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Three Roses

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第三十四話 三つの薔薇その九

「既にそうしていましたか」
「ですね、それでは」
「このことは」
「安心しました」
 微笑んで言った。
「やはりあの娘達はわかっています」
「左様ですね」
「そうしたこともわかっておいでです」
「命は大事にすべきです」
「特にお立場、お考えのある方は」
「そこで妙に考えて護衛を置かないことは」
 国費の無駄使いや小心と思われること等をだ。
「かえってよくありません」
「その通りです」
「護衛はどうしても必要です」
「刺客は来ます」
「世の中どういった考えの者がいるかわかりません」
「特に私達は王国を敵に回しています」
 マリーは自分達の敵であるこの国のことをだ、警戒する顔と声で話した。その国のことをよく知っているが故に。
「あの国はこれまで内外にです」
「はい、多くの陰謀を行ってきました」
「暗殺も多かったです」
「刺客により襲われる話が尽きません」
「あの国の謀略は剣呑です」
「私も常に気をつけています」
 マリー自身護衛を傍に置いている、その為か刺客に襲われたことはない。
「二人もわかっていて何よりです」
「若しお二方が暗殺されれば」
 キャスリング卿が言ってきた。
「それぞれのお国に影響が出ることは間違いないです」
「新教徒の勢力の後退、そして四国の再統一も」
「遅れます」
「その通りですね」
「ですから」
 それでというのだ。
「お二方もです」
「護衛をですね」
「置かれています」
「その通りですね」
「毒もですね」
 今度はデューダー卿が話した、いつもの軽やかな口調であるがその目は真剣で話す内容も目が語るものと同じだった。
「注意しなければなりませんね」
「はい、そのこともです」
「お二方も注意されています」
 兵士達がまた言ってきた。
「毒見役も置いておられました」
「そして常に見てもらっています」
 食事の前に口につけてというのだ。
「そうされていますので」
「私達も安心しました」
「それは何より」
 デューダー卿も彼等の言葉を受けて言う。
「毒は言うならば謀略の基礎の基礎」
「第一に使うものですか」
「はい、人は必ず飲み食べます」
 マリーにもだ、デューダー卿はいささか道化師の様に軽やかに話した。
「それならばです」
「毒を入れれば」
「その相手は実に容易に倒れます」
「だから基礎の基礎ですか」
「謀略の」
「私も気をつけていますが」
 マリーにしてもとだ、自信のことをここでも述べた。
「思っていた以上に」
「そうです、お気をつけを」
「毒については」
「これまでそうして頂いて何よりですが」
「これからは」
「今以上にご注意を」
「護衛に毒見役もいれば」
 大司教は話をまとめて話した。
「お二方はまずはですね」
「安心出来ますね」
「はい、遠くから矢なりボウガンで射つにしても」
「周りに護衛の兵士が多ければ」
「狙えません」
 彼等が壁となりセーラ達を遮ってだ。 
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