がっこうぐらし!The world in confusion
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chapter63
由紀SIDE
由紀「はぁっはぁっ!」
逃げなきゃ…
私と音姉は必死に奴らから逃げていた…
あの日から…学校で籠城していたけど…ある日…その平穏は簡単に崩れた。
めぐねえが噛まれていた…そこから…学園生活部の崩壊が始まった。
それに気付かなかった、くるみちゃんとみーくんが最初の犠牲者になった。
突然の事態に混乱した私達は逃げ惑ったけど…運悪く他の奴らも学園にやってきて逃げ場所は次々と無くなっていく…そして追い詰められて、けーくん、りーさんも…奴等に噛まれて死んだ。
そうして、学園生活部は私と音姉の二人だけになった。
音姫「由紀ちゃん…大丈夫?」
音姉は私の体調を心配して声を掛けてくれる…その顔は自分自身大丈夫じゃないのが私にもわかるよ
音姫「安全な場所まであと少しだよ…だから…っ!?」
もう少しというところで奴らの大群がこちらに向かってきている。
由紀「そん…なぁ…」
音姫「……由紀ちゃん…」
ここまでなのと思った矢先音姉から深刻な声で声を掛けてくる。
音姫「私が奴らの大群を引きつけるから由紀ちゃんはその間に大群を越えて安全な場所に」
由紀「そんな、音姉はどうするの?」
音姉が危険なのはわかるよ…でも音姉は作り笑顔で私に語ってくる。
音姫「大丈夫、お姉ちゃんは絶対に死なないよ」
そういうと、音姉は走りだして奴らの注意を一点に引きつけて、そのすきに私は大群の奴らの隙間を突破する。
由紀「はぁ…はぁ…お、音姉は?」
なんとか、大群から抜けられて、私は音姉を探して辺りを見渡すと直ぐに見つかった。
由紀「音…姉?」
そこにいたのは音姉だったものが…
由紀「……!!」
恐ろしくなって私は必死にその場から離れる。
もう私しかいない…みんな死んじゃった…
やだよ…誰でも良いから助けてよ…
居場所も家族と言えるみんなも全部失った私はただただ希望もないこの世界をさ迷う。
由紀「ひっ…く…みんな~…」
どうして、私だけが生きているんだろう…あの時音姉と一緒に奴らに食われていたらこんな思いもしなかったんだろう。
由紀「…あ…」
目の前には奴ら見え、こちらに近づいてくる。
もう、逃げる気にもない…このままいっそ…
そう、諦めようと思ったとき、こちらに向かって走ってくる足音が一つ聞こえてくる。
???「こっち!」
私に近づいてくるといきなり私の手を掴んで無理矢理連れて行かれる。
それからどの道を通ったか覚えていないけどどこかのビルに身を隠し私を連れてきた、女性は外の様子を見て一安心できるとほっとする。
女性「大丈夫?」
そう心配した顔で私に優しく声を掛けてきた。
あれから何分…ううん何時間たっただろう…
名前も分からない人に助けられて…私は何も話さずにあの人には首を振るなどの動作で受け答えをする。
女性「あなたが救えてよかったわ…」
この人は何故か私を見てほっとしている様子が見受けられる。
由紀「……」
救ってくれたこの人には悪いけど私はしたに俯く。
私なんて…何もできないもん…音姉達が救われていた方が…
女性「…奴等…中々減らないわね」
女性は窓から外の様子を伺い奴らの様子を見て、至る所に彷徨いている奴らを見て苦い顔を浮かべる。
由紀「もう、やだよ…」
夢なら覚めて欲しい…目を覚ませば私の家の部屋で死んじゃったお父さんと朝ごはんを食べて…
由紀「?」
あれ?お父さんって…どうして死んだって分かるんだろう…
そんなへんな疑問も浮かんだけど…今更気にすることじゃないよね
女性「ねえ、あなた、これからどうするつもり?」
女性にこれからのことを訪ねられるけど…今更私に…なにが…
悲観的に思う私に女性は更に声を掛けてくれる。
女性「…生きること…つらい?」
女性は見かねたのかそんな言葉を私に投げかける。
由紀「…うん」
だってこの前までの当たり前が崩れてしまったのだから…どうして私は生きているのだろうって今の私にはそんな気持ちでいっぱい出会った。
「…じゃあこのままいっそのこと命を絶っちゃう?」
そういって懐からサバイバルナイフだろうか、それを取り出して私の前に置くと私は手に取る。
このナイフなら私は苦しむだろうけどその後のことを考えれば楽なんだろうな
そうして私はナイフを私に向けて胸に突き立て…
そして……
突き刺せなかった…
これからくる死の恐怖なのかな?震えが止まらない…ううん、違う、多分これまでのことが無駄になっちゃうようなそんな気がする。
女性「恐い?」
あの人は心配そうな顔をしてこちらを伺ってくる
由紀「なんでかな、もうこんな辛いことしたくないのに…私の奥底から駄目ってそう言ってるような気がする」
女性「…そう、これからも辛いことはいっぱいあるかもしれないわよそれでもいくの?」
あの人は私に覚悟があるのかと訪ねられると私は返事はせず、迷うことなく頷いた。
女性「そう…本来ならここであなたが死ぬことになったんだけど…ふふ、仕方ないわよね」
由紀「え…?なに…いってるの?」
あの人が言った言葉に私は恐怖が身体中を支配する。
この人も私を殺そうとしているのか
手に持っていたサバイバルナイフを構えながらあの人への警戒を強める。
女性「身構え無くても良いわよ…今からあなたをこの無限地獄の檻の外に出してあげる。」
由紀「無限地獄の…檻?」
いったい何を言ってるのか分からない、まるで今私が見ているものは夢と言っているものではないかと
女性「それじゃあ行きましょうか」
由紀「ど、どこに…!?」
あの人外に出ようと通路へといけるドアノブに手を掛けようとしたとき私は何処に行くかを尋ねた
女性「…巡ヶ丘中学、そこに抜け出す扉がある」
…
……
ビルから出て数分、あの人に連れられて巡ヶ丘中学についた。
本来ならたった数分でたどり着ける距離じゃないのにどうして…
女性「やっぱり気になるわよね、この世界は現実じゃないわ幻の世界だから現実と比例しては駄目なのよ」
と当然と言わんばかりに平然と口走る。
私も少しわからないけど、そんな中奴らも生きてる人も誰もいないグラウンドを走って校舎内へ
ロビーを駆け、階段を上がり、廊下を走るそして辿り着いた先は…
由紀「学園生活部…」
私の…ううん、私たちの居場所だった所…この部屋が出口だったんだ。
女性「さて、出口までは来れたわ、後一押しね」
由紀「まだあるの?」
あの人は出口に辿り着いたことに微笑む中、もう一つ脱出するにな必要なものがあると口にする。
由紀「まだなにかあるの?」
女性「それもあなたに関係があることよ」
由紀「私に?」
女性「ええ、学園生活部のこと思い出せる?」
あれ?このひとに学園生活部のこと話したっけ?
そう思いながらも私はみんなのことを思い出す。
くるみちゃん、りーさん、音姉、めぐねえ、けーくん、みーくん
少し前までこの学園で苦しかったけど楽しく過ごしてたみんなのことを脳裏に思い浮かぶ。
女性「他にも居なかったかしら?」
由紀「他にも?」
学園生活部はこれで全員…
由紀「あれ?」
どうしてかな?全員だって言い切れない…頭がなんかもやもやしてるよ。
後…3人は居たはず…
私は頭の奥底の底下まで記憶をたどると…
由紀「あ…」
思い…だした…
由紀「ゆうくん…優花ちゃん…ジュードくん」
私の頭の脳裏に忘れてたことがどんどんと溢れてくる、管理局のこと、ゆうくんの苦悩、お父さんのこと…他にも忘れていたこといっぱい
そうだ、そうだよ、まだゆうくん達は戦ってるんだ…こんなところ早くでないと
女性「ふふ、みんなのこと思い出したのね」
あの人は私がゆうくん達のこと思い出したのを察したのかそう声を掛けてくる。
由紀「うん、でもどうして?」
どうして、ここまでしてくれるのか…わたしには疑問でしかたがなかった。
女性「確かに疑わない方が可笑しいわよね…」
いくら何でも出来過ぎてるもん…けどなんでかな?この人を信じてもいいって心の奥底でそう思ってるんだよね。
女性「…ねえ、ちょっとだけこっちに来て」
あの人はそう手招きすると私は警戒せずに近づき目の前に立つと突然私を抱きしめてきた。
突然だったから少し取り乱したけど…どうしてかな?
この抱き心地…懐かしく感じる。
女性「あなたのことはいつまでも見守っているわ、由紀…」
え?
由紀「どうして私の名前…」
教えた覚えがない…ここは私の夢の世界だから?知っていて当然なのかな?
女性「どうしてでしょうね」
そうクスリとあの人は微笑む。
女性「話はここまでね、さあ早く行きなさい、お友達を助けに行かないと行けないんでしょ」
あの人に言われて抱きしめていた私を離すと学園生活部の扉に手を掛けて開けると中はいつもの部室の部屋じゃなくて摩訶不思議な空間に繋がっている。
由紀「……」
私は躊躇わず入るつもりだけどもう一度だけあの人の顔を見ようと振り返る。
由紀「えっ!?」
あの人のいる方向に振り向くのあの人は体が光、徐々に透き通っていて、あの人だけじゃなく隣にはもう一人…
由紀「お父さん!」
あの学校で命を引き取ったお父さんもあの人と同じように体が消えかかりながら、私に向けて微笑んでいた。
丈槍父「由紀、私はいいや、私達はいつまでも由紀を見守っている」
お父さんの言葉で私は一つの可能性…ううん、答えが思い浮かんだ。
お父さんの隣に立っているあの人…私はなつかしいと感じた。それもそのはずだ…
女性「悩むことや苦しいことも色々とあるかもしれないけど…由紀は一人じゃない…頼りになる友だちがいっぱいいるから」
由紀「うん…うん…!」
今見ている光景のあまり感情が抑えられず頬に涙が垂れる。
女性「それじゃあ、私達は行くわね…由紀の幸せを願っているわ…愛してる由紀」
…私の…私達の娘
由紀「うぅ…ひっく…お父…さん…お母さ…ん…」
お父さんとお母さんの体は光の粒になって飛散してその直後私は先程より多く涙を流した。
由紀「うん…私…行くね…行ってきます…お父さん…お母さん…」
涙を腕で拭い必ずみんなを助けると決意し私は外へと通じている扉の先に足を踏み込んだ。
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