世界をめぐる、銀白の翼
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第二章 Lost Heros
翼人対翼人 かーらーの?
蒔風とクラウドの模擬選が決定されてから数日後。
ついにその日がやってきた。
「で・・・何この大観衆」
「EARTH」地下大訓練場。
そこの観戦エリアに、なんとほとんどのメンバーが集まっていた。
皆、今か今かと蒔風とクラウドの戦いを待っている。
「どうしてこうなった・・・・」
困惑しているのはクラウドも同じだった。
この大訓練場は天井までかなりの高さがあり、二、三階ぐらいまでの高い。
だから見上げれば、上階部分にはガラス越しに何人もの観客がみえるのだ。
『さあ!!始まってまいりました翼人対決「蒔風VSクラウド」!!!実況はオレ、棗恭介が!!』
『解説はこのオレ、門矢士がやってやる』
『門矢さん、一体どっちが勝つんでしょうかね?』
『蒔風がどれだけ強いかは皆知っているだろうが、クラウドがどれだけ強いかわかんないからな。強くても、蒔風と比べてどれくらいなのかがわからない以上、まだなにも推測は立てらんねえな』
『なるほど・・・この場にいる者は、「奴」との最後の戦いでクラウドさんを見ただけでしたからね。その強さに注目です!!』
『どちらも攻撃特化の翼人。おそらく、どちらが勝ってもおかしくはない』
更にはこのように実況、解説まで付けられる始末。
完全にエンターテイメントだ。
出店を出していたり、お弁当持って来ていたりと、準備も万端だった。
プァーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!
『さあ!!時間がやってまいりました!!!ご覧ください!!今回の選手の入場です!!!』
アラームが鳴り、そんな声が聞こえて、蒔風がやれやれとベンチから腰を上げて真ん中へと向かう。
それに伴い、クラウドも気を引き締めて歩いてきた。
『実況席向かって右側!!銀白の翼、「EARTH」局長。蒔風ぇぇぇええええええええ、しゅーーーーーーーーーーーん!!!!!』
オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!
『そして対する左側ァ!!漆黒の翼、「EARTH」局長に並ぶとされる唯一の男!!クラウドォォォォォオオオオ・ストライフゥゥウウウウウウウ!!!!』
ヒューーーーーー!!!ワーーーーワーーーーーーーーーーーーーー!!!!!
「なんかおかしなことになったなぁ」
「仕方ない・・・だが・・・・・オレもお前とは戦ってみたかった」
「おや、クラウドらしからぬ好戦的な台詞」
「ふ・・・オレも最近、世界を楽しめるようになってきてな」
『では両者剣を構えて!!!』
お互いに話しながら、蒔風とクラウドが剣を握る。
「ま・・・やるからには・・・・なぁ?」
「全力・・・だッ!!!!」
『ゴー!!』
二人の剣が、轟音を鳴らしてぶつかり合った。
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蒔風とクラウドが訓練場の壁や天井までをも使って走り回り、剣をぶつかり合わせて交錯する。
が、そのスピードを侮るなかれ。どちらも翼人。開翼をせずとも、その速さはすでにかなりものになっている。
「フンっ!!」
「ハッ!!」
クラウドと蒔風がお互いに剣撃を飛ばし、それが空中でぶつかり合って四散する。
それに合わせて蒔風が獄炎弾を放ったが、クラウドもマテリアによる魔法でそれに応戦していった。
「雷旺!!」
「サンダガ!!」
「土惺!!」
「ブリザガ!!!」
その攻防は圧巻の一言だった。
おそらく、あの場に飛び込んでは誰もが巻き込まれ、立ってはいられない。
怒声の攻撃を冷気が凍り砕き
獄炎の炎を雷で弾き
火炎弾を圧水で打ち消し、降り注ぐ隕石を拳で砕いていた。
『魔法と魔法!!剣技と剣技!!どちらの剣も合体剣ということもあって、白熱した戦いが行われています!!』
『蒔風のは融合式合体剣。クラウドのは組み立て式合体剣という違い話はあるがな』
『この場合どう違ってくるのでしょうか?』
『蒔風の剣は様々な形があり、多様性に富む分、クラウドのようなすべてに重量が乗るような剣撃を受けるには二本以上で受けなければならない。対してクラウドは組み立て式という手間のかかるものを持っていながら、その機能をうまく使った攻撃や防御をするからな』
『さっきの、合体剣から一本はじき出して使ったようにですね?なるほど、両者とも不利、有利があるというわけですか』
『だな。これは本当に・・・わからないぞ・・・』
恭介と士の実況解説が流れてくるが、当の本人たちは実際そんなもの気にしてなどいられない。
正直、一撃でもいいのをもらったら終わるような状況なのだ。
クラウドは一撃が重いし、蒔風は一撃はくらった後の連撃で。
しかしその状況でも、二人は楽しそうに剣を交えていた。
命の削りあいでなく、技と力を見せ合うようなこういった戦いはクラウドにはほとんど経験がなかったし、蒔風もそういったことをしていなかったわけではないが、ここまで釣合の取れる相手がいなかったのも事実。
故に、楽しいのだ。
こうした純粋なぶつかり合いが。
「青龍!!白虎!!」
「迎え撃て!!リヴァイアサン、イフリート!!」
さらには召喚獣まで出し始めてきた。
だが、そちらの戦闘に気を取られている場合ではない。
彼らは彼らでやってもらわないと、こっちが気が気でないからだ。
宙に浮いた蒔風の放つ無数の斬撃をかわしながら、クラウドが地面を駆けて蒔風の真下へと向かう。
そしてそこから真上に向かって剣を突き出し、ロケットのように飛び出していった。
それを紙一重で躱して反撃しようとする蒔風だが、躱そうとした瞬間、クラウドの剣がグリッ、と捻られてその切っ先が、蒔風が避けようとした方向へと向けられた。
さらにはクラウドの剣がバラけ、花びらのように開いたので、紙一重で、などとはいっていられない。
「うぉガッ!?」
「チッ!!」
その攻撃に、蒔風がとっさに開翼。その波動でクラウドを押し返す。
さすがに至近で開翼されては、クラウドも下がらずをえない。
地面に降り立ったクラウドに、蒔風が使役獣を引っ込めてから十五天帝を構え、対戦相手の方向に向かって垂直に降りてきた。
それに対してクラウドも同じく召喚獣を引っ込め、開翼して受け答えた。
火花散り、魔法が入り乱れ、気合いと咆哮が響き渡る大訓練場。
両者とも力は全く互角。
否、おそらく、蒔風がクラウドの使う剣を少しでも知っていなかったら、負けていたかもしれない。
クラウドも蒔風の剣は知っていたものの、そのすべてを知っているわけではない。
だが、その有利性を以って蒔風はクラウドと互角なのだ。
逆だった場合、負けていた可能性は高い。
「そんなこともできるんだな、シュン」
「知らなかったか?じゃあこれは知ってっか!?心象的世界破壊!!」
「うぉ!?」
ここで蒔風が畳み掛けるかのように固有結界を発動、その破壊現象にクラウドを巻き込んだ。
と、言っても相手はクラウド。
このようなことでは倒れないし、また、彼が動かない、という選択肢を取るはずがない。
蒔風はその中での法則性は知っているものの、その法則を自由にすることはできないため、相手の動きから発生する事象を防ぐのは実際には難しいのだ。
だから、この技はギャンブルなのだが・・・・・
「うわぁッ!?バッ、バナナの皮ぁッ!?」
ツルンッ、ステーーーン
「か、金盥が・・・ごわっ!?」
ガラガラガラガラ、ゴガンッ!!
お互いの行動によって起きた現象で現れたのは、バナナの皮と空から落ちてくる金盥の雨。
それによって蒔風は滑って転んで後頭部を強打。
クラウドは金盥を脳天に食らってグラついていた。
二人は今までの戦闘で、決定的な一撃は喰らわなかったものの、その疲労と軽傷は確実にその体に蓄積されていっていた。
今さら言う話だが、この大訓練場の空間には時空管理局から提供された「非殺傷設定フィールド」が適用されている。
つまり、どんな攻撃を食らっても、怪我にはならないのだ。
この空間では、ダメージはすべて疲労として蓄積されていく。
だから胴体を切られた場合、腹筋に力が入らなくなったり、右肩を貫かれた場合にはそこが疲れてしまい、上がらなくなるのだ。
そして死に至るレベルのダメージを食らうと、自動的に気絶にされてしまう。
その際、死亡で終わったか気絶で終わったかはモニターで判断される。
だから、この空間では怪我も疲労となって溜まっていく。
そんな空間で翼人二人が暴れたのだから、その本人たちは相当疲れていることだろうし、実際そうだった。
もしかしたらこんなアホなことで二人の決着になってしまうのでは?と、その場の全員が思ってしまったほどだ。
『さて・・・・固有結界も切れ、二人はいまだに頭をさすっていますが・・・・』
『さすがと言わざるをえないな。さすがは翼人。蒔風と並ぶとされるだけある』
「クラウドーーーーーー!!負けんじゃねぇぞ!!!マリン、言ってやれ!!」
「頑張って、クラウド!!」
「ほらクラウド!!マリンにここまで言われちゃ、勝つしかないよ!!」
「む、こちらも負けずに応援だ!!舜!!負けるな!!」
「舜パパーーーーー!!負けないでーーーー!!!」
「舜君!!ほら、立って立って!!」
「バレット、なぜいる?というか、マリンにそういわれたら負けられないだろう!?」
「俺は パパじゃ なーーーーーーーーーーーーーい!!!!!」
『両者とも応援席からの声援が耐えません。中には「蒔風たまには負けちまえ」などという声も聞こえてきます!!』
『あとで説教だろうな、そいつら。ばれないことを祈る。にしても・・・・・』
『どうしました?』
『これは・・・・チャンスじゃないか?』
『え?』
士の言葉に、恭介が訊き返す。
今こいつ何を言った?
『みんな、思い出せ。知っているはずだ。蒔風は強い。今ここにいるやつの中には、ボコボコにされた者もいれば、一緒に戦った者がいただろう。そして、こうは思わなかったか?』
あいつに勝ってみたいなぁ・・・・と
「「「「「「「!!!!????」」」」」」」
『確かに、俺たち全員が向かっても勝てないかもしれない。だが、今ならどうだ?むしろ、今しかない。蒔風に勝ってみたい奴は立ち上がれ・・・・しかも、漆黒の翼人のおまけつき♪』
え・・でも・・・
あそこに突っ込むのかよ・・・・
ってか、そんなの夢物語じゃん
そんなざわつきが訓練場の全域を覆う。
ちなみに、翼人二人は戦闘中で全く耳に入っていない。
『じゃあ・・・・蒔風を泣かせてみたいか?』
『『『『『『それはある』』』』』』
『満場一致!!ならばよろしい、フルボッコだ。たちかがれ有志達よおオオオオオオオ!!!!』
ウオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!
「な、なんだ!?」
「全員が襲いかかってくる!?」
「獲れ!!翼人を倒した称号を!!全員で打ち取れ!!!!」
「「士テメエえええええええええええええ!!!!!!!」」
ディケイドに変身した士が全員を先導して二人に突っ込んできた。
お前が大戦おっぱじめてどうする。
その彼らの行動に、なんとなく内容がわかった二人。
そして、こうなっては仕方ない、と二人は戦闘をやめ、その剣の切っ先を他に向けた。
「シュン、いけるか?」
「誰に言ってんだ。お前が行けんなら、俺も行ける。ま、あと一人増えたらきついだろうが」
「その時はオレが一人多く倒すさ」
「あ!!ずりぃぞお前!!じゃあオレは二人!!」
「三人」
「四人だ!!」
『さぁ始まりました「EARTH」最強決定戦バトルロワイヤル!!実況は私、高町ヴィヴィオとー♪』
『解説は私、古手梨花と羽入がしますです、にぱー。そういえば羽入、あそこにはいかないのですか?』
『あぅあぅ。こっちの方がのんびりシュークリームが食べられるのですよ。あぅ』
「向かってくるなら、全員倒す!!」
「くそーーー!なんでこーなるのーーーーーー!!!??全員覚悟しとけや!!!」
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数時間後ー♪
なのですよー
にぱー
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「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・・」
「か・・・勝った・・・・・・」
「綺麗にいったのは・・・最初だけだがな・・・・」
「勝てたんだから・・・・・・いいじゃねえか・・・・」
大訓練場のど真ん中。
そこで、蒔風とクラウドが己の大剣を床に突き立て、その側面に寄りかかってへたり込んでいてた。
その周りには二人に挑んできた「EARTH」メンバーが死屍累々。
訓練場の大モニターには、軒並み「気絶」と書かれていて、「死亡」の文字は一つもない。
「シュンは・・・何人倒した・・・・」
「さぁな・・・途中から数えてない・・・・お前は?」
「興味ないね・・・・」
「じゃあ聞くなよ・・・」
「戦果は・・・半分ずつ・・・だな」
「じゃあオレの勝ちだ。フリードやってるし」
「だったらこっちはあれだ。ドラグレッダー落とした」
「まて、一刀の武器=人数分だからオレの勝ちじゃね?」
「それならオレだってアーチャー切り捨てたぞ」
「翼人だからこっちが上だ」
「なら理樹を落としてるから互角だな」
「いやいやだから・・・」
「まて、だったら・・・・」
そんな口論をしながら、蒔風とクラウドが剣を握ってまた立とうとする。
こいつらまだやる気なのか?
と、そこで
「いい加減にしなさいッ!!!」
「ガっ!?」
「アぐっ!?」
ゴゴンッ!!!といういい音がして、クラウドと蒔風の頭が地面にめり込んだ。
その跡に立っているのは、アリス。
翼人がいかに管理者より強くとも、相手がこの状態ならば勝つことも可能なのだ。
そう、その拳骨が二人のドタマにぶち込まされて、仲良く沈黙させられたのだ。
「まったく・・・こういうイベントがあるのは知ってましたけどね、やり過ぎはいけませんでしょう・・・・ほら、仕事あるんですから、来てください。クラウドさんにも手伝ってもらいますよ?」
そう言いながらアリスがズルズルと二人を引きずっていく。
ちなみに絶賛気絶中だ。
「せっかく管理者の立場からあなた方と同じ世界で生きていこうと思っていたというのに、いきなりなんですかこの人たちは・・・・ブツブツブツ・・・・・」
『今回の「EARTH」最強決定戦バトルロワイヤルの勝者は、アリスなのですよー』
『飛んだダークホースだったわね・・・・・さすがは管理者、ってとこね』
『梨花ちゃん、話し方ちがーう』
『気にしてはいけないのです。にぱー』
「何故だ・・・・なぜオレもこんな書類を・・・・」
「愚痴るなクラウド。オレは毎日だ」
「・・・・・・すまん」
to be continued
後書き
どうでしたか?
まさかのアリスの勝利。
蒔風
「あれは完全にいいとこ取りだった」
クラウド
「何故オレがなぜオレがなぜオレが・・・・・・」
あ、ちなみにこっちのクラウドは「めぐ銀」仕様なので、キャラ崩壊が激しいかもです!!
クラウド
「おい、他の奴らは出さないのか。ティファとか」
黙れリア充
蒔風
「文面上だけどな。こういうときって、二次元・・・じゃないよな?」
クラウド
「線だけだから一次元だろ」
蒔風
「おい作者。今度友人にイラスト描いてもらえ」
うっさい黙れ。
クラウド
「次回、今度はあの人にスポットライトだ」
ではまた次回
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