Three Roses
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第三十六話 葬儀その三
「このことは残念に思うが仕方がない」
「マリー様のご婚礼の時には」
「もう」
「この国を去る、そしてマリー王女はだ」
彼女はというと。
「帝国で祝辞を送り幸せを祈る」
「太子、まさか」
「マリー王女を」
「男女の愛情はない」
そこは断った、それもはっきりと。
「しかし敬意を持っている」
「左様ですか」
「そちらの感情をですか」
「持たれているのですか」
「そうなのですか」
「そうだ、見事な人物だ」
こう評するのだった。
「政治においても人格においてもな」
「時として対峙しましたが」
「そして激しく争いましたが」
「それでもですね」
「あの方に敬意を持たれていますか」
「だから別れることは惜しい」
そう思っているというのだ。
「直接会えなくなることはな」
「そうなのですか」
「そう思われていますか」
「この国の柱となる」
マリー、彼女はというのだ。
「だから卿達もだ」
「信仰は違えど」
「それでもですね」
「忠誠を誓うべきだ」
こう言うのだった。
「この国を栄えさせたいのならな」
「そうですか、では」
「その様に」
「四国も統一することだ」
この国と北の王国、島国と半島をというのだ。
「そうすれば王国とも五角に対峙出来るからな」
「だからですね」
「そのことも」
「マリー様にお仕えし」
「進めていくべきですね」
「そうだ」
こう告げるのだった、彼等に。
「それがこの国の為になる、しかしだ」
「それと共にですね」
「帝国にとっても」
「益になる」
その帝国の次の皇帝としての言葉だった。
「また言うが王国にも対してくれる、それに貿易もだ」
「そちらもお考えなのですか」
「ただ王国に対するだけでなく」
「我が国はこれでも貿易にも力を入れている」
「だからこそですね」
「我が国ともより」
「そう考えているからだ」
だからこそというのだ。
「卿達にはこの国がまとまる為にだ」
「信仰よりもですね」
「国のことを考える」
「そうすべきなのですね」
「この国の為にも」
「それが帝国の為になることは確かだが」
太子はこのことは隠さない、あえてこう言って帝国の立場を示しているのだ。それでも自分達は敵ではないとだ。
「しかしだ」
「実際にですね」
「それがいいのですね」
「この国にとって」
「我等がそうした方が」
「血は見たくないな」
こうもだ、太子はオズワルド公と司教に問うた。
「この国の民達の」
「新教徒と旧教徒が争い」
「王国の様にですね」
「そうなることはどうか」
「そうなのですね」
「我が帝国も大きな騒動になりかけた」
他ならぬ彼等もというのだ。
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