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提督はBarにいる・外伝

作者:ごません
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提督はBarにいる×プレリュード編・その6

 
前書き
※注意!※

 ここからはかなりゲテモノ食いの世界に突入していきます。味は作者が試しているので保証しますが、試すなら相応の覚悟と度胸を持ってやりましょう。結果出来上がった物が、貴方の口に合わなくても作者は一切の責任を負いません。悪しからずm(_ _)m 

 
 天ぷらでデザート。一見結び付きそうにない両者だが、高級割烹等では『無花果の天ぷら』や『柿の天ぷら』等が食後のお茶請け等に提供される事もある。しかし今回はもっと手に入れやすい物で、天ぷら×デザートの要望に応えてみたいと思う。まずはフルーツから、『バナナの天ぷら』をご紹介。

《揚げると甘味UP!?バナナの天ぷら》

・バナナ:1~2本

・薄力粉(まぶし用):小さじ2

・薄力粉(衣用):1/2カップ

・卵1/2個

・冷水:60~70ml

・粉糖:適量

 バナナを加熱するというのは、エスニック等のスイーツではよくある手法だ。しかしバター等でソテーしたりするのが一般的であり、あまり揚げたりはしない。そんなバナナが揚げ物の代表格のような天ぷらにした時に美味しいのか?それが問題だ。

 まずはバナナ。皮を剥いて、半分の長さにしてから縦に半分に割る。そこに薄力粉をまぶしておく。

 次は衣だ。デザート系の天ぷらの衣は、所謂普通の天ぷらとは少し作り方が違う。サラサラとした衣ではなく、少しもったりとした粘りのある衣に仕上げる。もし不安なら、今回の衣の材料に片栗粉を大さじ2ほど加えてもいいかもな。

 油の温度は170℃。バナナに衣を纏わせて、油の中へ躍らせる。揚げ具合は普通の天ぷら同様、衣がサックリとすればOKだ。油を切り、熱い内に粉糖を表面にまぶせば完成。今回はそこにバニラアイスを添えてチョコソースをかけた。

「はいお待ち、『バナナの天ぷら・バニラアイス添え』だ」

 熱を加える事で甘味が増してトロトロになったバナナに、サクサクの衣。そこにアイスを合わせると、天ぷらの衣の歯応えがアイスのコーンに感じられて来るから不思議だ。ちなみにだが、手軽に手に入るフルーツではリンゴも天ぷらにすると美味い。リンゴ本来のシャリシャリという食感も残りつつ、酸味と甘味が際立って、新たなリンゴのホットスイーツが出来たような感覚が味わえる。




 さて、次は果物ではなく市販のお菓子を揚げてみようと思う。まずは甘い菓子の代表格『チョコレートの天ぷら』から。

《海外だとメジャー!?チョコの天ぷら》

・チョコレート(製菓用のブロックチョコ):200g

・生クリーム:50cc

・ブランデー:5cc

・春巻きの皮:1枚

・薄力粉:1/2カップ

・冷水:50~60ml

・卵:1個


 実はこのチョコの天ぷら、オーストラリアのシドニーにある和食レストラン『吉井』で提供されていると聞いて、どんなもんかと作ってみた自己流レシピなんだよな。だから、実際のレシピとは違うと思うからそこは注意な。

 まずはチョコをそのまま揚げずにガナッシュを作る。お菓子をあまり作らない人のために説明すると、ガナッシュってのはチョコレートに生クリームを加えた口どけの滑らかなチョコレートの事だ。湯煎しながらチョコを溶かし、生クリームと香り付けのブランデーを少しずつ加えながら混ぜ、型に入れて冷し固める。ガナッシュは冷えてもガチガチには固まらず、ある程度の柔らかさがあるので冷やした後でも成型しやすい。

 そして次が最大のポイント、冷し固めたガナッシュを春巻きの皮で包む。試作当初は揚げている最中にチョコが溶け出してきて悲惨な事になったりしたが、春巻きの皮で包んでから天ぷら衣を付けて揚げるのを思い付いてからは漏れる事もなくパリパリという食感もプラスされて一石二鳥だった。

 春巻きの皮で包んだら、手早く衣を付けて揚げる。春巻きの皮で包む前に、衣は準備しておこう。ドロッとした粘りけの強い衣にするのがポイントだぞ。揚げ時間は30秒~1分。揚げ過ぎれば幾ら春巻きの皮とはいえチョコを留めておけないからな。手早い調理が求められる。


「さぁ、デザート系天ぷら『チョコの天ぷら』だよ」

 2人は戸惑いながらも箸で摘まみ上げ、一口パクリ。衣のサクサク、春巻きの皮のパリパリ感、そして中心から溢れてくる温かく蕩けたチョコレート。今までにない斬新な食感の一品だろう。

「美味っ!何これ!」

「チョコって揚げれるんだな……」

 何事もチャレンジよ、帆波大佐。さて、お次は更にビックリしてもらおう……この時期には嬉しいアイスの天ぷらを味わってもらおう。




 熱で溶けてしまうアイスを、揚げ物にしてしまう。暴挙のように思えるそのレシピを開発したのが、新宿にある『天ぷら つな八』。ここのアイスの天ぷらは一度食べたが、どうやって作っているのか分析不能だった。アイスの周りを覆っているのは、天ぷらの衣のみ(に見える)。何かで熱に触れないように覆っている訳でもないのに、中のアイスはしっかりと冷たさを残しつつ程よく溶けた絶妙な揚がり具合。そこに季節のフルーツを使ったソースをかけて食べるのだ。プロの仕事にただただ感服してしまった。

 しかしそれで終わっちゃあ俺の名が廃る。どうにか出来ないかと模索していると、探せばあるものでアイスを食パンやカステラ等で包み、ラップで抑えて一晩凍らせ、そこに衣を付けて揚げる、というアイスの天ぷらのレシピを見つけた。見つけたのだが……正直、そんな手間をかけるのが面倒くさい。そこで俺は、市販のアイスでどうにか出来ないかと色々試した。その中で美味かった奴を3つ、紹介したいと思う。

《提督厳選!アイスの天ぷら3種》

(雪〇だいふくの天ぷら)

・雪見〇いふく:1つ

・チョコの天ぷらに使った衣:適量

・片栗粉:大さじ2

 真っ先に思い付いたのがこれ。餅をカステラの代わりにしようって算段だ。チョコの天ぷらに使った衣に更に粘りを出すために片栗粉をプラスして、衣を付けて揚げる。揚げ過ぎると餅が爆発するしアイスが流出するので揚げ時間は30~40秒くらいかな。『つな八』の天ぷらよりは溶けているが、これはこれで。

(あずきバーの天ぷら)

・あずきバー:1本

・雪見〇いふくで使ったのと同じ天ぷら衣:適量


 これも中々美味かった。井〇屋のあずきバー。しっかりとした小豆の風味と素朴な甘味と、歯が折れそうな堅さw和風味のアイスの頂点だと個人的にはおもう。揚げにくそうだったので棒は外し、衣を付けて油へダイブ。こちらも揚げ時間は30秒くらい。元々ガチガチに堅い小豆バー、揚げてもそれほど溶けずに中心には堅さが残る程だった。もし心配なら5mm位の厚さに切ったカステラでも巻き付けて、それから一晩冷凍庫で凍らせてから衣を付ける方法もあるぞ。肝心の味は文句なし。ちょっと溶けたアイスと天ぷら衣が合わさって、あんこ入りの最中アイス食べてる気分になった。

(アイスもなかの天ぷら)

・アイスもなか(お好きなの):1個

・薄力粉:200g

・炭酸水(サイダーじゃないよ):200cc

・卵:1個

こいつも発想は雪見だいふくと同じ。もなかの皮に断熱材になってもらおう、という事だ。キンキンに冷やした炭酸水と卵、薄力粉で粘りけの強い衣を作り、お好きなアイスもなかを潜らせて揚げる。揚げ時間は長くても40秒くらい。若干油を吸ってワッフルコーンのような食感になったもなかの皮が面白い。揚げるアイスもなかは好みでいいが、チョコが中に入っているタイプを揚げる時には細心の注意を払う事をオススメする。気を抜いたら大惨事になるぞ。



 さて、まだまだ披露し足りないが、デザートも出してしまったし今宵はお開きだろう。

「いや~、噂に違わぬ腕前でした。御馳走様です」

「な、中々美味しかったわよ」

 2人もどうやら満足したようだ。

「まぁ、まだ出してねぇ天ぷらもあるからな。またその内に来ればいいさ」

 俺がそう言うと、2人揃って『えっ』という顔をしていた。当たり前だ、天ぷらだけで100は下らねぇレパートリーがあるぞ、俺は。

「あ、あはは……じゃあ、またその内に」

「だな。今度は演習相手になってやるぞ、軽く揉んでやるから連れてきな」

 そんな俺の軽口に、過敏に反応しているのは秘書艦の叢雲。此方への敵意がその眼にみなぎっている。こういう反抗心強いのが、俺は嫌いじゃないんだ。

 その日、帆波大佐と叢雲はウチのゲストルームに宿泊し、翌朝早くに旅立っていった。あぁいう若いのが育ってんなら、海軍も安泰かねぇ。そんな親父臭い事を考えながら、俺は床に就いた。 
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