FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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光の剣
前書き
なかなか書く時間ができずに更新がスローペースになりつつあります。
しかも部署でインフルエンザ出てそのカバーを俺がしないといけないし・・・めんどくせぇ!!
尻「そういうこと口に出さない!!」
変態「ネガティブダメ、絶対」
冷温「ソフィアが真面目なこと言ってる!?」
第三者side
「やはりダメだったようだな」
村の家の中で静かに目を閉じていたエーメが小さく呟く。ローレとカラスはそれがどういうことなのかわからず互いの顔を見合わせていた。
「何がダメだったんだ?」
「さっきの追跡さ」
男の問いに平然と答えた彼女はゆっくりと立ち上がると出口の方へと向かっていく。そして扉を開くと、ある場所を二人に見るように指さす。
「いるだろ、あそこに」
「「??」」
何がいるのか、皆目検討もつかない様子の仲間だったが、女性の指さす先にいる人物たちを見てようやくその意味を理解する。
「あの短時間で全員倒したのか!?」
思わず驚愕して声が大きくなったカラス。エーメの指の先にいたのはつい先ほど山賊たちに追い掛けられていた小さな女の子たちだったのだ。
「お前も一度は倒されたんだから。あの程度の連中じゃやられても仕方ないさ」
そう語ったポニーテールの女性は右手に魔力を纏わせていくと、その手に一本の剣が現れる。
「だが、私たちが相手ではどうなるかな?」
自信ありげな表情を浮かべるエーメ。その周囲にいる者たちも、真剣な表情へと変わっていき、いつでも戦う用意ができていた。
シリルside
「大分削れたみたいだね」
「二桁はいないみたいだよ」
ボコボコにした山賊たちを縄で縛った後、村奪還のために集結した俺たち。その気配を感じ取ったのか、家の中から次々に人が飛び出してくる。
「シリルは責任取って一度倒した奴を担当してね!!」
「わ・・・わかった」
相当根に持っているらしくシェリアが何度も何度も例の件を掘り返してくる。この子怖いなぁ、レオンみたいな抑止力がほしいよ。
「雑魚は私たちがなんとかするわ」
「だから幹部たちはよろしくね~」
「すぐ倒してお手伝いに行きますので!!」
主要人物は三人。その三人は俺とウェンディ、そしてシェリアで担当し、わずかに残っている雑兵どもはシャルルたちが相手してくれる。下っ端は一対二って形になっちゃうけど、さっきの経験上強いのはいないみたいだし、シャルルたちでも十分対処できるはずだろう。
「よし!!行くよ!!」
「「「「「オォッ!!」」」」」
最年長者を先頭に村へと駆け降りていく。それを見た敵は、主要人物と思われる三人の前に村に残っていた兵隊たちが進路を遮るように立ちはだかる。
「俺たちが相手だ!!」
「こんなガキども、すぐに捻り潰してやる」
威勢だけは一丁前の男たち。でも、とても強いような風貌には見えない。オーラも全然ないし、どこにでもいそうな若い兄ちゃんみたいな連中だ。
「あんたたちの相手は」
「僕たちだよ~!!」
「「ぐっ!!」」
隙だらけの男たちに先制の飛び蹴りを放つ猫コンビ。その二人が退けると、後ろから姿を見せたのはすでに魔法陣を書き終えているちびっ子。
「ファイアー!!」
「「「「「あちぃぃぃぃぃぃ!!」」」」」
小さな家くらいしか燃え上がらせることができなそうなほどの炎だけど、山賊たちはなすすべなくやられており、横目で見てても呆気ないのがわかる。これなら向こうは楽勝だろうと、すんなり脇を通り抜けていき、二人の女性と見覚えのある一人の男の前に立つ。
「お前!!逃げるとかふざけるなよ!!」
「悪ぃ悪ぃ」
この間やっつけたはずだったのに、ケガを治してしまったばっかりに逃げられてしまい、またしても対峙しなければならなくなった。こんなことならあのまま木に縛り付けておくだけで良かったよ・・・本当にショック・・・
「もう一回お縄を頂戴してやるぜ!!」
「二度もヘマはしねぇよ」
お互いに負けられない理由がある。真っ先に戦闘の意志を示し合わせた俺たちは、他の四人から少しずつ距離を取り戦う準備をしていた。
ウェンディside
シリルが以前アイーアの街で戦ったうちの一人と戦うために少しずつ私たちから離れていく。それを見て私たちも敵がいつ来てもいいように構えを取ります。
「あれ?」
しかし、そんな私たちを見てショートヘアの女性が首を傾げます。どうしたんでしょうか?
「エーメ、こんな女の子たちが相手なの?」
ポニーテールの人は真剣な表情そのものなのに、ショートヘアの人は全くと言っていいほど緊張感がない。それどころか、私たちが相手と聞いて拍子抜けといったような感じです。
「油断するな、ローレ。見た目のわりに、二人とも魔力が高い」
「え!?この子たち魔導士なの!?」
初めて知りましたといったようなオーバーリアクションをするローレさん。なんでしょう、これから戦うはずなのに、すごく気合いが抜けていきます。
「でも皆可愛いなぁ、抱き締めちゃいたくなっちゃう♪」
「「「・・・」」」
なんかとある女性限定ギルドの少女を思い出すような発言に思わず全員の顔が強張る。すると、遠くから「俺は男だ!!」という少女のような叫び声が聞こえ、ますます苦笑いに拍車がかかる。
「まぁ、冗談はここまでにしておいて」
「冗談に聞こえないぞ」
話を置いておくような仕草を見せるローレさんに真顔に戻ったエーメさんが突っ込むが、彼女は何事もなかったかのように聞き流し、話を続ける。
「私の魔法で二人とも蹴散らしちゃおっと!!」
そう言った彼女は私たちに手を向けると、その手を表裏返すような仕草をする。
「!!危ない!!」
「きゃっ!!」
後ろから妙な音が聞こえ振り向くと、私たちに一直線に向かってくる岩が見えた。気付いていないシェリアを押し倒しギリギリで回避させると、その岩は敵であるローレさんの手にくっつきました。
「一度避けても意味ないよ」
どうやら彼女の魔法で岩が動いたらしく、驚かされている私たちは目を点にして岩を持っている状態の女性を見ています。
「次は当てるからね!!」
ローレさんはそう言うと、岩を持つ手をいまだに立ち上がれないでいる私たちに向けます。すると、投げた様子もないのに勝手に岩が、生き物のようにこちらへと向かってきました。
「「キャアアアアアアアア!!」」
私たちのブレスとほぼ同等のスピードで飛んできたそれを避けることができず、ダメージを受けてしまいます。これって、もしかしてカグラさんやライブラさんの扱う重力魔法と同じものでしょうか?
「ふふっ、どんどん行くよ!!」
私たちを中心に重力を変化させたようで、巨大な岩や木々がどんどん飛んできます。
「くっ・・・うぅ・・・」
「避けられない・・・」
私たちが交わそうとしても、自分たちが引き寄せる結果になっているがために全然意味がない。このままじゃ何もできずにやられちゃう・・・
「えぇい!!」
一体どうすればいいのか、何か手はないかと考えていると、隣にいる少女が突風を巻き起こします。それにより、向かってきていた岩などが押し戻され、周囲に飛び散ります。
「うわ!!なんて強引な・・・」
無理矢理に攻撃を跳ね返されたローレさんは再度攻撃を仕掛けようとします。
「天竜の翼撃!!」
しかし、それよりも早くこちらが攻撃を繰り出します。今相手は攻撃に意識を向けているはずだから、防御まで手が回らないはず。チャンスは今!!
「くだらん」
竜の翼のように伸びた風。それはショートヘアの女性に直撃する直前で、ポニーテールの女性の振るった光輝く剣によって斬り消されてしまいました。
「え・・・?」
突然のこと過ぎて何が起きたのか理解が追い付かなくなる。風を・・・魔法を物みたいに斬ったっていうの?
「私はこいつやお前たちのように魔導士ではない。だが、剣術には長けている」
光っている剣の先を向け鋭い視線を向けてくる。その様はまるでエルザさんやカグラさんと同じ、戦いに長けた剣士といった印象を与えました。
「この剣は如何なることも可能な“光の剣”。貴様らの魔法も、私には届かない」
私が戦ったイネスさんも、シェリアが戦ったマリキスさんも魔導士というより武器を扱う山賊よりのイメージを受けました。このエーメさんも、魔導士ではなく武器を使って戦闘する人と考えていいんだよね?
「だったら、これならどう!?」
全ての魔法を斬ることができる。それを聞いたシェリアは、負けじと黒い風を放ち敵の対応を見てみようとします。
「ふんっ」
物体があるわけではないのに、まるで竹でも斬るかのようにシェリアの魔法を斬ってしまうエーメさん。おかげで、二人に直撃するはずだった風は、その上下を通り過ぎていき、やがて消滅しました。
「あの剣ヤバイ!!」
「ヤバイのは剣だけじゃないよ!!」
カグラさんも魔法を弾いたりはしていたけど、斬るなんてしてた記憶がない。あまりの実力に驚いていると、彼女の後ろにいたローレさんが隙をついてきます。
「キャッ!!」
「シェリア!!」
足元に転がっていた小石を浮かせ攻撃を仕掛けてくる。あの人の魔法も、近くに物があればいくらでも扱うことができるし、私たちの攻撃は剣によって防がれてしまう。もしかしてこれって・・・
「大ピンチなんじゃないの?」
シリルside
ガンッ
ぶつかり合う水の剣と巨大ヌンチャク。その衝撃は凄まじかったらしく、周辺に風が巻き起こる。
「小さいのに結構力あるよな!!」
「小さいとか言うな!!」
売り言葉に買い言葉。敵の挑発を受けて鉤爪を打ち込んでみるが、さすがに反応がよく、当たりそうなギリギリのところで交わされてしまう。
「がら空きだぞ!!」
「ぐっ!!」
交わしてそのままヌンチャクの先で腹部を突いてくる。それに押されよろけると、チャンスと感じ取ったらしく、先の棒を持ち横に振るってくる。
「がっ!!」
その一撃は脇腹をキレイに撃ち抜き横に凪ぎ払われる。前回もそうだったけど、こいつには押される場面が多いなぁ、相性か?
「水竜の・・・咆哮!!」
でも、一度勝ってるわけだし負けるわけにはいかない。とにかく勢いで押して押して押しまくってやる!!
「これの対処は・・・」
向かってくるブレスを見たカラスは両端についている棒を合わせて握ると・・・
「こうすりゃいいのか!!」
ブレスの上部をそれで捉え、回転させるようにして軌道を変化させた。
「はい!?」
見たこともないような返し方に目が飛び出そうになる。イヤイヤイヤ、何今の対処法。あんなのうちのチート野郎でもやったことないよ!!
「ホレ!!」
驚いて呆然としている俺に向けて束ねていたうちの棒の一方を投じてくるカラス。これは避けると両方から攻撃できるチャンスを与えてしまう。ならば・・・
ガシッ
「掴むしかないよな!!」
避けちゃダメ、受けるのはもちろんダメ、それなら動きを見切って捉えるのが最善の選択だろう。運良く向こうとの距離は開いてるし、この体勢だと相手は攻撃する術がない。
「と思うだろ?」
「え?」
俺が逃がさないように手と足に力を入れていると、本来慌てるべき存在である青年は不敵な笑みを浮かべている。
「その行動・・・」
その瞬間、カラスの魔力が上がったのが確実に感じ取れた。でも、別段驚異になるほどのものじゃない。この程度なら負ける気はしな―――
「狙い通りなんだよ!!」
ビリビリ
「ウギャッ!!」
その声と共に手のひらから流れてくる電流。何が起きたのかわからず手を離そうとする。けど、掴んでいるヌンチャクから流れてくる電流に筋肉が硬直し、手が離れてくれない。
「お前たちが攻めて来なかったから、万全な準備をさせてもらえたぜ」
少しずつ距離を詰めてくる男から逃れたいのだが、体がしびれて動けない。ダメージを受けるほど強い電流ではないのだが、体が動かなくてはどうすることもできない。
「俺が魔力を流せば電流が流れるようになっている。もちろん、水の魔導士であるお前の対策としてな」
何もすることができず、目の前には難敵。体が動かない俺は、この危機的状況をどうやっても打破することができない。
(いや!!一つだけあった!!)
このまま攻撃を受け、体が動くようになってから反撃する。それしかないと思っていたところで、こちらにはまだ出していない手札がある。それを使えばもしかしたら・・・
「っ!!」
筋肉は硬直して動かないけど、魔力は集中させれば高めることができる。これならなんとかできるはず・・・
「まずは縛って動けなくしてから―――」
何やらこれからの段取りを漏らしている男を横目に魔力を変化させていく。次第に魔力が高まっていくと、体の右半身に黒い模様が浮かび上がってくる。
「ローレとエーメが好きそうだし、あいつらにやるか。あと二歳年上だったら・・・ん?」
呟きが明らかに不穏な空気になってきているけど、彼の意識がよそに向いているうちに準備は整った。
ブハッ
「うおっ!!」
全身に力を入れて突風を巻き起こす。それにより、近くにいたカラスは吹き飛ばされ、彼が武器を離さず持っていたこともあり、俺の手から離れなかった武器が外れた。
「なんだ今のは!?」
地面を転がった青年はビックリして跳ね起きこちらを見据える。その表情は何が起きているのかわからず、懸命に理解をしようと頭を悩ませているようだった。
「なんだ?そりゃ・・・」
天空の滅悪魔法の解放。悪いけど、そう易々とやられるわけにはいかないんだよな!!
後書き
いかがだったでしょうか。
困った時の滅悪魔法になりつつあるシリル。まぁ、今回使い終わったら使用頻度が下がることになるかもしれませんが・・・
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