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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第二章 Lost Heros
  犠牲を払って得た情報


蒔風の事務室前。
そこに、理樹と一刀がやってきていた。

コンコンとノックして、返事があったので部屋に入る。



「舜・・・・大丈夫か?」

「ああ・・・・・」



そう言って、眠そうな声を出して蒔風が答える。
ここ数日間、蒔風は報告があるたびに飛びまわり、戻っては調査し、また飛んで行っての繰り返しだ。

疲れも、かなり溜まっているのだろう。



しかも、そこまでやっても、いまだ手がかりなどなにも無いのだ。








あの日



巧の一言で光明の見えた蒔風だが、次の日には意気消沈して会議にあらわれ、なにもわからないと一言だけいってすぐに部屋を出ていってしまったのだ。
それからの現状はひどかった。






まず、威吹鬼と轟鬼が消えた。
こんな状況でも魔化魍は倒さねばならず、その帰りに消息が途絶えた。





次に、北岡秀一が居なくなった。
弁護士である彼は自宅に秘密度の高い書類が多くある。

その整理に何人かと一緒に家に戻って、ものの五秒。
その間に消えていた。

鏡は割られ、書類が散乱していたそうだ。






更に、神北小毬、能美クドリャフカ、西園美魚、朱鷺戸沙耶が、三原修二(デルタ)海堂直也(カイザ)と共にまとめて消えた。


主に調査に当たっていた彼女らと、それを護衛していた間の出来事だった。







だが






その最後の犠牲者は、重大なヒントを残して行ってくれていた。




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「まず。これを見てほしい」

クラウドがモニターに映像を映し、会議室にいる全員がそちらに目を向ける。


「これは先日、「EARTH」の衛星写真が捉えた映像だ。時間は、海堂たちが消えた時刻。見ていてきつい者がいたら、退出してもらって構わない・・・・・再生するぞ」




そう前置きして、クラウドがモニターを再生させた。
そこには悲劇しか映っていないとしても。






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ビル群を真上から捕らえた映像。
時間は夜遅く。暗い映像だが、人の動きくらいはつかめそうだ。


その中に、白いブロックがいくつも並んでいる。この場合、白いブロックは上空から見たビルの屋上だ。


その間、この場合では裏通りを、三人の少女と一人の男が走っている。
どうやら、三人を一人が守りながら、何かから逃げているようだ。


そしてその一瞬後、その四人が出てきたビル一階から煙が噴き出し、白い光が立ち上って、そこからバトルモードのサイドバッシャーが吹き飛んできた。


これは衛星映像なので、音は録音されていないが、きっとそれはすごい音だったのだろう。
三人の足が止まり、一人が止まらないようにと彼女らを促す。





だが、その一瞬のうちに何か白く細い光が美魚とクドを打ち抜き、小毬に迫ったそれをデルタが何とか弾く。



撃たれた二人は倒れ込んでいくが、瞬間、光が柱のように立ち上ってから消え、そのまま消滅してしまう。
それを見たデルタはジェットスライガーを呼びだしてその場から退避しようとするが、デルタの足元が爆発し、彼もまた光になって消えた。


そして、小毬はそこから一歩も動くことも出来ず、程なくして光となって消えた。



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「これが・・・・・先日、ここで会ったことの一部始終だ・・・・」

「真上からの映像でわかりにくいところもあっただろうけど、大体何があったのかはわかったと思う。で・・・・・だ」



辛そうに呟くクラウドの後を、一刀が引き継いで話していく。



「この映像は、今回の事件で唯一残った証拠。どれだけ解析しても敵の姿は出てこなかった。だけど」




一刀がコンソールをいじってある一場面で映像を止める。


それは、彼らは光となって消滅した瞬間だ。
彼らを包むように光が立ち上り、そして細くなって消えていった瞬間だ。



その瞬間の映像を停止させ、五人分を映し出す。





「見てもらってわかるように、彼らは倒された後にその場から消滅している。これが、今まで遺体もなにも無かった理由だ」


そして、その映像を拡大していく。


「で、これが拡大映像。荒くなっててわかりにくいと思うけど、ここを見てくれ」


そう言って一刀が射すのは、光の中心。
そこに、なんだかよくわからない黒い点があった。
そしてそれは、それぞれの光に一個ずつ、しっかりと存在していた。



「で、だ・・・・・これが最大拡大映像」




そう言って、めいっぱいまで拡大した画像を移す。
だが、これでは粗過ぎてもはやただの抽象画みたいになってしまっている。



「そして・・・これを解析すると・・・・」




その粗い画像が、徐々に鮮明さを取り戻していく。
その黒い点の正体が明らかになっていく。



それは、四角くて、薄い何かだった。
片面には顔らしきもの、裏面には何かのマークがついていた。



「これは・・・・・・」

「これは・・・・・ディケイドやディエンドの使うライダーカードに酷似しているものだ」




会議場にざわめきが走る。


ならば犯人はディケイドたちなのか。
確か彼は「破壊者」という呼び名だったはず。ならば本当に?



一気にざわつき、士たちに視線が向く。




ユウスケは待ってくれと周囲を落ち着かせ、そんなわけないと叫んでいる。
そんな中、士は冷静に立ち上がって、意見を述べた。




「俺や海東じゃない。俺たちはあいつらが襲われたとき、グループで一緒になった連中と一緒にいたからな」

そう、士たちにはれっきとしたアリバイがある。
それに、蒔風自身も、彼がやったとは思っていなかった。



「士は過去、すべてのライダーを敵に回して戦ったことがあるが、今回はそれをする意味が全くない。別に・・・世界は平穏なのだからな」

「?・・・蒔風?」



一刀が蒔風が一瞬間を空けたことに疑問を感じたが、頭を押さえてぐらつく彼を見て、疲れているのかと思い、大丈夫かと声をかけた。

「大丈夫だ・・・ちょっと無理しすぎただけだから・・・・で、今回の敵は、おそらくディケイドやディエンド。そのライダーシステムを利用しているか、所持しているかだろう」



ディケイドがライダーをカードに封印していくことができたのは、そのライダーを倒し、三次元での存在を破壊して二次元に押しやってカードにしていたからだ。


おそらく今回の敵は、大ショッカーが開発したその「破壊機構」を利用したもの、というのか最終的な考えだ。



「もしディエンドタイプなら・・・・封印した奴らを解放して戦わせてくるかもしれない。ディケイドタイプなら、封印した奴らの力を使って攻撃してくるかもしれない」

「たしかに、これは厄介極まりない・・・・・だが、これならまだ希望はある」

「カードに封印されているなら、まだ救い出す方法がある」


「希望が見えてきたな。今日はこれまでだ。各自、警戒を怠らず、そう言った方針で頼む」



蒔風が最後に締めて、会議は終了した。

だが、今回の収穫は大きい。敵の出方が分かったのだから。







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「なあ・・・・本当になにもわからなかったのか?」

「なにがだよ」




会議の後。
一刀が退出した蒔風を呼びとめて声をかける。
その隣には、理樹も一緒だ。


一刀が訊いたのは、先日、巧からのヒントで調査をした蒔風がなにもわからなかったのは本当なのかと。


「本当に何もわからなかった。情報がつかめない・・・・なんだ?疑ってんのか?」

「そうじゃない。だけど、みんな不安なんだ。こんなに連続でいなくなっていって・・・・・」

「まだ短いけど決して知らない間柄じゃないし・・・ねえ、本当に・・・・」



一刀が悔しそうに拳を握り、顔を俯かせる。
理樹は蒔風なら何かきっと掴んでいるだろうという期待を込めて、それでも顔を見れないでいた。




わかっているのだ。
こんなものが淡い期待だと。


敵の情報はまだ少ない。




「大丈夫だよ。すぐに終わらせてやるから」

「・・・・そんな気休め・・・・」

「終わらせる」



蒔風の言葉に、ついそんなことを言ってしまった理樹だが、それを蒔風が断じた。



必ず自分が終わらせると。



「なぁに。形はわかってきてる。あいつらも死んだわけじゃない。だったら・・・・救いだしてやるさ・・・・・!!!」




蒔風の目が静かに燃える。
決して、揺るがぬ、その想いを燃やして。











to be continued
 
 

 
後書き

小毬
「ふぇ~、や、やられちゃってるよぉ」

クド
「小毬さんッ、小毬さんはまだ最後まで入れたからいいのです!」

美魚
「そうです、私と能美さんなど、何があったのかもわからず消えたのですから」



と、言うわけで被害続出。
蒔風は何も分からず、しかし、情報は得ていく。
その情報の代価はあまりにも大きいが・・・・




小毬
「次回、迫れぬ蒔風」

美魚
「そして、犯人に迫っていくのは・・・・・」

クド
「あ、あなたを犯人ですッ!」


美魚
「能美さん、それは違いますよ?」


ではまた次回


 
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