世界をめぐる、銀白の翼
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第二章 Lost Heros
山中襲撃
『逃がしたか・・・・・』
「ごめん、クラウドさん。僕の読みが甘かったみたい・・・・・しかも、応龍と鵺まで・・・・」
『いや、シュン相手に一度でも捕らえる事が出来たのならたいしたものだ』
「でも!!!」
『理樹。お前の能力は、おそらく蒔風を捕らえる上で一番重要なものだ。また全員の元を回って、警告を促していてくれ』
「クラウドさんは?」
『オレも皆のところを回る。ティファに感づかれると大変だからな・・・・こまめに顔を出しに行かないと・・・・』
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「じゃあ・・・うん・・・・・わかった。こっちも気をつける。それじゃ」
そう言って、圭一が通信を切る。
まだこういく機器の扱いには慣れていないのか、その手はぎこちない。
「圭一、どうでしたのですか?戦況は・・・・」
「応龍さんと鵺ちゃんがやられたみたいだ。ほかにも門矢さんと光さんが」
「ここもそろそろまずいだろうな」
「そうですわねェ・・・・・三枝さんとわたくしでいくつかのトラップは仕掛けましたが、どう見ても心許ないですわ・・・・」
ここは雛見沢村山中
そこにある一つの広い洞窟だ。
その中には理樹を除いたリトルバスターズ、雛見沢分校部活メンバーと、逃げてきたセイバーたちがいた。
「理樹は大丈夫だったか!?」
「鈴、落ち着けよ。あいつがそうやられるはずはねェさ」
「うん、理樹さんは大丈夫みたいだったけど・・・・」
今の報告の内容を皆に伝える圭一。
その内容を聞いて、皆がまた話し出した。
「そういえば、悟史はどうしてんだい?詩音」
「悟史君は診療所にいてもらってます。リストに名前がなかったので、あそこにいれば安心のはずですから」
「にーにーにはこのことに巻き込まれててほしくないですわ」
「我々もいつまでもここに籠城しているわけにもいくまい。理樹君が帰って来しだい、ここを離れなければ」
「そうだね・・・・いくらなんでも村の皆を巻き込めないし、沙都子ちゃんと葉留佳さんのトラップがあるって言っても、舜さんにはあまり意味がないよね・・・・」
「あうあう・・・梨花、大丈夫なのですか?」
「大丈夫よ羽入。もう私は、絶対に死なないから・・・・」
「真人、わかってるな?」
「ああ、いざとなったら、俺らがこいつらを逃がさなきゃなんねェからな」
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そうして、昼が過ぎたころ。
洞窟の出口のすぐ近くで、皆でカレーを作って食べ終わり、その後片付けをし、一段落ついたところで羽入が何かに気付く。
「・・・・・・みんな」
「どうした?羽入」
「この山に、いえ・・・すでにこの近くまで、彼が来ました」
「な!?」
「ほう・・・・沙都子女史や葉留佳君のトラップどころか探知用トラップも潜り抜けてか」
「はい・・・・今気づいたのも、ほとんど偶然です・・・・もうわからなくなってしまったのですよ・・・・」
「蒔風は―――まあ本人曰く暗殺者だ。自称するくらいだし、抜けてきていてもおかしくはない、か」
羽入の言葉に、全員が洞窟から出てどんな状況にも対処できるように体制を整えようと、洞窟内に足を踏み入れた。
しかし、その瞬間からすでに攻撃は始まっていたのだ。
「・・・・・」
「・・・はぁ・・・はぁ・・・・」
「なんか・・・息苦しいくないか?・・・・・」
「これは・・・まさか!!!」
そう言って、レナが手元をハンカチで押さえる。
それにならって皆も押さえるが、すでに吸い込んでしまった量で身体がかなりだるくなっている。
「こ、これは!!!」
「毒ガス!?」
その場の空気には凶悪なモノが振り撒かれていた。
無色無臭の毒ガス。手っ取り早く、それでいて確実性の高い代物だ。
「身体が・・・・・重い・・・・・」
「即死性のものじゃない・・・みたいだけど・・・でも・・・・」
「はやく・・・外へ・・・・!!」
ドンッ!!
この状況でまだ何とか立ち上がろうとするが、その中で三枝葉留佳が消えた。
さらに続いて何かが沙都子に向かって飛来するが、それを来ヶ谷が何とか弾く。
飛んできたクナイは沙都子には当たらず壁に当たるが、弾いた来ヶ谷の模造刀は砕け、弾き飛んでいく。
「くっ・・・・」
「来ヶ谷さん!大丈夫ですの!?」
「なに・・・幼気な幼女を守れてわたしも満足さ・・・・」
そうなんでもないように言う来ヶ谷だが、手は衝撃にしびれて動かないし、受け止めるために動いたせいで毒が全身に回り、両手を使ってしまっていたために、さらに吸い込んでしまってもいた。
額には大粒の汗が垂れ、膝をついて蹲ってしまう。
「来ヶ谷さん!!」
「圭ちゃん、行っちゃだめだ!!」
「来るな、圭一少年!!!来ればやられるぞ!!!」
「な・・・」
圭一が来ヶ谷のもとに走り出そうとするが、魅音と来ヶ谷の言葉にその足が止まる。
魅音に引き寄せられて、圭一がどういうことだと聞く。
「狙撃兵のやり口だよ・・・・負傷した仲間をそのままにして、助けに来た人間を狙い撃ちしていくんだ・・・」
「なに・・・・・!?」
見ると、来ヶ谷が沙都子をどの方向から攻撃が来ても守れるようにしゃがませる。
だが、その顔はどんどん悪くなっていくだけだ。
「来ヶ谷さん!!私のことはもう・・・・」
「バカなことを・・・・いう物ではない・・・・」
沙都子は来ヶ谷を見てそう叫ぶが、それを認める来ケ谷ではない。
傍から離れないように抱き寄せるが、このままの状況がいい方へと働くわけもない。
そうして、状況が動いた。
それを動かしたのは彼らではないが。
一体どこから投げ込んだのか、それとも仕掛けてあったのか。
ゴトリ、と重い音がして、来ケ谷の足元に手榴弾が転がってくる。
それを視界にとらえるものの、今の彼女にそれを弾くだけの力はない。
爆発まで、あと二秒か。
そう考え、沙都子に覆いかぶさって守ろうとする来ケ谷。
そして直後に、それが爆発した。
「くるがやッ!!!」
「待て、鈴!行くなッ!!」
それを見て駆け出そうとする鈴を、謙吾が止める。
隣では梨花と詩音が走りだそうとしていたが、羽入に止められていた。
「なんで止めるんだ!!くるがやとさとこが!!!!」
「大丈夫だ!!あの二人はまだ大丈夫だ!!!」
「え?」
「あぶねェことしやがって・・・・筋肉さんがなかったら、どうなると思ってんだ!!!」
爆心地、その噴煙の中から、男の声が聞こえてきた。
真人だ。彼がその巨体と強靭さを以って、二人を爆破から守っていた。
が、そこで来ケ谷が地面に倒れてしまう。
おそらく、体力上の限界だろう。
「真人!!急げ!!!」
「おう!!」
謙吾の声に、真人が二人を抱えてその場から逃げ出す。
全員が何とか洞窟から出ると、もはやこのままではメリットがないと考えたのか、一人分の人影が、木々の中から飛び出してきた。
ギギィ!!!
飛び出し、真人を背後から切り捨てようとした蒔風の剣を、謙吾が折れた模造刀を拾って受け止める。
だが、いくら彼がかつて"輝志"の力を使った者とはいえ、この戦力差ではどうすることもできないのだ。
「謙吾さん!!」
「逃げろ!!今こいつに太刀打ちすることはできない!!!」
「・・・・・・・」
謙吾の言葉に、皆がそれでも!と踏みとどまるが、真人はその意思を汲み取り、全員を押し出して逃がそうとする。
「おいバカ!!謙吾を見殺しにする気か!!」
「鈴・・・わかってやれよ。ここで全員がやられるわけにはいかねぇんだよ!!!!」
そう、今、全員の身体は毒によってかなりの制限を受けている。
今まともに動けそうなのは、大柄で毒を少量しか吸っていない謙吾と真人の二人だけなのだ。
だから、逃げる。
今ここで勝てる相手ではないのだから・・・・・
しかし
「・・・・・自己犠牲。立派だが、そう言うのは相手を見てやるんだな」
「!!!」
ドドドドドドドンッッッ!!!!
謙吾の背後で、轟音がしてから光が昇る。
その音に振り返ると、羽入と梨花、真人を除く全員が光となって消え、今真人にも七人が迫っていっていた。
「オレに青龍たちがいたってこと忘れんなよ。なぁ?」
「ッ!!貴様・・・・真人ォッ!!!!」
「うォおオオオオオオオオオオオ!!!!!!」
それを見て、急いで蒔風を蹴り押し除け、真人を助けに行く謙吾。
だが、今の真人は怒り狂っている。
無理もない。
自分が守ってやらねばという対象を、ひとまとめにやられてしまい、そのうちの二人は自分の腕の中で消えてしまったのだから。
そんな真人に切りかかる七獣は、あれだけの事をやったのだから因果応報だが、哀れだと言うほかない。
白虎の腹に拳がめり込み、振るわれた腕が麒麟の首を折り、後ろから飛びかかる獅子を後ろ蹴りで吹き飛ばしてから、その獅子に続いて飛びかかり背中に抱きついてきた玄武を頭を掴んで背負い投げのように地面に叩きつける。
更に朱雀の足を払って仰向けになったところを踏みつぶし、その朱雀から奪った槍で天馬を串刺しにする。
そして最後、青龍に、顔面を数センチ陥没させるほどの拳がブチ込まれて七人が一気に沈黙した。
真人の足元では羽入と梨花が蹲って震えている。
いくら彼女たちでも、目の前の現状にどうすることもできないのだ。
「な・・・・に?」
「真人!!」
「謙吾・・・・俺は・・オレは理樹に顔向けできねぇ!!!」
「今はいい!!逃げるぞ!!!」
「逃がさん!!」
二人は梨花と羽入を抱えてその場から逃げることに全力を注ぐ。
しかし、七獣がやられた事で一瞬気を取られた蒔風が、逃げていく彼らに向かって絶光砲を放とうとする。
だが
「こっちだ!掴まれ!!!」
「な?」
「うお!?」
そこに、小さな恐竜のような馬が走ってきて、それに乗ったハクオロとべナウィが四人を拾ってその場を去る。
それでも絶光砲を放とうとする蒔風だが、背後から二刀の刃が迫り、身体を回転させてそれをかわしてその姿を見る。
オボロだ。
彼の両手に握られた刀が蒔風に迫るが、それを回転しながらの回し蹴りで下げ、絶光尖を逃げた真人たちに放つ。
が、それが彼らに当たることはなかった。
白く白い、純白の翼が、その先端に当てられて、軌道を大きく逸らしていったからだ。
「・・・・神尾・・・観鈴・・・」
「私・・・こういうのは苦手なんだけど・・・・でも、絶対にいけないって言うのも、わかってるから・・・・だから!!!」
そう言って、観鈴が傍らに立つ往人の手を握る。
まるで、それがとても怖いことであると知っていて、その恐怖を押し殺そうとするように。
「わたし、戦う・・・もう誰も・・・悲しいことなんて、さなないために・・・・・」
その言葉と同時に、蒔風が周囲を警戒する。
おそらくはすでに囲まれている。
相手は神尾観鈴、国崎往人と、ハクオロ率いるトゥスクルの戦士。
森の中での戦いが、本格的に始まった。
to be continued
後書き
圭一
「オレらの戦闘シーンは!?」
レナ
「はぅ・・・・私なんて鉈も振ってないよぅ・・・・」
葉留佳
「はるちんなんて一言もしゃべってないのに!?」
沙都子
「わたくしは足手まといに・・・・」
来ケ谷
「私は活躍できたから満足だ。やられたのは心外だがな」
鈴
「一発蹴ってやりたかった!!」
詩音
「あ~あ、こんな簡単にやられちゃうなんて」
魅音
「仕方ないよ・・・あんな状況じゃ・・・・」
はい、皆さんお疲れ様ですたー
全員
「ですたー」
いやぁね?あの調子じゃどうにもキリがないので一気にやってしまいました。
ごめんね!!
沙都子「そ、そんなことで・・・・」
レナ
「でも梨花ちゃんは生き残ったから!!」
そうして彼女もやられてしまうのだった
圭一
「変なこと言うな!!!」
今回も続きますね。
こうしたほうがやりやすいと思った。
来ヶ谷
「ふむ、次回はこういう山の中での戦いを本領とした方々の出番だな」
鈴
「さらに「よくじん」が来るのか。ようわからん」
あなたの先輩です。key的に。
ではまた次回
リスト残り
キョン
朝比奈みくる
長門有希
古泉一樹
響鬼
ハクオロ
エルルゥ
オボロ
べナウィ
クロウ
カルラ
トウカ
泉戸裕理
泉戸ましろ
城戸真司
秋山連
吉井明久
姫路瑞樹
島田美波
木下秀吉
土屋康太
津上翔一
芦原涼
氷川誠
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