FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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修行開始
前書き
日常編が長いとの感想をもらったのでちょっと巻き気味でやっていこうと考えていますが、そもそもどれだけの長さになるのか決めてなかったのでどうなるのかわからないというね。まぁゆっくり行くとしますか。
「この辺でいいかな?」
今日俺たちは街から大きく離れたある山へとやって来ている。その中で比較的木々が少なく、広いスペースが確保できる場所で足を止めた。
「ここなら大丈夫そうだよね」
「うん!!誰かをケガさせることもないし!!」
今日のメンバーはいつも通りの八人。まだまだレオンのケガは治っていないけど、激しい運動さえしなければ大丈夫だろうという勝手な判断により、彼もこの場へとやって来ている。
「はい!!私はシリル先輩とやってみたいであります!!」
「早い早い」
手をピンッと伸ばし立候補してきたのは最年少少女。実は今回この場所に来たのは依頼のためではない。
カノッコ村での出来事があったため、みんな強くなろうと考え、修行をするためにやって来たのだ。
「レオンがいなかったらヤバかったもんね、あたしたち」
「俺死にかけてたけど・・・」
あの時のことを思い出しただけで鳥肌が立つ。本気で死んでしまうのではないかと思えるほどの重症となった俺は、偶然現れたレオンのおかげで生還することができただけ。もしその偶然が起きなければ、今ここには誰一人としてやって来ることはできなかっただろう。
「ウェンディもドラゴンフォース、できたのは一度だけだったものね」
「そうだね・・・」
シャルルの言葉にガックリと肩を落とすウェンディ。彼女はイネスという大男を倒した際、ドラゴンフォースを自らの意志で解放して勝利を納めた。だけど、その後の戦いでは開くことができず、あっさりとやられたことが非常に悔しかったらしい。他にも各々思うところがあるため、それぞれの課題を解決し、より強くなろうという企画だ。
「レオンも参加する?」
「ケガしない程度にね」
「もうしてるじゃん~」
松葉杖こそ使用しなくてよくなったものの、まだまだ走ったりするのは困難な状態。そもそもこんな短期間で松葉杖を外せたこと事態が奇跡としか言いようがないと医者もビックリしていた。だって俺たちの治癒魔法が効かないくらいだったんだもん。もしかしたらもう治らないかもとすら考えたよね。
「参加するけど、そもそもどんな修行をするつもりなの?」
少年の問いに思わず全員が顔を見合わせる。それから数人が首を振り、何も考えていなかったことが判明した。
「とにかく戦ってトレーニングするしかないよね!!」
「はい!!賛成であります!!」
数をこなしていけばきっと成果が挙げられる。てかそれが一番の基本だと思うんだよね、だって実践で得られるものってすごく大きいし。
「でも、それぞれやりたいことは違うんじゃないの?」
「??でも強くなろうとしてるのは一致してるよね?」
シャルルから言われたことに首をかしげる。それぞれ何をやりたいのかは確かに違うけど、強くなりたいという考えは同じなはず。だったら実践で身に付けていくことが一番の近道だと思うんだけど・・・
「シリルは何をしたいの?」
一度それぞれの考えを確認しようとレオンが問いかける。やりたいことと言われるとパッと思い付くのは・・・
「やっぱりもっと力を上げたいかな」
細かな技術はかなりあると自分でも認識している。フェイントやら動きを先読みするやら、そういうスキルはかなり高い分類に入ると思う。
しかし、パワーにおいてはどうだろうか。まだ成長途中なのもあるけど、かなり非力なんだと日々痛感させられる。主に目の前にいるやつがパワーがありふぎるのが原因なんだけど。
「ウェンディは?」
「私はドラゴンフォースを使いこなせるようになりたいと」
ウェンディは冥府の門とこの前の依頼で解放することができたドラゴンフォースの完全な習得。俺も使えるようになりたいとは思うけど、できたの一回だけで、それも間接的にウェンディの力を借りての物だから、感覚がわからないんだよな。ウェンディができるようになったらコツを教えてもらおうかな?
「シェリアは?」
「もちろん魔法のキレを上げようと思ってるよ!!」
パワーも重要だけど、それを繰り出す上でのキレはすごく重要なものだと思う。スピードがあってもパワーが強くても、キレがないと当てることは困難だろうし。
「サクラはスピードだろ?」
「私にも答えさせてくださいよ!!」
サクラは前々からずっと課題として上がっている魔法陣を書き終える速度のアップ。彼女の魔法は何よりも速く発動することが肝となるものだから、誰からでも容易に想像できるんだけどね。
「んで、お前たち三人は・・・」
「言われなくてもわかってるわよ」
「基礎を身に付けないとね~」
「まず戦い方がわからないし」
エクシードトリオはバトルへの参加がほとんどなかったから、まずどんな風に戦うのかが分かっていない。それを解決しないと、足りないものを補っていく段階になど入れるわけがないのだ。
「これでもお前は実践を求めるの?」
「うっ・・・」
レオンからジト目で見られて押し黙る。彼の言うことにも一理ある。この状態で実践に取り掛かっても、やりたいことがやれないし、うまく回るはずがないか。
「時間はあるし、今日はそれぞれ「これだ!!」と思うことをやってみればいいんじゃないの?」
「うん。わからないとこだけみんなで相談すればいいよね」
多数決により今日は自由に自分が強くなる上でやるべきだと思うことをやってみることにする。でも、俺は何をやればいいのかな?力を高める方法・・・
「筋トレ?」
「それは物理的力だと思うけど?」
目を閉じて頭を悩ませているうちにみんな方々へと散っていったようで、その場にはレオンしかいなかった。
「じゃあどうすればいいのさ!!」
筋トレならパワーアップも簡単!!と思ってたのに、魔力が上がるわけではないからとレオンに釘を刺されてしまう。
「魔力を高める練習でもしてみれば?」
「どうやって?」
その方法が思い付かないから困っているのに、あっさりとそんなことを言ってくる少年にちょっとイラッとする。だが、彼はちゃんと考えを持っていたらしく、飄々と口を開いてみせる。
「全開まで魔力を高めてそこでキープしてみて」
「わ・・・わかった」
言われるがままにやってみる。まずは魔力を全開まで高めて・・・
「もうちょい上げて」
「くぅ・・・」
ギリギリまで高めているつもりだけど、煽られてやってみるとまだ少しずつ上がっていく感じがする。それからしばらくして魔力の上限を向かえ、その状態を維持しようとすると・・・
「ぐはっ・・・」
耐えることができずに、魔力が一気に抜け落ち、その場に倒れ込む。
「難しいでしょ、これ」
「た・・・確か・・・に・・・」
ただ魔力を限界値まで高めただけなのに、体がプルプルと震えるほどに疲労している。さらにこれで維持しなきゃいけないなんて、かなりキツイぞ。
「ちなみにレオンはできるの?」
「やれるけど・・・」
呼吸を整えながら命じてきた人物はこれをできるのかと聞いてみたところ、彼は何故か歯切れが悪くそう言う。
「今やったら骨砕けるかも」
「な・・・なるほど・・・」
やってみてほしいと思っていたところ、今現在ケガをしている彼はこれをやるとかなり危険な状態になるらしい。こんな大ケガでやったら、死んじゃうかもしれないよね。
「ほれ、もう一回」
「ちょっ!!もう少し休ませてよ!!」
バトルやトレーニングをしたわけではないのに、全身が激しい疲労に襲われており、なかなか立ち上がれない。これ、今日一日でできるようになるかな?なんだか不安になってきた。
セシリーside
みんなで別れて修行に入った僕たちは、今は三グループに別れているよ。
「ラウたちはどんなことしよっか?」
「そうね」
「う~ん・・・」
三グループの内訳はシリルとレオン、ウェンディとシェリア、そして僕とシャルルとラウルとサクラとなっている。別れてから気付いたけど、僕たちは戦い方の基本を覚えたいのに、このメンバーじゃどうすればいいのかな~?
「サクラは何でここに来たの?」
「一番楽しそうだったから!!」
魔法の速度を高めたいサクラは僕たちと一緒に修行するのが楽しそうとこのグループに来たらしい。
「じゃあサクラがラウたちに戦い方教えてよ」
「それいいかも~」
ラウルのナイスな提案にすぐさま賛同する。サクラはある程度戦えるから、バトルのことを教えてもらうのはいいかもしれない~!!
「いいよ!!でも、私のにもちゃんと付き合ってよね?」
「もちろん!!」
サクラも強くならなきゃいけないわけだし、お互いに協力し合わないと・・・あれ?サクラってシリルの弟子だったような・・・別行動でいいのかな~?
ウェンディside
「これくらい離れればいいよね」
「うん、大丈夫だと思うよ」
ある程度の距離を取り安全を確保します。十分な距離を取っておかないと、ぶつかってケガしちゃうかもしれないし。
「ウェンディはどんなことをするつもりなの?」
自然にシリルたちと別れてシェリアと一緒になっているんだけど、具体的にどのような修行をするか彼女に問われて一瞬固まってしまいます。
「まずはできた時の感覚を思い出してみようと思う」
「感覚?」
しかし、すぐに名案が思い付きました。ドラゴンフォースができた二回にはきっと共通点があるはず。それを思い出して扱えるようにすれば、きっと自在にドラゴンフォースが使えるようになるはず。
「じゃああたしも手伝ってあげる」
「え!?」
早速取り掛かろうとしたところ、シェリアがそんなことを言ってくれます。気持ちはすごくうれしいし、うまくできるかもしれないと希望が出てきました。でも・・・
「シェリアは自分のことしなくて大丈夫なの?」
彼女は魔法のキレを上げたいと言っていたのに、自分のことではなくて私の手伝いなんかしてちゃダメなんじゃないか。そう心配になり質問してみました。
「えへへ・・・実は何やればいいかよくわかってなくて・・・」
「そ・・・そうなんだ・・・」
苦笑いしながら頭を掻いている少女。魔法をただやっていくのでは効果は薄い。何かキレを作る上での練習を考えられればいいんだけど・・・
「そうだ!!」
しばらく考えていると、一つの練習法が思い付きました。これは難しいだろうから、きっといい練習になるはず。
「シェリア!!いい方法が思い付いたよ!!」
「え!?ホント!?」
何をやればいいか考えていなかったシェリアはそれを聞いてパッと笑顔になります。なので、早速私は思い付いた練習を教えます。
「あそこに木があるでしょ?」
「たくさんあるね」
ここは山の中ということもあり、見渡せば木々がたくさん生い茂っています。
「この位置から手前の木を倒さないで、真後ろにある木を一本だけ倒してみるのはどう?」
「え!?手前の木を倒さないで!?」
あまりの提案に目を見開くシェリア。普通なら木を一度の攻撃で何本倒せるか、とかやると思うんだけど、それだとただ威力を上げているだけだと思う。対してこれなら、手前の木を避けつつ奥の木を一本だけ倒すから、コントロールと瞬発的な力が上がって、結果的にキレがよくなると思います。
「とりあえずやってみるね」
「うん!!」
満を持して右手に魔力を溜めていくシェリア。狙うは自分の正面にある木の真後ろにある木!!
「天神の北風!!」
勢いよく放たれた黒い風。でも、それは手前の木こそうまく避けることができましたが、その後ろの木にも当たることなくすり抜けていってしまいました。
「む・・・難しい・・・」
悔しそうに顔を歪ませる少女。提案した私が言うのもあれだけど、これ、かなり難しいんじゃないかな?
「ごめんウェンディ!!あたし、これできるまでやってていい?」
「もちろん!!私も今は感覚を高めたいから」
技術を磨くシェリアとドラゴンフォースを身に付けたい私はそれぞれ別々に修行をすることにしました。まずはドラゴンフォースを解放できた時の感覚を思い出すために、魔力を高めてみようと思います。
「まずは空気を吸い込んで」
ゆっくりと深呼吸を繰り返した後、周囲の空気を一気に吸い込んでいく。たくさんの木々に囲まれたところだから、空気が澄んでいてすごくおいしい。これだけ美味しい空気なら、きっとドラゴンフォースを使えるヒントを得られるはず。
「スゥ・・・」
目一杯空気を吸い込んだ後、一度止めてから全身に魔力を流しつつ空気を吐き出す。
しばしそれを繰り返して魔力を高めていく。あの時のように・・・全身に力がみなぎるのを感じながら・・・
「ハアアアアアアア!!」
できそうだと感じたその瞬間、声を張り上げて魔力を一気に放出する。これで条件は整った!!ドラゴンフォースが解放できるはず!!
「できてる?」
「何も変わってないよ」
休息を取っているシェリアに今の私の姿を見てもらうと、彼女は不思議なものを見るように、何も変化のない私のことを見ています。
「おかしいなぁ、これでできるはずなんだけど・・・」
うまくできたような気がしていたのに、実際には何も起きていない。その後何度もやってみましたが、私に限らず誰もやりたかったことができず、その日を終えてしまいました。
後書き
いかがだったでしょうか。
初めての修行編といった感じでやってみましたが、うまくできてるのかわかりませんね。次も似たような感じでやっていきたいと思います。
そんなに長くはやらない予定だけど、実際はどうなるか未定です。
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