とある世界の物質破壊≪ディストラクション≫
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空虚爆破事件
前書き
湊『更新が遅くなりました~』
美琴『これで私達も一段落したわね。』
湊『だね。』
美琴『これから前書きは私達が担当するわ』
湊『作者は出てこないです』
湊・美琴『では、本編へ!』
身体検査から数日たった。
あれから、美琴とは会ってもいなく連絡さえも取っていなかった。
先程、level5の序列発表がされ序列が変わっていた事もあり街中は序列の話題で盛り上がっていた。
level5の序列は第8位であった物質破壊が第4位にあがったため尚更。
「わりぃ、湊!」
「…上条くん。」
上条と呼ばれたツンツン頭の男子高校生は、ビクッと湊から後退りした。
「何時に待ち合わせだったかな?」
「15時30分であります…!」
上条は背筋を伸ばし、今すぐにでも土下座をする勢いだ。
「今は何時だろーね?」
只今の時刻は16時過ぎ。
約束していた時間から30分以上過ぎていた。
「ほんっとうにすみませんでしたー!」
上条は、この世の物とは思えないほどに華麗な土下座を決めた。
そのとき、周囲の通行人が2度見していたのは言うまでもない。
「はぁ…、もう良いよ。当麻らしいから…。」
「湊様ー!」
「やめろー!!」
湊は、これほどまでに上条の不幸なことを痛感したことはなかった。
「それでセブンスミスに行くんだよな?」
「あぁ、ちょっと買いたいものが…湊?」
小学生ぐらいの子だろうか。
道の真ん中でオロオロし今にも泣きそうな女の子が一人いた。
「当麻。」
「あぁ、わかってる」
俺は女の子に優しく話しかけた。
「どうした?」
その瞬間、泣かれてしまい周りを歩く通行人に冷たい視線を送られ焦ったのは言うまでも無いだろう。
「それでね!」
ただいま、先程まで泣いていた女の子と手を繋いで共にセブンスミスに向かってます。
なんでも母親とはぐれてしまったらしい。
そして、お母さんとはセブンスミスに行く予定だったと聞いたため俺達は一緒に向かうことになった。
──義理でも妹がいる俺としてはほっとけないからな…
「お兄ちゃん、私ねオシャレするのー!」
「女の子はオシャレするの好きだからね。」
「着いたな。」
"セブンスミス"
それは、学園都市でもかなりの大型デパートで服、食材、ゲームセンターなどなど。
様々なものが揃っている便利な場所で学生の俺達にはとても助かる場所の1つでもある。
「えっと、服屋さんがある階はー。」
俺は最近では行かなくなったため忘れかけた女の子用の服が売っている階を地図で探す。
「湊、二階じゃねぇか?」
「あ、ほんとだ。じゃあエスカレーター乗って行こっか。」
「うん!」
俺の問いに元気よく返事をしてにこにこで走っていった。
エスカレーターに乗り、上の階に着くと何故か当麻が目の前で止まった。
「ちょ、当麻!急に止まるなよ!」
「あ、わりぃ。」
「どうしたんだ?」
俺は不思議に当麻が見る方に視線を向けた。
「あー、うん。」
それは、鏡の目の前で年齢にはあわない少し幼い子が着るようなパジャマを合わせて目を輝かせている妹の姿。
そして、数日前に喧嘩?をしたため全く会っていなかった事もあり少し気まずい。
「あ、あのときのお姉ちゃんだー!」
──あのときのお姉ちゃん?
俺と当麻は顔を見合わせた。
「と、とりあえず追いかけるか。」
「そ、そうだな。」
追いかけるとにこにこ話す女の子と、一緒になって笑って話す美琴。
「よう、御坂。」
「な、何でアンタがって…。」
美琴はいつものように怒ろうとしたが、隣にいる人物をみて一瞬驚きながらも静かになった。
「俺達は行こうな。」
「ちょ、アンタ…。」
「うん、またねお姉ちゃん!」
当麻は女の子の手を握って、服屋に向かった。
俺達の間に気まずい沈黙が流れる。
「何しに来たわけ。」
だが、沈黙を破ったのは美琴の方だった。
俺は正直に答えた。
「さっきの子が親とはぐれたみたいで、セブンスミスに来る予定だったって聞いたから一緒にね。」
美琴は「そう。」とだけ答えて手に持っていたパジャマをもとの場所に戻した。
「それ、買わないの?」
「湊には関係ないでしょ?」
キッと睨まれた俺は何も言えず「そうだね。」とだけ答えた。
そのときだった、少し先の所から聞きなれた声が聞こえてきた。
「御坂さーん!」
「どうしたの?初春さん。」
「湊さん!?ちょうど良いところに…!」
「えっと良く分からないけど、どうしたんだ?」
かなり焦っているのだろう。
普段の飾利ではここまで落ち着いて無いのは滅多に無いからだ。
「皆さん、落ち着いて聞いてください…!」
「初春、まずはアンタが落ち着こうね。」
と、涙子がツッコミを入れたがスルーして。
「ここに爆弾が仕掛けられています…!」
──ふーん、爆弾がねぇ…って爆弾!?
俺はポーカーフェイスで何とか隠したが、二人は驚いた顔をしていた。
それもそうだろう、いきなり友人の口から爆弾という言葉が出てくるなんて誰が想像できるだろうか?
身近にいるな…と思った方、今すぐその人を戻してあげた方が良いと思う。
「とりあえず、俺達はお客さんの避難誘導で良いのかな?」
「はい、私は係りの方に伝えて放送するように言ってみます!湊さん、御坂さん避難誘導お願いします!」
「えぇ、もちろんよ。」
俺と美琴は飾利に頷いてから走った。
「佐天さんは、すぐに外へ避難してください!」
「う、うん。分かった。」
涙子は納得はしていないようだったが、外へ走り出した。
「美琴!」
俺は今、当麻と一緒に服屋さんにいったはずの女の子を探していた。
そのとき、視線の先には妹の美琴がいたため何か知っているかもしれないと思い少し大きな声で呼んだ。
「な、なによ!」
いきなり後ろから大声で呼ばれて驚いたのだろう、焦っている湊の姿をみて更に驚いた表情の美琴。
「女の子見なかったか?」
「見てないけど、あの子がどうかしたの?」
「それが、当麻がはぐれたらしくてさ…。」
「はぁ!?」
美琴は俺のYシャツの襟を掴んで怒鳴った。
「アンタ、一緒にいたはずでしょ!?あの馬鹿は…!」
「美琴苦しい…」
「あ…、ごめん。」
美琴は俺の襟から手を離した。
「とりあえず、外は当麻が探してるから俺は中に行って探してくる。」
俺は美琴にそう言って横切ろうとした。
だが、俺の腕が誰かに掴まれて前に走れない。
「私も行くわよ!」
「いや、爆弾があるから危な…」
「私はLevel5第3位よ?なめないでよね。」
俺は諦めて美琴の腕を掴まれていない方の手で掴む。
「ふぇ!?」
「はぁ…、行くよ。」
「て、手を繋がなくても良いでしょ!?」
「良いから、飛ばすよ。」
俺は美琴を引っ張りながら人混みのなかを走り、デパート内に入った。
そして、俺達は1階、2階と探す。
「あ、初春さん!」
美琴が指を指す先には、飾利と探していた女の子の姿。
飾利は俺達の存在に気付いた瞬間、大声を発した。
「あれが、あのカエルのぬいぐるみが爆弾です…!」
飾利の指が指す方を見ると、カエルのぬいぐるみが空中に投げられてぐにゃと変形した。
飾利は変形したぬいぐるみを見た瞬間、女の子をかばうように抱き寄せてた。
──あと少しで届く、間に合ってくれ…!
「初春さん…!」
俺と美琴が飾利達がいる場所に着いた時点で、爆弾は爆発する寸前だった。
美琴は走りながらスカートのポケットから一枚のコインを取りだし、美琴の異名である『超電磁砲』を撃ち爆弾を飛ばそうとしているのだろう。
「あ…、しまった…!」
だが、コインは美琴の手から滑って地面に落ちてしまった。
──やるしか…無いか!
俺は美琴達をかばうように前に立ち、右手を爆弾に向ける。
──爆弾ももとは物質だ、それなら俺の能力の範囲でもあるはず。
「お兄ちゃん…?」
後ろから妹の声が聞こえた気がしたが、そんな事を気にしていられるほど今の俺に余裕は無い。
爆弾の火薬をまず能力で消して、周りにある水蒸気を使ってすぐに消火…。
──何て考えられるか!だったら、爆弾の火力を俺の後ろにいる3人から外せれば十分だ!
爆弾は爆発し、火力は俺達がいる方向にも飛んでくる。
俺は能力を使い、俺達に飛んでくる物を破壊…分解して消していく。
そして、全てを消したあと爆弾の衝撃で割れた目の前の窓ガラスに向かって走った。
そのとき、後ろから名前を呼ばれた気がしたが俺は振り返らず、そのまま割れた窓ガラスから外に飛び出した。
「いやー、君の"爆弾"凄いね。凄い爆発だったよ~。」
俺は壁に右手をあてながら、目の前にいる青年に話し掛けた。
眼鏡をかけたその青年は、同い年か又は上なのか分からないが1つ分かるのは、この爆弾事件の犯人は彼であるということ。
何故かというと、俺が窓ガラスから外に飛び出したあとデパート周辺を探していたときデパートの爆発した所を笑いながら見ていたという事と、手には何か金属のような物を持っていたからだ。
──ほぼ直感なんだけど多分俺の予想は…。
「な、何言ってるんですか?ぼ、僕は爆弾なんて知らないですけど…。」
青年は、ズレていた眼鏡をもとの位置に戻しながら答えた。
「でも残念ながら、さっきの爆発で怪我人は誰もいないんだ。」
「う、嘘だ!あれは僕の最高…あ…。」
「僕の最高?」
──コイツ、自爆したな。
「あ、いや…周りから見てて凄かったので怪我人は多いだろうなって…」
青年は俺から離れながら話、ポケットから何かをとって投げつけてきた。
「!?」
太陽の光に照らされながら近づいてくる金属…それは。
──あれは…スプーン?
俺はそのスプーンを能力を使って消した。
「ひっ…、お、お前は何者なんだよ!」
「何者…か。」
俺は顎に手を持っていき考える仕草をとってから、右手を青年の前にだし、あるものを生成する。
「物質破壊って言えば分かる?」
「Level5!?そうかよ…今度はLevel5様か!」
そう怒鳴ると地面を蹴り、お、俺を睨み付けてくる。
「いつもそうだ…風紀委員もお前らみたいな超能力者達は俺を下に見る!虐めて馬鹿にして力の無い奴がどれだけ不幸か知らねぇだろ!力さえあれば…力さえあればお前達なんか…。」
青年が言葉を言い終わる前に俺は青年の胸ぐらをつかみ、怒鳴った。
あまりの怒りで何言っているのか自分でも分からず、気がつけば目の前の彼を殴り地面に叩きつけていた。
「力力、うるせぇな」
「ひっ…!」
「力があったってな、守れねぇもんだってあるし不幸にならないわけじゃねぇよ!」
「そ、そんなのただ…」
「お前の辛さは悪いけど分からない、だがな俺がどんな思いしてきたかお前だって知らないだろ!」
「………。」
「今度、俺の視界に入ったらこの程度じゃ終わらせねぇからな。」
俺は青年を睨み付け顔をあげると黒子が立っていた。
「あの…お兄様…」
「黒子、あとはよろしくね。」
「は、はいですの。」
俺は来た道を通り戻った。
─────────────────────
sideチェンジ
「あの…お姉様?」
「ん?どうしたのよ。」
私は爆発のあと、湊が窓ガラスから飛び出して外に出るのをみて追いかけた。
──あの馬鹿!一人で行っちゃって…。
湊、兄は昔からそうだった。
全て周りの人優先で、自分の身なんてどうでもいいと考えてしまう性格でたくさんの人を救ってきた。
私はいつも後ろで守られてばかり、あのときもそうだった…。
私が追い付いたときは既に終わっていて、湊の姿もなかった。
「その…お兄様は昔何かあったんですの…?」
「え…?」
「あ、いえ…今日犯人に怒鳴ってらっしゃった時にそのようなこ…」
私は黒子の肩をつかみ、口を開いた。
「湊は、湊は何て言ったの…!!」
「お姉様痛いですわ。」
「あ、ごめん。」
私は黒子の肩から手を離し、もう一度聞いた。
「それで、湊は何て?」
「確か…"力があったってな、守れねぇもんだってあるし不幸にならないわけじゃねぇよ!"って仰ってましたわ。お姉様?」
私は黒子の話を聞いて歩を止めた。
──まさか、あの時の事を…?
気づけば顔を伏せて手に力を入れていた。
「お兄ちゃんの馬鹿…、何で私を頼ってくれないのよ…」
「お姉様…?」
「あ…ううん、何でもないわ。ほら、早く帰りましょ。」
私は止まっていた足を動かし歩き出した。
後書き
大変遅くなりましたぁぁぁ!
受験に卒業、そして高校の何故かテスト…重なり重なりこちらの投稿が遅くなってしまいました…。
これからは少しずつ投稿していきたいと思います!
では、予告です!
─────────────────────
空虚爆弾事件から数日がたち、夏休みを満喫していた。
そんな中、ある事件が起こり始める。
常盤台生徒を襲う、謎の影。
「そういえば最近湊さん見ないですけど、どうしたんでしょう?」
次回『数ヶ月後のある日』
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