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オズのビリーナ

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第十幕その五

 約束を破ることはです、オズの国においても。
「約束を破ってはいけないし」
「それは恥ずかしいことだからね」
「それはしないで」
「食べていきましょう」
「残さずに」
 誰もが約束を守ることにしました、約束を破ることが悪いことでしかも恥ずかしいことであることを知っているからこそ。
 皆守っていました、そして。
 サラダを食べてスープもでした。それぞれドワーフ族の人達とエルフ族の人達が嫌いなもので前菜もメインも。
 デザートも飲みものもでした、全部二種類ずつそれぞれドワーフ族とエルフ族が苦手なものばかりでしたが。
 お料理が終わってです、カリフ王は双方に尋ねました。
「如何でしたかな」
「お料理の味は」
「そちらのお話ですね」
「はい、どちらが美味しかったでしょうか」
 こう尋ねるのでした。
「一体」
「そう言われると困ります」
「好きなものは最初から美味しかったですか」
「そうでないものもです」
「そちらも美味しかったので」
「どちらも」
「はい、これまで一番いいと思っていたものも美味しく」
 カリフ王は双方の感想を聞いて述べました。
「そうでなかった方もですね」
「同じだけ美味しかったです」
「結果としてどちらも楽しめましたし」
「量も多かったですし」
「満足させて頂きました」
「最高のお食事でした」
「そうですね、どちらもよかったですね」
 どちらの好みもそうではなかった方もです。
「では次は催しですが」
「はい、それは一体」
「どういったものでしょうか」
「ファッションショーになります」
 それもするというのです。
「そちらも」
「服、ですか」
「そちらの」
「モデルは私達がするの」
 トロットがにこりと笑ってです、ドワーフ族の人達にもそれぞれのエルフの人達にもお話しました。
「それも楽しみにしていてね」
「トロット王女がモデルになるのか」
「そうなのですな」
「この子達もよ」
 ナターシャ達五人も指し示しもしたトロットでした。
「一緒に出るから」
「噂のオズの国の名誉市民の」
「この子達もモデルになる」
「ではどんな服を着るのか」
「楽しみにしていますぞ」
「ええ、そうしていてね」
「さて、では皆さんそちらも楽しみましょうぞ」
 キャプテンはどちらの人達にも笑顔で言いました、ドワーフ族の人達に対してもエルフ族の人達に対してもです。
「ショーも」
「王女達がモデルとは」
「これはまた」
「一度やってみたかったの」
 にこにことして言うトロットでした。
「私にしても嬉しい催しよ」
「まあ私は見てるだけだけれどね」
「私もね」
 ガラスの猫とエリカはいつもの調子です。 
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