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ファイアーエムブレム聖戦の系譜 〜幾多の星達〜

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168部分:三頭の竜その一


三頭の竜その一

                      三頭の竜
 ダーナでの戦いを終えた解放軍はルテキアに戻りグルティアに剥けて進軍をはじめた。グルティア城はトラキア台地への入口に置かれておりここを陥とせばトラキアまで阻むものは無く戦略的に圧倒的に有利に立てるのだ。進撃前にセリスはリーフ、フィン、ナンナに二万の兵と共にミーズへ行かせカパドキアにはハンニバル率いる一万の兵、そしてグルティアにはラインハルトとオルエン、フレッド等を守将として二万の兵を置き守りに当たらせた。そして自らは五十万の兵と共にルテキアを目指したのである。
「やっぱりシアルフィの旗はいいな」
 新たに入った老騎士が解放軍の軍旗であるシアルフィの旗を見て言った。
「長い間ヴェルトマーの奴等に反逆者呼ばわりされ奴隷みたいに扱われてきたんだ。遂に長い間の恨みを晴らしてシグルド様の汚名を晴らす時だ」
 同僚の騎士が賛同する。
「おお、それをセリス様の下でやれるんだからな。これ以上嬉しいことはないぞ」
「そうだ、そしてセリス様がアルヴィスの奴を討ち滅ぼし正義を取り戻すんだ」
 そのような会話が進軍中に行なわれていた。帝国の下で生きる事がシアルフィの者にとってどれだけ苦痛であったか。そしてシグルドとセリスが彼等にとってどれだけ力強い希望であったかを物語る話である。
ーグルティア城ー
 城はたちまち解放軍により包囲された。置かれていた兵が少なかったこともあり解放軍はすぐに城内へ突入した。
「将軍、敵は既に内城に入ろうとしております」
 簡素な城主の間においてスカパフチーレは部下から報告を聞いていた。
「残った兵は?」
 彼は静かに尋ねた。
「二三百程かと」
 部下は答えた。
「そうか、もう終わりだな。生き残った者達に伝えよ、降るも戦うも自由にせよ、とな」
「はっ」
 スカパフチーレはそう言い残すと剣を持ち部屋を後にした。そしてブリアンに勝負を挑み一騎打ちの末に倒れた。
 城内での戦いがほぼ終わろうとしていた頃地下へ続く階段を全速力で駆け降りる者がいた。
 暗灰色のフードとマントで全身を覆っている為顔は見えない。だがマントから窺える体型や雰囲気からこの者が男であるとわかる。
 肩で息をしている。何やら必死に逃れようとしている。
 階段を降り燭台に照らされる地下道をただ無我夢中に走っていく。その時前から若い男の声がした。
「何処へ行くつもりだ?」
 黒い服とマントを着た赤髪の若者である。セイラムである。
「ぐっ、貴様・・・・・・」
 男はその姿を見て呻いた。
「ほう、どうやら私を覚えているようだな。もっとも私は貴様とマンフロイを忘れた事は一瞬たりともないがな」
 セイラムがそう言うとゆっくりとフードの男のほうへ歩み寄った。そして右手を開き顔の少し前に置いた。
「ジェダ、貴様が今まで殺してきた罪無き人々の無念を晴らしてやる」
 構えた。ジェダと呼ばれた男も構えた。だが魔法を出したのはセイラムの方が早かった。
「ヨツムンガルド!」
 黒い悪霊達がセイラムの周りに生じ一斉にジェダに襲い掛かる。悪霊達に撃ち抜かれたジェダはボロ切れのようになり後ろに飛ばされ地に倒れ伏した。
「き、貴様同胞を・・・・・・。この裏切り者が・・・・・・」
 ジェダの断末魔の言葉に対しその同胞は冷笑をもって応えた。
「同胞!?フン、私の同胞とは今までも、そしてこれからも共に戦う仲間達だ。貴様等のような邪悪な輩共を同胞に持った覚えなど無い」
 彼はそう言うとジェダの屍を炎で焼いた。屍は瞬く間に焼き尽くされ灰となって消えていった。
「そして私のこの力・・・・・・。世界を闇に覆うのではなくマイラの力として世界を光で照らす為に使ってみせる」
 セイラムは灰が飛び散ったのを見届けると地下から地上へと昇る階段を上がっていった。
 
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