Three Roses
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第二十九話 食事その六
「信仰を考えています」
「国家も」
「我々は帝国ではありません」
「この国はこの国です」
「このことを守っていきましょう」
「だからこそ論戦からです」
さらにというのだ。
「ことを進めていきましょう」
「それでは」
側近達も応えた、彼等は帝国ではなく自国として考えて動いていた。マリーはこのことをはっきりとわかっていた。
だがマイラは。彼女の側近達に言っていた。
「太子にお子を求めておられるので」
「はい、是非です」
「お子をもうけられて下さい」
「私達の子供がです」
まさにというのだ。
「やがてはこの国の王に」
「はい、なられます」
「現王の跡はです」
「そのことを決めて頂きましょう」
「お生まれになられたら」
「その為にも」
是非にとだ、マイラは彼等に応えた。
「必ずです」
「お子をもうけられることです」
「マリー様はご結婚もまだです」
「それだけに」
「是非」
「その様にしています」
マイラもこう答えた。
「何とかと思い霊薬も口にしています」
「帝国から届けられた」
「その霊薬をですね」
「はい」
その通りというのだった。
「そうしています」
「確か子宝のですね」
「そのお薬ですね」
「そうです、そしてです」
「近頃大蒜や生姜をよく召し上がられているとか」
「ミルクやチーズも」
「典医に勧められていまして」
そのうえでというのだ。
「贅沢は戒めていますが」
「そうですか、では」
「滋養に務められつつです」
「霊薬も飲まれ」
「どうかお子も」
「わかっています、私達の子供こそがです」
マイラはいささか思い詰めた様な顔でオズバルト公と司教に述べた。
「この国の次の主ですから」
「そうです、現王の次はです」
「そうなります」
「まずはお産みになって下さい」
「全てはそれからです」
「そうします、必ず」
真剣な顔のままだった、そしてマイラはこうも言ったのだった。
「エヴァンズ家、旧教の子ですね」
「そうです、マイラ様のお子ですから」
「間違いなくそうなります」
「ですからまずは」
「お産みになって下さい」
「そうさせてもらいます」
是非にとだ、マイラは太子との間に産む子は間違いなくエヴァンズ家の子だと思っていた。太子との間の子であっても。
それ故にだ、こうも言うのだった。
「エヴァンズ家の血はこれからも」
「続きます」
「マイラ様によって」
「それは間違いありません」
「尚且つ旧教にも戻ります」
オズバルト公と司教もこう言う、二人はロートリンゲン家のものになるとは思っていたが間違いなくエヴァンズ家の血が入っている者が王になるのでそれで間違いはないと思っていた。マイラに絶対に忠誠を誓いつつもこのことは受け入れていた。そのうえでマイラに仕えているのだ。
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