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ことりちゃん、付き合ってください(血涙)

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No.5:【閑話】学校でもフラれておりま……って、それどころじゃねえ!

 
前書き
前回のおまけ(・8・)  

 
「飯がよく進むぜ!」
「今日もパンがうまい! はむっ……」

 時は流れ、昼放課。大きな樹木が真後ろに聳える、特徴的な中庭の球形ベンチにて――オレたちはただ今ランチタイム中だ。ちなみに座っている順番は、右からことりちゃん、穂乃果、オレ、海未。できればことりちゃんの隣に座りたいが、あまり露骨に近付きすぎても嫌われかねないので今日のところは比較的離れた位置をオレは選んだ。決して、決してことりちゃんがオレのことを上手に避けている……とかいうわけじゃないからな!?

「太りますよ?」
「あはは……」

 モリモリと食べるオレと穂乃果へ海未は指摘、ことりちゃんは苦笑いと各々の反応を示す。しかしオレたちは意に介さず、それぞれの食べ物を頬張る。底無しの安心感を得たことによりやって来る空腹には、どうしても抗えない。

 というのもオレと穂乃果はついさっき、悩みの種がなくなったのだ。今朝、オレたちは廃校の件にショックを受けて倒れてしまったのだが……単に勘違いをしていただけだったのだ。二人揃って『廃校=学校が今すぐ無くなる』と思考していた。だが、海未が言うことには『在校生が卒業するまで学校は無くならない』とのこと。

 単なる勘違いだったとわかった以上、問題は完全に解決したも同然なのだ。

「穂乃果。そのパンうまそうだな、何味だ?」
「あ、食べる?」
「マジか! やったぜ!」
「うん、いいよ。ただし雄輝くんの卵焼きと交換ね!」

 だからおかげで安心し、こうしてワイワイと昼ご飯にありついている。

「よかろう……では、いただきます」

 羨望していたら穂乃果が食べていたパンを差し出してくれたので、ありがたくかぶりつかせてもらう。具材は食べてみたところツナマヨだった。ただ、細かく玉ねぎを刻んだものも入っていて、そいつによってほどよく食感にアクセントが出ている。

「どう?」
「美味いな。流石はパン好きの穂乃果が気に入っている味だけのことはある」
「えへへ~」

 感想を求める眼差しを向けていた穂乃果に思ったことを率直に告げると、穂乃果は嬉しそうにニヤっとした。別に彼女のことを褒めたわけではないのだが……微笑ましいのでよしとする。

 ……ここでオレはあることを悟り、驚きゆえに小さく跳ねた。

 ――か、間接キスしちゃってるじゃないか!

「……ゆーくん?」

 しかも悟ったのと殆ど同じタイミングに、ことりちゃんがすこぶる優しい声音で呼び掛けてくるのが聞こえた。嫌な予感がするが、オレはおそるおそる彼女の方へ向いてみた。

「ひっ!?」

 そして、返事が裏返る。だって、ことりちゃんが怖かった。顔は満面の笑みなのに、雰囲気がどことなく黒いのだ。これは――これはいったい何だ!?

「穂乃果ちゃんの食べる分がなくなっちゃうから、貰うのはほどほどにね?」
「ハイ」

 有無を言わせぬことりちゃんのオーラに、オレは即刻首を縦に振るのだった。



 暫くして金髪の生徒会長とスピリチュアルな風格を持った副会長が聞き込みに来たが、無論オレは深く監察する余裕などなく――終始ことりちゃんにある意味で釘付けになっていた……。

 
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