ファンタシースターオンライン2 -銀色を包む琥珀色の星-
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第8話 最悪の敵
チームメンバーはダークファルスとの戦いを繰り広げていた。どう攻撃しても、どう連携しても、ダークファルスには通じず、ただただ体力とフォトンだけを消耗していた。
「アキラメロ…オマエタチハ…ワタシニ…カテナイ」
え「悪いが、諦める気なんて更々ない」
ア「僕たちには、まだ守りたいものがあるんです」
「マモリタイモノ…?ダカラ…アキラメナイ…ナラ…ワタシモ…アキラメルワケニハ…イカナイ…」
ダークファルスはそのまま急接近する。が、それを止めるようにアザトスが迎え撃つ。ダークファルスの攻撃がアザトスに命中…したように見えた。
ガキンッ!
「ッ!?」
ダークファルスの攻撃はアザトスに命中する寸前に、弾かれた。
アザ「悪いな、全力で戦ってなくて。だが、こちらも奥の手を出すとしよう」
アザトスは青いオーラのようなものを纏っており、ダークファルスの攻撃は、そのオーラによって弾かれた。
「ソレハ…カタナコンバットカ…」
アザ「へぇ…カタナコンバットを知ってるなんて驚きだ。時間がない以上、早めに決着を着けるぞ」
アザトスはさっきの何倍の速度で動き、高速戦闘を開始する。時間が過ぎていく毎に、青いオーラは赤くなっていく。カタナコンバットの時間切れを意味していた。
「フィニッシュネライ…ワカリヤスイ…ワカッテイレバ…ソンナモノ…」
アザ「奥の手ってのは、確実に当てなきゃならねぇんだよ」
アザトスは勢いよくカタナを抜刀する。その瞬間、周りに衝撃波が生まれ、ダークファルスはそれを零距離で受ける。
「ヴッ…!」
それは一瞬、ダークファルスの動きを止めた。その一瞬を、アザトスは見逃さない。懐に潜り込み、そして…カタナコンバットのオーラが消え、それと同時にアザトスの周囲に衝撃波が生まれる。その衝撃波にダークファルスは巻き込まれ、後方へ吹き飛ぶ。
アザ「流石のお前でも、フィニッシュまで食らえば、少しは堪えるだろ」
こ「アザトスのカタナコンバット。いつ見ても強力だわ」
も「さてと、じゃあ反撃といきますか」
そういって攻撃態勢を取る。
ツ「待って!」
ツヴァイがそう叫ぶ。メンバーはツヴァイのほうを振り向く。
ツ「皆はもう、体力もフォトンも、随分消費した。このまま戦っても、多分勝てない」
アザ「じゃあどうしろってんだ?あいつを倒さなきゃ、本当の終わりとは言えないだろ」
ツ「…この戦いを終わらせる方法がある。皆を、助ける方法」
わ「その方法って?」
ツ「私の能力、時間を巻き戻す力を使って、時間を巻き戻す。そうすれば、この現状をなかったことにできる」
こ「でも、それには膨大なフォトンを消費するって…」
ツ「…この採掘場の近くに、フォトンの塊がある。今の私には、それが分かるの。そのフォトンを使えば恐らく…」
バ「この近くでフォトンの塊ってことは、採掘場跡かもしれないですね。ツヴァイちゃん、案内してくれますか?」
ツ「うん、こっち」
そういって、ツヴァイは案内しようとする。
く「ツヴァイ…ラフィルは…?」
その言葉で、ツヴァイは足を止める。少し沈黙し、口を開く。
ツ「ラフィルは…私に自分の存在を渡してくれた。そのおかげで私は1人の人間になれた。ラフィルは…私の中で生きてる。もう話せないし姿も見えない、触ることもできない…けど、ちゃんと一緒に居てくれてる」
バ「ツヴァイちゃん…」
「ソウカ…ナラ…オマエヲシマツスルコト…カワラナイワケカ」
その声に全員が振り向く。そこには、ダークファルスが立っていた。
アザ「…頑丈なやつだ。あれを食らってまだ立っていられるなんてな…」
え「こいつを抑えないと、採掘場跡には行けそうにないな」
も「じゃあ私がこいつを抑えるよ」
そう言って、もみじさんが前に出る。
も「皆は採掘場跡に行って。私も後で追いつくから」
アザ「1人じゃ無茶だ!私も…」
も「アザトスはダメ。あれだけ凄い戦闘したんだからフォトンも体力も少ないでしょ。それじゃ足止めになんてならない」
こ「じゃあ私が残るよ」
そう言って、こにぃも前に出る。
こ「親友を1人、危険な戦いに出すわけにはいかない。それに、後方援護もできる」
も「…私、器用な戦い方出来ないから、そっちのフォロー出来ないけど、いいの?」
こ「これでも私、脆いフォースをずっと続けてきたんだよ?周りを見る重要性はもみじさんより分かってるし、出来てるつもりだよ」
も「はいはい、分かったよ。そういうことだからマスター。先行っててよ」
バ「…ここはマスターである私が残るべきなんでしょうが、貴女達2人に任せます。必ず、帰ってきてくださいよ」
そう言って、メンバーは先へ進んでいった。
も「さてと、じゃあやりますか」
こ「準備は出来てるよ。いつでもいける」
2人は武器を構え、ダークファルスと対峙する。
も・こ「「ここから先へは行かせない!」」
タッタッタッ
メンバー達は採掘場跡の近くまで来ていた。
ツ「フォトンの塊はこの採掘場跡の最奥にあるはずです」
バ「採掘場跡の最奥にはブリュー・リンガーダがいるはずです。無視は出来ないと思いますし、倒すしかありませんね…ん?」
バルバテスは気づく。アザトスが、後方の、もみじさんとこにぃが今もなお戦っている方向を見ていることに。
バ「アザトス、あの2人なら心配いりませんよ。必ず無事に戻って来ます」
アザ「…嘘だ…」
バ「え…?」
アザ「マスターも気づいてるんだろ!?あの2人だけじゃ、ダークファルスに勝てないこと!!私達とダークファルスとはそれぐらい力の差がある…それは戦った私達がよく分かってるはずだ!でも…私達はあの2人を置いて来ちまった…仲間なのに…クソッ!」
アザトスは涙を零していた。大切な仲間を見殺しにしてしまう自分自身が許せないのだろう。そんなアザトスの頭に、バルバテスはポンッと手を置く。
バ「あの2人は、私達に希望を託して残ったんです。私達を信じているからこそ、安心して任せられる。だから、私達の託された思いに応えなきゃいけない。今やらなければならないことは、あの2人を心配することじゃない。あの2人の思いに応えるため、前に進むこと。私はそう思いますよ」
アザ「……あぁ、その通りだ。すまないな、マスター。先に進もう。」
メンバーが先に進もうとしたその時だ。
く「ねぇ!待ってみんな!あれ!」
くれあが叫ぶ。メンバーはくれあのいう、"あれ"のほうを向いた。そこには、
わ「もみじさん!こにぃ!生きてたんだね!」
もみじさんとこにぃが立っていた。駆け寄るわかばとくれあ。
アザ「…!!待て!わかば!くれあ!」
アザトスがそう叫んだ瞬間だ。もみじさんはデュアルブレードを構え、わかばとくれあに襲いかかる!
ガキンッ!
振り下ろしたデュアルブレードは、直前に間に入ったアザトスによって防がれる。
アザ「お前ら…あの2人じゃないな…何者だ!」
わ「アザトス…何言ってるの…?その2人は…偽物だっていうの…?」
アザ「私達に対しての殺気、そしてこの攻撃、あの2人には当てはまらない!」
もみじさんとこにぃは無表情だった。まるで、そこに感情などないようだ。
「ナルホド…イイヨミヲシテイル…」
2人の背後から、ダークファルスが現れた。
アザ「てめぇ…!生きてやがったのか!」
「…コニィ…ヤレ」
アザトスの言葉を無視して、ダークファルスはこにぃに対してそういう。それに従うように、こにぃはアザトスにテクニックを放とうとしていた。それを妨害するように、こにぃに斬りかかるバルバテス。こにぃにその攻撃を避け、後退する。
アザ「マスター!」
バ「少なくとも、私の知っている2人は仲間に対して、危害を加えるようなことはしません。だからアザトス、貴女の言葉を信じます」
「ナカマノカタキウチカ…クダラナイ」
アザ「仲間の…敵討ち…だと…?」
「アァソウダ…」
ダークファルスはゆっくりと口を開く。
「コノフタリハスデニ…」
メンバーが1番恐れていたこと…それは…
「コノヨニ…イナイ」
2人が死んでしまった…事実だ…
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