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DQ3 そして現実へ…~もう一人の転生者(別視点)

作者:あちゃ
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俗物に大物の心は解らない…私も以前は解らなかった。

「う゛~!…会いづらいわ…」
城を出てから唸り続けのアルルさん…
新加入メンバーのラン君が不思議そうに見詰める中、私達はアリアハンの城下町をアルルさん宅へ移動する。

「平気だよアルル…お母さんだって久しぶりにアルルに会えて喜ぶと思うよ」
世界を平和に出来なくとも、可愛い娘の顔を見れば喜んでくれる…と慰めるはお兄ちゃん。
私もそう思うわ。
きっと世界平和よりも喜んで迎え入れてくれるはず!

「分かった!アルルはママさんにティミーを紹介するのが恥ずかしいんだろ!大丈夫、僕の息子は誰に紹介しても恥ずかしくない!」
冗談(バカ)言うな!私のお兄ちゃんは格好いいお兄ちゃんだ!お前の息子だけど、まともなんだゾ!
「違うわよバ~カ!紹介して恥ずかしいのは、彼氏の父親の方よ!他は胸張って自慢出来るわよ!」
「「「「「あはははははは!」」」」」
良く言ったお義姉ちゃん!

でも本当に困ってるのはオルテガさんの事なんだろうなぁ…
生きているかもしれないなんて…曖昧な情報でぬか喜びさせたくないもんなぁ…
どうするんだろう?

「アルル…それ程自慢出来る彼氏と共にアレフガルドに赴くのだから、本当の事を話した方がお母さんの為だし、君の為でもあると思うよ」
それが良いのかもしれないわね…お父さんの言う通りかも…

「そうだぜアルル。俺達の目的は2つ!勇者オルテガ様を見つけ、共に大魔王ゾーマを倒す事だ!その為に俺達はアレフガルドへと旅立つんだから」
「ウルフ…アンタ、頼もしくなったわねぇ」
まったくです。ウルフは良い(おとこ)になりました。
見詰めるだけでヌレヌレになります。


寄り添い歩く色男を押し倒したい衝動に駆られつつ、辿り着くはアルルさんのご実家。
「お母さん…ただいまぁ…」
「まぁ、アルル!お帰りなさい!!遂にバラモスを倒してきたのね…お母さん、アルルなら大丈夫だと信じていたわ!」

こんだけ大勢がゾロゾロと訪れたのだ…
戸を開ける前から家主等は気付いていたのだろう。
待ち構えてたかの様に扉が開き、アルルさんを喜び迎え入れる。

「うんうん…流石はワシの孫じゃ!」
アルルさんを優しく抱き締める美女と、それを嬉しそうに見詰める老人。
「あ…あの…あ、あのね…ま、まだ…その…」
そして気まずそうな勇者様。
とっても暖かな感じがします。

「初めまして、僕リュカです!貴女はアルルのお姉さんですか?お近付きの印に、今夜ベッドの相席しませんか?」
そんなホッコリ感をぶち壊すマイパピー。
アルルさんを押し退けて、美女の手を取りナンパする。

「コ、コラー!!何、人の母親をナンパしてんだ!ぶっ殺すぞテメー!!」
素早い動作で剣を抜き放ち、お父さんを真っ二つにする勢いで振り下ろすアルルさん。
「え!?お姉さんじゃないの?…はぁ、やっぱりアルルのパパさんは、女の趣味が良いなぁ………な、ウルフ!お前もそう思うだろ!?」
優雅な動作で迫り来る剣を左手の人差し指と中指で摘み、緊張感無く感嘆の溜息を吐くパパ。

「えぇ、本当ですね!何処の世界でも、勇者の母親は若くて美しい人なんですね!」
話を振られて、彼女(わたし)の目の前で他の女を褒めるウルフ。
しかもこの台詞には、影の実力者マイマミーへのゴマスリも含まれてる荒技。

「ちょ、リュカ…私達の義理の息子は、将来有望よ!…どうしよう、楽しみになってきたわ」
いや、どうだろうか…
このまま行くと第二のリュカが出来上がるだけなのでは?

「あ~あ、可哀想に…」
「な、何よリュカ!」
「アイツに将来は無いな…明日にでもマリーのイオナズンでお別れだ…」
「「「「「……………」」」」」
お父さんの悲しそうな口調に、一同息を呑み私を見詰める…

リュカ・チルドレンとしてセンスを試されてるわ。
「………」
私はジト目でウルフを睨み、両手にメラをほんのり灯す。

「ち、ち、ち、違うんだマリー!!コレはアレでその何だ…えーと…」
すんごい慌てるウルフが滑稽!
やばいわ…これ面白い。

「………ぷっ…ふふふ…あははははは!」
我慢出来なくなり笑ってしまいました。
「あはははは、冗談よウルフ!私はコノ父親を見て育ったのよ…その程度で怒る程、自分に自身が無い訳じゃないわよ!」
そうよ…浮気出来ないくらい魅力的になってやるんだから!
他の女に目が行かないくらい、迫り続けてやるんだから!!


「アルル…随分と楽しそうなお友達方ね。紹介してくれないの?」
人様のお宅でファミリー・コントを炸裂させてると、狼狽える様子もなくアルルさんのママさんが楽しそうに問いかけてきた。

「おっと、申し遅れましたお母さん。僕は此処アリアハンから、娘さんと共に旅を続けてきたリュカと申します。以後お見知りおきを」
スマートな動作でアルルママさんの手を取ると、スカした調子で甲にキスをするお父さん。

「まぁ…紳士的にどうも。私はアルルの母親…アメリアと申します。娘が大変お世話になっりました」
そんな行為に動じることなく、笑顔で挨拶する結構なツワモノなアメリアさん。

さて、そんな感じに始まった自己紹介…



みんなワザとお兄ちゃんを最後に持ってきたみたい。

「あ、あの…初めまして、僕はリュカの息子のティミーです…む、娘さんと…アルルさんと正式に付き合ってます!よろしくお願いします!!」
緊張のあまり、先程からツッコミをしてないお兄ちゃん。
プロとしての意地を見せて欲しいわぁ~…

「な、何じゃと…ア、アルルと付き合う?」
お兄ちゃんの挨拶に反応したのはアルルさんのお祖父ちゃん。
大事な孫娘を汚されて怒っちゃった?

「何だ爺さん…知らんのか?『付き合う』ってのは、男と女がエッチな事をする仲と言う事だよ!」
「エ、エッチな事だとぉ!!!?」
優しいお父さんは丁寧に説明してくれる。

「何だ…それも知らないのか…エッチな事とは、男女が裸になってベッドの上…とは限らないが、○○○を○○○に○○○して…「そんな事分かっておるわボケ!」
だろうな…んな事は分かってるんだ。
生々しい事を言われブチ切れるお爺ちゃん…血圧が心配だわ♥

「ア、ア、アルル!!お前はバラモス討伐の旅に出ると言っておきながら、男遊びをしていたのか!?」
あの程度で“男遊び”って言うんじゃ、お父さんのは“何遊び”なの?

「な、何言ってんのよ!男遊びなんかしてないわよ!ティミーとは愛し合っているの!真剣なお付き合いよ…彼とは結婚するんだからね!」
いっそ嘘でも『子供だってお腹の中に居るんだからね!』って言えば良いのに…
きっとお爺ちゃん、天昇しちゃうゾ♥

「け、結婚だとー!!?ゆ、許さんぞ!こんな出会い頭に人妻を口説く様な、アホ男の息子となど!!」
ちょっとー…お父さんとお兄ちゃんを同類化しないでよ!

「ふ、ふざけないでよ!父親がそこら中で子供を造るアホ男だからって、その息子が同じ様な男になるとは限らないでしょ!彼は真面目で優しく格好いい男性なの!」
どうしよう…2人とも、私達のお父さんを侮辱しまくりなのに、誰も反論しないよ。
あぁ!しないんじゃなくて、出来ないのか!
つか、本人は楽しそうに眺めてるし…

「な~に~!!そこら中で子供を造っているのかその男は!?そ、そんな節操のない男の息子などダメじゃ!アルル…お前の器量と名声を持ってすれば、もっと良い男が直ぐに見つかるわい。既に貴族の名家の数家から、ワシのとこに打診が来ておるくらいじゃからな!」
…興醒めね。

勇者としての名声を利用し、高貴な血筋の一員になるのがこの爺さんに目的か…
そう言う理由でお兄ちゃんを否定されるのは、最高に腹が立つわ!
イオナズンでフッ飛ばしちゃおうかしら!?

「ふざけんなクソ爺!テメー俺の息子が、アホたれ貴族共以下と言うのか!?」
むかっ腹立ててたらお父さんに先を越された。
「ア、アホたれ貴族じゃと…!?」
だけど俗物ジジイには、意味を理解する事が出来ない。

「あぁアホたれだ!世界が滅亡するかもしれない程の危機に、貴族として名を馳せる者共は誰一人立ち上がらず、若い女の子が平和の為に旅だつのに共に旅立とうともせず、平和が訪れたと思った途端、自家に箔を付ける為に勇者の名声に群がるハイエナ共がアホたれでなく何だと言うんだ!?」

「う、ぐっ…そ、それは…」
お父さんの説明で、ようやく意味を理解したジジイ。
今更ながら狼狽える。

「翻って、俺の息子はアルルへの愛を行動で示した。常に行動を共にし、危険があれば身を呈して彼女を守り、例え神に逆らおうともアルルの身だけを一番に思う。貴族の坊や達と比べ、どっちがアルルの事を幸せに出来るのか…言うまでもないだろうがボケ!」

「ぐっ…しかし…」
先程まで虚け者と馬鹿にしていたのだろう…
そんな虚け者からの正論攻撃に反撃出来ず、ひたすら目が泳いでる。

「か、彼等の先祖は…い、偉業を成し遂げた立派な方々じゃ…そんな立派な者の末裔と比べたら…」
怯んではいるが今更発言を取り消せず、苦し紛れの“ご先祖様凄いぞ!”攻撃。
本気で効果があると思っているのなら、今すぐ土に帰した方が良いだろう。

「お爺ちゃん、何を言ってるのよ!それじゃぁ先祖が立派だったら、子孫も同じ価値があるとでも!?」
「そ、そうじゃ!親が愚かなら、息子も愚か!親が偉大なら子も偉大なんじゃ!!」
この爺、最悪だ。

「最低ね………それじゃ言わせてもらうけど、お爺ちゃんはお祖母ちゃんの他に女が居たの?お父さん以外の子供を、余所で造ったりしたの?」
「な、何じゃいきなり…ワシはそんな節操ない事などせん!死んだ婆さん一筋じゃ!」
へっへーん!お前の息子は余所で子供作ってんぞ!

「じゃぁ何でアンタの息子は、余所で子供を造ってんのよ!ムオルって村に私そっくりの弟が居たわよ!その子の母親にも確認したんだからね…アリアハンのオルテガとの間に生まれた子だって!」
どうだ参ったから!
因みにマイパパのお父さんは、余所では励んでない品行方正ダンディーだぞ!
遺伝子は関係ないんだ馬鹿野郎!

「な……何じゃと……!?」
「お祖母ちゃんへの想いを一途に突き通した男の息子は、世界を救うと旅立ちながら、各所で愛人を作り子孫繁栄を頑張っておりますわよ!…親が偉大だと息子も偉大ねぇ!」
エクセレント!
素晴らしいですわよお義姉ちゃん!よくぞジジイを黙らせた。


お父さんの恐ろしさを感じ取り、自分の発言力の弱さを痛感し、進退に困るご老人…
「………若いの…貴様は、本気でワシの孫娘を愛しておるのか?数居る恋人の1人とかでは無いのだろうな?」
マジ激怒のお父さんには勝てないと悟り、立場の弱いお兄ちゃんへ矛先を変えるジジイ。
姑息な方法でお兄ちゃんを問いつめる。

「本気です!僕はアルルが大好きなんです!…それに僕には他の恋人などは居りません。僕は父の女癖の悪さが大嫌いでした。僕の中にも女癖の悪い男の血が混じっていると思い、女性との間に距離をおいて生きてきました。その為、女性の事…女心と言う物を、理解出来ずにいました」
だけど真っ向から愛を語るお兄ちゃん…

「彼は僕の義弟です。見ての通り僕よりも年下ですが、僕なんかより遙かに女性の扱いに長けてます。恥ずかしい話ですが、僕は何度も彼に恋愛のアドバイスを請いました。年下で、義理の弟になる彼にです…そんな僕に、恋人が複数居るとお思いですか?好意を持たれてたかすら分からない男に、愛人が居ると思うのですか!?」
う~ん…カッコイイを通り越して恥ずかしいです。

「そうか………」
ジジイは一言そう言うと…
「若いの…ワシの大切な孫娘を幸せにしてくれ。この子には幼い頃から苦労をさせ続けたのだ…勇者の娘になどに生まれてしまったからのぉ………」
物わかりの良い大人な演技をして、2人の交際を認めてあげた…
上から目線の恩着せがましい言い方で。

「は、はい!!」
交際(結婚)を認めてもらう事が最優先なお兄ちゃんは、嬉しそうに返事をしてアルルさんと見つめ合う。
ジジイはそれを嫌な顔で見ている。

「お爺ちゃん…彼はね、こう見えても勇者様なのよ。…此処とは別の世界の魔王を倒した、偉大なる勇者様なんだから!私達、そう言う意味でも凄く共感出来る間柄なのよ」
そんなジジイの表情に気付いたアルルさんは、懸命に彼氏を擁護する。

「そ、そうじゃったのか…道理で好青年なわけじゃ…」
そしてそれを聞いた途端、手の平をちゃぶ台の様にひっくり返し、好意的な態度でお兄ちゃんに接しだした。
マジでムカツク…殺したい…

「それにね、彼は元の国へ戻れば王じ…ムグッ!」
気をよくしたアルルさんは、更にお兄ちゃんが王子である事を告げようとするが…
「そんな事より爺!お前、僕の息子に詫び入れろ!そこら辺のアホ貴族以下と言った事に詫び入れろ、コラ!」
怒りの収まらないお父さんに口を塞がれ遮られる。

「うぐっ…す、すまんかった…少しばかり調子に乗っていた様じゃった…」
パパの恐怖再発。
マジ狼狽えのジジイ…いい気味だ!

「それが詫びの入れ方か!?指詰めろコノヤロー!」
「ゆ、指!?つ、詰めるってどういう事じゃ?」
極道の掟?
ヤバ…パパの前世はそっち系!?

「お、お爺さん…父の言う事は気にしないで良いですから」
お兄ちゃんは慌ててお父さんをジジイから遠ざける。
折角認められたのに、台無しにされると思ったのだろうか?

尚も暴れるお父さんを、アルルさんと一緒に外へ追い出す。
ちょっぴりお父さんに加勢したいわぁ…
あのジジイ、ムカつくんだもん!

「お、お爺ちゃん…あの人は、ああ見えても息子思いなの。外で頭を冷やせば元に戻ると思うから、もう喧嘩をしないでね。この場に居る全員でかかっても、彼一人には勝てないから…怒らせないでね!」
暴れる義父を彼氏に任せ、祖父へのケアへ回るアルルさん。
ジジイもお父さんの怒りが怖いのだろう…
素直に頷いてます。



 
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