世界をめぐる、銀白の翼
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第二章 Lost Heros
銀白VS前線&超電磁砲
「駄目だよ!!私は絶対に行かせないから!!」
「桃香様は悔しくないの!?ご主人様が消され、蓮華たちがあんなにも叩きのめされてしまったんだよ!!」
「蒲公英の言うとおりだぜ。しかもこっちは星、そして何よりも鈴々が・・・・・」
「桃香様・・・・我々には仇討の権利があります。私も仲間や主、そして友人が手にかけられて、黙っていられるほど冷静な人物ではありません。春蘭たち魏はすでに蒔風を追っています。我々も!!」
「ダメ!!もうみんな離れないで・・・・誰もいなくならないで・・・・ご主人様に鈴々ちゃんと星ちゃんがやられて、それで愛紗ちゃんまで失っちゃったらどうすればいいの!?」
「桃香様・・・・・」
「いつもなら、私も一緒に戦うよ。でも・・・・これじゃまるで・・・・」
「・・・・・わかりました。我々は彼を追うのをやめましょう」
「!! 愛紗ちゃん!!・・・・・」
そうして、ボロボロになって工事中の「EARTH」本部横の学園の一室で、一人の少女が義妹を抱きしめた。
しかし、行かないでと言われ抱きしめられる少女の瞳は申し訳なさと
確かな決意に燃えていた。
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「結構な数がやられてますね。我々などはもう狙われたら助からないでしょうが」
「やめろよ古泉。縁起でもねぇ」
「とにかく、ここにいれば大丈夫・・・・・のはずだ」
「上条さん、本当にそれ大丈夫なんですか・・・」
人口320万人の学園都市。
その廃棄都市の一角で、キョンや上条当麻をはじめとしたメンバーが集まっていた。
いるのは、ハルヒを除いたSOS団の四人、上条当麻、インデックス、そして彼女の所属する必要悪の教会魔術師、ステイル・マヌグスに神裂火織だ。
しかし、ついさっきまではここにはもう少しメンバーがいた。
ティアナたち四人のフォワードと、御坂美琴、白井黒子だ。
つい二十分前の事。
学園都市の治安を司る警備員や風紀委員に、学園都市に侵入者があったとの連絡が入ったのだ。
それを聞いて、その場にいた者は理解した。
ここに蒔風がやってきたのだと。
無論、それを聞いて黙っている彼女らではなかった。
ここの守りを彼らに任せ、蒔風に攻撃を仕掛けに行ってしまった。
ちなみにステイルと神裂はその後に姿を現した。
この場にはいたのだが、どうも科学サイドの二人がいるとどうにもやりにくいそうだ。
「あいつら大丈夫かな・・・・」
「学園都市第三位の超能力者に、瞬間移動の大能力者だぜ?大丈夫・・・だと思う」
「そうですね。それにランスターさん達は選りすぐりの精鋭です。かといっても相手は蒔風さんですし・・・長門さん、彼らの勝率、大まかでいいのでわかりませんか?」
大きな木箱に腰かけていた長門に、古泉が話を振った。
その質問に長門が一度キョンの方を向き、教えてくれ、と頷くと淡々と言葉を発した。
「彼女らの力と蒔風舜の力だけをみると、彼女らの方が勝っている」
「マジでか!?」
「まあ、あんだけ数いりゃあなァ・・・・」
「しかし、戦闘で勝てるかは話が別。もし彼女らが蒔風舜と交戦した場合、38手以内に敗北するだろう」
「うそ・・・・」
「ホントかよ・・・」
長門の話に、みくるは怯え、上条が唖然とする。
無理もない。御坂や黒子の力はよく知ってるし、最後の戦いのときや模擬戦の時に見たティアナ達の実力はそれにも負けず劣らずと言ったところか。
そんな彼らが、四十も満たない攻防でやられると言われたのだから、唖然は当然の反応だ。
「しかし、計算通りに行く現実などない。私は、それを知っている」
「長門?」
「・・・・私は・・・・信じたいと、想っている」
それでも、長門ははっきりそう言った。
誰よりも戦いの状況が分かっているであろう彼女が、それでも勝利を信じると言った。
もしかしたら、彼女は怖いとか絶望とか言った感情を持っていないのかもしれない。
しかし、キョンは頭の中でその考えを断じた。
違う、彼女は本気で信じているのだ。
出会ってまだ幾ばくも無い、あの少女たちの勝利を――――――
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「わかったわよ。あいつが侵入したのは第11学区。物資搬入のゲートから侵入したみたいね」
「さっすがお姉様。では、行きましょうか?」
「そうね。でもなんであんたがいるのかしら?黒子」
公衆電話からハッキングをかけ、蒔風が侵入した学区を割り出した美琴が、一緒に来ている黒子の頬を引っ張って問い詰めていた。
黒子はそれに対して「ひたいひたい」と言いながらその手を叩いた。
「あんたはリストに載ってないでしょ!?ここらでもう手を引きなさい・・・・あんたまでやられたら・・・」
「では聞きましょう。逆の立場だったらお姉様はそうですかと引き下がりましたか?」
「そういう問題じゃないの!!相手はあの蒔風なのよ!?この人数で行っても勝てるかどうななのに・・・」
「だったら私も行きますわ。それに、私の能力ならば先に逃げて皆さんを逃がすこともできましてよ」
「う・・・・」
黒子の言葉に押され気味の美琴が、助け船を求めるようにティアナの方を見た。
視線を向けられ、あ、あたし?と困惑するティアナだが、こほんと咳ばらいをし、黒子に言った。
「あなた、本気で来るつもりなのね?」
「もちろんですわ」
「・・・・わかったわ」
「ティアナさん!?」
「だってしょうがないじゃない。それに、彼女の言い分も一理あるわ。戦力としては申し分ないし」
その言葉に、ぐぬぬぬぬと頭を抱える美琴に、決まりですわねと笑う黒子。
そうして、彼女らは向かう。
その侵入者のあった学区へと。
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学園都市内を、一人の男が歩いている。
その男は最初こそ大通りを歩いていたが、途中で裏路地に入っていき、更にそこからさびれた地区へと入っていった。
その足はまだ遠いものの、真っ直ぐに第十九学区にある彼らの潜伏している廃ビルに向かっている。
(御坂に上条、へたすりゃ他の能力者や魔術師を相手にしなきゃならないことを考えるともたもたしてらんねえ・・・・時間も結構ない。このペースならまだ順調だが・・・・)
「できれば、早めに済ませたい・・・・・」
そうつぶやいて、ビルの角をまがった瞬間だった。
「リボルバーナックルッ!!!」
ゴッ!!という音が蒔風の顔面から鳴り、その体が吹き飛んで行った。
ぶつかったビルの壁を崩してに突っ込み、蒔風の姿が消えた。
しかしその瞬間、蒔風を吹き飛ばしたスバルの後方から、ティアナのクロスファイアと御坂の電撃が放たれ、一気にその一点へと叩きこまれていった。
そうして十秒ほど叩きこまれた後に
「・・・ストップ。様子を見るわ」
と、ティアナがその攻撃を中断する。
攻撃されたビルの一階部分はすで崩れており、どうしてまだ立っているのか不思議な感じだ。
煙が晴れ、案の定そこに蒔風はいない。
しかし、命中はしていたようで、血の跡が点々と残っていた。
「どこに・・・・・」
それを見たティアナが血の跡を探る。
もちろん、ビルに近づいてなどという愚行は犯さない。その場から見える範囲でその跡を追った。
そして、それが途中で途切れているのを見て、ティアナが皆に言った。
「ここにはもういないか・・・・いや、それで諦める人じゃない・・・・」
「ティア、どうする?」
「・・・・・キャロ、反応は?」
「近くに舜さんの反応は見当たりません」
「私も、不意打ちなら大丈夫よ。微弱な電磁波出してるから察知できるし」
キャロと美琴の言葉に三秒ほど考えるティアナだが、結論としてだったら善は急げと、彼女らが駆けだした。
ここにいないのなら、きっと狙われるのはあっちだ。
しかし
バゴォッ!!!
走り出してから十歩。
その地点で、美琴の足元の地面から蒔風が飛び出し、アッパーカットを叩き込もうと腕を伸ばしてきた。
が、それは叶わず、黒子によって美琴が緊急回避されて少し離れたところに着地した。
「あっぶな・・・・」
「お姉様、お怪我は?」
「ないわ。ありがとう・・・・でも・・・・」
「行くよエリオ!!」
「はい!!」
その場から二メートルほど離れた美琴の脇を、二人が駆けて蒔風へと迫る。
もちろん、二人ともキャロのブーストをかけてもらっていたし、スバルはすでにいつでも振動拳を放てる状態に、エリオも全身に電気を回して身体能力を底上げしていた。
にもかかわらず、蒔風の攻撃はあっさりと、スバルの身体に衝撃を深く叩きこんだ。
ゴガッ!!!
蒔風はまるでその場にスバルが来ることを把握していたかのように、踵を振りあげて待ち受けていた。
そしてスバルは、その真下にまんまと踏み込んでしまったのだ。
足が振り降ろされスバルがそれをガードするが、あまりの威力に地面が窪み、いきなりの攻撃に膝が崩れた。
しかしそうなってでも、蒔風の踵落としをしっかりと防いでいたスバルはさすがというところだ。
だが、同時にまずい。スバルはまだ振動拳を「完全に」扱いきれていないのだ。
もちろん、以前の蒔風の特訓で拳に集中させて放つことはできたし、あれからの特訓で蹴りでも放つ事が出来た。そこは全く問題なく自由にできる。
だが、まだそれ以外の任意の場所から放つことはできず、上腕をクロスさせて受けている状態では放ちようがないのだ。
無論、全身から噴き出すことも可能だが、それではエリオも巻き添えだ。
そんなことはできなかった。
と、踵落としとそれを受け止めた形のまま固まった二人に、残ったエリオが方向を変えて槍を突き出した。
場所は、蒔風の真背面から。狙うは、背中のど真ん中。
雷が迸り、蒔風に直撃。直後にエリオの槍もそこに突っ込んだ。
しかし、それは蒔風が背に出した「獅子天麟」の鞘で受け止められてしまう。
それでも押されていることには変わりない。蒔風の身体が押し出され、スバルがそれに合わせて身体を返し、蒔風の後ろに回りこんだ。
蒔風にしては支えを失ったようなもの。その身体が前にヨロつく。
それ自体はたいしたことではない。蒔風はすぐに体制を整える。
しかし、まずいのはここからだ。
「喰らいなさいませ!!!」
頭上に黒子テレポートで、どこから持ってきたのかコンクリートの塊を次々と降り落としていく。
それを拳で砕いてすべて粉砕する蒔風だが、そこに再びエリオとスバルが突っ込み、スバルが前に立って近接、エリオがその隙間を縫うような突きで攻撃してきた。
その攻撃に蒔風すらも舌打ちをしてついに剣を抜く。
「天地」と「陰陽」に組み上げて両手でいなし、防いでいく。
が、敵は彼らだけではないのだ。
そうして受けていくと、キャロのアルケミックチェーンが蒔風の腕と足、腰に巻きつき、その動きを止めた。
「行くわよ!!クロスミラージュ!!」
「黒子!!皆と一緒に下がってなさい!!!」
縛りつけられた蒔風の元へと、ファントムブレイザーとレールガンが放たれ、その顔が一瞬焦りに染まった。
しかし、そうしながらも蒔風が迅速に行動した。
アルケミックチェーンが引きちぎれないとわかるとその場にしゃがみ込んで、まず先に来た胸を狙うレールガンを避けた。
次に、誘導性能のあるファントムブレイザーに対してはタイミングを見て再び立ち上がり、真正面からそれを腹部に受ける。
その瞬間、蒔風が全身の力を腹部に回し、胆力を以って腰の軸を捻って、それを受け流した。
「ォァッ!!!」
するとファントムブレイザーの何発かは命中するも、その中でも特大の三つ。それが蒔風の腰に着弾した瞬間、その腰を一周ぐるりと回って真っ直ぐにティアナへと跳ね返されていった。
嫌、実際には跳ね返されたのではない。しいて言うのならば、「腰で掴んで投げ飛ばした」のだ・・・・!!!!
その攻撃を、美琴が電撃で弾き飛ばす。
しかし、弾いたはいいもののそれは二人の周囲に着弾し、二人を土煙に隠した。
「ティアナさん!御坂さん!!!」
「ウオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」
バキンッ!!
蒔風の咆哮と共に、身体を縛っていたチェーンが砕け、その拳が離れたキャロに向かって放たれた。
拳からは衝撃波のようなモノが飛び出し、それはまるで空気の塊のようにキャロへと激突。
咄嗟に間に入ったフリード(巨大体)もろとも吹き飛ばし、その巨体を光に変えた。
キャロはというと、吹き飛んでフリードとビルに挟まれる前に黒子が救出したので無事だったが、気絶してしまっていて戦闘続行は不可能だ。
と、そこで土煙の中からティアナが飛び出してきてダガーで蒔風に切りつけてきた。その刃を蒔風が裏拳で弾き、魔力で構成された刃が砕ける。
直後、ピタリと背中に触れる何かを感じた蒔風。
冷や汗を感じ、それに対応しようと身体をそちらに向けようとするが、エリオが槍で蒔風の臍の部分にストラーダの石突をめり込ませてその場に縫いとめそれをさせない。
その速さに、蒔風が一切気付かなかった。
目の前にティアナがいたためというのもあったが、その速さに蒔風は驚愕していた。
「ガッ!?はや・・・・」
「あなたに貰った、強さです!!!!」
そして、背中の悪寒が牙をむく。
「振動拳!!不動破砕!!!!!」
ヴゥン・・・・・ビギギギギギギギギギッッッ!!!!!
「お・・・ご・・・・ぐっ・・・バハッァ!!!!!」
そうして、蒔風の背中からスバルの振動拳が叩きこまれる。
打ちこむ衝撃はなく、しかしそれでも全身に廻るその振動は蒔風の身体を内部から隅々にわたるまで攻撃し、甚大なダメージを与えた。
その体がぐらりと揺れ、しかしそれでも蒔風はただではやられない。
地面に倒れ伏す直前、両手を地面に付けて後ろのスバルに対し足払い、横に倒れて半ば宙に浮いた彼女の側頭部に向かって、地に付けた両手で逆立ちしてからその頭を真上から踏み抜いた。
地面に亀裂が入り、先ほど蒔風が吹き飛ばされたビルが崩れ落ち、スバルの身体が消えていった。
「げバッ・・・・ごホッ・・・・ハア゛・・・・ハァ゛・・・」
蒔風がスバルのカードを手に取るが、その体の状態は瀕死に近い。
彼女のこれは戦闘機人としての能力を利用したもので、非殺傷にはしているもののあまり意味がないのだ。
爆破や砲撃といった手段ならともかく、内部破壊に殺傷も非殺傷もない。
内部からダメージを与えるとはそういう事。どうあがいても相手を潰す攻撃。
そして、スバルはそれを承知で叩きこんだ。
蒔風は全身に細かい傷を負い、頭部からは血を流し、アバラが何本か折れて背骨にはひびが入っているかもしれない。
さらに喉からは血が今も登ってきて吐き出しそうだし、血涙も流していた。鼻血など当然だ。
その光景にすこしだけ哀れそうな顔をしながらも、ティアナは銃口を蒔風に向けて逸らさない。
当然である。部隊長に引き続いて親友までやられた。
この男にかける遠慮、同情はもはやない。
その蒔風はジャケットの下に着ている服を引きちぎって、血を吸って重くなった布を捨てた。
素肌の上に直接羽織っている状態だ。
そして、その下に途方もない傷跡を黒子とエリオは見た。
周囲を蒔風が注意するように振り向いたので、必然的にティアナや美琴にも見える。
その状態はあまりにも陰惨だった。
上体に傷がないところはない。
肩から腰にかけては斜めに切り傷があり、脇腹にも切り傷が。そしてその上体は血が固まっているのかドス黒く染まっていた。
「どうしたぁ・・・・怖気づいてんじゃねぇぞぉ・・・・かかってこいよ!!剥ぐぞてめえらァ!!!」
シュキン・・・・・・
蒔風がそんな状態で腰から「風林火山」を抜く。
組み立て、片手にそれぞれ「風林」「火山」と握ってその腕をだらりと下げている。
一歩一歩、ダラリとした身体でそのまま歩いてきて、一気に美琴の方へと走り出した蒔風。
地面に付いた刃が火花を散らしてその軌道を照らした。
美琴は確かに学園都市で第三位を誇る超能力者だ。
しかしだからと言って、こんな相手と近接戦闘ができるほどじゃない・・・・・!!!
美琴が蒔風の腕を狙って電撃を発し、その狙いを逸らしていく。
もちろん手加減などしていない。しかし雷旺を操る彼には逸らす程度にしか効かないのだ。
それでも帯電した腕は痺れ、思ったように振れていないのかその顔に苛立ちが見えてきた。
「今よ!!エリオ」
「貫いて!!」
その一瞬の隙。
底をついて、ティアナと美琴が同時に叫び、エリオが雷槍を構えて蒔風の身体を貫こうと背後に迫る。
それを蒔風が後ろ向きに見て察知し、足で踏みこみ、畳返しで防ごうとする。
しかも三枚。これだけの数を前にして、今のエリオのスピードで突っ込めば間違いなくぶつかって潰れるだろう。
しかし、それはなにもせず突っ込んだら、という話だ。
「ストラーダ、フルドライブ!!!!」
《Jawohl!》
「だアアアアアアアアアア!!!!必敵貫砕!!!紫電一閃!!!」
ドンドンドンッ!!ドドドドドッッ!!!!!
その突進が三枚の地盤を砕き、粉砕された破片をも爆砕させて疾走する。
元よりの速度、ブースター、そして爆風を背に、雷の竜騎士がトップスピードで蒔風へと迫った。
その空気抵抗で槍がぶれる。バリアジャケットが裂けていく。
バリアジャケットを羽織っているにも関わらずこの風圧。
エリオは必死になって両手でストラーダを握りしめた。
必ず届かせる。
そして
ギャッ!!ガギョギョギョギョギョギョ!!!!!!!!!
その瞬間、蒔風が発生させたのか地面から触手のようなモノが飛び出て来てストラーダに絡まった。おそらくはその突進を止めようとしているのだろうう。
が、今さらそんな物でブレーキがかかるような代物ではない。
器用なことに、蒔風がワールドメモリで出したその触手――ギルススティンガーが引きちぎられて、ついに障害は一切なくなる。
この間にも蒔風は美琴と交戦していたのだが、それを考えれば相当なものだ。
しかし、ここまでか。
そう思った美琴の意識が一瞬緩み、その瞬間蒔風が腕を伸ばしてその首を掴んだ。
そして真後ろに向け、彼女を盾のように差し向けたのだ。
エリオはそれを見て必死に軌道を変えてビルに突っ込み、美琴と蒔風はその衝撃波で吹き飛ばされて地面を転がった。
そうして、蒔風の手元にエリオのカードが滑りこんでくるも、倒れた蒔風は動かない。
一方、美琴は足を引きずりながらも立ち上がり、ティアナはその光景を愕然と見ていた。
払った犠牲はあまりにも大きい。
しかし、まだ蒔風の手元にカードがあるなら戻せるかもしれない。
そう考え、蒔風の元に近寄っていって手元のカードを取る。
そこに描かれているのはエリオだ。周囲に散っていたほかのカードも集めていくと、その中にはやてやスバルのものもあり、それを回収するティアナ。
と、そこである一つの事実に気付く。
リストに載っていたメンバーは確かに主要人物だ。
しかし、彼が自分たちの世界に来ていたとき、ほとんどはともかくザフィーラやシャマルとの交流はあまりなかったはず。
いや、あったとしても自分はそんなにみていない。
この全員だけが共通の、つまり一緒にいた瞬間。
その瞬間とは――――――
「まさか・・・あのリストは・・・・!!!」
「ティアナさん!!!!」
「ッッ!?」
ドシュッ!!!
と、そこで倒れている蒔風の腕だけが上がり、「天」がティアナの脇腹を貫いていた。
その攻撃に、黒子が即座に近寄り、テレポートで剣を能力で飛ばしてから彼女を下がらせる。
脇腹を押え、苦しそうにするティアナが顔を青くさせながら黒子に礼を言う。
その後ろには気がついたのかキャロもやってきていた。
「はぁ・・・はぁ・・・これは・・・・ダメね・・・・・」
「な・・・・」
「何言ってるんですかティアナさん!!!」
脇腹を押えながら、ティアナが察する。
その言葉を否定しながら、キャロが簡単ながらも治癒魔法をかける。
しかし、それでも血は止まらない。
どうしたことかと目を見張るキャロだが、美琴が蒔風を睨みつけて呟いた。
「毒・・・・ッ!!!!」
そう、ティアナの血が止まらないのも、その顔がだんだんと青くなっていくのもそれが理由だ。
飛ばされてしまった「天」は見えないが、数百メートル先のその剣にはティアナの血の他に、透明な液体が滴っていた。
「皆聞いて・・・・分かったわよ・・・・あのリストの・・・選考理由・・・・・」
「え?」
「ティアナさん!!喋らないでください・・・・今から病院に・・・・」
「ダメよ!!聞きなさい。もう頭回んなくて私にはわかんないから、あんたたちに伝える。聞いて。自分のことは一番わかってるわ」
そう言って、自分の気付いた情報を伝えようとするティアナ。
そうしている間にも蒔風がヨロリを立ち上がろうとしているが、それにも構わず彼女は言った。
「あのリストは乗ってるのは・・・・皆に聞かないとわからないけど、たぶん・・・・WORLD LINK発動時に近くにいた人間よ・・・・・!!!!」
「!!」
「そ、そうですわ・・・・・私あの時はお姉様と離れていましたわ!!」
「他の皆に聞いてみないとわからないけど・・・たぶん間違いないわ・・・それがどういう事かも・・・わからないけど・・・・ぅ・・・・」
「ティアナさん!!」
「三人とも、逃げなさい。皆と合流しないと・・・あいつとなんか戦えないわよ!!!」
「で、でも・・・・」
そうは言われても、ティアナを置いてなどいけないキャロは何とかして彼女を助けようとする。
しかし、その肩を黒子が掴む。
「黒子さん・・・」
「これ以上困らせてはいけませんの」
「でも!!」
「逃げますわよ!!お姉様!!」
「・・・・わかったわ」
そう言って、黒子が二人の手を取ってテレポートしようとする。
が、その瞬間
「お姉様!?」
「美琴さん!!」
美琴が黒子の手を放してしまう。
だが勢いというものか、黒子はキャロだけを連れて消えてしまった。
「残る・・・か・・・・」
「あんたはここで倒す。先には行かせない」
「ティアナも・・・・・気付きやがって・・・・・・」
その直後、ティアナの身体が光りになってカードへと変わった。
そしてそのカードと、ティアナが回収していたカードをポケットにしまって咳き込む。
「発動したら・・・・どうすんだよ・・・・」
「? あんた・・・何を言ってんの?」
「・・・・・」
その美琴の言葉に、蒔風はなにも応えずに構えた。
左掌を突き出し、身体を横に向けて右手は腰の位置に握って置く。
「この先に行かねばならん・・・・・消えろ、否、消されろ」
「消えんのはあんたの方よ!!!」
そう言って、美琴もポケットに手を突っ込む。
それから数秒後
彼女は「弾丸」を握りしめ、数秒の間を以ってそれが電撃に乗って放たれた。
to be continued
後書き
おかしい・・・なぜかフォワードの話になってしまった。
エリオ
「自滅・・・酷いや」
スバル
「いやいやいや、あの威力を出して逸らしただけでもすごいじゃん!!!」
ティアナ
「今回一番ダメージ与えたのあんたじゃない。まあ、あんなの直撃食らったら誰でもああなるでしょうけど」
フリード
「キュクッ!!」
お三方プラス1、御疲れですたー
全員
「ですたー(キュクル~)」
今回フリードがやられたのはついでみたいでしたね。
さて、今回の話の流れは!!
エリオ
「まず最初に・・・あれは蜀のみなさんですか?」
そうだね。魏はもう動いているみたいだけど、蜀は桃香の命令で動いてなかったみたい。
ティアナ
「本当は?」
なんだか思ったより少ない・・・・あ、やっべ・・・・彼女ら出してないじゃん、という事でした。
ティアナ
「やっぱり・・・」
スバル
「でも絡んできそうだね?」
ええ、あれで黙っていられる彼らじゃないですから。
ちなみに、最初の二人までだけですよ?蒔風がリスト以外の人物を封印したのは。
他の人物たち・・・華琳や季衣、霧島さんは事実が露見されるとまずいから消しただけでしたし。
彼らは倒されただけで封印されてないようになってます。
ティアナ
「死んでは・・・」
ないない。ちなみにその話の前にやられてた呉のみなさんもそうです。
スバル
「そして気付いた!!リストの内容!!でもこれってどーいうことなの?」
ティアナ
「わかんないわよ。作者だってまだ明かす気ないんでしょうし」
ええないです。
ちなみにこのリスト、ああは言いましたけど基準は作者の気分なので「あれ?」と思ったら感想でどうぞ。
なのはや恋姫で愛紗やユーノが載ってないのは次回で説明しますので。と言ってもわかると思いますが。
ティアナ
「そして次回は御坂さんとの戦いになるのね」
スバル
「あ た し の振動拳でボロボロの舜さん!!勝てるのか!?」
エリオ
「ではまた次回!!!」
ああ!!私の台詞!!・・・・二回言っとこう
ではまた次回
スバル
「ティア~!!あ た し の!!振動拳で―――」
ティアナ
「わかったわよ!!うっさい!!!!」
リスト残り
キョン
朝比奈みくる
長門有希
古泉一樹
べナウィ
泉戸裕理
泉戸ましろ
上条当麻
インデックス
御坂美琴
クラウド・ストライフ
古手梨花
古手羽入
国崎往人
神尾美鈴
小野寺ユウスケ
海東大樹
野上良太郎
モモタロス
ウラタロス
キンタロス
リュウタロス
ジーク
デネブ
直枝理樹
井ノ原真人
宮沢謙吾
乾巧
衛宮士朗
セイバー
遠坂凛
ランサー
ギルガメッシュ
剣崎一真
皐月駆
水奈瀬ゆか
草壁美鈴
橘菊理
広原雪子
田島賢久
百野栞
左翔太郎
高町なのは
フェイト・T・ハラオウン
アリシア・テスタロッサ
シグナム
ヴィータ
リィンフォースⅡ
キャロ・ル・ルシエ
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