| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二章 Lost Heros
  銀白VS仮面

荒野にて、Wとアクセルが蒔風と睨みあっている。
その蒔風の手には、握れば隠れてしまいそうな大きさのノック式USBメモリがあった。


『なんだい?それは』

「なんだいとは面白い。お前らが一番知っているものだぞ?」


そう言われ、翔太郎が一つの考えに行きつく。
照井も同様に行きついたのか、しかし、それに信じられないでいる。


「ばかな・・・そんなに小型の物など、聞いたことがない!!!」

「何言ってんだよ。見つかりやすい犯罪道具・・・爆弾や銃なんてのは見つからないようどんどん小型になってんだぜ?こいつだって同じだ」



そう言って、蒔風が手の中でそれをくるりと回し、USBをノックして接続部分を押し出した。



《ワールド!!!》



「ワールドだと!?」

「そのガイアメモリは・・・・・!!!」


「ああ、記念にともっていた空のガイアメモリ。世界接合の際、どっからあぶれてきたのか・・・・うまくこいつに入り込んだみたいでな。ちょいと融通効かないとこもあるが、これはこれでいい」


「まずいぞ・・・・」


アクセルの言葉に、Wがエクストリームへと強化変身して、ガイアメモリに対抗しようとする。


一方、蒔風が右手に握ったそれをそのまま右掌に握りしめ、体内に埋め込む。
蒔風の身体に淡くオレンジの光が走り、グキグキと首を鳴らして身体の様子を見る。

しかし、その体は一切変化せず、元の蒔風のままだった。



「ドーパントにならねえ?」

「あんないかにもな怪人、街中じゃ目立つだけだ。すぐれた道具は、無意味な変容はしないもんだぜ?」



それに、蒔風の場合は適合率もある。

過去、彼らが関与したガイアメモリ事件で適合率が異様に高い事例があったのだが、その時の適合者はその能力のみを手に入れ、姿は一切変わらなかった。
このガイアメモリは、蒔風にとっての「運命の一本」なのだ。




「フィリップ!!あのメモリは!?」

『わからない・・・・検索しても出てこない!!!』




狼狽するWに、蒔風が早速攻撃に乗り出す。
その両手に握られたのは、干将・莫邪だ。


いきなり現れたその武器に、Wとアクセルが驚愕するが今はそんな事で足を止めている場合ではない。
それを手にして、蒔風が突撃してくる。


「くっ、迎え撃つぞ、左!!!」

「わかってらぁ!!!」


そう言って二人掛かりで切りかかるが、蒔風のその剣はその攻撃を受け止めただけですぐに砕けてしまった。
しかし、即座に新たな剣が出現、再び二人に振るわれる。


「あれは・・・・いったいどういうことだ?」

『おそらくはアーチャーの投影魔術という物だろう。前に見せてもらった。だが・・・それをなぜ彼が?』

「間違いなくガイアメモリのせいだろうがな」



ギィン!!ギャリリリリリリリリリ!!!!!



三人の剣が鎬を削って打ち合わされ続けている。
蒔風の剣は相も変わらず砕けては戻りの繰り返しだ。

しかし、そんな中でもアクセルとWは圧倒されている。


最初から剣など捨てている様な、重い一撃。その一撃を受けるたびに、彼らの剣が大きくはじかれるのだ。
無論、蒔風の剣は打ち付けた瞬間に砕け散るのだが、それでも衝撃は伝わってくる。

しかも、相手の剣は無尽蔵なのだ。

その怒涛の攻撃で、アクセルが弾かれた隙に蹴りを食らって転がる。


「照井!!」

「だからお前はハーフボイルドなんだ」


それを見て叫ぶ翔太郎だが、蒔風がその彼に向かって無数の剣を降らせてきた。
一瞬の隙。彼の取り柄であり、弱点でもあるその甘えが、この一瞬を生んでしまった。


「左!!!」


Wに向かって降りかかる数多くの剣が、次々と地面に突き刺さっていく。
その雨が止んだ後に残っていたのは、ぐらりと崩れながら変身が解除された翔太郎とフィリップだった。



「う・・・・く・・・・」

「ッは・・・・そ、そのメモリは・・・・まさか・・・・」



地面を這うように蹲り、蒔風を見上げるフィリップがワールドメモリに大体の見当をつける。
彼の推測が正しければこのメモリはおそらく・・・・・



「あれは各世界の人物の記憶を持ったメモリだ・・・!!!」

「なに!?」


「「世界」とはつまり物語だ。物語を記憶するという事はその登場人物の記録に近い・・・・」

「つまりオレたちや「EARTH」のメンバー全員の力が使えんのかよ!?」



「残念ながら、そこまで便利なもんじゃねぇ」




フィリップの推理を聞いて、クックと笑いながら蒔風が答えた。


曰く、彼が使えるのは倒して封印した者の力だけらしい。
そして、一度発動させたら使えるのはその時に決めた一人分だけ。つまり、ほかの者の力を使うには一度取り出して、もう一度起動させるしかないのだ。



「まあそれでも、アーチャーのこれが使えるだけで十分だけどな」





そう言って、蒔風の背後にまるで壁のように剣が出現し、背景を覆い尽くしていった。


「ッ!?」

無限の(アンリミテッド)・・・・」


「まずい!!」

剣舞(ブレイドダンス)



蒔風の言葉と共に射出されてきた剣が、変身の解けた二人に向かって突っ込んできた。
それをとっさに入り防ぐアクセル。

しかし、いくらアクセルと言えども無数に迫ってくる剣の多さに防ぎきれず、だんだんとその足が下がってきてしまっている。



「照井竜・・・・」

「なんだ!!!」

「僕の相棒の身体を任せてもいいかい?」

「・・・・承知した!!」


「おいフィリップ!?」


と、その瞬間に翔太郎の腰にまだつけられていたベルトからジョーカーメモリが消え、フィリップのベルトに移動する。
そして、彼の手にはボロボロの恐竜型ガイアメモリ「ファング」があった。ファングは彼の呼び掛けに応じてやってくるもので、常に携帯しているものではない。この剣の雨の中を潜り抜けてきて、ここまで機能と外観を残しているだけでも奇跡的だ。




「翔太郎、大丈夫だ。僕らの絆は・・・そう簡単には消えないだろう?」

「フィリップ・・・・わかったよ。つきあうぜ、相棒」



《ファング!》



「「変身」」



《ファング ジョーカー!!》




そうして、フィリップの体に装甲が纏われ、仮面ライダーWファングジョーカーへと姿を変える。
その際、翔太郎の身体は意識をなくし、フィリップの肩に手を当てながら崩れて倒れた。


「いまだ!!」


その変身の衝撃とオーラで降り注ぐ剣が吹き飛び、その隙にアクセルがバイクフォームになって翔太郎の身体を背中に乗せてその場を去って行った。
それを逃がすまいと蒔風は翔太郎の身体に向かって剣を飛ばすが、Wがショルダーファングを発動、肩に出現したショルダーセイバーをブーメランのように飛ばしてそれを迎撃して行った。



『オレの身体に手は出させないぜ?』

「さあ、いくよ、翔太郎」

『ああ、フィリップ』



そうして二人が蒔風に指をさし、いつものように、あの台詞を叩きつけた。


「『さあ、お前の罪を数えろ!!』」



それを聞き、見、蒔風が一瞬止まり、そしてハァ、とため息をついてから弓を構えて矢の代わりになる剣を出現させた。
その剣は螺旋状に捻れており、まるで蒔風自身の捻れを表しているかのように禍々しかった。


偽・螺旋剣(ガラドボルグⅡ)



ドッ!!!



そうして放たれた矢は、一直線にWに向かって突っ込んでいった。
炎の軌道を一本残し、大気を焦がしながら迫るその剣を、Wは真っ向から受けようとはしなかった。

まず、回避だ。


Wがその攻撃をその直線上から避ける事で回避しようとする。
そこから一気に走りだし、蒔風へと最短距離で接近すればいい。


しかし。蒔風がそこれニヤリと笑う。
それで避けたつもりなのか、と―――


壊れた幻想(ブロークンファンタズム)



ドォン!!!!



Wが回避し、外れたように見えたその剣が彼の真横に至った瞬間、その剣に込められた魔力が爆発してその姿を炎と衝撃で覆い尽くした。


それを蒔風が、ただ冷静に、冷えた目つきで見ていた。
これで終わったとは思っていない。曲がりなりにもWの強化体。この一撃で終わるとはさすがに思ってはいないが・・・・・

その瞬間、爆炎の中から、炎の塊と何百という銃弾、そして赤と青の残像が目に映った。



「ほう」


だが、そのいきなりの攻撃にも蒔風は慌てず、畳返しでその炎と銃弾を防ぎ、その壁と突き破ってきた残像に対して一瞬だけ剣を交えて後ろに流した。

そうして、背後に立ったのはカブトとガタックだった。
みると、周囲を囲まれている。


煙の中から現れたWの脇には龍騎とG3-Xが、左にはギルスとキバ、右にはナイトとアギトがいた。



「蒔風!!おまえを――――」

「やっとここまでこれた・・・・覚悟しろ――――」

「お前にはこれ以上やらせない――――」



各人が蒔風を囲んで何かを言うが、当の蒔風にはそれが聞こえていない。
蒔風としては、この状況はこう言った思いしか生まなかった。




―――獲物がゾロゾロとやってきた・・・・・・





そう片目を閉じ、フッ、と笑った蒔風。そこで、周りの声がやっと耳に届いた。
しかしそれに今さら反応することもなく、いきなり動いた。


「遅いぞ」


ただ一言そう言って、三方向――正面と左右に向けて畳返しをし、背後のカブトとガタックの超高速ライダーに向かって走り出した。
それに対して二人はクロックアップを発動し、蒔風も加速開翼でそれについていく。

別にしなくてもついていけるのだが、その時間は二秒とあまりにも短い。
さっきのように一瞬の攻防ならどうにかなるのものの、本格的な戦闘となるとやはりこうするのが一番いい。



ツッコんてくる敵に、カブトが足刀蹴りで蒔風の顎を狙う。
バックステップでそれを躱すとそこにガタックがダブルカリバーで切りかかってくる。

それを畳返しで起こした地面を蹴り飛ばして防ぐ蒔風。

飛んできたそれをガタックが難なく粉砕するものの、その陰に隠れてすぐ横にまで接近してきた蒔風がその腰に触れ


[CLOCK OVER]


スイッチを操作しその瞬間、ガタックのクロックアップが強制解除されてこの世界からはじき出される。


その動きの止まったガタックに対し、蒔風が踵落しでその脳天を踏み砕こうとするが、そこにカブトがクナイガンクナイモードで切りかかってきた。
それに対して、踵落しの落としどころを変更し、カブトに対して振り下ろす蒔風。

カブトは腕を十字にクロスさせてそれを受け止め、片手を降ろしてゼクターのボタンを押す。
1、2、3、とカウント音が発せられてエネルギーがチャージされ、その足にタオキン粒子をまとわせて、至近距離のままカブトのライダーキックが放たれた。


ゴッ、ドォン!!!!



凄まじい衝撃と破壊音を鳴らして、蒔風の身体が吹き飛んだ。
が、頭から血を流し、その視界が真っ赤に染まりながらも、蒔風は標的を定めていた。



吹き飛んだ先、静止したライダーたち。そこにいたのは、ギルスとキバだった。


「なに!?」

「・・・もらった」


ザシュ!!という斬撃音とともに、蒔風が吹き飛んだ勢いを利用してギルスに一閃、剣をふるった。
そしてその体がスローモーションで崩れていく。


カブトとて、その延長線上に彼らがいたことは知っていた。
しかし、誰が想定するだろうか?カブトの渾身のライダーキックをあえて食らい、それを利用するなどという捨て身の攻撃など。



[CLOCK OVER]



そうして、カブトのクロックアップも解け、蒔風も必要がなくなったためか翼を閉じた。

世界が戻る。
突如として現れる蒔風とカブト。
驚愕するガタック、崩れ落ち消えるギルス、目の前の光景に硬直するキバ。


そのキバの腰にあるフエッスルを軒並み奪い取る蒔風。
そのまま彼の背後へと回って彼を羽交い絞めにし、ベルトにいるキバットの口に無理やりそれを噛ませて次々とガルル、ドッカ、バッシャーを呼び出させる。


「なにを!?」

「こうしてもらわなきゃこっちは困るんでな」


そうして、呼び出されたら来ないわけにはいかない彼らはキバのもとへと集まって来た。
その瞬間、蒔風がキバを蹴り飛ばし、光になって飛んできた三体を次々と切り砕いて封印した。

呼び出された際、彼らはキバ各フォームの専用武器へと姿を変えてやってくる。
そこを攻撃されたのだ。抵抗などできるはずもない。


「みんなぁ!!!」

「彼らがやれるかどうかが厄介だった。キャッスルドランごと吹き飛ばしてもよかったが・・・・さすがに骨が折れるからな」

「くそ!!タツロット!!!」


と、そこでキバがタツロットを呼び出してエンペラーフォームへと強化変身する。
蒔風は飛んでくるタツロットを狙い攻撃するものの、ナイトとアギトの攻撃で邪魔をされてしまった。


「うざいぞ!!!」


「本望だな」

「蒔風さん、あなたを倒します!!」



そう言って、ナイトがサバイブ、アギトがシャイニングへと変わり、今度はその隙をキバが補った。
しかし、蒔風の攻撃を受け切るにはいくらエンペラーフォームといえども心許ない。

それはそうだろう。彼の本領はエンペラーフォームになることで使用可能になる「ザンバットソード」や、アームズモンスターによるフィーバー技だ。
ザンバットソードはそれ自体の力が強すぎてアームズモンスターたちの補助なしには使えないし、フィーバー技は彼ら自身がいないのでどうしようもない。

もちろん、彼単体でも攻撃はできる。できるのだが、ファイナルウェイクアップには時間がかかりすぎるのだ。それを待つほど、蒔風は優しい人間ではない。



だがまあ、いくら隙とはいっても彼らが強化変身を終えるまでに所要する時間は二秒と掛からない。
キバが蒔風の相手をし始めてすぐ、彼ら二人が攻撃に加わった。

ナイトサバイブとシャイニングアギトの剣、そして、キバの拳。


だが、それだけを相手取っても、蒔風は一切の余裕を崩さない。


(なんだ・・・この手ごたえのなさは!?)

(まるで攻撃が効かない・・・・届かない!?)

「(これは・・・まさか!!!)みなさん!!いったん攻撃を・・・・・」



「行くぞ!!皆下がれ!!」

「うぉりゃアアアアアアア!!」




アギトが何かに気づき、皆をいったん下げようとするがそこにG3-Xと強化変身した龍騎サバイブによる遠距離からの爆撃が放たれた。
その攻撃に、三人がその場を一瞬で下がりド真ん中にいた蒔風に直撃した。


「っしゃぁ!!!」

「これで・・・・!?」



ガッツポーズをとる龍騎の隣で、G3-Xが終わったのかと爆煙を見ると、マスク内のモニターが何かを察知した。
それを解析し始めると、なぜか目の前の光景が歪み、足元が揺れた。


「これは・・・・!?」

「みなさん!!これは幻覚です!!!オオオオオオオオオオオオ!!!!」



頭を押さえ、立ち眩みのようにG3-Xがグラつくと、アギトが皆に叫んでシャイニングカリバーを輝かせて何もない空間に振るった。



しかし、そのカリバーは空を切ることなく、ガキィ!!という音とともに火花を散らして受け止められた。




「!?」

「さすがは超能力のアギト。思ったより早く気付いたな」

「やはりそうですか・・・これは固有結界から派生した幻覚!!!」

「ご明察」





そう言って、周囲が歪んで風景が正常のものへと変わる。
そして見えてきたのは、すでに発された後なのか消えていく光と、蒔風の手にあるカードだった。


「あれは・・・・!!」

「蓮・・・・!!!!」



蒔風の手にあったのは、ナイトのカード。
おそらく、龍騎とG3-Xによる砲撃銃撃の際に盾にされやられたのだろう。


それを見て、龍騎が激昂する。
ベルトからカードを抜き、それをドラグバイザーツバイに装填、発動させた。



《final vent》

「オオオオオオオオオオオオオ!!!」




呼び出されたドラグランザーの変形したバイクに乗り、炎をまき散らしながら蒔風に突撃していく龍騎。
それと一緒に、Wとキバも走り、その上を飛び越えるようにキックを放ってきた。


「ウェイクアップ、フィーバー!!!」

《ファング!!マキシマムドライブ!!!》


「『ファングストライザー!!!』」

「ハァァアアあああ!!!」



しかし



「混暗を基に混ざりし二属。雷旺、絶光」



蒔風がその拳に混暗を纏わせ、そこに雷旺と絶光を乗せる事で混ぜ合わせ、一つの力として握りしめる。



「拳閃、雷光拳」



ヒュォ―――――――――バァ!!!!!




腰を落とし、深く構えた蒔風が、その拳を構えて中段突きの高さで突いた。
しかし、恐ろしいのはそのスピードだ。

蒔風にとっては一歩踏み込んで拳を出しただけだが、その「一歩」は突っ込んでくる三人を一気に通り過ぎ、同時に何十発もの乱打を浴びせていたのだから。




「音を超え、雷、光を携えた拳は、当たらずともその余波だけで何発もの衝撃を与える」


「が・・・ぐ・・・・」

「お・・・・」

「あ・・・あぁ・・・・」




「吹き飛べ」




ゴシャ!!
ゴンッッ!!
ガッ、ベキョッ!!!



三人が吹き飛び、ある者は岩に、ある者は垂直に地面に叩きつけられ、ある者はきりもみ回転して地面に落下、大地を抉って動きを止めた。



そうして、Wとキバが光と消えた。
彼らは宙でキックを放っていた。そこをあんな反則じみた途方もない威力で吹き飛ばされたのだから、踏ん張るもなにもなく直撃してしまったのだ。

龍騎だけはまだ無事だった。
しかし、サバイブは解け、ドラグレッダーも力なく地面に倒れ込んでいる。


その龍騎に、蒔風が慈悲もなく剣を振り下ろす。



ドンッ!!という音がして、G3-X――氷室誠が光となって消えた。



G3-Xはライダーとはいえ、決して強力なものではない。
ただの機械仕掛けの強化スーツなのだ。

しかし、彼はそれでも目の前で倒れている龍騎を助けようと、その身を犠牲に防いだ。


こうして彼は、やはり警察官(じぶん)は攻める者ではなく、守るもの者なのだと消え際に思った。






その光景を目の当たりにした龍騎は、蒔風の腹に拳をめり込ませて吹き飛ばし、カードを抜いてドラグバイザーに装填した。
さらに、蒔風を挟んで反対側ではアギトが紋章を宙に浮かせ、蒔風にシャイニングライダーキックの照準を合わせている。



《-Final Vent-》



「ンンッ!!!アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

「フッ!!ハアアアアアアアアアアァアアアアアア・・・・・・・・!!!!」




構えを取り、その脚にエネルギーを溜めていく二人。
しかし、二人は顔をあげようとしない。

いつもならば、真っ直ぐに敵を見据えて構えるはずが、今の彼らは下に俯きながら腰を落としている。
もう、彼らには見てられないのだ。仲間が倒れるところも、彼がその仲間を倒しているところも、自分が彼を倒すところも。


もう、憎んでいるのかも信じているのかもわかない、ある種の狂気に彼らは心を襲われていた。



「ハァッ!!」「ダァッ!!」



しかしそんな状況でも。、彼らはキックを蒔風に放った。
蒔風の前後から、同じ角度、同じ高さから二人のキックが放たれて、真っ直ぐに向かってきて、蒔風がそれを見て、小さくつぶやいた。



心象的世界破壊(イマジナリティワールドエンド)




瞬間、世界が変わった。
蒔風が法則を読みとり、そのタイミングで指をバチン、と鳴らした。


すると、彼らのキックの角度が変わって、あらぬ方向へとすっ飛んで行った。


彼らは自分の想定していた角度とは違う角度で着地させられ、龍騎は地面にこすりつけられ、アギトは背中から思いっきり打ちつけて地面に落ちた。



そうして、誰もが動かなくなる。
この空間内ではこれが切れるまでは動かない方が得策だ。

何が起こるか、全くわからないのだから。


しかし、ここで蒔風が吐血して倒れる。
一体何の法則が働いたのかわからないが、それと同時に時間が過ぎて結界が切れる。



それと同時に、カブトとガタックが動いた。
その手にハイパーゼクターを握り、それぞれハイパーフォームへと変身したのだ。



「あーーーー・・・・げふ・・・くそ」


それをみて 、蒔風が頭をガシガシと書いて口元の血を拭った。

彼らのハイパークロックアップの速度は彼も知っている。
しかし、蒔風と手さすがのハイパークロックアップの速度にはついて行けない。

加速開翼しても、ついて行けるのは最大で二秒。
しかも、今はコンディションが最悪だ。おそらく二秒もついていけないだろう。


だがら、彼は諦めた。
そして右の掌からメモリを出した。



《ワールド!!!》



そうしてもう一度メモリをノックして起動、再び挿入し、その手に武器を構える。
武器は、機召銃マグナバイザー。仮面ライダーゾルダの基本装備だ。




と、同時に蒔風が思いっきり足を地面に踏みつける。

畳返し。

起き上がってきた地面の壁は、カブトとガタック、そして龍騎とアギトをまとめて一つの部屋に入れた。
なかなかに巨大。しかも、その中には蒔風までも入っている。天井もどうやったのか塞がれており、彼らは完全に閉じ込められた形になった。


と、そこでカブトが身構える。
どうしたのかと聞くガタックだが、カブトはそのまま言った。


「忘れたのか・・・・蒔風は暗殺のプロだ。この暗闇でやってこないとは限らない・・・・」

「!!!」


その言葉に、全員が背を合わせて全方位に意識を飛ばす。
だが、聞こえてきたのは蒔風のやる気のない声だけだった。



「もうさ、お前らの相手めんどくさいんだわ」



カシ、カシュッ!



そして闇の中から、カードを取り出して何かに入れた音がした。
そして聞こえる起動音。


《-Final Vent-》


「こういうごちゃごちゃしたの、嫌いなのよね、オレ」



「皆!逃げ・・・・」


「バァい」





ドォオッ!!!!!






蒔風の引き金が引かれ、ゾルダのファイナルベント「エンドオブワールド」が発動してその「部屋」のなかを爆発と炎が包み込んだ。
逃げ場などない。密封された中で放たれたこの超重級爆撃攻撃は、部屋の内部のすべてを焼いて吹き飛ばした。






------------------------------------------------------------





ズルッ・・・・ズルッ・・・・・ズルッ・・・・・・



「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・・・」



足を引きずって、蒔風が荒野を歩く。
手には今戦ってきたライダーのカードがあった。


そして今向かっているのは、彼らがやってきた方向だった。


(この先にはあいつらが一緒にいたメンバーがいるはず・・・・・守り手は登大牙に名護敬介、矢車と言ったところかな?・・・・・)



そうして一歩ずつ、その標的へと近づいて行く蒔風。
すでにその洞窟のような岩場は視界にとらえている。








それから三十分後には蒔風の手元にカードがさらに集まっていた。
矢車想と、吉井明久、姫路瑞樹、島田美波、木下秀吉、土屋康太の五人のカードが。



名護と太牙は戦闘不能にして転がしてきた。
彼らをカードにする必要はない。












蒔風の脳裏に、彼らの最後の言葉が思い出される。




――やめて!!

――死にたくない―――

――なんでこんな・・・・・






その記憶に、蒔風が頭を抱えてぐらついた。
まるで呼吸の仕方を忘れたかのような声を出して苦しそうに歯を食いしばり、錯乱したように頭をかきむしった。



しかし、それでも蒔風の目に揺るぎはなかった。



その感情を押し殺し、蒔風はヨロヨロとその場を去る。



次の標的を、探して。











to be continued

 
 

 
後書き

マークですが、ライダーはガンバライドと同じです。
明久達は文月学園の校章で。


翔一
「蒔風さん、あれは反則ですよ・・・」

天道
「まさかああやってハイパーを封じてくるとは・・・!!」

カ・ガーミン
「捨て身の攻撃じゃねえか!!あと名前ちげェ!!」

真司
「オレ結構頑張った!!がんばったのに!!」


芦原
「オレなんて相手がクロックアップだったから何が何だかわからなかったぞ・・・・」

氷川
「僕はまァ・・・・なんですか津上さんその目は!!私は決して不器用では・・・・!!!」



「皆一瞬だったね」

フィリップ
「ふむ、まあ翔太郎は無事だろうから、そちらに期待かな?がんばれー」



ガルル、バッシャー、ドッカ
「俺らは!?」

その他
「俺ら/私たちもだ!!その他ってなんだァアアアアアアア!!!!???」


じゃあ・・・つ「その他大勢」


その他大勢
「ヒデェ!?ッてか採用すんな!!!」



皆さん御疲れですたー


全員
「で、ですたー」




さて、こんかいでかーなーり、削りましたよ?
これで残ったのはかなりいい戦いをしてくれる人たちでしょうかな?

追い詰められてるから、きっと必死だな。

この調子で消すとあっという間に終わりそうなので、多分いつかは一対一の話もあると思いますね。




ちなみに蒔風が吐血して倒れた時の法則は


敵の攻撃を避ける→直撃分の三分の二ダメージを食らう。です

まあ確かにどちらかと言われればそっちでしょうが、いい法則は発生してくれなかったみたいですね。



では!!このへんで!!



名護
「やめなさい!!・・・・私を押しのけて自分が次回予告しようとするのをやめなさい!!ボタンとるぞ!!!」


「名護さんはやられただけで封印されてないじゃないですか!!!」

明久
「次回、学園都市」



ではまた次回


名護
「予告がァ!?その命、神に返しなさい!!!!」






リスト残り


キョン
朝比奈みくる
長門有希
古泉一樹
べナウィ
泉戸裕理
泉戸ましろ
上条当麻
インデックス
御坂美琴
クラウド・ストライフ
古手梨花
古手羽入
国崎往人
神尾美鈴
小野寺ユウスケ
海東大樹
野上良太郎
モモタロス
ウラタロス
キンタロス
リュウタロス
ジーク
デネブ
直枝理樹
井ノ原真人
宮沢謙吾
乾巧
衛宮士朗
セイバー
遠坂凛
ランサー
ギルガメッシュ
剣崎一真
皐月駆
水奈瀬ゆか
草壁美鈴
橘菊理
広原雪子
田島賢久
百野栞
左翔太郎
高町なのは
フェイト・T・ハラオウン
アリシア・テスタロッサ
シグナム
ヴィータ
リィンフォースⅡ
スバル・ナカジマ
ティアナ・ランスター
キャロ・ル・ルシエ
エリオ・モンディアル

 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧