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Blue Rose

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第四十一話 確信された事実その十

「安心してね」
「来てくれるのね」
「前から言ってたわよね」
 優子は強い声で妹に告げた。
「何かあればね」
「姉さんと龍馬は」
「助けに行くから」
 このことをだ、優子は約束した。
「何があってもね」
「それじゃあ」
「安心して」
 優花に強く言った。
「不安に思ったり戸惑ったりね」
「そうなったらいけないのね」
「何か起こる前に行くから」
 それ故にというのだ。
「平常心は保っていてね」
「平常心ね」
「これが大事なの。人間戸惑ったりして心が平穏じゃなくなると」
「その時は」
「そう、おかしなことをすることもあるから」
「平常心ね」
「こうした人は病院でよく見るわ」
 優子は携帯の向こうで残念な顔になって妹に話した。
「ご自身や家族の人のことでね」
「命に関わることとかを聞いて」
「それで平常心を失っておかしなことを言ったりする人もよ」
「病院にはいるの」
「普段冷静な人でも」
 平常心を失う事態になればというのだ。
「そうなるから」
「誰でもなのね」
「そうよ、人間は平常心を失うとね」
 まさにその時はとだ、優子は優花に話した。
「誰でもおかしな行動に出たりするのよ」
「だからなのね」
「冷静でいて」
 絶対にというのだ。
「そうしていてね」
「わかったわ」
 優花は優子の言葉を心に刻んで答えた。
「それじゃあね」
「そう、お願いね」
「このことも」
「さもないとね」
「大変なことになるから」
「そうした事態に貴女自身が追いやるから」 
 だからだというのだ。
「気をつけてね」
「それじゃあ」
「そういうことでお願いね」
 優子は優花自身にも言った、そして妹にあらためて言った。
「また療養所に行ってね」
「これからのことの相談ね」
「そうしてね」
「わかったわ」
「そして身を隠すなりして」
 そうしてというのだ。
「難を逃れてね」
「わかったわ」
 優花は姉の言葉に頷いてだった、その日のうちに再び療養所に向かった。療養所に連絡すると副所長が車で来てくれてだ。
 優花にだ、彼女のアパートに入って言った。
「もう生活用品を全部ね」
「療養所に持って行ってですか」
「暫く身を隠した方がいいわね」
「今からですか」
「相手が相手だから」
 ならず者そのものの暴力教師である可能性が極めて高い、副所長の見立てではそうだからだ。尚優花はこれを確実と見ている。学校でその目で見ただけに情報はより正確なのだ。 
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