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ガンスリンガーガール短編

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東側

お題「東側」

「ねえねえ、リコの装備って、ドラグノフとかCZとか、東側のが多いよね」
「うん、ほんとはね、体もロシアから「ぎじゅつきょーよ」があったんだって、だから銃もあっちのが多いんだよ」
「ふ~ん、リコの体ってロシア製なんだ」
 そこでエッタの顔が興味深々なのを見ると、つい禁止されている事まで言ってしまうリコ。
「見たい?」
「いいの?」
「ほんとはね、ここ開いちゃだめなんだって、でもエッタには特別に見せてあげるね」
 胸を指差し、頬を染めて恥じらいながら、男の子用のシャツをスルスルと脱いで行くリコ君。
「うん……」
 脂肪の少ない少年のような体を見せられ、生唾を飲むエッタ。ささやかな胸のふくらみだけがリコを女の子だと証明していたが、半ズボンやショートカットは、エッタの中でも男の子の記号としてインプットされていたので、その場を次第に倒錯的な雰囲気へと変えて行く。
「ほら、ここから中が見れるんだよ」
「あっ、ほんとだ、切れ目がある」
 どこかの黄薔薇姉妹のように、ベッドに座って胸の傷口?を見せるリコ。エッタは胸の真ん中にある綺麗な縦筋を見て、思わず割れ目を指でなぞってしまった。
「あっ、だめぇ、そこは凄く敏感だからぁ」
「ご、ごめん」
 リコの「女の子の悲鳴」を聞いて、その艶かしい表情も見てしまい、体のヒミツより「禁じられた遊び」の方に興味をそそられてしまったエッタちん。

「ここを開く時はね、右側の「つまみ」を左に3回、右に5回、それから左側のつまみを……」
 ここで言う「つまみ」とは勿論、膨らみの頂上にある、桃色の突起なのでありますっ! 軍曹殿っ!
「こ、こう?」
「ひっ…… 左側をもっと強く、あっ、ふうっ……」
 説明通り、か細い指でリコの突起をクリクリ回しているエッタ。その間リコは頬を染め、自分の指を噛んで特殊な感触に耐えていた。
「こう? ここがいいのね?」
「ああっ、もう座ってられないっ」
 すでに当初の目的を忘れ、「火遊び」に熱中し始めた二人。
「来ちゃう、何か来ちゃうよっ、あっ、そこっ、だめぇっ」
 カチリと音がしてロックが外れた瞬間、背中を仰け反らせて痙攣するリコちゃん。その間エッタは、小悪魔的な表情でリコの痴態を眺めていた。
「はぁ、はぁ……」
「気持ちよかった?」
 ちょっとネコっぽい表情をしながら、「タチ」のお仕事を済ませたエッタがルームメートに感想を聞く。
「うん…… ジャンさんに開けてもらう時と違って、すごく優しくしてくれたから」
「そう? じゃあコッチも開いてあげるね」
 ズボンに手を掛け、違う場所の開閉に取り掛かろうとするエッタを見て、恥ずかしそうに視線を逸らし、耳まで真っ赤になったリコが頷いた時、二人の部屋のドアが開いた。

「こらこら、何雰囲気出してるのよ、あんた達は」
 物音とリコの嬌声を聞きつけたのか、隣からクラエスとトリエラが現れた。
 さらにドアの隙間からずっと見ていたのか、アンジェが真っ赤な顔をして、股間を押さえながら部屋の外で座り込んでいる。
「ち、違うのっ、これはっ」
 否定するエッタと違い、ベッドの上で体中を桜色に染め、口を半開きにしたまま荒い息をしているリコ。
「エッタはジョゼさん一筋かと思ってたけど、やっぱり恋って距離なのね」
「えっ? じゃあトリエラとクラエスってやっぱり」
 さっきからその事だけで頭の中が一杯になって、床の湿度を上げていたアンジェは、お約束の勘違いをした。
「ちっ、違うわよ、何言ってるのよっ」
 トリエラが赤くなったのを見て、幸せなおチビさんもクラエスが寂しくない理由が分かったような気がした。

 エッタちん妄想中…… 長くなったので別項目で
「やあっ、そんなっ、女の子同士なのにっ、それにヒルシャーさんまでっ」
 今まで自分がしていた事も忘れ、トリエラがクラエスの「玩具」に成り果て、あまつさえヒルシャーが参加して「不適切な関係」になるのを想像して、頬を押さえて真っ赤になって身悶えするエッタ。
「あんたも変な想像しないのっ!」
「ビッケッ!」
 妄想を続けるヒラメ顔に一撃を加えるトリエラ。エッタがそんな内容を詳細に思い描けるはずも無いが、就寝中か条件付け前に、隣室との薄い壁一枚通して聞こえた会話が、記憶に残っていたらしい。
「それで、愛し合う二人はどんなプレイをしてたのかしら?
「ここをね、見てもらおうと思って」
 そこでリコも起き上がって自分の胸の点検ハッチを開き、中を覗き込んだ……
「ああっ、リコの中に真空管がっ!」
 むか~し流行ったジョーク、「真空管を使っている製品は?」の答え、「高級アンプ、骨董ラヂオ、ミグ25」と言われたように、リコちゃんの体にはピカピカと光る真空管が使われていた。
「それでよくフリーズして殴られてたの」
「斜め45度で叩くと直るってやつ?」
「ちがうよ、VT信管と一緒で3万Gの衝撃でも大丈夫なんだって、フレームと複合素材も頑丈だから、プガチョフコブラだってできるんだよ、ほら」
 エッタのエロ攻撃から立ち直ったリコは、胸のハッチを適当に閉めてから前方にダッシュして伸身のバック転に入り、そのまま天井と壁を走って元の場所に戻って来た。
「わ~、リコってすご~い」
 西側では設計不可能とまで言われた東側の機体では、コブラとか怪しい機動ができます。
「そんな細い体にそれだけのパワー、どうやって搾り出してるのかしら?」
「あ、人工筋肉を動かす電気はね、別の所から送ってるんだって、ほら、ここ」
 リコが指差した胸の奥には、乙女回路やエンゼルハートならぬ、黄色地に黒い三角を三つ集めたようなマークが書かれた部品があった。
((か、核電池……))
 リコちゃんの可愛い体には、ソビエト製の人工衛星と同じような、コケティッシュな核電池が装備されていた。
 ちなみにトリエラ達が声に出して言えないのは、条件付けが発動して、機密保持モードに入っているためである?

「それでね、ジャンさんが言ってたの、「最後の武器はこれ、つまりお前自身だ」って」
((セ、SADM……))
 兵器マニアか、フルメタの原作を読んだ大きなお友達ならご存知の通り、セイダムとはトランクに収まるような大きさの特殊原子地雷の事である。
「奥歯を噛み割ったら作動スイッチになるって言われたけど、何か痛そうで嫌だな…… でも、ジャンさんの命令だったら仕方ないよね」
((噛むんじゃない、都市ごと吹っ飛ぶ……))
「ふ~ん、リコって凄いんだね、私もジョゼさんにお願いして付けてもらおうかな?」
((付けるな……))
「あ、わたしもビアンキ先生に聞いたことあるよ。私の心臓が止まっちゃったら、「しょうこいんめつ」のために全身のクレイモアが爆発して、毒ガスが出るんだって」
((お前はマリオ66か…… もしかして私達全員?))
 それが流星雨観測中、見事に作動してマルコーを道連れに天国に行ったかどうかも定かではない。
「あれ? リコが光って見えるよ? わあ、きれい、何だか妖精みたい」
 チェルノブイリの映像を見た大きなお友達ならご存知の通り、目のCCDに入射した放射線がキラキラと光り、星のように瞬いていた。もちろんその映像の撮影者と監督は1年以内に亡くなっている。
「それって、目が放射線で焼かれてるんじゃないの?」
 エッタほどではないが、目に微かなノイズを感じたクラエス。カウンターテロの装備しか持たない儀体は、アトミック、バイオ、ケミカル、通称ABC戦に対する装備は無く、カーボンでは放射線は防ぎ切れなかった。

「総員退避っ!」
 トリエラが被爆中のエッタを、クラエスがアンジェの首根っこを掴んで慌てて部屋を出るが、胸のハッチが開いたままのリコが追いかけて来る。
「ええっ? みんなどうしたのっ?」
「付いて来るんじゃないっ! 早く蓋を閉めなさいっ、蓋をっ!」
 トリエラに必死の形相で言われ、ハッチを閉めようとするリコちゃんだったが、ボディーは所詮、デザイン重視のイタリア製であった。
「あれ……? 壊れちゃった。テヘッ」
 車のボディーを洗車すると車内が水浸しになってしまうのが普通の国と、戦車のハッチを外から「溶接」して戦わせるようなお国とは、所詮遺伝子レベルで違うのでありますっ!
「「嫌~~~~~~~っ!!」」
 防げない中性子の弾丸とガンマ線が照射され、幼い少女達を容赦無く貫いて行く、ちなみにリコ本人だけは「そっち系」の装備も付いた軍事仕様らしい……

 本日の被害、儀体棟封鎖の上洗浄。リコ及びエッタ、条件付けのページ追加。トリエラ、クラエス、アンジェ、エッタ 被爆。
 
 

 
後書き
お題、と残っていたので、どなたかが「東側」で何か書けと言われて書いたものだと記憶しています。 
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