Three Roses
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第三十四話 三つの薔薇その十
「ですからいいのです」
「そうした意味でも」
「馬車の方が安全ですが」
その中に入るからだ、馬車の。
「急がれるなら山で」
「そしてですね」
「護衛が多いとです」
「守れるからですね」
「いいです、お二方については」
「安心してですか」
「待ちましょう」
「道も整備されていて橋もかけられています」
それも確かな橋がだ、ロドネイ公の言葉だ。
「ですから迅速にです」
「来ますね」
「そうです、必ずです」
「間に合いますか」
「はい」
こう言ってだ、ロドネイ公はマリーを安心させるのだった。
「そしてです」
「お姉様にですね」
「お三方が揃って」
「お会い出来ますね、では待ちましょう」
マリーは落ち着いた声でだ、こう言って応えた。
「二人が来るのを」
「そうしましょう、ではです」
「そろそろお食事の時間です」
「もうすぐ料理が来ますので」
「お召し上がりになって下さい」
「そうですね、食事は必ず摂る」
摂られる時はだ、マリーは常にそうしている。そのうえで政務にも日々励んでいるのである。これもまた英気の元だ。
「そうするものですから」
「ではです」
「すぐに食事がきます」
「葡萄酒もありますので」
「お楽しみ下さい」
「はい、それとですが」
マリーはここでこうしたことも話した。
「お薬ですが」
「本日手に入れた」
「それをですか」
「はい、お姉様に」
マイラ、彼女にというのだ。
「差し入れて下さい」
「はい、それでは」
「そちらもですね」
「差し入れをする様に」
「侍女達に言っています」
「お願いします」
このことを言うのも忘れていなかった、そしてだった。
マリーは今は食事を摂った、そのうえでセーラとマリアの到着を待った。それは彼女が思っていたよりもだ。
早かった、マリーは王宮の自分の部屋で二人の到着を聞いて少し驚いて言った。
「早いですね」
「はい、思ったよりも」
「早いですね」
側近達も言う。
「まだ二日はかかると思っていましたが」
「思ったより早かったですね」
「お二方が共に来られるとは」
「しかもです」
「そうですね、急がれたのですね」
二人の到着が何故早かったか、マリーは察して言った。
「ここに来られるまで」
「左様ですね」
「かなり急いて来られましたね」
「お二方共」
「そうされましたね」
「そうですね、二人共」
マリーは二人の考えを察してまた言った。
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