| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

アメリカン忍者

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二章

「忍者も剣道も日本なのにな」
「空手、あと柔道もな」
「あと茶道とかでもあったな」
「日本文化だとな」
「絶対にそんな話出るな」
「不思議なことに」
 それこそとだ、二人で話すのだった。
「日本人も迷惑だろうな」
「気付いたら起源言われるんだからな」
「それこそ何でもな」
「変な話だ」
 白人の二人から見てもだ、そしてスティーブはチャーリーにあらためて言った。
「俺は日本の忍術を学ぶからな」
「しっかりとした道場でか」
「ああ、そうするからな」
 それは絶対というのだ。
「それは決めているんだ」
「立派な忍術をか」
「やってそしてな」
「立派な忍者になるんだな」
「目は青くて金髪でもな」
 それでもというのだ。
「大和魂身に着けてみせるぜ」
「頑張れよ、そしていい忍者になれよ」
「そうなるな」
 スティーブの自信は変わっていない、そうしてだった。彼は実際にロサンゼルスのある忍者道場に入った。すると道場主は小柄な着物の老人だった。
 老人はスティーブが道場に入るとだ、こう彼に言った。
「おそらく君が思っている様なだ」
「忍術じゃないですか」
「忍術は影の術」
 老人、猪鹿茂蔵はスティーブに話す。皺だらけの顔であるが背筋はしっかりとしていて動きは流れる様だ。
「派手に戦ったりしない」
「そういうものじゃないですか」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「手裏剣を何発も一度に投げたりな」
「あれ格好いいですよね」
「これが手裏剣だ」
 猪鹿は和風の、空手や剣道のそれと同じ造りの道場の中で懐の中に手を入れた。そのうえで彼に星型の手裏剣を差し出して言った。
「どうだ」
「よく見るやつですね」
「他に卍型のものや八方のものもある」
 実際にそうした手裏剣も出してきた、そして苦無も出した。
「これもだ」
「そうそう、そうしたのがですよ」
「手裏剣だというのだな」
「これを投げて敵を一発で倒すんですね」
「出来ると思うか」
 猪鹿はスティーブに星型の十字手裏剣を手渡してさらに問うた。
「これで」
「意外と重いですね」
「鉄だからな」
「それに刃が」
「浅いな」
「これじゃあ」
 スティーブも見てわかった。
「あまり殺傷能力はないですね」
「毒を塗れば確かに攻撃力は上がるが」
「けれどこれじゃあ鎧や鎖帷子を着ていたら」
「厚着でもだな」
「届かないですね」
 相手の肉体まではだ。
「これじゃあ」
「その通りだ」
「じゃあ役に立たないですか」
「重いし携帯もだ」
「あまり持てないですし」
「何発も同時に投げるなぞもだ」
 それもというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧