FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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シェリアの策
前書き
アイリーン、ウェンディの体乗っ取ったからっていきなり胸を揉むんじゃないよ!!そしてウェンディもお胸のこと気にしてんじゃないよ!!
変態「いいなぁ、ソフィアもウェンディとかアイリーンとかと入れ替わりたい!!」
尻「被害大きいから断られるだろうな」
シェリア考案の作戦の準備を執り行ってから5日が経過した。もう大部分の準備は終わっているんだけど、今は最後の確認といった感じで抜けているところがないかを確認している。
「あの・・・本当に手伝わなくて大丈夫ですか?」
六人でバラバラになって最終確認を行っていると、村人の一人が恐る恐る手伝えることがないかと声をかけてくる。
「大丈夫です!!もうすぐ終わるので」
村の人たちはみんな準備に取りかかり始めた時からこうやって手伝おうとしてくれているんだけど、それを全て断っている。そもそも魔法を使えばこんな準備ちゃちゃっと終わるし、長期間家に帰れていない皆さんはきっと疲労もピークに達しているはず。こんなことで手を借りるのは気が引けるので、万一逃げなければならなくなった時のために体力を残しておいてもらっているのだ。
「シリル!!こっちは全部大丈夫だったよぉ!!」
最後の確認をしている最中、同じく確認に行っていたウェンディが駆け足で戻ってきていた。
「こっちも全部大丈夫そうだよ」
「よかったぁ!!後はシェリアたちだね!!」
予想だと二、三日で相手が動き出すと思っていたから大急ぎで準備をしていたのに、いまだに奴等は動き出さないからこうやって相手に仕掛けを壊されたりしていないかを確認していなければならない。読みが浅かったのかな?シェリアの言葉には説得力があったと思うんだけど。
「ウェンディ!!シリル!!」
噂をすればなんとやら、今回の作戦の発案者と他三名が先程のウェンディ同様駆け足でこちらにやって来る。
「こっちは大丈夫だったよ!!」
「そっか!!」
どうやら出来ていた仕掛けは解除されたりすることはなかったようで、全て万全に、いつでも作動できるようになっているらしい。
「後は向こうがいつ動くかだけど・・・」
「そもそも動くつもりあるのかな?」
たぶん最初は俺たちが残り二人を倒しに来るのを待って、増援と一緒に返り討ちにしようとしていたと思うんだけど、ここ数日姿を見せなければあちらから仕掛けてくると思っていた。それなのに、いまだに攻めてこないどころか探りにも来ないとなると・・・
「相手は私たちを気にしてないってこと?」
「なんで~?」
こちらから関わろうとしないなら自分たちから仕掛けるつもりはない。そんなことを考えているのだろうか?でも、あっちは仲間を二人も捕まえられる結果になってるわけだし、無視するわけないと思うんだけど・・・
「あくまで私たちを待っているんじゃない?」
「俺たちが攻めてくるのを?」
「うん」
言われてみると、向こうも長い期間村に住み着いている訳だし何かしら罠を仕掛けておいて俺たちが来たところを一網打尽にするプランを練っているかもしれない。となると向こうから攻めて来させるのは無理なのか?
「なら、向こうに出てくるように仕向けないとね」
各々の予想の結果、どちらも攻めていこうとする考えはない。そうなるとずっと動きがなく時間だけが過ぎてしまうことになるが、ここで諦めることはしない。絶対に作戦を成功させたいシェリアは、強行策を提示したのだった。
第三者side
「エーメ様、東方にも西方にも敵の姿はありません」
「そうか・・・」
数日前は束ねていた髪をほどき、どことなく休息を取っているように見える女性は手櫛で髪を溶かしながら真剣な表情を覗かせる。
「警戒の人数をもう少し減らせ。今のうちに体をできるだけ休ませておけ」
「はっ!!」
長官からの指示を受け村にある小屋の中から飛び出ていく兵隊。その様子を布団の中からじっと眺めていたローレは難しい顔をしている相方を心配したように声をかける。
「どうしたの?エーメの勘が外れるなんて」
最初に森に火をつけ奇襲を仕掛けてきたマリキスとイネス。彼らに村人たちがいる場所を推測し伝えたのは、エーメと呼ばれるこの女だった。しかし、彼女の考えではすぐさま襲撃してくると予測していた少年たちが全く姿を見せなかったため、布団を被った女性は心配して顔を覗き込んでいる。
「たぶん、見に来たんだろうな。いつかまではわからないが」
「あれ?でも姿は確認していないって・・・」
先行部隊である五人のうち三人がやられた直後にその部下たちが集結し、すぐさま村全体に人が近付いたら気付けるように注意を張り巡らせた。なのに、その監視を掻い潜って村の現在の様子を見たとは考えられないローレは不思議そうな顔をしている。
「所詮寄せ集めのバカどもだ。完璧な監視などできやしないさ」
部下がいないのをいいことに上から物を言うエーメ。しかし、それは事実であるだけにローレも小さく笑うことしかできずにいた。
ドォンッ
「「!!」」
二人が休憩がてら言葉を交わしていると、突然外から巨大な爆音が鳴り響いてくる。
「エーメ!!ローレ!!来たみたいだぞ!!」
バンッとドアを激しく開いてカラスがそう言う。それを聞いたエーメは驚いたような表情を見せた後、ニヤリと笑みをこぼし立ち上がる。
「すぐに休んでいる者たちも出陣させろ!!奴等を仕留めれば全てうまく行く!!」
「了解」
髪をポニーテールに結びながら指示を出し、外へと出ていくエーメとローレ。彼女から指示を受けたカラスはすぐにそれを伝えると、村の家から次々に山賊たちが姿を現す。
「エーメ様!!あいつらです!!」
村全体を見下ろすことができる崖の上部を指さす兵隊。彼女はその方向に目をやると、二人の人物が何かを投げてきているのが見える。
「女か?両方とも」
「はい!!そのようです!!」
赤紫色の髪をした少女と茶色の髪をした少女。彼女たちはどうやら石を投じているらしく、投げ下ろされているこちら側は皆反撃に出れずにいた。
「全員下がれ。カラス!!」
「任せろ!!」
彼女の指示により前衛へと飛び出してきたカラス。彼は上から投げ下ろされてくる石を巨大ヌンチャクを振り回すことで全て弾き飛ばしてしまった。
「よくやった。奴等を捕まえろ!!」
「「「「「はっ!!」」」」」
攻撃が中断したことで一気に敵を捕らえようと駆け出す山賊たち。それを見た二人の少女は、大急ぎで村から離れていく。
「私たちも行く?」
「いや、それはやめた方がいい」
先程まで騒がしかった村が静まり返る。残されたうちの一人であるローレはエーメに問いかけるが、彼女は周囲を見回しながら何やら気難しそうな顔をしている。
「カラスの話じゃ六人だったはず。だが、今出てきたのは二人だけだ」
「そう言えば・・・」
カラスの言葉を信じるのなら、あと四人いるはず。そうなると考えられる手段はただ一つ。
「あの二人は囮なんじゃないか?」
意識を奇襲を仕掛けた二人に向けさせ、その隙に他の四人で攻めてくる。初歩的な戦法だが、ゆえに効果的なものとも言える。
「それに、私たちの目的はこの村を占拠しておくことだ。あいつらが村に攻め入ってくるまではあの雑魚連中に任せておけばいい」
仮に囮を使った作戦でなかった場合も大きな損害はないと計算しているエーメ。彼女は村に残っているカラスとローレ、それから数人の部下に指示を出すと、元いた家の中へと入っていき、何事もなかったかのように休憩し始めたのであった。
シェリアside
「待てぇ!!」
「逃がすなぁ!!」
逃げたあたしたちを追い掛けて来る山賊たち。彼らは予想通り村にいた戦力の大半をこちらに向けて動かしているらしく、かなりの人数がついてきている。
「セシリー、そろそろ」
「オッケ~!!」
隣を走る少女に翼を出してもらい持ち上げてもらう。これでこっちの逃げるスピードはさらに増す。けど、狙いはそれじゃない。
「あいつ背中に羽生えてるぞ!?」
「構うな!!なんとしてでも捕まえるんだ!!」
案の定敵は速度が上がったあたしたちを必死になって追い掛けてくる。おかげで彼らは、注意が他のところには向かなくなっていた。
ビンッ
「「うおっ!?」」
しばらく走っていると先頭を付いてきていた数人が足元に張ってあった糸に引っ掛り転倒する。それに付いてきていたメンバーもドミノのように倒れるが、それだけでは終わらない。
ザザザザッ
次第に近付いてくる大きな音。巻き沿いを食らわないように上空へと飛び上がると、地上では転倒していた山賊たちに向かって濁流が押し寄せてくる。
「「「「「うわああああああああ!!」」」」」
逃げる暇もなく飲み込まれ、流されていく男たち。それを見ていたあたしたちはガッツポーズをし、木の上から笑い声が聞こえる。
「すごいなこれ!!本当に流されてるじゃん!!」
「いい眺めです!!」
その正体はこの大量の水を準備してくれた水の魔導士とその愛弟子。二人は数日前から自分たちの魔力を削って洞窟の中に水を溜めておいてくれ、先程山賊たちが引っ掛かった糸を装置にして水が流れてくるようにしておいたの。魔法学校で習ったことはあったけど、実践で使ったのは初めてだからドキドキしちゃった。
「あそこにも何人かいるぞ!!」
「流されたやつはいい!!俺たちだけで捕まえるんだ!!」
だが、残念なことに全員が流されたわけではない。遅れていたものや先に交わしていたものは水が収まったのを確認してから上空にいるあたしたちと木の上に登っているシリルたちを指さす。
「じゃ、俺たちも行くか」
「了解であります!!」
それを待っていたかのように木から飛び降りて走り出す二人の少女。あたしたちは彼女たちとは反対の方向に向かって逃げていく。
「半々に別れろ!!捕まえたらそのまま村に連れていけ!!」
「「「「「オウッ!!」」」」」
逃げ手が二手に別れたとあって向こうも大忙し。おおよそ半分になるように別々の方向へと逃げていったあたしたちを追いかけてきます。
「ほらほら!!こっちこっち!!」
「ここまでおいで~!!」
時おり振り返りながら敵を挑発して絶対に捕まえてやりたいという気持ちを奮い立たせてやる。怒りは冷静な判断力を奪うから、こっちとしてはやりやすいことこの上ない。
「待ちやがれクソガキ!!」
「ぶっ殺し手や――――」
ズボッ
「「「「「・・・え?」」」」」
ガムシャラに付いてきていた山賊たちだったが、彼らは突然地面に足を取られ前に進めなくなる。
「「「「「うそぉぉぉぉぉぉぉ!!」」」」」
そのまま地面の中へと落下していく男たち。彼らが捕まったのは何を隠そう落とし穴。あまりにもキレイにハマってくれたから、計画した側としてはうれしくて仕方がない。
「やった~!!」
「大成功!!」
大喜びでハイタッチを交わす。さっきの濁流といい落とし穴といい、数日で準備した割にはいい感じにできたなぁ。レオンにも見せてあげたかった。
シリルside
木が生い茂る森の中を颯爽と駆け抜けていく。後ろを見ると5、6人の山賊たちがデコボコの道に躓きそうになりながら付いてきている。
「転ぶなよ、サクラ」
「もちろんです!!」
今転ぶと後ろから付いてきている奴等に捕まってしまう。ウェンディだと転んじゃうかもしれないから今回は違う役回りになってもらったけど、この子は大丈夫なのか、未知数なのでわからない。
「そろそろ目的地ですよ!!」
「あ、了解」
人の心配をしている余裕はなかった。追い付かれたらそれはそれでカッコ悪いし、今からさらに肉体を酷使しなければならなくなるので気を引き締めておかないと。
「シリル!!サクラ!!早く!!」
「後ろ来てるわよ!!」
全速力で走っている俺たちの上から二人の少女の声がする。そちらに一瞬視線を上げると、仲間が俺たちの到着を今か今かと待ちわびている。
「サクラ!!先行け!!」
「あざす!!」
女の子とは思えないような返事仕方をしたサクラがウェンディたちから垂らされたロープを登っていく。彼女がある程度登ったのを見てから俺も後に続いていく。
「どこに行く!!」
「待ちやがれ!!」
俺たちが半分くらい登った頃に追い掛けてきた山賊たちがロープの真下にやって来て付いてこようとする。だけど、すぐさま水の刀を作り、足元のロープを切って登ってこれないようにする。
「ウェンディ!!シャルル!!お願い!!」
「了解!!」
「わかってるわ」
まだ登り切れていないけど、下の奴等が気付かないうちに退路を断たないととウェンディたちに指示を出す。それを受けてシャルルは持っていたロープを切り、ウェンディは用意してあった岩に向かってブレスを放つ。
「「「「「なっ・・・」」」」」
それにより彼らがやって来た道も先に進む道も塞がれる。そう、俺たちが登ってきた場所は谷のようになっている。登ってくるにはロープがないと無理なほど急斜面。おまけに逃げ道を岩で塞がれたから、彼らはその場から動くことができない。
「詰みですよ、皆さん」
「「「「「!!」」」」」
登りきった俺が山賊たちにそう言うと、彼らはようやく自分たちがはめられたことに気付きこちらを見上げる。これが俺たちの狙い。強いて言えばシェリアが思い付いた作戦の全貌だ。
「相手の人数が多くて対処が難しい。でも、それに対抗する方法はある」
「地形を利用すればいいんですよ」
例え敵が大人数いても、戦力がわからなくてもそれを有効に使わさなければどうってことない。普通の場所で敵わなくても、地形を利用した自分たちに有利な場所に誘い込めば簡単に倒すことができる。
「それじゃあ、サクラ。決めちゃって」
「アイアイサー!!」
魔法陣を書き上げていき狙いを定めるサクラ。それを見た山賊たちはあわてふためくが、逃げ道がなくどうすることもできない。
「とりゃあ!!」
大量の武器を生み出し窪地で固まっている男たちを針鼠にする。これで雑魚どもの大半は一掃できた。あとは・・・
「まずシェリアたちと合流するからね!!」
「そうだったね」
村にいる主要人物たちを倒す前に、向こうもちゃんと成功しているかを確認しないとな。幼馴染みに促された俺は仲間がいるはずの場所目指して駆けていったのであった。
後書き
いかがだったでしょうか。
シェリアの作戦は地形を利用した戦術だったんです。このために雑魚どもを用意しましたので、戦闘シーンもなく大半はお役終了です。
次からはバトルに戻っていくと思います。そろそろ最終局面に入っていくかな?
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