世界をめぐる、銀白の翼
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二章 Lost Heros
銀白VS最強&最弱&聖人
ギギィ!!!ドンッ!!パァン!!!!
剣が打ち鳴らされ、炎や雷が撃ち出されては消し飛ばされていく。
まだ戦い始めて五分だが、彼らは各自の役割を理解し、それを実行していた。
蒔風に斬りかかっているのは強靭な肉体を持つ神裂。
蒔風が放ってくる「砲」や「弾」を上条が消し飛ばす。
そして蒔風の足場を崩して攻撃のチャンスを作り出しているのが一方通行だ。
(全員で突っ込んでくる戦いだったらやりようはいくらでもあったんだが、こうもしっかり分担されると・・・・!!!)
ゴォ!!!
その名の通り、七本の鋼糸がコンクリートを刻みながら神裂の「七閃」が蒔風に襲いかかる。
それを蒔風が隙間を避け、後退しながら神裂からの直接の剣を受け止める。
神裂を潰すだけならまだ簡単な方だ。ムチャクチャすれば、力押しでまだ潰せる。
だがそんな事をすれば一方通行が来る。彼を飛ばすには固有結界だが、それには上条を排除しなければならない。
上条のみなら話は単純だ。能力を使わずに普通に殴り飛ばせば終いである。だが、神裂の間を縫ってそんなことは難しい。
「厄介に手ぇ組みやがって!!!」
「あなたを、倒します!!」
勇んで斬り込む神裂だが、蒔風が力押しで押し返すと弾かれてしまい、そこに蒔風が獄炎弾を放つ。
しかし、それが上条に手で弾き消され、 一方通行が足場を吹き飛ばしてきた。
そこに神裂が再びの攻撃。
蒔風は正直攻めあぐねていた。
それに、彼の体力もその場しのぎで回復した状態に近い。
(このままじゃどうしようもない・・・・一方通行のバッテリー起動時間は十五分だが、ああやって必要な時だけスイッチ入れてんじゃ一時間はもつ・・・・)
そう考え、蒔風が十五天帝すべての剣十五本を宙に抜き、それを次々と手にとって神裂の攻撃に対処し始めた。
次々と掴んでは剣を握り変えて、一本たりとも下に剣は落ちない。。
まるで大道芸のジャグリングだが、それを技にまで昇華させているのが蒔風だ。
剣によって間合や攻撃の特質が変わって少し焦り出す神裂だが、こちらとて世界に二十人といない聖人だ。その程度の攻撃などは二秒で順応した。
しかし、この中で一番力を出し切れていないのが彼女でもある。
彼女のような聖人の力はとてつもなく強大だ。
それはもう、街一つを一人で壊滅させることができるほどに。
もちろん、神裂はすでに蒔風の力を知った。
この相手は本来ならば手加減して戦える相手などではない。おそらくは昨日のダメージをまだ引きずっているのだろう。
しかし、彼女はそれでも全力を出せない。
その強大さゆえに、周りを巻きこむことを恐れたのだ。
一方通行は大丈夫だろう。
あらゆる力の向きを操作する彼ならば、どんなに力が大きくとも無傷でけろりとしているに違いない。
しかし、もう一人の上条はそうではない。
もし彼女が魔術による攻撃を使うならまだ大丈夫だったかもしれない。
だが、今行っているのは接近戦、純粋な力だ。
本気でぶつかれば周囲に広がる衝撃や瓦解したビルの岩石ともいえる塊で彼は死ぬかもしれない。彼の力は「異能」にしか効かないのだから。
だからと言って魔術戦にしてもダメだ。
それには今使っている鋼糸を術式に沿って三次元魔法陣に組み上げなければならない。
だが、そんな隙はない。
今この場の戦闘から一瞬でも鋼糸を引けば、蒔風はその一瞬で押し切ってくるだろう。
そしてその状況が蒔風をも助けていた。
先にも言った通り、神裂は周りを気にして全力を出せない。
つまり周りがいなければ彼女の力は今の蒔風を超えているのだ。簡単に倒せるだろう。
(この三人がそろっているから俺は苦戦し、それによる微妙なバランスで俺はまだここに立てている・・・・なんつージレンマだよ全く!!!)
そうして、蒔風が地面を踏みつけたタイミングで、地面を土惺で砕いて周囲に粉塵を巻き上げる。
美琴に取った戦法と同じものだ。
だが、それは一瞬で掻き消された。
一方通行である。風のベクトルを変えれば、こんなもの一瞬で消し飛ばせるのかだら問題であるない以前の話だ。
しかし、それだけでは終わらないのが第一位。
風を操れるという事は、その粉塵の位置も操れる、ということだ。
つまり・・・・
「!! 離れろ神裂!!!」
「!!」
「しまっ・・・・・」
「消し飛べ」
ドォオ!!!!
爆発音がして、蒔風一人を包み込んだ粉塵が爆発した。
おそらくは適当にその辺の廃材を投げて、更にもう一つ投げて火花を散らしたのだろう。
だが、その炎が渦を巻いて一点に集中、蒔風の手の上で炎の塊となってかき集められてしまっていた。
彼の服の所々に焼けた跡が付いているが、それだけだ。たいしたダメージにはなっていない。
「・・・・ダメだな・・・・この期に及んで先の事を考えてやがる」
「「「?」」」
蒔風が手の中の炎を握り潰して消しながら、忌々しそうに呟く。
彼らにはその意図が全く分からないが、蒔風は何かをするつもりだ。
「先が大事じゃないとは言わん。だが・・・・今を越えなきゃ、先は来ないみたいでなぁ!!!!」
バッ!《ワールド!!!》
ゴゥン、という音を立て、それが蒔風の体に埋め込まれていく。
そのガイアメモリの存在はすでに何人かからの報告で聞いていたから驚きはしないが、脅威であることは変わらない。
一体彼は何をしてくるのか、今誰の力を発動させたのか。
それを知るすべは、ただ一つ。
彼がその力を使わなければならない。
しかし、彼は一向に動かない。
ただ、頭の前髪辺りから何やらパリパリと電気が放電されているようだ。
「なンだ?あのヤロォイカレちまったのか?そもそもありゃなンなンだよ」
「・・・あれは他者の力を使えるものらしい。だけど、あれは・・・・」
(なンだ?あの電気信号・・・・どッかで・・・・!!!)
「まさか・・・あのヤロォ」
一方通行がそれに気付き、駆けだした瞬間に蒔風の掌からガイアメモリが飛び出し、それをキャッチしてもう一度起動させた。
《ワールド!!!》
そして、挿入。
瞬間、蒔風の目の前に魔法陣が展開され、そこから青白い砲撃のようなモノが噴き出して一方通行に襲いかかった。
「ッッ!?いけないあれは!!!!」
その光に見覚えのある神裂が、一方通行に注意を促す。
一方、彼もそれには気づいていた。圧倒的なエネルギー。しかも魔法陣だ。
彼は過去に一度魔術攻撃を「反射」させたことがあったが、それは科学とは異なる法則で成り立っているものだったためにうまく返せなかった。
そして今も彼は魔術に関する法則を知っているわけではない。
だから、それを避けた。
変な方向にぶちまけるわけにはいかない。
そして上条もそれを避けようとしたのだが、神裂がそれに待ったをかけた。
「待ってください!!この砲撃がこのままいけば、この先の街は間違いなく壊滅します!!」
「な!?クソッ!!!!」
そう言われては、上条は受け止めざるを得ない。
その神秘なる右手で砲撃を受け止めた。
しかし、この砲撃の質量か何かはわからないが、消えないのだ。
否、消してはいるのだが幻想殺しの処理が追い付いていない・・・・・!!!!
竜王の殺息
かつてまだ「上条当麻」が生きていたころ、彼が守ろうとした少女が意識を失ってはなった最悪の一撃。
曰く、「伝説にある聖ジョージのドラゴンの一撃と同意」であり、この攻撃の光は粒子一つ一つの質が異なるため、幻想殺しの処理が追いつかないのだ。
もちろん、彼は今までそういう敵とも戦ってきた。
そして、敵の攻撃を掴んで投げると言う事も出来る。
しかし、この質量の前では、投げようとした瞬間に彼の身体の方が投げ飛ばされてしまうだろう。
と、そこでついに一方通行が蒔風に到達して迫る。
(これだけの砲撃だ。それに使う力が何なのかは知らねェが、片手間でできるもんじゃねェだろ!!!)
そうして、信じられないことに近くのビルを投げ飛ばし、その影に隠れて一方通行が蒔風を潰しにかかった。
が、そこで彼の耳に声が聞こえた。
「一方通行!!いいのか!?可愛い少女が迷い込んでるぜぇ!!」
「なっ、ガッ・・・クソッ・・・タレエエエエエエエエエエ!!!!!!」
そうして、彼がそのビルを殴ってその飛んで行く方向を変えた。
別に前に出る必要はない、真後ろから殴って横に飛ばすのはどうという事ではない。
しかし、彼がなぜそれをしたのか。
簡単だ。ビルと蒔風の先に、彼が守るべき少女がいたからだ。
その少女の名は、打ち止め。彼が守るべき光であり、絶対に失ってはいけないものだ。
「テメェ・・・やっぱさっきの放電は・・・・!!!!」
「気付いてたか!?ミサカネットワークに妹達が入れるんなら、オリジナルの御坂美琴も入れると思わないか!?」
そう、さっき彼がやっていた事とは
御坂美琴の力をメモリで使い、ネットワークに接続、その中で彼女に一方通行の居場所を教えたのだ。
ミサカネットワークとは妹達が電撃使いであり、そして同一人物ともいえるクローンだからこそできる芸当だ。
同様の脳波を持った者同士なら、その脳波をリンクさせてネットワークを構築できる、というものだ。
しかしそれで知ったからと言ってもちろん、こんな早く来るなんてことはない。
だが、昨日一方通行が来た原因の大元は彼女からの情報だ。
ならば、彼を心配する彼女だったらその跡をついてきていてもおかしくはない。
そしてここまで来て見失い、その後もうろついていたとしたら・・・・・
彼女がこのタイミングで来ることは難しくないのだ。
「このやろォが・・・・・・!!!!」
「そして・・・・・発動だ」
ドンッ!!と蒔風の固有結界が発動する。
一方通行はこの瞬間にこの男を見誤ったことを怒った。
この男の底力は一体どこまであると言うのか・・・・
瞬間、竜王の殺息はまるで鞭のようにしなった。
結果、竜王の殺息は上条から全くの別方向へと向いて放たれることとなる。
結界外に居る上条が砲撃の対応から解放され、結界を解除しようと駆けだす。
結界に触れればそれだけで解除できる。その際再び自分に向かぬよう回り込みながら接近する上条だが、それゆえに到達まで時間がかかった。
と、その時間を使って蒔風が一方通行の方を向く。
彼の身体は空中に制止し、その格好は蒔風に拳を振り上げて殴りかかろうとしている瞬間だった。
「なに・・・・・!?」
「この結界では法則を乱す。ようこそ、知らない未知の世界へ」
「は・・・・ご親切にドーモ」
「なに・・・・もうなにもわからなくなるんだからな。それくらいは教えてやる」
そう言って、蒔風が一方通行のチョーカーに指をかけ、ビッと引きちぎるように没収する。
その瞬間、彼の脳味噌は世界から放り出された。
一方通行は脳に大きな怪我を負っている。
故に、彼は日常生活に支障をきたすような障害を持っているのだ。
それでも彼がこうしていられるのは、彼がチョーカーで受信したミサカネットワークの演算機能で補助してもらっているからにすぎない。
つまりこうされてしまった彼は能力はおろか、立つことも歩くことも、しゃべることも言語を理解することも叶わない。
そうして、一方通行が地面に倒れて、上条が結界のふちに触れて結界が切れると、蒔風が砲撃をやめて神裂へと向かう。
《ワールド!!!》
もう一度、メモリをさし入れ、能力を入れ替えてから。
蒔風に神裂が剣を振るい、それを蒔風が受け止める。
しかし、その膝はガクリと崩れ、上から押し付けられるかの如くそれに耐えている。
「もらい・・・ました!!!」
「・・・・ッ・・・・・いいや・・・それはこっちだ!!!」
ガッ!!と
蒔風がそこで神裂の七刀七閃を握りしめ、メモリによる力を発動させた。
「IS発動、振動破砕!!!」
瞬間、神裂の刀にヒビが入って、直後に砕けた。
それと同時に周囲を待っていた鋼糸もそれに連なっていたのかハタハタと地面に落ちていった。
「七刀七閃は霊装だ。おそらく、その鋼糸を操ってる大元もそれだろう?」
「な・・・・わたしの・・・・」
「下がれ神裂。お前をやる必要はない!!!」
愕然としてしまっている神裂に一撃、重い当て身をくらわし、蒔風が投げ飛ばして上条にパスする。
その瞬間、それと一緒に駆け出した蒔風が上条に突っ込み、剣を振るってその右手を狙った。
そして
斬ッ!!という鋭い音を残して、彼の右の手首から先が落ちる。
その瞬間、彼が青龍を呼びだし、青龍が何かのビンにその右手を入れて密封、保存した。
そしてそれと同時に上条の喉元に剣をさし込み、彼を消滅させた。
「・・・・フゥ――――青龍、それはあるべき場所においてきてくれ」
「・・・・御意」
蒔風が青龍の持つ、何かの液体と一緒の右手を指してそう命じた。
青龍はそれに首肯してから、即座にその場から消えた。
蒔風がため息をつく。
倒れている一方通行は打ち止めが病院にでも運ぶだろう。
あのチョーカーは確かオーダーメイド物だから作るには時間がかかるはず。
神裂もそうだ。
剣を砕かれた一瞬で痛恨の当て身を入れたのだ。いくら聖人とて五分、十分では目覚めまい。
それに剣も特殊な霊装だから新注するには時間がかかる。これで彼らは無力化できたも同然だ。
彼女ならば肉弾戦でも戦えるだろうが、剣術を基本とした彼女にその戦いで蒔風に勝つのは無理だろう、という考えもある。
そうして、蒔風がその場から立ち去ろうとする。
だが
プァーーーーーーーン!!!!!
その場にレールが走り込み、その上を時の列車が乗ってきて蒔風のゆく手を阻んだのだ。
「デンライナー・・・・・」
そして、その車両から数名のものが降りてきた。
降りてきたのは電王のメンバーに、途中で合流したのか、駆達赤い夜を乗り越えたメンバーだった。
「・・・・は、理樹はどうした?裕理にましろは?途中下車でもしたのかな?」
「直枝さんは泉戸さん達とほかを回ってる」
「なるほど」
そうして、彼らが蒔風の前に立つ。
どうして分かったのか、という事は聞かなかった。
デンライナーの車両部。そこに黒子が見えたからだ。
「変身」
《GUN FOAM》
「お前らだけでオレとやる気か?いい度胸だな・・・・」
そうして、蒔風が若干荒い息を吐きながら両手をブラブラとさせる。
「行くよ・・・・あいつを倒すのは僕なんだ・・・お前じゃない」
「侑斗の事か?まァだ張りあってんのかよ・・・・」
無論、リュウタロスは妥当侑斗というかつて持っていた感情はもう無い。
しかしだからこそ、リュウタロスは彼を認めていたのだ。
だから・・・・・
「お前、倒すけどいいよね?」
「答えは――――必要ないよな?」
剣を構え、銃を構え、炎を携え、式神を出し
蒔風のこの地での戦いは終わらない。
to be continued
後書き
上条
「今回俺だけかぁ・・・・・」
上条さんが投げられた神裂を受け止めないわけにいかないじゃないですか。
卑怯ですねー。チョーカーと言い、武器破壊といい。
あと上条さんのマークどうしよう・・・
上条
「もっと言うならあのメモリは卑怯すぎる」
スルーですか。
まあいいや、と言うわけで御疲れですたー
上条
「ですたー」
これで封印はせずとも二人をほぼ無力化、上条封印という目的を見事達成しました。
一方通行は打ち止めに連れていかれるでしょうし、神裂は・・・・あれ?
上条
「描写してな・・・・」
いや、隅に置かれているだろう。
おお、これはこれでまた卑怯なことができそう。
上条
「外道!!!」
いやいやそれほどでも
上条
「そういや竜王の殺息(ドラゴンブレス)ってインデックスのだろ?インデックスって魔術使えないんじゃ?」
そこが蒔風が使う「願い」との違いです。
あくまでもあれの力はガイアメモリによるものです。つまり、あれをやりながらも蒔風の力を使うことも可能。
だから知識と力を得て、蒔風自身の力で魔術を発動させたんです。
上条
「まじかよ・・・・」
さぁて、次回は!!
上条
「電王&11eyes!!」
ある意味科学と魔術ですね!!
ではまた次回!!
リスト残り
キョン
長門有希
べナウィ
泉戸裕理
泉戸ましろ
クラウド・ストライフ
古手梨花
古手羽入
国崎往人
神尾美鈴
小野寺ユウスケ
海東大樹
野上良太郎
モモタロス
ウラタロス
キンタロス
リュウタロス
ジーク
デネブ
直枝理樹
井ノ原真人
宮沢謙吾
乾巧
衛宮士朗
セイバー
遠坂凛
ランサー
ギルガメッシュ
剣崎一真
皐月駆
水奈瀬ゆか
草壁美鈴
橘菊理
広原雪子
田島賢久
百野栞
左翔太郎
高町なのは
フェイト・T・ハラオウン
アリシア・テスタロッサ
シグナム
ヴィータ
リィンフォースⅡ
ページ上へ戻る