オズのアン王女
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第七幕その七
「有り得るのよ」
「考えてみるとあれだね」
トトはドロシーの足元から言いました。
「悪いことが起こる可能性は少ないね」
「確かにね」
ジョージがトトに応えました。
「そうだね」
「オズの国の場合はね」
「じゃあいいことが起こるのかな」
「そうじゃないかな」
「いいことだね」
「うん、ただいいことといっても色々だから」
「どんないいことが起こるか」
「それはね」
今の時点ではというのです。
「わからないよ」
「そうなんだね」
「具体的にはね」
「温泉が出るのかしら」
アンは自分がお風呂好きであることからこう考えました。
「それかしら」
「それも有り得るわね」
ドロシーはアンのその言葉に同意して頷きました。
「いいことだから」
「そうよね」
「黄金の林檎が増えるとか」
大尉はこちらを考えました。
「そういうのでしょうか」
「我が国の特産品の」
「それでしょうか」
「ううん、あの林檎はこの国でも稀少価値のものだから」
アンは大尉のお話に腕を組んで考えるお顔になって言いました。
「増えてくれたらね」
「有り難いですね」
「それだけでね」
「そうですね」
「美味しいし一個食べたら」
その黄金の林檎をです。
「栄養満点だから」
「一個で、ですか」
「もう一週間分の栄養があるわ」
それこそというのです。
「人間が摂るべき全部の栄養がね」
「それは凄いですね」
ジョージはアンのそのお話に驚いて言うのでした。
「一週間のですか
「ビタミンだけじゃなくてね」
「ミネラルやカルシウムもですか」
「蛋白質もね」
こちらの栄養もというのです。
「全部あるのよ」
「凄い林檎ですね」
「魔法のお薬の元の一つでもあるのよ」
「あっ、じゃあ魔法使いさんやグリンダさんも」
「時々この国に来てくれてね」
本人さん達が直接というのです。
「私が渡してるの」
「そうだったんですか」
「あの林檎から凄い霊薬が出来るから」
だからというのです。
「直接来て貰ってくれるの」
「本当に凄い林檎なんですね」
「特別なね、だからあの林檎が増えるのなら」
それならというのです。
「私も嬉しいわ」
「それなら」
「いいわ、けれど」
それでもともです、アンは首を少し傾げさせてからこうも言いました。
「何が起こるかわからないから」
「具体的には」
「そうなって欲しいけれど」
「それでもですね」
「そうなるとは限らないのよね」
実際のところというのです。
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