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ラブライブ! コネクション!!

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Track 4 Now loading
  活動日誌21 にこぷり ・ じょしどう! 1 『にこ襲来』

 アイドル研究部の全員が、お姉ちゃんの部屋に集まった日の数日後。
 私達は、いつもの神社の境内で朝練に励んでいた。
 大会と言う目標ができた今。私達は今まで以上に練習に熱が入っているのだ。
 まぁ、それは目標ができたってだけじゃないんだけどね。

 集まった日の翌日。練習の為に向かった放課後の屋上。

「それじゃあ、これ……まだ、仮歌の段階ではあるけれどね?」

 ストレッチを始めていた私達に向かい、そんな風に真姫さんが言って、紙のケースに入った1枚のCDを手渡してくれた。
 私は思わず裏に見返して眺めていた。

「あっ……」

 そこには真姫さんの筆跡で、小さく『Dream Tree』と書かれている。
 当たり前なんだけど私達のユニット名。

「「「ありがとうございます!」」」
「……も、元々約束だったんだし……礼を言われることでもないわ」

 私達は揃って真姫さんに頭を下げてお礼を言っていた。
 そんな私達に少し照れた顔でこんなことを言う真姫さん。
 私は真姫さんの照れた顔に微笑みを返すと、手元のCDを見つめるのだった。

 当たり前だけど、私達の為の歌。私達に作られた曲なんだ。
 そんなことを考えて、胸が熱くなる感覚にかられていた。

「……へぇ? 雪穂達の曲かぁ~」
「――お、お姉ちゃん!?」
「……雪穂のケチ~」
「なにがよ!」

 私がCDを眺めていると、突然肩に何かが乗っかる衝撃を覚えた。そして耳元から聞こえるお姉ちゃんの声。
 驚いて横に飛びのいてみると、そのままの姿勢でお姉ちゃんが立っていた。私の肩に乗っかっていたのは、お姉ちゃんの顎なのだった。
 お姉ちゃんは少しムクれた顔で私に文句を言う。まったく、なにがケチなんだか?
 だけど、すぐに笑顔に戻って真姫さんに視線を移すと――

「だけど、真姫ちゃん……詞を受け取ったのって昨日の放課後でしょ? やっぱり真姫ちゃんは凄いよねー!」
「――ヴェッ! ……ほ、ほら? 元々の詞は、私達の曲だったじゃない? だから、渡される前に少し作っていたのよ」
「え? ……すみません」

 こんなことを言っていた。昨日の放課後に渡した詞が、今日の朝に曲ができている。
 確かに凄いことだと思う。短時間に曲ができるなんてね。私達の詞なんて、3人で何日もかかっちゃったのにさ。

 そんなお姉ちゃんの感心している口ぶりに驚いた真姫さんは、顔を真っ赤にしながら説明していた。
 真姫さんの言葉を受けて、今度は私が驚いて、申し訳なさそうに謝罪するのだった。
 だって、ほら? 詞を勝手に変えちゃったんだし、2曲に増えていたし。
 
「いや、あ、いや、それは特に問題ないんだから……って、ああ、もう! 穂乃果が余計なこと言うから!」
「え? 私のせいなの?」
「そうよ!」
「真姫ちゃん、ひどいよぉー」
「……そうニャ! 真姫ちゃんは、ひどいニャ!」
「別にひどくない! と言うか、凛もさりげなく賛同しないで!」 

 私の謝罪に必死で弁解しようとしていた真姫さん。すると突然、矛先をお姉ちゃんに向けていた。
 向けられたお姉ちゃんは驚いて言葉を返していたけど、当然と言わんばかりに言い切っていた真姫さんに食ってかかる。
 そんなお姉ちゃんの言葉に加勢するように――いつの間に現れたのか、凛さんも真姫さんに文句を言っていたのだ。って、いつの間に!?
 いきなりのことでビックリしていた私を余所に、自然と2人に言い返す真姫さんなのだった。

 私達は早速、PCを借りて曲を聴くことにした。
 真姫さんは驚いて顔を赤くしていたけど、諦めるように何も言わなかった。
 最初「どうしたんだろう?」なんて考えながら、真姫さんを見ていたんだけど。

「まぁまぁ……どうせ、練習になったら私達も聴くことになるんだし、さ?」
「そ、それは、そう、なんだけどぉ……」

 花陽さんと真姫さんの会話を聞いて、みんなの前で曲を聴くことを恥ずかしく思っていたのだと理解した。
「しまった!」と思ったんだけどね。思った時にはもうイントロ流れていたし、真姫さんも何も言わなかったから、そのまんま。
 アイドル研究部全員の見守る中、私達の曲は初お披露目を終えたのだった。
 聴いた感想? 凄くよかった。ありきたりな言葉だけど、とても当てはまる言葉だと思う。
 真姫さんのメロディーは全部好きだし、作ってくれること自体、ありがたいと思っているけど。
 そう言うのを抜きにしても、凄くよかった。
 なんか「私達の曲」って言うのか「私達だから歌える曲」みたいなイメージが伝わってくるような、そんな感じ。
 うまく説明できないや、ごめんね?
 とにかく、こんな素敵なメロディーが私達の作った詞で、私達の曲としてステージで歌える。
 なんとなくライブで歌う私たちを想像して、胸にこみ上げるものがあったのだ。
 もちろん、まだまだ先の話だろうけど。
 確かな目標として。このメロディーに恥じないパフォーマンスをしよう。
 隣に立っていた亜里沙と涼風からも決意のようなものが感じられていた。
 私達は優しく微笑んでいる全員に見守られ、素敵なメロディーを聴きながら、そんな決意を胸に秘めたのだった。

♪♪♪

 そんな感じで、自分達の曲を励みに大会を目指して朝練をこなしていた私達。
 練習を終えてクールダウンしている私達に向かって――

「ねぇ、雪穂達……今日の放課後なんだけどさ、付き合ってほしいところがあるんだけど、いい?」
「え?」

 突然お姉ちゃんがこんなことを言ってきた。驚いた私達に笑顔で言葉を繋げるお姉ちゃん。

「うん。一緒に連れて行きたいところがあるんだよ? 雪穂達にとっても、勉強になると思うしさ?」
「行きます!」
「連れて行ってください」
「お願いします……」

 お姉ちゃんの言葉に顔を見合わせた私達は、口々にお願いしていた。
 行き先は聞いていないけれど、お姉ちゃんが「雪穂達にとっても、勉強になる」と言っているのだから。
 それはスクールアイドルの活動のことだろう。
 だったら行かないなんて選択肢はないんだよ。私達は何も知らないんだもん。勉強できるのなら勉強しないとダメだもんね。
 そんな私達の返事を聞いたお姉ちゃんは満足そうに頷くのだった。

♪♪♪

「どこに連れて行ってくれるのかな?」
「亜里沙……遊びに行くんじゃないんだよぉ?」
「わかっているよぉ……でも、楽しみでしょ? 涼風ちゃんも、そう思うよね?」
「もちろん! ……あっ、いや。う、うん……」
「あはは……まぁ、私も楽しみではあるけどね?」

 そして、その日の放課後。
 私達はHRが終わると急いで校門まで歩いていた。
 お姉ちゃんを待たせちゃいけないってこともあるんだけど。
 それ以上に、楽しみで仕方なかったんだと思う。どこなのかは知らないんだけどね。
 校門に到着してみると、お姉ちゃんはまだ来ていなかった。
 だから、私達はお姉ちゃんが来るまでの間、こんなことを話しながら待っていたのだった。 

「おっ待たせぇー!」
「「「お疲れさまです!」」」
「うん、お疲れさま!」

 そんな風に話をしていると、お姉ちゃんが私達に声をかけてきた。って、声大きいよ!
 お姉ちゃんの声に周りの生徒の視線が一斉にお姉ちゃんに集まっていた。
 だけど、目の前に私達がいたことで視線は霧散する。そして普通に時が流れるのだった。
 一応、ライブのお披露目は成功したのかな? すぐに部活の一環だって理解してもらえたのだろう。
 私達はお姉ちゃんに挨拶をした。お姉ちゃんも笑顔で挨拶を返す。

「まったく、大きな声を出さないでください」
「あははは……」

 そんなお姉ちゃんの後ろから海未さんとことりさんが歩いてきていた。

「「「……お疲れさまです!」」」
「お疲れさまです」
「お疲れさまぁ」

 2人とも挨拶を交わしていた私達。

「それじゃあ、行こっか?」

 そんなお姉ちゃんの声かけのもと、私達は自然と歩きだすのだった。

 目の前に歩くお姉ちゃん達の背中を追いかけて、私達が向かう先。
 未だに目的地は教えてもらっていないけどね。
 きっと素敵な場所なんだと思う。
 私達のまだ見ぬ新しい場所なんだと思う。
 だって、それがお姉ちゃんなのだから。なんてね。
 だから、どこへだってついていくよ。背中を追いかけていくんだよ。
 お姉ちゃんの背中を追いかけられるのは今年だけ。来年になったら追いかけられない。
 もちろん、目標としてならずっと追いかけていくけどね。
 こうして、目の前に見えるお姉ちゃんの背中は今年しか追いかけられないんだ。
 だから、どこへだってついていくよ。どんな場所だって驚かない。どんな場所だって恐れない。
 私達はお姉ちゃんを信用して、ただ背中だけを見つめて進んでいくのだから――。

♪♪♪

「「「……」」」

 ――なぁんて意気込んで歩き出した私達だったけど。
 目的地に到着した私達は驚いていた。恐れていた。緊張して声が出なかったのだ。
 お、お姉ちゃん、そうならそうと、先に言っておいてよー!
 ここここ心のじゅじゅじゅ準備がでででできてないじゃん!!
 当然、隣の亜里沙と涼風も同じだと思う。
 先日のファーストライブ以上に緊張している私達。どこにいるかと言うとですね?

「……お待たせして、ごめんなさいね?」
「――あっ、ツバサさん」
「私達も久しぶりに来たからね? 先生方にも挨拶しないといけないんだよ?」
「すみません、英玲奈さん……」
「はい、飲み物もってきたわよぉ」
「あんじゅさん、久しぶりですぅ」

 そんな緊張していた私達の耳に綺麗な声が聞こえてくる。
 声のする方へ向き直る私達の視界に、ツバサさん達3人がお盆に飲み物をのせて運んでくるのが見えた。
 3人に向かって自然と言葉を返していたお姉ちゃん達。
 お姉ちゃん達に微笑みを送ると、私達に視線を移して――

「雪穂さん達は、はじめてよね? ……ようこそ、UTX学院へ!」
「「「おおおお、お邪魔しています!」」」

 ツバサさんが言葉を紡いでいた。そんな言葉に私達は、綺麗にハモって変なことを言っていた。
 す、凄いシンクロ率だね。自分達でもビックリして顔を見合わせたくらいだし。なんてね。
 そんな私達に大爆笑を送る先輩6人。
 そう、今私達はUTX学院のカフェスペースにお邪魔しているのだった。

「悪いわね? 急に呼び出してしまって……忙しいのにね」
「あっ、全然問題ないですよ? 呼んでもらえて嬉しかったです」

 ツバサさんがお姉ちゃんに申し訳なさそうに伝える。その言葉に笑みを浮かべて返すお姉ちゃん。
 どうやらツバサさんからメールをもらってお邪魔したみたい。
 だけど、私達まで一緒で良かったのだろうか。
 そんな風に困惑していた私と亜里沙と涼風。
 私達の困惑の顔で悟ったのだろう。ツバサさんが私達に声をかけてくれるのだった。

「どちらかと言えば、雪穂さん達をご招待したかったのよ?」
「私達をですか?」
「そう言うことだね? 君達のファーストライブの時にさ?」
「あ、あの時はありがとうございましたぁ」
「いいえぇ。ツバサが絵里ちゃんに言っていたこと、覚えてるぅ?」
「え? ……『それでも、私達の想いは後輩へと引き継がれているわ。だからコレは……偵察なのかも知れないわね?』と言ったところでしょうか?」

 涼風の言葉に三人は凄く驚いていた。まぁ、驚きますよねぇ?
 数日前の一言をしっかりと言い当てるなんて、ねぇ?
 もちろん、言葉を覚えていたんじゃなくて。
 印象に残っていたから、その日のうちに私が自分の活動報告に書いた。涼風は、それを読んでいるから言い当てられたんだと思うけどね。涼風は緊張のピークでほとんど覚えていなかったみたいだし。
 でも、私の活動報告をちゃんと読んでくれているんだなって思えて嬉しかったよ。ありがと、涼風。
 そんな驚いたままの三人に苦笑いを浮かべながらネタバラシをすると、納得の笑みを溢していたのだった。
 
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