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ファイアーエムブレム聖戦の系譜 〜幾多の星達〜

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117部分:再会その三


再会その三

「頼むね」
「・・・・・・解かりました」
 もとより逆らうつもりは無い。それに従い敬礼した。そして下馬しパティと共に歩いて行く。オイフェは二人を見ながらかなり心配そうである。
「大丈夫でしょうか、あの二人で」
「う〜〜ん、まあ信じてあげようよ」
 セリスが少し困った様な、観念した様な笑いを浮かべながら言った。
「パティ・・・・・・・・・」
 普段は彼女と喧嘩ばかりしているオルエンが手を握り締め不安そうな表情で見ている。フレッドはそれを見て微笑んだ。
「どうしたの?」
 オルエンはフレッドの方を振り向いて問うたが彼は微笑を浮かべたままパティ達の方を見て言った。
「何も」
「そ、そう」
 彼女はすぐにパティ達の方へ向き直る。そして心配そうにずっと彼女達を見ている。
(優しい人だ)
 そう思いながらオルエンをチラリ、と見た。パティから目を離さない。
「しかし何で御前の知り合いだってわかったんだ?」
 レスターは弓矢を手に持ちながらパティに問うた。
「そんなの決まってるじゃない」
 パティはにこりと笑って言った。
「何だ?」
「カンよ」
 何も言い返さなかった。ただ嘆息をついた。
「・・・・・・・・・それで知り合いって誰?」
「よくぞ聞いてくれました、それこそはあたしのお兄・・・・・・」
 その時二人は同時に気配を感じた。矢が数本立て続けに襲ってくる。
「危ない!」
 レスターが叫んだ。オルエンが悲痛な表情で叫んだ。
 パティは声がするより先に思いきり後ろへ跳び退いた。レスターが彼女を庇う様に跳んだ。
 矢はカカカッ、と一列に地面に突き刺さった。レスターは跳び退きながらパティを護る様に抱き締めた。その時一瞬唇と唇が重なり合った。 (えっ!?)
 だがレスターは気付かない。二人はそのまま地面へ滑り込んだ。
「だ・・・・・・大丈夫か!?」
 レスターは自分の下にいる従妹を気遣った。自分の姿勢には気付いていない。
「大丈夫だけれど・・・・・・」
 パティが言った。
「どいて」
「えっ!?」
 レスターはようやく今の状態を理解した。右手はパティの頭の後ろにあり左手は胸を掴み、身体は彼女に覆い被さっている。両足はその黒いタイツに覆われた足と足の間にある。
「ご、御免!」
 慌てて跳び退き彼女に背を向け埃を払う。
「いいわよ」
 彼女の言葉はあっさりしたものだった。
「けど・・・・・・助けてくれて有難ね」
「う、うん」
 レスターは耳まで真っ赤にして頷く。彼女はそんな従兄を見ながら唇に右の人差し指を当てた。 
(初めてだったんだけれどな)
 指を唇から離した。
(まあいいか。そこそこ格好良いし強いし性格も悪くないし)
 パティは帽子を被り直し森の方を向いた。そして大声で叫んだ。
「ファバル兄さん、何やてんのよ!」
「へっ!?」
 一同目が点になった。兄と呼ばれた当の本人が森からゆっくりと出て来た。長身で金髪碧眼の青年である。
「あれパティ、御前何でこんなところに?」
「何で、じゃないわよ。兄さんこそ何でフリージに手を貸しているのよ!」
「いやあ、報酬が良かったし」
 姫様が綺麗だったから、とは口が裂けても言えない。
 
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