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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第二章 Lost Heros
  裏と表 そして・・・・・


相手の力の片鱗が見れてから三日。
蒔風は今、外を一人で回っている。



指令室では、理樹がディケイドやディエンドの「破壊機構」が始動された時の波長をモニターで監視している。
ただ単に物を破壊するならともかく、「三次元」などという実体のないものを破壊して二次元に押し込めるには、それなりのエネルギーが発生するはずだ。


その発生に即時対応できるよう、こうして動いているのだが・・・・





「舜君・・・大丈夫?」

「・・・・なのはか・・・・・ちょっと眠いな」




そうしている蒔風に、別の個所を回っていたなのは達がコーヒーを持ってやってきた。
彼女も精神的に疲労しているのか、あまり優れた顔はしていない。



「ヴィヴィオは?」

「この事は知らないよ・・・・その方がいいでしょう?」

「ああ・・・・知らない方が・・・・・いいな。はやては?」

「部屋で休んでる。ザフィーラたちがいなくなったのが、堪えたみたいで・・・・」

「それも・・・そうだな」





そう言って、会話を終わらせる蒔風。
もう彼の意識は別の方へと向いている。


動いているのはここだけではない。


翼人は常に四人動き、一人は休息を取っている状態だ。
そのうち、三人は外を回り、一人は「EARTH」本部内に必ずいるようにしている。



今はクラウド、一刀、蒔風が外に出ていて、観鈴が休息、理樹が本部待機状態で、そろそろ外の見回りを観鈴と変わる時間だ。







『舜さん、交代だよ』

「ああ・・・・じゃ、オレは本部に戻ろうかね。理樹を休憩させてやんなきゃ」

「舜君!」

「なんだ?」



「気を・・・・付けてね?」



「俺はやられねぇよ」









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―これ・・・どう思う?

―翼人の前で、嘘はばれる

―感情を感じとれるからね

―だったら、どういう事だ?あいつは嘘をついている?

―わからない・・・・

―調べてみようよ

―よし、オレがやろう








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蒔風が、モニター端から端まで見渡していく。
どこもすでに見たが、それでも見ていく。

と、おもむろに蒔風が携帯を開き、何かをチェックし始めた。
そして、その画面を見て、うんうんとうなづいてから、また疲れるようにため息をついて、モニターに映るメンバーの位置を確認した。







休憩室では、理樹が横になって休んでいる。
強制ではなくとも、彼も皆のために駆けまわっているのだ。
身体には疲労が溜まっている。


そして、携帯を取りだして連絡を取った後、喉が渇いて飲み物を取りに行った。






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―調べられたか?

―まだ確証はできないけどな

―でも、間違いは?

―ないと思う

―だったら・・・・

―まだだな。証拠が欲しい

―それなら、彼女に頼んでみるか・・・・・






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クラウドが翼を消し、ビルの屋上で周囲を見渡す。


今のところ異状はないし、誰も襲われてはいない。
怪しい人物もいない。



遠くでは一刀の翼も見える。
どうやら、なにも無いようだ。



それを確認してから、携帯を取り出してどこかに電話をかける。

そして二言三言話してから、すぐにしまった。





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―情報は引きぬけたか?

―ああ、沢山あり過ぎてわからないけど、多分これは・・・・

―数人に声をかけようよ。

―敵は・・・・・強いぞ?

―翼人は二人で行こう。他は他所にまわっていてくれ。

―妥当だな。

―了解です









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観鈴が携帯を閉じて、丘の上から街を見渡す。
冷たい風が髪を巻き上げ、それを手で押さえる。


不安な気持ちが、胸に残る。









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「破壊機構発動の反応あり!!場所は、現在華琳さん達が調査をしている現場です!!!」



指令室に、声が響き、緊張が走る。
大きな正面モニターには、そのグループのメンバーが映っていた。



リーダーは華琳、サブは恭介。他には、季衣と瑠璃、そして朱鷺戸沙耶がいた。




「来たか!!」

『もう向かっている!!』

「起動させるのが封印の瞬間だけでいい場合、もう終わっている可能性もある!!急げ!!」







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どうやら翼人達が嗅ぎ回っているみたい?


問題ないよ。オレはこのまま続行する。
さっきも仕留めたしな。



さて・・・・証拠も残してないし、こっからトンズラするかね







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「どうだった・・・・・・」

「・・・・・ダメだ」



クラウドが首を振って、報告をする。
彼が着いたときには、すでになにも残っていなかった。



「たどり着く直前に天に昇る光が五つ見えて・・・・最悪の場合が浮かんだが、その通りになってしまった」

「恭介・・・・が・・・・?」

「華琳もかよ・・・・・!!」




集まった翼人達が、現場を見ていく。
観鈴は「EARTH」で待機してもらっているので、ここにいるのは四人だ。



他のメンバーは本部に戻らせた。
もはや、調査などとは言ってられないかもしれないからだ。





「何一つとして証拠がないな」

「それどころか・・・・戦闘の跡も無い」

「そんなことありうるのか?」



そう、この現場は、一切の破壊の跡がなかったのだ。
メンバーには重量級の季衣と瑠璃がいたにもかかわらず、壁や地面は綺麗なものだった。



「しかも、証拠がなにも無い?あの恭介と華琳がか?」

「あの二人なら、どうにかしてなにかでも残そうとするはずなのに・・・・・」


クラウドと一刀が驚愕する。
知能において、かなりの高さを要するあの二人だったら、何らかの方法で証拠を残せたはずだ。
だが、それがない。

そうしようとした跡も無い。



「相手が一瞬で片付けちまったんだろ・・・・なにも残す間もなく・・・・」

「本当にそう思うか?」

「西園とクドがやられたとき、誰も気づかぬまま一瞬で撃ち抜かれ、三原がガードできたのもその後だったからだ。そんなのを一気に撃たれたら・・・・」




蒔風がとつとつと語っていく。
おそらく、相手は絶対の機会を見逃す気はもう無いのだろうと。



「本部に戻ろう。全員に伝えなきゃならん」



そう言って、この場での調査を終える蒔風。

四人が去った後には、本当に何も残っていなかった。













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そして、蒔風がさらなる犠牲者が出たという報告をした、その日の夜







「EARTH」一室、明かりもつけていない蒔風の事務室に、一人の男がいた。




男は椅子に座らず、立ちながら机のパソコンをいじっていた。
液晶の放つ明かりが、ぼんやりと男を映している。



その男は少しファイルをいじって、何かのリストを見てから電源を切る。



そして、普通に正面の扉から普通に出ていった。





エレベーターに乗り、三階に降りた。

「EARTH」ビルは4階までが吹き抜けになっている。
その吹き抜けに面しているエリアの、壁沿いの通路。

その通路を進む。
左手で壁をなでながら、遊ぶように歩いていると









「待て」









呼びとめられた。






男の声だ。
気配からして、翼人。






だが、待つことなどない。
男はそのまま歩いて進もうとする。




だから、名前をつけて、翼人は呼びとめる。







「名指しで呼んでやろうか?待て―――――」




名前が呼ばれる。
男が振り返る。






後ろ向きだった男が、こちらを向いた。






to be continued
 
 

 
後書き
あれ?おかしいな。なんだか次回で分かってしまいそうですよ!?犯人!!

華琳
「どうやら私たちのメッセージに気付いたようね」

恭介
「にしても、あれはやばかったなぁ・・・・」


五人一気にだもんね。
ちなみに、最後の「男」のイメージとしては、コナンの犯人みたいな感じで。

全身真っ黒ー♪





華琳
「次回、ついに犯人発覚よ。まったく・・・よくここまでやってくれたわね!」

恭介
「ああ、だが事件は終わらなそうだぜ?」

ではまた次回
 
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