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Three Roses

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第三十一話 論戦その九

「だからだ」
「決して侮らず」
「そうしてですね」
「焦らず失態はすぐに覆う」
「そうしていきますか」
「そうしていこう」
 こう言ってだ、そのうえでだった。
 太子達は再び論戦の場に入り新教徒達と論戦を行った。論戦は二日目も激しく行われ夜まで続いたがこの日も決着はつかなかった。
 三日、四日、五日と行われてだ。六日目が終わり。
 論戦に参加している者全てに疲れが見えていた。七日目の昼食の時jにだ。マリーは一同に濃い茶を出して言った。
「これを飲まれて下さい」
「これは茶ですか」
「東方でよく飲まれているという」
「それをですか」
「ここで、ですか」
「そうです、論戦の疲れが出ています」
 かく言うマリーもかなりの疲労が顔に出ている、他の者達と同じく。
「お茶は気付けにもなるといいますから」
「だからですか」
「ここは濃いお茶を飲み」
「そしてそのうえで」
「気を奮い立たせてですね」
「論戦に挑むのですね」
「おそらくですが」
 こう前置きしてだ、マリーは側近や学者達に言った。
「この夜で、です」
「論戦は終わりですか」
「そうなりますか」
「これ以上の議論は無理です」
 最早というのだ。
「我々も旧教側も限界です」
「激しい議論が何日も続き」
「そうしてですね」
「もう議論は続けられない」
「身体がもたないですか」
「ですから。今日が最後です」
 これからの議論がというのだ。
「夜までこのまま凌げれば」
「引き分けですね」
「そうなりますか」
「だからこそ、ですね」
「ここは凌ぐ」
「その為にも」
「あと少しです、そしてその少しの為に」
 まさにというのだ。
「ここはお茶を飲みましょう」
「まさか王女様は」
「この時の為にですか」
「お茶を置いていたのですか」
「高価なものですか」
「それもかなり」
「そうです、こうした時こそです」
 まさにというのだ。
「お茶を置いていました」
「そうでしたか」
「それではですね」
「そのお茶を飲み」
「そうして」
「最後の勝負に挑みましょう」
 こう言いつつだ、マリーは自らだった。
 茶を飲んだ、他の者達も彼女に続く。マリーは茶にも三枚の薔薇の花びら達を入れていてそれも飲んだ。
 太子も飲んでいた、だが彼が側近や学者達と共に飲んでいるのはコーヒーだった。
 その濃いコーヒーを飲みつつだ、彼は言った。
「コーヒーはいいものだ」
「はい、疲れている時は」
「気が奮い立たされますね」
「飲んでいますと」
「それだけで」
「そうだ、だからここはだ」 
 飲みつつ言うのだった、見れば彼も疲れきった顔をしている。 
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