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Blue Rose

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第三十九話 認識その六

「最悪、衝夫ブタいるわよ」
「その言葉豚さんに失礼よ」
「とにかくあいついるなんて」
「確かに最悪よね」
「あいつが受け持ってるクラスがいるとね」
「衝夫もいるからね」 
 授業だから当然のことであるが。
「最悪」
「本当に最悪よ」
「セクハラしてくるし」
「いやらしい目でいつも見てくるし」 
 体操服姿の彼女達をだ、半ズボンから脚が出ている。
「もうどう思ってるか丸分かりよ」
「私達をね」
「風俗嬢とでも思ってるんでしょ」
「それも無料のね」
 このことを本格的に直感しているのだ、彼女達も。
「正直どんな男子生徒でもよ」
「あまり見られたくないけれど」
「けれどあいつよりはましよ」
「男子生徒なら少し言えば見なくなるけれど」
「あいつは違うから」
 衝夫は、というのだ。
「教師相手じゃ面と向かって言えないし」
「下手に言ったら目をつけられかねないし」
「面倒臭い奴よ」
「さっさとクビになればいいのに」
「正直迷惑よ」
「セクハラ教師最低」
「何かね」
 当然優花も体育の授業に出ている、小柄な身体を体操服と半ズボンで覆っている。白く細い脚の形は実にいい。
「ああした先生って何処にもいるのね」
「まあね」
「何か公立の方が多いらしいわね」
「私立は多くないって聞いたわ」
「実際はどうか知らないけれど」
「確かに前の学校は私立だったけれど」
 八条学園はだ、経営陣は八条グループだ。
「おかしな先生はいても」
「あいつ程じゃないでしょ」
「暴力にセクハラにって」
「有り得ないわよ」
「人間失格もいいところよ」
「今も見てるし」
「舐め回すみたいにね」
 女子生徒達は衝夫を汚物を見る感じで見ながら言った、非常に嫌そうに。
 そして優花にだ、また言った。
「いい?優ちゃんもね」
「前も言ったけれど」
「あいつには注意してね」
「名前と顔を覚えられない様にね」
「そうしてね」
「うん、私もセクハラされたくないから」
 だからとだ、優花自身も頷いて答えた。
「気をつけるわ」
「そうしてね」
「あいつは目をつけると酷いから」
「何するかわからない奴だから」
「注意してね」
「何されるかわからないわよ」
 こう口々に話す、そして優花も頷いていた。だが。
 衝夫は女子生徒達を性欲を剥き出しにして見ていた、何を考えているのかは既に目に出ていた。まさに目は口程にである。
 そして優花を見てだ、気付いたのだった。
「ああ、あいつうちの生徒だったか」
 優花の人生に危機が訪れた瞬間だった。 
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