Three Roses
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第三十五話 臨終の床でその十二
「忘れません、では」
「はい、このままですね」
「お姉様の葬儀も」
「執り行います、王も出席されます」
この国の主である彼もというのだ。
「そしてそのうえで」
「葬儀を行い」
「お姉様を最後に」
「お送りしましょう、私達で」
こう言うのだった。
「是非」
「はい、それでは」
「これより」
「国葬です」
それになるというのだ。
「王族としての」
「はい、王族として」
「そのお立ち場としてですね」
「マイラ様の葬儀を行うのですね」
「あの方も」
「そうなります、そして旧教の儀礼で」
このことも話すのだった、自身の側近達に対して。
「行います」
「あの方が旧教徒であられるので」
「それで、ですね」
「旧教の儀礼で行いますか」
「では旧教の司祭も呼ばれますか」
「そうします、おそらく王家で最後の旧教での儀礼になります」
王家は今は全ての者が新教徒になっている、マイラが最後の王家の旧教徒であったのだ。
「それをあえてです」
「行いますか」
「マイラ姉様のご葬儀で」
「そうします、お姉様の為に」
マイラ、姉を気遣ってとだ。マリーはセーラとマリアに再び答えた。
「あえて」
「それでは」
「これよりその用意を」
「していきましょう、王にもお話します」
マリーは摂政でありもう一人の摂政であるマイラが世を去った今この国を動かす者になっている。だが王を立てることは忘れていない。それで今もこう言ったのだ。
「そうして進めていきましょう」
「では」
側近達も応えてだ、そしてだった。
マリーはマイラの葬儀の用意を命じた、彼女の死を悲しみながらもだった。政治を司る者としてそうしたのだった。
第三十五話 完
2016・12・14
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