Three Roses
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二十九話 食事その一
第二十九話 食事
マイラはこの昼の食事を見てだ、傍に立って控えている自身の料理人に問うた。
「大蒜に生姜が多いですね」
「はい、そしてです」
料理人はマイラに応えて話した。
「その他にもです」
「チーズもですか」
「多く入れました」
「そうですか」
「他にも滋養に効く食材をです」
まさにというのだ。
「多く入れました」
「そうなのですか」
「そしてミルクもです」
それもあった、見れば。
「お飲み下さい」
「全て身体にいいものですね」
「滋養にいいという」
「それを多くしました」
「そうですか」
マイラは何故そうなったかわかった、全ては彼女の身体のことを気遣った典医の考えであるとだ。だがだった。
マイラは何も言わずだ、そういったものを食べつつ言った。
「それでは」
「召し上がって頂けますか」
「贅沢とはです」
こうした食材を使った料理はというのだ。
「思えないので」
「では」
「頂きます」
是非にという言葉だった。
「その様に」
「有り難うございます」
「はい、ですが」
マイラは食べつつだ、こうも言った。
「私はやはり贅沢は」
「お食事においてもですか」
「慎みたいです」
心からの言葉だった。
「常に」
「神の僕として」
「そして王家の者として」
この二つの理由からというのだ。
「常に慎みたいです」
「そうですか」
「チーズや大蒜位ならいいですが」
「その以上はですか」
「はい」
どうしてもというのだ。
「お料理に入れないで下さい」
「わかりました」
「その様に、民は常に質素です」
彼等の生活のことも言った。
「そのことを思いますと王族が贅沢をしては」
「よくないですか」
「民を餓えさせ己は美食に耽る」
こうした行いはというと。
「それは王家の者のすることではありません」
「それ故に」
「そうです、食事もです」
他のことについてもというのだった、マイラは言葉の中にそうした意味も込めてそのうえで料理人に語っていた。
「その様に」
「はい」
料理人は応えた、そしてだった。
その話の後でだ、料理人は典医にこのことを話した。すると典医はやはりという顔になり料理人に言った。
ページ上へ戻る