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Blue Rose

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第三十八話 忍び寄る悪その五

「日本軍は徴兵制といってもね」
「あっ、確か」
「そう、このことも教えてもらったね」
「はい、検査が物凄く厳しかったんですよね」
「国民皆兵じゃなかったんだ」
 このこよはかなり重要だ、教科書で書かれている歴史と実際の歴史は違っていたりするがこのことについてもである。
「選抜徴兵制だったんだ」
「実際はですね」
「大戦中は流石に違っていたけれど」
 極限状態でどうしても数が必要だったからだ、躊躇した末に学徒動員まで行う程の。尚ナチスやソ連は中学生の年齢でも普通に戦場に送っていた。
「普段はね」
「かなり厳しいですね」
「選抜徴兵制で」
「体格がいい人しかなれなかったんですよね」
「しかも品行方正なね」
「そこまで厳しく選んでいたんですね」
「そうだよ、だからクラスでもね」
 学校の、である。
「一人か二人位しかね」
「兵隊さんになれなかったんですね」
「そうだよ」
 実際はというのだ。
「厳しかっただ」
「日本の徴兵制度は」
「今これを復活したら」
 戦前の徴兵制度をである。
「かえってね」
「人が少なくなりますか」
「あまりにも検査が厳しくてね」
「それよりもですか」
「志願制の方がいいよ」
「今は、ですね」
「それ倍率もだよ」
 自衛隊への志願者もだ。
「昔と違って今は高いから」
「数が欲しかったらですか」
「採用する人を増やせばいいからね」
「だから徴兵制は、ですか」
「ないよ」 
 それこそ絶対にというのだ。
「そうしたことをわからないで言っている政治家は」
「駄目ですか」
「馬鹿だとしか言い様がないよ、東大法学部を出ていても」
 三重県四日市市出身のだ、官僚もやっていたある政党の党首経験者だ。
「そうしたことはわからないんだよ」
「お勉強が出来てもですね」
「馬鹿は馬鹿だからね」
「そういうことなんですね」
「うん、本当にね」
「そうしたことを言う政治家さんもいるんですね」
「そしてそうした人程ね」
 さらに苦い顔で言う岡島だった。
「北朝鮮は好きだったりするから」
「あの国って徴兵制ですよね」
「決まった階級しかなれないね」
「共産主義でもですね」
「あそこは階級があるから」
 その先祖がどういった人間かで決まる、革命に近ければ近い程いいとされていて頂点にいる者達については言うまでもない。
「その中の上の方の人しかね」
「兵隊さんになれなくて」
「しかも基本国民皆兵だよ」
「戦前の日本よりずっと凄いですね」
「あんなものじゃないよ」
 それこそとだ、岡島は言い捨てた。 
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