受けている拳も押しのけて蹴りまではなってきた。


が、それを受け切れないと悟ったブレイドはバイクから真上にジャンプし、真下の蒔風に向かって剣を突き立てるようにして落ちて行った。



ジャンプから落ちてくるまでは一瞬だ。


その一瞬でできることは限られており、さらには片腕しか使えないのならば受けることも不可。



蒔風はとっさにバイクから前に向かってジャンプ(蒔風にとってはバックステップだが)、それを回避した。



そのジャンプで蒔風が前に向かって飛んだのだから、バイクは当然後方に流されてブレイドの剣が地面に突き刺さる。



蒔風はウイングロードに着地するものの、後方から追いついてきたリボルギャリーからの体当たりに着地した瞬間に真横に吹き飛ばされ、その先でロードを展開して着地して戻っていく。



ブレイドは地面に着地した。そこに一旦後ろへと流されていたバイクがやってきて、それに飛び乗って先を行く蒔風を追い始めた。








一方蒔風



リボルギャリーの攻撃から何とか戻ってこれたのはいいが、そのダメージは無視できない。
まあそうはいってもこの大型車両は確かに強烈なものではあるが、いかんせん体当たりしか攻撃法はない。


ゆえに離れていれば無事と言えば無事なのだ。


(だけどあれん中には翔太郎がいる・・・やらないわけにはいかないな)



蒔風が行動を開始する。
あれの装甲は固い。しかし、今蒔風が借りている力は、その装甲を内から破壊する拳。



ならばためらう必要などありはしない。




「ォォオッ!!」



リボルバーが唸りを上げ、拳を握って蒔風がウイングロードを疾走してリボルギャリ―に徐々に接近する。



この道路は確かに広いものの、リボルギャリ―が回避するには十分な広さではない。それに、やっと行き止まりも見えてきた。
その中には、絶対に回避できない一点があるハズだ。


そこに打ち込みさえすれば、どこに当たろうとこの攻撃は耐久力など無視して破壊する・・・・!!!




「IS発動!振動破砕ッ!!!」



蒔風の身体がウイングロードから飛び出して、リボルギャリ―の横っ腹に拳を突き出し、地面と水平に、真っ直ぐに突っ込んでいった。




もらった!!



蒔風はそう思った。
これさえ入ればリボルギャリ―は爆破、それができずとも横転にまでは持っていけるはず。

爆破されればそれで終わり、横転ならば中身がシェイクされてグチャグチャだ。



これで一人・・・・



そう、蒔風がそう思うのは無理もないのだ。

油断?









焦っているが故に






バガンッ!!!




「あゴッ!?ギアああ!!!」




しかし、そう蒔風の思い通りにはならなかった。



リボルギャリ―が中身をさらけ出すようにそのハッチを勢いよく開き、真横から突っ込んできた蒔風を地面に叩ききつけたのだ。

地面を転がって勢いが殺される蒔風。



一方リボルギャリ―は勢いよくたらいたためかハッチが地面に当たって火花を上げたものの、それを開いたまま行き止まりまで行って反転、蒔風の方へと向き直った。





「ぐ・・・・おおお・・・・・イッテぇ・・・!?」



ヴォン、ギャィン!!!



「ォグアっ!?」




地面を転がり、立ち上がった蒔風の後方からバイクのエンジン音が聞こえ、振り向いた瞬間にブレイドが剣を振りながら蒔風を轢いて行った。


直撃こそはしなかったものの、身体を引っ掛けられ蒔風はその場で回転し背中を打って再び倒れる。





「おぉう・・・・・強・・・烈・・・・ッ・・・・・」






地面を倒れる蒔風だが、こうしているわけにもいかない。



今度はその倒れている蒔風が今いる場所を、電車のレールが走ってきた。
それ自体には特に何もない。その間に蒔風が膝をついているだけだ。

しかし、蒔風は血相を変えてその場から即座に転がり出た。


その理由は明らか。
直後にデンライナーが蒔風を引き飛ばそうと突っ込んできたからだ。



その勢いでの突風にあおられながらも、蒔風が受け身で転がった勢いのまま立ち上がって睨みつける。




リボルギャリ―にはハードボイルダーに跨ったジョーカー。
その横にバイクに跨ったブレイドがおり、その二人を通過し、大回りして再び蒔風に向かってこようとするデンライナーがあった。



「くるか・・・・いいぜ・・・プランはたった。実行しようか・・・・・」




そうして、蒔風に向かってデンライナーと共にブレイドと、リボルギャリーからブースターを取りつけたハードボイルダースタートダッシュモードが突っ込んできた。



その三台のうち、最初に蒔風へと到達したのはジョーカーだ。



が、到達したと言っても途中でバイクから跳躍して蒔風へと殴りかかって行ったのだが。



それに応じて蒔風もジャンプし、空中でジョーカーと蒔風がぶつかる。

蒔風の半ば逆立ちになったっかのような体勢からの回し蹴りを、ジョーカーが腕で受け止めた。
それを見て蒔風が逆の足で腹を蹴るが、ジョーカーも逆の手でそれを受け止め、蒔風に蹴りを放った。


その蹴りを右腕で受ける蒔風。
しかしさらに放たれた蹴りに左手を使えない蒔風がもろに食らい、吹き飛ばされる。


その蒔風に向かってジャックフォームへと強化変身したブレイドがバイクから跳躍して宙を飛ぶ蒔風に切りかかり、突進していく。


それを何とか剣で受け流した蒔風だが、ブレイドはそのまま走って追い付いてきたブルースペイダーに着地して再び走ってくる。



止まることを知らない連続攻撃に、蒔風が肩を上下させながらやっと地面に降り立つも、そこにデンライナーからの砲撃が放たれて地面に大穴を開けた。



土煙で蒔風が消えるが、直後に蒔風がそこから転がり出、デンライナーに圧水砲を打ち放ってその車体を大きく揺らした。



そうして一時的にデンライナーを押しのけたものの、最後にリボルギャリーが残っている。
その突進を見、蒔風が歯ぎしりするもののそれを何とかして投げ飛ばした。



そう、投げ飛ばしたのだ。




突っ込んできたリボルギャリーが到達した瞬間に右足のつま先を地面との隙間に滑り込ませて持ち上げて仰向けに寝そべり、さらに左足で蹴り飛ばしてひっくり返したのだ・・・・!!




「うおおおぉぉお!?」

「なんて奴だ・・・・うぐぁ!!」




落下してきたリボルギャリーを回避し、ジョーカーとブレイドが再び突っ込んで来ようとしてきた。
蒔風の後ろからはデンライナーが迫ってきている。



挟み込んだ




これはかなり有利な状況だ。
これならばもしかしたら・・・・


そう考え、ジョーカーとブレイドはハンドルを握ってエンジンを吹かした。
そしてバイクを疾走させようとしたその瞬間



「粉・・・・砕ッ!!!」



ゴガッ!!と蒔風が震脚でも用いるかのように地面を踏み込むようにして思い切り踏みつけた。
その音は「地面を」というよりも「大地を」と言った方が的確なのではないのかというほどのもの。


その足が踏みつけた地面から小さな亀裂のようなものが二人の元へと走り、到達した瞬間にメキッ、という音を立ててアスファルトが砕け、バガッ!!と爆発したかのように爆ぜた。



「地面がッ!?」

「クソッ!!!」



地面が吹き飛び、瓦礫とともに宙を舞う二人とバイクとリボルギャリー。


が、ブレイドはすでにジャックフォームで空中移動可能だし、ジョーカーもリボルギャリーの後部を換装すればハードタービュラーとして空を行ける。


空中という無茶な体勢だが、ジョーカーは何とかして換装を完了させて体勢を立て直し、ブレイドも容易に立て直した。



もはやブルースペイダーとリボルギャリーはあきらめるしかないだろう。



そう思い、蒔風へと視線を戻す二人だが、その場に蒔風がいない。


「どこに・・・・」


そう呟いて周囲を見るブレイド。
しかし、蒔風はすぐに姿を現した。


二人共々、宙を散っている地面だった瓦礫は大小さまざまであり、その大きさは人ひとり隠しきれるものも当然あった。


そのうちの一つを破壊、粉砕し、蒔風がブレイドに向かって突っ込んてきた。


「なぁっ!?」

「ぼさっとすんな。お前終わったぞ」


正面から来た蒔風はブレイドの片翼を掴んで背中に回り、その背を蹴って地面へと落とす。
翼はもがれ、地面に落ちていくブレイド。その地面にはデンライナーの砲撃で開いた大穴が口を開いて待っていた。


「くっ・・・ォグッ!!」




その穴にブレイドが落ち、蒔風が手の平を向けグッ、と握ると、土惺の力で周りの地面が寄っていきその穴に蓋をした。


「閉じ込めッ!?・・・・・あいつ・・舐めやがって・・・!!!」


光の絶たれた穴の中で、ブレイドがカードを取り出してラウズした。
穴の中に、黄金の輝きが煌めいた。










「ふぅ・・・・あとは・・・っと?」






一方いまだ上空の蒔風は翼を広げて滞空していた。


瓦礫が雨のように落ちているが、それももう三秒もすれば終わるだろう。
その瓦礫を避けながらジョーカーが蒔風へと向かってくるが、タービュラーに当たらないようにここまで来るのには三秒以上かかるだろう。


そう考えていると、穴から何かが伸びてきた。



いや、伸びてきた、というのは少しおかしいかもしれない。



現れたのは、黄金のカード。
人間大にまで大きなそのホログラムのようなカードが、地面から三枚あらわれていた。




ロイヤルストレートフラッシュ





仮面ライダーブレイドキングフォームをして最強の一撃。


それは不死生物たるアンデットを解析して作られた人造怪人「トライアル」を一撃で消し飛ばすほどの威力を持つまさに「最強の一手」





それをブレイドが穴の中から発動させているのだ。

この時出現するカードは五枚。
おそらくは穴の中に二枚あるのだろう。入りきらずに三枚は地上に突出してしまったというわけだ。


「ほう・・・そこまでやるか?」




《ロイヤルストレートフラッシュ》


「ぅうぇえェェェエエええええいアアアアアアアああああああああああああああ!!!!!!」



蒔風の呟きののち、キングラウザーの音声と剣崎の咆哮が、穴の中からとは思えないほどはっきりと聞こえ穴のふたが爆発した。




この技は自分自身がカードを通過して相手を切り裂くのと、太い砲撃上のエネルギーを打ち出す二パターンある。



今回のこれは前者だ。
おそらくあんなところで砲撃を打てば自分が吹き飛んでしまうからだろう。



その勢いは容易に蓋を砕き飛ばし、そのまま蒔風へと突っ込んでいくようだった。




しかし





「剣崎!!いくなぁぁアアアアアアアああああああああ!!!」


「おぉぉぉおおおお!!!な!?がぁっ!?!?!」






翔太郎の静止の叫びもむなしく、キングフォームであるはずの彼がカードを四枚ほど通過したところで元の穴にたたき落とされた。




「突っ込んでくることは解ってたよ。だっから言ったろ?プランはあるってよ」



上空の蒔風が穴を見下ろして呟く。



その穴にはさっきまでの蓋はない。
しかしその代わりにいまだ装甲の健在なリボルギャリーが叩き込まれていた。




蒔風は解っていたのだ。
ああして閉じ込めれば剣崎一真という男はそれをぶち破って自分に向かってくる男だと。



だからあの瓦礫の中蒔風はリボルギャリーを掴んで持ち、剣崎が蓋を破壊して飛び出してきた瞬間にそれを投げ落したのだ。



剣崎にしてみれば飛び出したばかりで予測のできない攻撃だし、なにより一つぶち抜いてきて、その先にもう一個あるとまで考えてもいなかった。
更にはエネルギーが最高潮まで溜まりきっていない、体勢が整え切れていないなどの要因もあった。


そう、だからこそ蒔風はこのタイミングでリボルギャリ―を叩きつけたのだ・・・・・!!!




「剣崎!!」


そうしているうちに瓦礫がすべて落ち切り、ジョーカーが蒔風へと向かう。
しかしそうしているうちに、いつの間にメモリを指し入れ直したのか、蒔風の手に新たな武器が握られていた。




レイジングハート・エクセリオン




その先端に桜色の球体が生成、肥大されていき、その技名と共に蒔風は撃ち放った。




「エクセリオンバスター、シュート」




バゴンッ!!と穴の蓋になって逆さに埋まっていたリボルギャリ―の後部にそれが命中し、更にその穴に押し込まれる。



しかし、あの装甲(キングフォーム)は一体どれだけ硬いというのか。



瓦礫と化したリボルギャリ―の残骸の中から、青い腕――おそらくは通常フォームに戻されてしまったブレイドの腕がガラリと出てきた。



それを見て蒔風がため息を漏らし、突っ込んできたハードタービュラーの鼻面を後ろ回し蹴りで吹き飛ばしてから右腕に力を込めて、絶光尖を撃った。


手を出す暇などなかった。

ジョーカーはタービュラーの体勢を立て直していたし、デンライナーは墜ちてくる瓦礫に巻き込まれないとう距離をとっていたのだから。




ズガンッ!!という金属を貫いた音と共に、絶光尖はその腕の根本に着弾し、その先にあるものを貫通して行った。



ブレイドの腕がビクン!!と跳ねて、その腕が光となってカードへと変わった。







「これで後は・・・お前らのみ」





そうして、デンライナーとジョーカーを睨みつける蒔風。





その顔は手っ取り早く終わらせたいと、ありありと書いてあるようであった。



そうして再びメモリを握り、新たに力を借りようとする蒔風だが、その行動のすべてが止まった。





円錐形の、クリムゾンレッドに輝くポインターが、宙に浮く蒔風を包囲するように取り囲んだからである。








to be continued
 
 

 
後書き

さて、今回は風都でのカーチェイスっぽいのですね。
どうにも戦闘描写が細かくなりすぎてわずらわしいかもしれませんが、そこは申し訳ございません。



戦闘場所イメージとしては、W劇場版「運命のガイアメモリ」で「そろそろあたしも、行こうかしら?」とルナドーパント・泉京水、通称「嫌いじゃないわ!」がマスカレイドドーパントを出したところです。


ヒートドーパントとおっかけっこした場所ですね。
あの後すぐに地下トンネル出口とか海岸沿いの工場跡地に行ってましたけどwww



剣崎
「ついにやられてしまったウェイ。悔しいウェイ」


何かおかしいぞ君。

剣崎
「ウェ?」



やばいなんか面白い。




剣崎
「次回、蒔風による策略」

ではまた次回





リスト残り


長門有希
クラウド・ストライフ
海東大樹
野上良太郎
モモタロス
ウラタロス
リュウタロス
ジーク
デネブ
乾巧
左翔太郎
フェイト・T・ハラオウン
シグナム
ヴィータ
リィンフォースⅡ



コンディション

左腕使用不可。
頭部から流血。



体力値:51%
全員相手は実質不可能

 
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