| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

真剣で私に恋しなさい!S~それでも世界は回ってる~

作者:navi
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

42部分:第三十八話 世間は狭いもの



第三十八話です
ではどうぞ〜

********************************************
第三十八話 世間は狭いもの


2009年6月10日(水)


「俺はシンロン。愛も情も許さない……いざ勝負、川神百代!」

ドカーン!

「うぐわぁ!お前に勝ち、梁山泊に入ろうとしたものをー!」


いつもの如く、モモに挑んだ挑戦者は星になった。モモはその後に大和へちょっかいを出す。うん、いつも通り今日も平和だ。


「リンリンリリン、リリーン♪」


そこへ文学少女こと、葉桜先輩が現れる。


「おお見ろモロ!葉桜先輩だぞ清楚だなぁ!」

「本当だ…見てよ。自転車に乗る姿も絵になるねぇ」


ガクトとモロは葉桜先輩に目を向けると、葉桜先輩もこちらに気づいた。


「モモちゃん、天城くん、こんにちはー」

「こんにちは葉桜先輩」

「こんにちは清楚ちゃん!おっぱい揉んでも……」

「モモ?(ゴゴゴ……)」

「じ、冗談だよ悠里……(ガタガタ……)」


暴走しかけたモモを、黒いオーラを出して止める。まったく、油断も隙もないな。


「あれ?姉さんと兄さんはいつの間に仲良くなったんだ?」

「ワタシ、美少女に目ガナイ。スグニ教室ニイッテ、口説イタ」

「オーイエス……」

「昨日帰るときに偶々会って、そのままフェンリルで送って、アドレス貰った。以上」

「悠里らしいね」

「なんで悠里はあんなに異性から番号を貰えるんだ……」

「そりゃあ、ガクトと違って下心とか全く無いしね」

「全て善意でだからな。なにより目が血走らない」

「葉桜さんを紹介してくれよ悠里!ハァハァ!」

「面倒くさいからヤダ☆」


血迷った表情でガクトは言い寄ってきた。いよいよただキモいだけになったな。


「紹・介・し・て・く・れ・よ!!!」

「ああもう、うるせぇな!分かったよまったく!だから血の涙を流すな!!」

「楽しそうな友達だね。天城くん」


その様子を葉桜先輩は楽しそうに見ている。


「島津岳人です。ベンチプレスで190上げます。結婚を前提に俺様と付き合ってくだ」

「なに朝から暑苦しいこと言っとるかお前は」

ドカッ!


俺はガクトをアッパーカットで沈めて発言を中断させた。いきなり結婚前提とかはやめろといつも言ってるだろうが。


「あはは、お互いわかり合ってからね、島津くん」

「すみません、葉桜先輩。バカですけど根はいい奴なんで」

「大丈夫。いい子だってことはわかったから」

「フフフ。キモいと言われなかっただけ善戦しただろう」


葉桜先輩の言葉を聞いて復活したガクト。前半はまだしも後半はヒドいけどな。
葉桜先輩は自転車通学らしく、自分の乗ってる電動自転車を見せてくれた。開発は勿論、九鬼。


「すいすい進むから『スイスイ号』って言うの」


スイスイ号に清楚って名前……となると、葉桜先輩のクローンは自ずと絞れる。でも……まさかあの英雄とは……


「皆さん、よろしくお願いします」

「おおお喋ったぞ!これも腹話術か」

「や、どう見ても機械が喋ったから」

「メイドイン九鬼なら喋っても可笑しくないわ!」

「人工知能はフェンリルやクッキーで証明済みだしな」

「はい。フェンリルさんやクッキーさんは、私の先輩にあたります」


本当に九鬼の技術力には驚かされるな。前はシドさんが今度は飛空艇作るって言ってたし……
そういえば俺の使ってる物って殆どが九鬼だな。


「行きましょう清楚。時間に余裕を持った行動を」

「はーい。それでは皆さん、また学校で」


葉桜先輩はスイスイ号に乗って去っていった。
そこへ今度は義経一行が通りかかり、一緒に登校しようとした時、


「いただきぃぃぃぃぃ!!」


突如、バイクに乗った男が義経の鞄をひったくった。即座にまゆっちが反応して刀を抜刀するが、バイクは傷つかずに走り去っていった。弁慶が近くの石を投げるが、相手はそれを弾き落とした。


「あのバイク、防刃加工されてますね。私の刀で傷一つ付きませんでした」

「しかも多少は心得があるな。でなきゃ、あの状態から石を弾き落とせない。京、狙撃できるか?」

「ん〜……この距離からは無理っぽいかな……あ!でも悠里が力をくれるなら出来るよ」

「その提案は却下されました!」


そんな事したら俺の人生が終わるわ。いろんな意味で!


「しょうがない、俺が行くか。原付ならなんとか追い付けるし」

「すまない、天城くん」

「なにお前鞄取られてんの?」


離れて歩いていた与一も合流すると、とりあえず事情を話した。


「なるほどな。組織にバレると色々面倒だ」

「組織?」

「まずは……その思い上がりをブチ壊す」

「そ、それは某有名なラノベのセリフ!」


はいはい、中二病乙でした。俺はさっさと行くか。


「それじゃあお先に……集気法」


俺は全身に気を張り身体能力を強化して、バイクに狙いを定めると一気にトップスピードで翔る。モモやまゆっち達の様なクラスの人間ではないと追いつけないであろうスピードで、バイクとの距離はすぐに縮まる。
後ろの方では与一が大きな弓を構えて、猛禽類のような目でスクーターの男を見ていた。


「お前は生と死の境界線を彷徨うだろう……奥義!七大地獄への誘い(ワールド・ツアー)!!」


遠くからでも聞こえた微妙なネーミングの技名と共に、高威力の矢がバイクを貫いた。流石は那須与一だ!


「な、なんだぁぁぁぁ!?」


相手は訳も分からずに空中に身体を投げ出される。


「ついでにオマケだ。ジェノサイドカッター!!」


強力な回し蹴りを相手に叩き込み多摩川へと落とす。頭上から落ちてくる義経の鞄をキャッチすると、とりあえず傷は無いようだ。良かった良かった。


「ほら義経、鞄」

「ありがとう与一、天城くん!」


鞄を義経に渡すと、義経はお礼を言ってきた。与一はどこかへ行ってしまった。どうやらまた中二病を発揮したようだな。よくやるよ……


「今の技……ヒュームさんのジェノサイド・チェーンソーだね。なんで悠里が使えるんだい?」

「一時期だけ鍛えられたから、その時に技を盗んだんだよ。威力は本家より劣るけどな」

「なるほどね……しかし、あのヒュームさんに鍛えられてよく生きてたね」

「そうなんだよな〜……」


今でも生きてるのが不思議だよ、ホント。




それから時間は過ぎて昼休み。
俺と大和は昼食を屋上にある給水タンクの上で過ごしていた。ここは一番高いところにあるため、丁度いい風が吹いている。季節は初夏だから日差しが強いが、風が気持ちがいいから昼寝には最適だ。大和は既に寝てしまい、俺もまどろみの中に入っていた、その時


「おっ、こんな所で昼寝している男のコと見慣れた男のコはっけーん」

「ん……っ!?」


突如、頭の上から声が聞こえた。俺は反射的に上を見ると、そこにいた人物に驚いてしまった。何故なら、彼女はここではなく京都の人間。今までこっちに来るなんて聞いていなかったというのに、川神学園の制服を着ている。


「久しぶりだね。悠里くん」


その人物、納豆小町こと松永燕は意地悪そうな笑みを浮かべて俺に話しかけてきた。
2009年夏……例年以上に熱い夏が始まろうとしていた。
************************************************

更新遅くなりました

年度初めで色々忙しくなりまして、しばらくはこんな状態が続きますが、どうか応援お願いします。

感想お待ちしてますよ〜
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧