真剣で私に恋しなさい!S~それでも世界は回ってる~
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22部分:第十八話 金髪騎士娘襲来
第十八話です
ではどうぞ〜
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第十八話 金髪騎士娘襲来
2009年4月24日(金)
「あれ?兄さんは?」
「まだ来てないね。珍しい」
「アタシとお姉さまより先に出てったわよ?」
「きっとあれだろ。旅に出たんだろ!」
「いや、それはない」
悠里side
「遅刻だー!!」
朝、俺は叫びながら多馬大橋を走っていた。いつも通りに出てきたはずがなぜ遅刻寸前なのかというと……
登校中、道でうずくまってる人がいたので声を掛けると、その人は妊婦さんで陣痛が始まってるようだった。病院は葵紋病院の方らしいので、俺はすぐに救急車を呼んだが、渋滞に引っ掛かったらしく到着が遅くなってしまうそうだ。一刻を争う事態のため、そんなに待ってる余裕は無い。考えた俺は、女性を抱えて葵紋病院に走った。なんとか病院に到着すると、8時を回っていた。そこから更に全力疾走し……
「遅刻というわけだ」
「……返す言葉もないです」
丁度、教室に入るときには小島先生が出席を確認するところで入ることができたが、遅刻には変わりない。
「確かにお前は遅刻にはなったが、その行動は道徳的でとても良い事だ。よって、今回の指導は不問にしよう」
嬉しそうに梅先生が言うと、クラスの数人は拍手してきた。というわけで鞭は免れたが、数名はなにやら非難の声を上げていた。……どうでもいいですけど。
「さて、それでは転入生を紹介する。入りなさい」
小島先生が呼ぶと、扉が開き……
「グーテン・モルゲン」
現れたのは白髪混じりの眼鏡を掛けたおじさん。その登場に周囲がざわつく。
「え?あ、あの人が転入生だっていうの?ちょっと老けてる感がないかしら?」
「そこが問題じゃねーよ!」
「むしろツッコミの塊だろ……」
「ああ!?あの時の——」
おじさんの姿を見て、大和は驚きの声を上げた。
「おお、君か。また会ったね」
「本当に転入してきちゃったよ……」
「こんなオッサン補強してどーすんだ」
「みんな勘違いしないよう。この方は転入生の保護者だ」
……いや、十分おかしいでしょ?どんだけ親バカなんですか。あ、クマちゃん叩かれた。
「——あの、ご息女は?」
「ご安心を。時間には正確な娘です。間もなく駆けて参りましょう。グラウンドを見るがいい」
そう言って指をグラウンドに向ける。
「…げっ!?」
「どうした大和、何が見えるんだ?」
「女の子が学校に乗り込んできた」
「なんだそりゃ!!」
「うん、確かに乗り込んできたねぇ。……馬で」
「暴れん坊将軍か……」
俺は呆れながらその様子を見た。白馬に乗った金髪の美少女が馬上で名乗りを上げる。
「クリスティアーネ・フリードリヒ!!ドイツ・リューベックより推参!!この寺子屋で今より世話になる!!」
「おおお金髪さん!可愛くね、超可愛くね!?」
「超・当たりなんですけどぉぉぉぉぉ!!!!」
乗り込んできた美少女を目にした男子達は咆哮を上げる。
「だっはっはっはっ馬かよ!面白ぇあいつ面白ぇ」
「ちっ!まずった!賭に負けた!」
男に掛けていたスグルは悲鳴を上げていた。そこへ、人力車で登校してきた英雄が女の子に話しかけていた。
「悠里……この人達ってもしかして」
「だろうな……大和」
「ああ……¨日本を勘違いしてる外国人”だ」
「「……ハァ」」
「父様はあちらにおられたか。では自分も!いくぞ浜千鳥!!」
「馬からは下りて来いよー」
とりあえず注意しといた。梅先生ですら頭を抱えている。この先大変だな……
黒板にクリスティアーネという名前が書かれる。
「クリスティアーネだ。改めてよろしく!」
凛とした立ち振る舞いに男達は見惚れていた。それに日本語が全く違和感ない。あっちの友達と接する内に覚えたらしい。
「よし、何か質問あれば挙手していけ」
「はいはい!」
梅先生の言葉にガクトが元気よく手を上げた。とはいえ、質問の内容は予想できる。
「クリス。彼氏はいたりすんのかな?」
「そんなものいないに決まってるだろうガッ!!」
父親の怒号でクラスが静まり返った。
「クリスにちょっかいを出す者は軍が殲滅する」
「父様は任務に私情を持ち込まない軍人だ」
「今めっさ持ち込んでたでしょうが!」
福本のツッコミが入るが気にせずに話は進む。クリスは日本が大好きで、日本のドラマも沢山見ているらしい。その殆どが勧善懲悪の時代劇。「やっぱりか」と言わざる得ないな。
「ここに来る前に、京都にも観光で一度寄ったのだ。ドラマそのものの場所で感動した!」
「映画村だ。それ絶対映画村だ」
「ドイツの友達とやらが、面白がって偽知識を叩き込んだのが想像できるね」
「どんだけ純粋なんだよ……」
「いいんじゃね、面白いし。俺クリス気に入ったよ」
それからクリスの間違った日本の知識の披露は続き、父親は一礼して去っていくが
「クリス、何かあれば戦闘機で駆けつけるからな」
過激な言葉を残して去っていった。
「なぁ、大和」
「なに?兄さん」
「戦闘機、斬ってみたいな……」
「もの凄く物騒なこと言ったよこの人!?」
「でも本当にやりかねないよね……」
多分、斬れると思うんだ。余裕でさ。そのあと、ワン子がクリスに決闘を挑んだため、俺達はグラウンドに移動となった。
グラウンドには、決闘を今か今かと待つ生徒達で溢れていた。
「おーう大和、儲かってるかー?」
「姉さん!」
「シャバ代納めてもらおうか。ふふふふ」
「まぁまぁ姉さん。うちの転入生が上玉だよ」
「それを早く言え。どれどれ確か舶来ものだったな」
モモはグラウンドのクリスの姿を確認すると、
「上玉キター(・∀・)!!」
「ドイツから来たんだってさ」
「あの金髪は綺麗なもんだよな。撫で撫でしたい」
モモもウキウキしながらその様子を見ていた。
そして決闘が始まる。最初はワン子が攻めていたが、目が馴れてきたのだろうクリスが反撃に移った。
「兄さん、どう思う?」
「振りは速いにしても攻撃単調だし、結果的にクリスに攻撃を読まれちまうのは当たり前だな」
「速度も同じだからな。目が慣れれば簡単に避けられる」
俺の解説にモモも乗っかってくる。ワン子の攻撃は悪くないが、手の内を見せすぎたかな。
「あとはクリスの突きにどう反応するか、だな」
「フェンシングって全体運動だからな。そこにワン子が気づいてるかどうか……」
そう話してると、ワン子は頭上で薙刀を高速で回転させる。川神流『山崩し』の構えだ。
「ワン子、勝負する気だね」
「おい違うぞワン子ー、そうじゃないだろー」
ワン子の構えに京が反応する。モモはそれは違うとワン子に言うがもう遅いだろう。
ワン子は薙刀を振り下ろす、と見せかけて斜めに脚に振り下ろされた。
たが、フェンシングには全身有効な種目があり、クリスはそれが専門だったことは想定外だったようで、クリスの突きはワン子の肩に炸裂した。
「それまで!勝者クリス!!!」
鉄爺の声が響く。それに反応して周りの観客は歓声を上げた。
「ワン子が……負けた……ってわりとよくあることだったわね」
「喧嘩ふっかけては負けてますよね」
「足りない頭使い過ぎなんだよ。もっと本能で戦え」
小笠原さんと委員長の話に同調するようにモモが言った。ワン子に近づく大和だが、多分骨は大丈夫だろ。
「さて、それは置いといて……」
「どこ行く気か、お前は」
ガシッ
「なんだよ悠里ー。私はただ転入生に挨拶しにいくだけだぞー」
「そのままどうせ柔道の寝技とかする気だろ」
「……そんなわけないだろ」
「やるんだな!やる気だなお前!?」
完全に目が泳いでるし。ダメだコイツ、早く何とかしないと。
「いいだろー、挨拶くらいー」
「あぁもう……ほれ、行ってこい」
パッ、と話すとモモは元気よくクリスの方へ走っていった。そして案の定、クリスをお姫様抱っこしていた。……帰ったらお仕置きだな。
「天城くんってさ……あのモモ先輩をよくコントロールできるわよね」
「普段は大人しいですけどねー。でも、よく手伝ったりしてくれますから大助かりです」
「それに顔は悪くないし?モモ先輩よりも強いからかなり優良物件じゃね?」
「流石はエレガンテ・クワットロの次期候補ね!」
後ろで女子三人が何か話しているが特に気にしない。
あ、モモと鉄爺が戦闘始めた。さっさと戻るか。
時間は過ぎて帰りのHR。
「待たせたな、HRを始めるとしよう。クリスの事だが、彼女の面倒は風間達に任せる」
「え、俺達?いースけど」
「?……なんで?」
「クリスは島津寮に入るからだ」
「ああ、2階が1部屋空いてるもんな、了解」
「サラッと了解してくれるなぁ……」
「椎名。お前が部屋隣なんだからお前が面倒見ろよ」
「…」
「……ではこれで帰りのHRを終わる」
…………放課後
「ちょっといいだろうか?」
「おう。どーした?」
「部屋が隣という椎名殿に寮へ案内してもらおうと思っているのだが……部活がある、ということで行ってしまった」
(逃げたな……京)
「そりゃごめん、あいつ根暗だけどいい奴だから。でも俺これからバイトだしな。って事で軍師大和」
「わかった。俺が案内する」
ということで大和が案内している。俺は少し残ってから帰ろうとしていると、昇降口で大和とクリスに会った。
「あ、兄さん。帰るとこ?」
「ああ。クリスも楽しそうでなにより」
「紹介するよ。同じクラスの天城悠里。俺と舎弟関係の兄さん」
「天城……もしや『黒狼』の天城悠里殿か!?」
「……まあ、そう呼ばれてるな」
「ドイツでも有名だぞ!悪人の乗る車を叩き斬ったとか、50人相手に1人で勝ったとか!」
「あはは……」
「川神先輩と同じく生ける伝説と呼ばれる人物と会えて光栄だ。よろしく」
「うん、よろしく」
クリスと握手をすると、俺達は3人で市内の観光に向かう。そして行き着いた先は、
「これが川神院」
「おお、これが日本の最終兵器」
「海外ではそう呼ばれてんのか……」
「流石は歴史ある寺院だ。趣があって威厳がある」
「んじゃ、俺はこの辺で」
「む?帰るのか?」
「ああ。今日も鍛錬あるからな」
「そうか……なら仕方ない。今日はありがとう悠里」
「おう」
俺は2人と別れると川神院に入った。今日は院内で合体剣を複数使って素振りを行う。
「おー、今日もご苦労だな悠里」
「モモか」
丁度終わった所にモモがやってくる。俺はフェンリルに剣を納めると、傍にあるタオルで顔を拭く。
「ほら、水持ってきたぞ」
「ありがとう」
俺はモモからペットボトルの水を受け取って水を飲むと、縁側に座る。モモも俺の隣に座った。
「そういえば聞いたぞ。今日遅刻したんだってな」
「不可抗力だよ。ほっとけなかったしな」
「お前らしいな。まあ、そこがお前の良いところだが」
そう言ってモモは俺に身体を預けてきた。……モモの胸が当たって来てるのが気になる。
「モモ?」
「なんだ?」
「……当たってるんだけど」
「いいじゃないか。こんな美少女がくっ付いて貰ってるんだから」
「はぁ……」
離れる気は無いらしい。昔からだから今に始まった事ではないが、年齢を考えて欲しい……
「……コイツの鈍感さはいつになったら改善できるんだ(ボソッ)」
「は……?」
「なんでもない。そろそろワン子も来るし、秘密基地に行かないか?」
「そうだな。じゃ、ちょっとシャワー浴びてくる」
そう言って俺はシャワーを浴びにいった。丁度上がる頃にはワン子も帰ってきていて、3人で秘密基地に向かった。
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セリフ考えるのって難しいですよね
少しでもニュアンスが似てればパクリと間違われちゃうし……
文才欲しい……
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