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Three Roses

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第三十一話 論戦その十

「コーヒーを飲んでだ」
「そして、ですね」
「そのうえで、ですね」
「論戦に挑みますか」
「昼からのそれに」
「そうする」
 まさにというのだ。
「ここはな、しかし」
「しかし?」
「しかしといいますと」
「これから夜までがだ」
 まさにというのだ。
「最後の戦いになる」
「まさにですか」
「最後の、ですか」
「戦いになる」
「最後の論戦ですか」
「それになる」
 このことだ、側近達や学者達に告げたのだ。
「まさにな、だからこそだ」
「だから?」
だからといいますと」
「それは」
「そうだ、ここはだ」
 まさにというのだ。
「焦らないことだ」
「まずは、ですね」
「ここは、ですね」
「焦らない」
「そのことが大事ですか」
「夜までは」
「その時までは」
 側近達も学者達も言う。
「気を奮い立たせてですね」
「そのうえで挑みますか」
「そうして戦う」
「そのうえで」
「そこで大事であるのはだ」
 そのコーヒーを飲みながらだ、太子は言うのだった。彼もまた疲れている顔であるがそれでもコーヒーを飲むその顔の目は死んではいない。
 そうしてだ、こう言ったのだった。
「焦らないことだ、そして過ちを犯せば」
「その時はですか」
「何をするべきか」
「それはといいますと」
「他の者全てで庇うことだ」
 そうすべきだというのだ。
「それが大事だ」
「誰かが過ちを犯した時は」
「その時は、ですか」
「他の者全てで庇う」
「その者を」
「そうすることだ、さもないとだ」
 奇しくもマリーと同じことをだ、太子は言うのだった。それは彼もまた状況を理解しているからこそのことである。
「そこを付け込まれる」
「新教徒達にですね」
「そうなるからですね」
「そこは庇う」
「その時は」
「そうしなけば敗れる」
 強い声であった。
「いいな、ここで敗れても巻き返せるにしてもだ」
「それでもですね」
「我々にしてはですね」
「痛いです」
「ですから」
「負けない為にだ」
 まさにというのだ。 
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