Three Roses
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第三十四話 三つの薔薇その六
「常にな、ならばだ」
「その場に出られ」
「今日もですね」
「政治にあたられますね」
「この国にいる限りな、それはマリー王女も同じだ」
彼女もまた、というのだ。
「ならば私とて同じだ」
「はい、それでは」
「是非共ですね」
「王の間に出られる」
「そうされますね」
「その通りだ、この状況でも向かうつもりだ」
太子の目は死んではいなかった、生きていた。そしてその目で前を見ていてそのうえで側近達に答えた。
「政治には」
「では我等も」
「お供致します」
側近達もその太子に続く、そのうえで彼はマリーと政治の場で対してこの国の政治の話をしていた。だが。
その彼にだ、宮中の者達は眉を顰めさせて噂をしていた。
「マイラ様が危ういというのに」
「あの様に政治の場に出られて」
「もうすぐこの国を去られるのでは」
「それでも普通に過ごされているのか」
「どうした方か」
「わからないですね」
「全くです」
こうひそひそと話をするのだった、彼を見て。
「今ここでどういうお話をされても」
「もうすぐこの国を去られるのでは」
「もう何の意味もないのでは」
「しかしそうされるとは」
「どういったおつもりか」
「わからないですね」
どうにもとだ、彼等は言うのだった。しかしだ。」
その彼等のところにたまたまマリーが通った、そして彼等の話を聞いたのですぐに彼等に穏やかだが強い声で言った。
「それは違います」
「違う?」
「違うといいますと」
「あの方は今はお姉様のご伴侶です」
このことからだ、マリーは彼等に話した。
「ならばそうであられる限りです」
「あられる限りですか」
「そうであられるなら」
「最後の最後まで」
まさにだ、太子がこの国にいるまでというのだ。
「そのお立場でこの国の政治を考えて動かれる」
「それこそが大事ですか」
「だから太子もですか」
「今も政治の場に出られている」
「そして話をし動かれている」
「そうなのですか」
「そうです、あの方はご自身の責務を全うされているのです」
今この状況でもというのだ、妻であるマイラがこの世を去ろうとしていても。
「そうなのです」
「そうなのですか」
「だから今も政治の場に出られていますか」
「そして話をされている」
「政治のことを」
「そうです」
まさにというのだ。
そしてだった、マリーはここまで話したうえでだ。彼等に問うた。
「それは貴方達に出来ますか」
「それは」
「それはといいますと」
「そう言われましても」
「その状況ならば」
「そうですね、もう関わりがないと思ってですね」
それならとだ、彼等に言うのだった。
「もう政治の場に出ることはないですね」
「そうなります」
「言われてみますと」
「どうしてもです」
「諦めてです」
「そうしてしまいます」
「そうですね、私もそうなるかも知れません」
実際にマリーもこのことについては自信がなかった、そうした意味で太子に対して敬愛の念も抱いていた。
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