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Blue Rose

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第四十四話 あえて罠にその十二

「あそこは平安京だからだよ」
「元々道が整備されてますね」
「あそこはそうした事情だけれどね」
「軍港の街は道が整備されていてですか」
「動きやすいんだ」
「そうですか」
「少なくとも大通りはね」
 これが街の中心を外れるとそうでもなくなる、横須賀や呉もそうなると道が入り組んでいる。この佐世保もそうであるし舞鶴も同じだ。
「そうだよ」
「ここが大通りですね」
「駅から軍港までね」
「わかりやすんですね」
「かなり行き来しやすいよ、それにね」
「それに?」
「この街にはアメリカ軍もいるから」
 よく言われる彼等もいうのだ。
「海軍の人達がね」
「あっ、そうなんですか」
「そうだよ、海兵隊には荒くれ者もいるけれど」
「海軍の人達は違いますか」
「紳士の人達が多いよ、挨拶をしたら笑顔で返してくれるよ」
 岡島は龍馬に微笑んで話した。
「しかも日本語で」
「そうなんですね」
「そこも面白いよ、ただね」
「アメリカ軍がいると」
「自衛隊の基地もあるからね」
 そもそも元々帝国海軍の軍港であった、だから海軍の後継組織である海上自衛隊の基地も存在しているのだ。
「だからね」
「それで、ですか」
「アメリカ軍や自衛隊を嫌いな人も来るんだ」
「運動家ですか」
「そう言われている人達がね」
 実際にというのだ。
「いてね」
「優花を狙っている先生もですね」
「よく来ているんだ」
「そうですか」
「とにかく自衛隊を嫌いな人はいるから」
 当然アメリカ軍もだ。
「そして基地の前とかで騒いでいるんだよ」
「よくテレビとかでやっている」
「そう、沖縄とかでね」
「原発とかでもありますね」
「何かあると出て来るね」
「はい、色々と」
「ああした反対運動はね」
 アメリカ軍や自衛隊のことだけでなくというのだ。
「実際に地元で反対している人達もいるけれど」
「よそから来た人達もですか」
「過激派が来るんだよ」
「優花を狙ってる先生や新聞記者もですね」
「その手合いだよ」
「それで優花を佐世保に呼んだんですね」
「勝手知ったる街にね」
 しかも地元長崎でないので他の生徒や保護者に見つかるリスクも少ない、そうした悪知恵まで働かせているのだ。
「そうしたんだよ」
「そしてですか」
「蓮見さんを自分達のものにするつもりなんだよ」
「そんなことさせませんよ」
 龍馬は真剣な顔で言った。
「絶対に」
「うん、その意気だよ」
 岡島は龍馬のその決意を見て確かな顔で微笑んだ。 
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