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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第二章 Lost Heros
  銀白VS御社&太転依



「今は誰だっけ?」

「朱雀じゃ。あやつなら涼しい顔して帰ってくるであろうよ」

「ったく・・・・振り切っちまえよ。テメェも逃げ切っちまえばよかったのによ」

「無茶言わないでよ。翼人相手に僕らじゃ勝てないに決まってるじゃないか」

「・・・・次は誰か・・・」

「また白虎かもしれんな」

「やめてよもぉ!!」



「来たぞ!!!」




六人のうち一人が叫び、その体が光になって六つの光体となる。
そして、飛んできた朱雀も同じように姿を変え、七つの光がまるでシャッフルのようにぐちゃぐちゃと交差してからバラバラに散った。


そのうちの一つを、あとからやってきた理樹が追う。
考えてなどいない。とにかく追うしかないのだ。しかし、このやり取りはもう三回目。

改めて翼人の化け物じみた力を思い知る。



「次は俺か・・・へっ、じゃあこれで振り切ってやるぜ!!!」



そうして、次の標的になった天馬が理樹からの逃走役として飛び去っていく。



残りの六人はまた集合場所を決めてそこで天馬を待つ。




「主のもとには・・・まだ帰れぬな」

『・・・・残りの八剣で・・・・何とかしてもらうしかない・・・・』









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「うぐぁゥ!!!!」

「裕理さん!!」

「あ・・・グ・・・・来るな、ましろォ!!!」




森というには木が少なく、だからと言って林という規模でもない場所で、泉戸裕理が地面を転がり、駆け寄って来ようとしたましろを叫んで止めた。


ベナウィと共に古手梨花、羽入を守りながらほかのメンバーとの合流場所に向かって、この場所を通過していた所を蒔風に狙われたのだ。



当初、能力を打ち消し、さらには神通力をも使う裕理が蒔風を攻めていた。
その補助でベナウィが蒔風の足元を狙って槍を薙ぐ、ましろの槌が頭上から振り下ろされるなどの妨害もした。



だが、その陣形が出来て蒔風を追いたてようとした瞬間、蒔風が狙いを古手梨花のほうへと変えた。
傍らには羽入がおり、その神力で蒔風の撃った銃弾を止めて落すが、そこからは完璧にそちらに標的を変えたのだ。


それを受け、ならばと裕理がそちらに走って二人を守ろうとする。



だが、そちらに走り出した瞬間、蒔風が銃口をましろに向けた。
その蒔風に行動に裕理が目をギョッと開き、梨花たちの方へと向いていた足を強引にましろのほうへと回し方向転換、彼女のもとに向かった。


その瞬間、蒔風が簡単な獄炎弾を放って裕理を吹き飛ばしたのだ。


あまりにいきなり、そして崩れた体制ということもあって、直撃こそはしなくとも裕理の体が焦げる。



最初の叫びと静止はここでのことだ。




裕理が吹き飛んだのを見て、まだ倒れていないと思いながらも、蒔風が向かってきたベナウィの槍を銃身で受け止める。


数秒してから、ベナウィの槍と蒔風の銃が互いに押し返し離れ、そこからもう一度振り戻し、ベナウィが槍を蒔風に突き放った。


それを脇腹数センチで躱した蒔風がベナウィの眉間に銃口を突き立てて発砲。ベナウィは体を回転させてそれを回避し、その回転のまま蒔風の右につき、銃を持つ腕をわきに挟み掴んだ。
額が裂け、血が流れてきていたが、あの至近距離で銃弾をかわしたのはさすがといったところか。




蒔風の動きと銃が抑えられ、羽入がついに動いた。
その能力を解放し、時間操作能力をいかんなく振るい始める。

蒔風がベナウィを振るい放そうとすると、その瞬間にベナウィは消え、ほかの場所に移っていた。
また、銃弾を羽入に放つと見えない壁に押しとめられて反転、蒔風の肩口に着弾した。


その反撃を受け、蒔風が銃を落とす。
しかし、地面に落ちる前に蒔風がそれを足で軽く蹴り上げ、宙に浮いたそれを後ろ回し蹴りでベナウィに蹴り飛ばした。

それをベナウィは槍を使うこともなく避ける。
否、避けようとした。というのもつまり、その飛距離はどう見ても彼の足元で落ちてしまうであろうものだったからだ。


それを見て、嫌な予感のしたベナウィはその場から走って離れ、銃との距離を取った。



横にずれてから蒔風に突進するベナウィ。
背後では銃が地面に落ち―――おそらく、一緒に小型爆弾でも仕掛けていたのだろう、猛烈な爆発を起こしていた。


その爆風を背に、より加速したベナウィが蒔風に槍を突き出してくる。


その槍を蒔風が焦った表情で白羽取りし、刃を折ろうと力を込めた。
と、その瞬間に再び彼が消える。

見渡すと羽入がベナウィと共に蒔風から離れた場所にいるではないか。


「時間操作・・・・での避難か」

「誰もやらせませんです・・・・ボクがみんなを守るんだ!!」



それは、かつて、そして今も。
土地神としてみんなを守ってきたオヤシロ様の信念。

守ってきたなどと言われても、自分はずっと傍観者だった。
そして、教えられたのだ。生きる意志の強さを。その強さを、もう失わせないために


「あなたを・・・倒します!!柳桜(りゅうおう)!!」



そう叫んだ羽入の手に、七支刀と呼ばれる形をした剣「鬼狩柳桜(おにがりのりゅうおう)」が光を放って顕現する。



「・・・過去を断ち切ったか・・・・!!!!」

「いいえ・・・乗り越えたのです!!!!」



そう言って、羽入が神力を込めてその剣を振るい襲いかかてきた。
それを蒔風が組み上げた「天地」で受け止め、飛びのいて襲い掛かってきたましろの槌を回避する。

と、そのタイミングを狙ってベナウィが槍を蒔風の背中に向かって放った。


が、それには蒔風が消していた獅子天麟らの鞘をだし、背後の攻撃を防いだ。


そこから転がったまましゃがんでの足払い、「天」を上向きに突き出し、一瞬でベナウィの顎の下に突き刺した。
今の状態では一瞬だけだが、その一瞬でも蒔風は羽入の認識を超える速度で動ける。

加えて懐内での動きだ。
彼女の反応する間もなく、蒔風の背後で光が立ち上ってベナウィが消える。


「ベナウィさん!!!」


「オオオオオオオオオオオオオおおおおおおおお!!!!」



その光景を見て、全身の痛みなど吹き飛んだ裕理がらしくもない咆哮を上げて法力を練って尋常ではない神通力を発する。

彼の体の構築はすでに人間のものを超えている。
ましろと一緒に生きていくために、その身体の半分を太転依と同じものにした彼は、半神半人のようなものになっているのだ。

その彼が、その膨大な力を放出するがために頭に血管を浮かせ、白目を剥き、鼻血を流して全身から発せられる力を一点に収縮、その一点から一気に撃ち放った。



その攻撃を、蒔風が避けようとする。
しかし、それを蒔風の脇腹を紙一重で通過して行った瞬間。



その膨大なエネルギーを撒き散らし、大爆発を起こした。


「っつッ!?ガアアアああ!!!!」

「や・・・った・・・あぐ・・・」

「裕理さん!!」

「大丈夫なのですか!?」


「大・・・・丈夫・・・・それよりも蒔風は!?」



ましろに抱え上げられ、裕理が蒔風の方を見た。

ちょうどそのタイミングで、爆発で吹き飛んだ蒔風が頭を抱えながら草むらから出てくる。
血を流し、くらくらと揺れながらも、その揺れから戻ろうとしているようだ。


「今です!!」

「神域展開!!」


「グッ!?・・・・・・・」





・・・・・・・



羽入が力を再度発揮し、数秒という短い間だが、時の流れが停止した。


この世界で動けるのは羽入だけ。
しかし、今の羽入には宝刀「鬼狩柳桜」がある。


その世界で、蒔風の首元狙ってその剣を振るう。
ザクッ!!という音がして、蒔風の首に剣がめり込む。

しかし、その首にどれだけの力が込められているのだろうか。
刃がめり込んで、すぐに止まってしまった。

それを見て驚愕する羽入だが、それでも力を込めて振りきろうとする。


「くっ・・・このぉ・・・・!!!!」



しかし、その刃は更に一ミリ進んで完全に止まった。これ以上の力を羽入が出せるわけもないし、そもそもこの神域結界が限界だ。
羽入が剣を引き、蒔風から離れてその結界が切れる。


瞬間、ブシュッ!という音を立てて蒔風の首から血が流れ出し、その痛みに首を押さえて歯軋りする。


「テメェ・・・・・」

「ハァッ!!」



ドッ・・・スン!!!




と、蒔風の真横からましろの槌が襲いかかる。
血をぼたぼたと流しながら、それを回避する蒔風。


現状、裕理はあの一撃での反動疲労で梨花のそばにいるようだが、この二人だけでもキツそうな表情をする蒔風。


と、更にそこに




ブンッ・・・ドゴッ!!!!




「ガッはぁっ!?」

「・・・・目標の耐久力、53%に低下」


長門の拳による重い一撃が、脇腹にめり込んだ。

彼女のその動きはまるで達人のそれだ。
おそらくはその体に情報をインストールしての動きだろう。

そう言う場合、身体の経験が追いつかないものだが、彼女の場合はそれを容易に越えてきていた。


蒔風の身体が吹き飛び、大木に衝突してその木がメキメキと横に倒れた。



「退くぞ!!」

「キョンさん!!!」



と、そこでキョンが裕理を肩に抱え、梨花をその後ろに隠すようにして出てきた。


「こっちにも負傷者が多いんだ。オレらがこれ以上がんばる必要はない!!」


キョンの言う事は確かだ。
だが、ここまで弱らせたのに追い打ちをかけなくともよいのかという思いもある。


「ダメだ・・・キョン、ここで斃さないと・・・!!!」

「なんでオレらがそこまでやらなきゃならんのだ。この状況でまた何人かやられてみろ・・・プラマイゼロだろうが!!」



そうしていると、蒔風を見張るかのように立っていた長門がバックステップでましろの横まで下がってきた。



その右手は何か液体がかかっており、シュウシュウと音を立てて融けていた。


「これは!?」

「強酸性の液体」



そう痛みに顔を変えることもなく長門が淡々と言って手を修復する。

立ち上がった蒔風が手にしているのは、一本の小瓶だ。
おそらくは長門の手を溶かした液体はその中に入っていたのだろう。



そして、蒔風がさらに懐に手を突っ込みその小瓶を十本ほど取り出して、蓋を開けて宙に放った。
ガラス瓶がカランだったりカシャンだったりの音を立てて地面に落ちるが、液体が落ちた音はしない。



見ると、蒔風の手の上にはその液体が圧水で集められてフヨフヨと浮いていた。




「マジ・・・かよ・・・」

「ッ・・・ハ!!!」



そうして、蒔風がまるで指揮者かのように指を振るい、その液体が細い鞭のようになって襲いかかって行った。



「うオォっ!!!」

「キャぁッ!!」

「・・・・」




各々がその鞭を回避して行く。
しかし、そんな物を回避しきるほどの体力などないし、そもそもキョンは裕理を抱えてその背後には梨花がいるために動くことができない。


その足を鞭が通過して行って、ジュワッ!!という音を立ててその皮を(ただ)れさせる。


その鞭は液体ゆえに触れたところで通過して行くだけだ。
だがそれは蒔風の動き次第。

当たった時に腕を引けば肉が爆ぜ、振りきれば通過して融かされるだけ。



キョンの足がガクガクと揺れ、次第に肩、頬、脇腹と鞭が掠めていってその傷が増えていく。



無論、ましろや羽入はもちろん、長門もそちらに向かおうとする。
しかしその瞬間、どういうふうに踏みつけているのか、蒔風が地面を踏むとその行く先に畳返しの壁が立ちふさがって邪魔をする。


その妨害に、ましろが蒔風に向かってその攻撃をやめさせようと走って行った。


その間にも蒔風はキョンに攻撃をやめない。
ましろが迫ってきているのがわかっていながらもそちらに一瞥することもなく圧水をコントロールしているのだ。


「もう・・・やめてください!!!」


そうして、ましろの槌が振るわれる。
どうせ避けられる。だから、最初から顔面ではなく腹部を狙った。


にもかかわらず



「ぐッ・・・・」

「え!?」



その槌は命中した。
蒔風の腹にメキメキとめり込んだ。


そして



「バはッ!!」

「!?キャアっ!!!」


蒔風が吐血する。ましろに向かって。


その血流がましろの顔面にバシャッ!とかかって視界を封じ直後、ましろの心臓部を絶光尖が貫いて彼女をカードに変えた。



「ましろさん!!」

「ましろォ!!!」



「さて・・・囮ごくろう」



そして、ガポンと



キョンの頭部を圧水――肉を溶かすほどの強酸性の液体が包み込み、彼の身体が消えていった。
同時に、裕理の身体が地面に崩れ、キョンを包んだ液体がそのまま口から滑りこんで弾けた。

その攻撃に、当然裕理も消える。



それらの事態に、羽入が梨花を連れて逃げようと彼女の方へと走り出していた。
長門もそれに続いて彼女を守るかのように蒔風に立ちふさがった。

長門が腕を硬質化させて蒔風に突き出すが、それを蒔風が右掌を出してそこに突きたてさせ、そのまま握り止める。
そうして長門の動きが止まり、蒔風の左熊手が顎を捉えてその身体を草むらの向こうに吹き飛ばした。


「梨花!!逃げるのです!!」

「は・・・」

「早く!!」

「羽入ッ!!!」



ガッ



「実に掴みやすい角だ。これなら苦もなく・・・」

「ッッッッ!!!!!鬼狩・・・・!!!」


ゴキン!


背後の蒔風に羽入が剣を振るおうとするが、それよりも早く蒔風が両手で掴んでいた角を捻って首を折る。



目の前で羽入が消え、カタカタと震えながら梨花が座り込んでしまう。
ブツブツと何かをつぶやいているが、その梨花を蒔風が抱きかかえ、一気に腕を絞ってコキリ、という音がたってその体が消滅した。



その後、蒔風が長門を吹き飛ばした草むらを見るが、すでに逃げたのかそこに彼女はおらず、遠くから何人かがやってくる気配がした。




それがここに来るまでに、蒔風はこの場から消えた。






五分後、セイバー達が到着したころには、多くの血の跡しか残っていなかった。






to be continued

 
 

 
後書き

いきなり始まり、いきなり終わるよ!!


ましろ
「うぇ・・血でべったりですよ・・・」

キョン
「顔面に酸とかあいつは鬼か・・・・」

裕理
「僕はながしこまれたけど?!」

羽入
「この角がこの角がこの角が・・・・」

梨花
「また死んだまた死んだまた死んだ・・・」


はいはい皆さん御疲れですたー。


全員
「ですたー」



マーク

羽入、梨花・・・クリスタルみたいなカケラのシルエット

キョン・・・SOS団マーク

裕理・・・八衢の紋

ましろ・・・槌にあるマーク




さて、今回は本文に出た「熊手突き」について説明いたしましょう。

まあ言ってしまえば「掌底」ですね。
手の作り方は

1、手を指の隙間を開かずに開く。

2、指だけを曲げる。指だけグーにする感じ

3、手のひらの下の部分で殴る。


です。



今回は剣があまり使いきれないので能力と卑怯を使って勝ちました。
このままだと次回は・・・・



キョン
「次回、そのまま追いかけて・・・?」

ましろ
「セイバーさん達ですか?」


ではまた次回!!





リスト残り



長門有希
クラウド・ストライフ
小野寺ユウスケ
海東大樹
野上良太郎
モモタロス
ウラタロス
リュウタロス
ジーク
デネブ
直枝理樹
乾巧
衛宮士朗
セイバー
遠坂凛
ランサー
ギルガメッシュ
剣崎一真
左翔太郎
フェイト・T・ハラオウン
シグナム
ヴィータ
リィンフォースⅡ
 
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