とある科学の傀儡師(エクスマキナ)
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第66話 罪邂逅
前書き
挨拶が遅れましたが
あけましておめでとうございます
もうすぐ連載を始めて1年が経ちますね
本年も未熟な作者を宜しいお願いします!
サソリが殺人鬼なんてどうして考えたんだろう?
頭の理解ではなく、あの時のサソリの様子から総合的に判断したからだろうか......
「ぶーん!ザブンザブン」
アパートの湯船に浸かっている佐天とタオルをお湯の中に入れて、ウミヘビのように蛇行させて遊んでいるフウエイがいた。
サソリとフウエイが泊まりに来て、折角だからと一緒にフウエイと入っている。
厚い外套の下に隠している無数の人形感が強調されて反応に困るが、フウエイの屈託の無い笑顔に佐天の緊張も解けたようだ。
黒髪を優しく洗いながら、マッサージをするように揉み込んでいく佐天。
「キャハハ!気持ち良いおー」
椅子に腰掛けたフウエイが脚を振り子のようにしながら、身体を揺らしている。
「フウエイちゃん」
「なにー?」
「サソリ......パパの事好き?」
「うん!大好きー」
「そっかー。例えばどんな所が?」
「えっとねぇ。優しいし、フウエイの知らない事教えてくれるし、たまに遊んでくれるし......怒ると怖いけど」
「あはは、パパって怖いもんねー。あたしも前に怒られたもん」
「そうなんだー。おやつを勝手に食べたから?」
「ううん、あたしがまあ、悪いんだけどね。真剣に怒ってくれたし......今じゃあ、感謝しているし」
「佐天ママもパパの事好き?」
「......そうね。ママもパパの事が好きだよ」
シャワーでフウエイの頭のシャンプーを流していく。
「えへへ。フウエイと一緒だね」
佐天達がお風呂に入っている間にサソリはフウエイを誘拐した輪廻眼を持つ赤いジャージを着た男から渡された封筒を開いた。
中から文字が印字された手紙2枚と簡単な地図が印刷された1枚の計3枚の紙が丁寧に折り畳まれている。
招待状って言っていたな
それに輪廻眼を持っている奴ら......
サソリは赤いジャージの男とフードを被った女を思い浮かべた。
どちらも左眼に輪廻眼を、左耳には黒い無機質な棒状のピアスをしていたが......
その面影というか容姿には見覚えがあった。
少し半眼にニキビだらけの顔をした男。
左側の髪だけを縛ったおっとりとした女。
前に闘った相手か......
いや、最近の記憶に近い......
だが思い出せん
サソリは手紙に目を落とした。
明朝体で書かれた文字を追う。
赤砂のサソリ様へ
この度は「第一位」撃破おめでとうございます。
しかし、サソリ様はバンクに登録されていない為正式な手続きが困難となっています。
つきましては、2日後に予定されております「身体測定(システムスキャン)」を受けて頂きたいと思います。
その後に詳しいお話をしたいと考えていますので、参加協力をお願いします。
同封してあります地図の場所に指定された時間に来てください。
これからの活躍を祈っております。
六道の将 天道より
もう一枚の紙に身体測定の詳しい説明と時間が記されていた。
「身体測定か......」
輪廻眼と関係している時点でかなり怪しいが、ここは誘いに乗ってみるのが賢明か
絶対的に『ゼツ』が絡んでいる事は間違いないが、新たに出現した勢力『六道』なる組織の解明もしなければならなかった。
これは、麦野達だけだとかなりキツイな
オレも動かざるを得んか
地図を確認すると見覚えのある建物が目印とあるのでなんとかなりそうだ。
サソリは出した紙を折り目に沿って折り曲げると封筒に差し入れた。
するとバスルームの扉が開く音がしてモコモコのパジャマを着たフウエイがサソリの背中に抱き着いた。
「パパ~。出たよー」
フウエイの突撃に少しだけヨロケながら後ろを見ると、ニコニコしている無邪気な笑顔のフウエイの頭を撫でた。
まだ湿っぽい。
「ああ、良く暖まったか?」
「うん!ポカポカだよ~」
少し遅れて佐天がバスタオルを頭に巻きながらパジャマ姿でリビングにやって来た。
「フウエイちゃーん。ちゃんと髪を乾かさないとダメだぞ」
ドライヤーと櫛を持った佐天がリビングにあるコンセントにドライヤーを差し込んで、おいでと手招きした。
「はーい」
フウエイが嬉しそうに佐天の膝の上に飛び乗った。
ドライヤーのスイッチを入れてフウエイの黒髪を櫛で解し、乾かせ始める。
「しっかり乾かさないと風邪引いちゃうからねー」
「ぶわわ、風がぁ」
暖かい風を浴びながら、ドライヤーを掴んで口元に近付けて自分の声の変化を楽しんでいた。
「じゃあ、サソリも入ってね」
「あ、ああ」
サソリが腰を上げて上手く回らない頭を掻きながら、フウエイと戯れている佐天を見つめた。
「キャハハ」
「うりゃうりゃー!」
「......」
「?どうしたの?」
「何でもねぇよ......」
あんな事を言いやがって、オレはどうしたら良いんだ?
何で平気で居られんだよ
サソリは逃げるように顔を伏せて脱衣場へと入った。
籠の中には買ったばかりの新しい黒色のパジャマが置いてある。
外套の上を脱いで、露わになった自分の身体を鏡で一度客観的に見てみる。
左胸部......気づかなかったが小さく突き立てられたような切り傷の痕が残っていた。
「親か......」
それは最後の最期にサソリを機能停止に追い込んだ傷だった。
実の両親によって抱き抱えられるように付けられた刃先は心臓に到達するした瞬間に急速に感じないはずの冷たさを感じた。
「ダメだ......オレなんかに」
サソリは振り払うかのように首を振ると悔しそうに拳を握りしめた。
今更、自分が行ってきた罪の重さが強くなる
多くの人間を殺めてきた過去がジワジワと侵食しているようだ
何故だ
何故だ
かつて捨てたはずの感情に掻き乱される
いっその事、母親の思い出す佐天に罵って貰った方が何百倍も楽だと思った。
サソリ~
サソリさん!
サソリ!
握りしめた拳を見つめながらサソリは少しだけ呼吸を荒げた。
過去を話そうが決して拒絶せずに受け入れる仲間がいるだろうか?
もう逃げられないのなら、それで良い
サソリは胸部の傷をなぞりながら覚悟の意志を硬めた。
「......お前らの為なら」
人形に居場所を見出し、一度は核を射抜かれた身だ。
後どれくらいの時間が残されているか解らない。
オレを信じているバカヤローな奴らの為に使ってやるか
せめてもの取るに足らない罪滅ぼしだ
サソリがお風呂から上がると食卓にはカレーライスが用意されており、フウエイが待ちきれないようにスプーンを片手にジッと見つめていた。
「サイズが合って良かった~。じゃあ、ご飯食べようか」
黒のパジャマを着たサソリに佐天は和らいだ笑みを浮かべてもてなした。
「ああ」
「早く食べたいぞ!」
「はいはい」
絶対に手に入らないと思っていた時間
だからこそかもしれない
一度喪う恐怖を覚えてから、全てにおいて臆病になった自分が居た
「おいしー!佐天ママはお料理上手だね」
「ありがとう。ほら、口元に付いてるぞ」
「ん、ふえ」
タオルでフウエイの口を優しく拭いていあげる佐天。
「サソリはどう?」
「......美味いぞ」
「ふふ、ありがとう」
戦場に居続けた過去を溶かすような日々の生活。
それはサソリの本質を変えつつあった。
だが、それは避けようの無い地獄へと踏み出す覚悟だ。
深く結びついたからこその苦痛や悩み。
「佐天......後で話をして良いか?」
これだけの事を言っただけで胃に鈍い痛みが走る。
さっき覚悟を決めたと思ったが行動に移してから予想以上の反動が跳ね返る。
「うん、分かったよ」
「すまんな......」
「?」
穏やかな夕食が終わり、食器を片付けて佐天が押入れから布団を取り出して敷き始める。
既にお休み状態のフウエイはベッドの上でウツラウツラしていた。
サソリが手を握ってやるとじんわりと暖かい気がした。
あの時に死んでいたかもしれない命
オレのエゴで生きさせてしまった
弟子のミサカが人傀儡となり、サソリにその姿を見せて生きている様子は罪の意識を増長させる。
かつてのサソリの人ならざる姿を......
「よいしょっと!これでいいわね」
「本当にフウエイと一緒の布団で良いのか?」
「別に良いけど......どうしたの?」
「いや......怖くないのか?っと思ってな」
「?フウエイちゃん可愛いからオーケーよ」
「そうか」
怖くないか......
オレと闘った奴は作品を見た瞬間に恐怖に顔が引きつるのにな
初めて褒められた気がした
認められた気がした
フウエイが寝息を立てるのを確認すると佐天はベッドに座ってサソリを見下ろした。
「それで話って?」
「少し待て」
サソリは立ち上がり、部屋の電灯を消した。
「!?」
「フウエイが起きるだろ」
「あー、なるほど」
「横になりながらで良い。楽な姿勢で聞いてくれ」
「うん」
ガサガサと布団に入る音が聴こえてくる。
常夜灯のオレンジの光が部屋を優しく包み込む。
「......」
「サソリ?」
頭の後ろで腕を組みながらサソリは慎重に言葉を選んでいく。
何がフウエイの為だ
面と向かって話すと話せなくなりそうだから講じた策だ
やはり臆病だ
佐天はそんなサソリを気遣うように
「大丈夫?無理に言わなくても良い......!?ま、まさかの返事!まだ心の準備が」
枕に顔を埋めながら軽く足をバタバタさせている。
「いや、それじゃねぇな」
「ち、違うの?」
ホッとしたような、残念なような
くすぐったい気持ちだ
「オレの過去の事だ」
「!?」
佐天は起き上がってサソリを朧火の中で見つめた。
「いいから横になってろ」
「う、うん......サソリの過去か」
横になってサソリと同じ天井を眺める。
なんか不思議な感じがしてならない。
「オレは人を殺した事がある」
「......」
サソリは話を始めた。
乱暴な始まりだったし、佐天にとってみれば非日常の描写の連続だ。
しかし、彼の真剣な表情と淡々とした口調......緻密な表現が決して大凡の人が体験でない事を物語っていた。
人間から人形を造り、戦闘の道具に使っていた事。
初めての人傀儡は実の両親だという事。
そこは佐天も見覚えがある情景を想起させる。
薄暗い部屋で小さなサソリを無機質な腕で抱き上げている黒髪の女性の人形。
「そして『暁』って組織に身を置いた」
「あかつき......」
国語の時間で習ったようで、意味は朝方の仄暗い様子を表した言葉だ。
そこで更に人殺しはエスカレートしていく。
人を殺しては人形に変え、永遠な美を見出して道を踏み外し続けていく毎日。
数は三百体に近い数字を言った。
もはや絵空事のように途方もない数に思えた。
最後に実の祖母と戦い敗れる所で話は終わった。
そこから先は佐天達と出会い、現在に至る。
サソリにとっても此処はいきなり連れて来られた場所だった。
「信じないならそれで良いし、軽蔑しても構わんぞ」
「う、うん」
正直こんなに濃い内容だとは思わずにどう声を掛けるのが正解か分からなかった。
な、何か声を出さなければならない気がする。
「多分だけど......その罪って消えないと思う」
「......」
「あたしがレベルアッパーを使ってみんなを巻き込んだ事と同じでずっと残ると思う。比べるの間違っていると思うけどね」
「残る......そうだな......」
「でも、出会ってからのサソリはあたしの中では正しい事をしてきたと思うよ。そこは保証する!」
佐天の力のこもった物言いにサソリは反応に困ったように目を閉じた。
「なんか成長したなお前。あの時よりもずっと」
「せ、成長!?そんな事ないよ!初春に泣き言言っちゃったし」
「ありがとうな」
いっその事罵ってくれた方がどんなに楽だったろうか
拒絶してくれた方がどんなに対処し易かっただろうか
「あたしも御坂さんも白井さんも湾内さんも......みんなサソリに助けられたからね。今度はあたし達がサソリを助けたい」
「いや......」
充分だった
受け入れてくれた事が嬉しかった
佐天達に合わなかったらこんな気持ちなんて永久に無かっただろう
サソリは寝返りを打つように佐天に背中を向けて寝始めた。
オレは幸せにする事は出来ない
だが、佐天達に危害を加える奴がいるなら全て敵と見なして攻撃するしかない
戦闘と人形しか知らないサソリに出来る最低限の恩返し
「お前らがオレを助ける?無理を言うな」
「出来るよー!能力に目覚めたし」
「あんな生兵法な能力でか......まあ期待しねぇよ」
「もー」
茶化すように言ったサソリだが目付き真剣だった。
当面の目的は『ゼツの企みを止める』事だ......命に代えても......
寝息を立てて眠り始めたサソリの横顔を見ながら、佐天は軽く頬にキスをした。
少しだけなら良いよね......
サソリの布団に潜り込み、サソリの上になった腕にそっと頭を乗せた。
「サソリ......あたしはサソリに逢えて嬉しいよ。お願い......どこにも行かないで」
闇が深まる夜の学園都市。
最後の時は刻一刻と静かに迫っていた。
******
派閥
生徒が自主的に作る同じ目的を持つ者同士の集まり、同系統の能力の研究会だったり人脈形成のサロンだったりと様々な目的で作られている
特に大きいものは学内に留まらず社会に影響を及ぼす事もあり得る。
長いようで短い夏休みが終わり新学期がスタートした常盤台中学で湾内と泡浮が頼まれた資料を職員室に運ぶ為に廊下を並んで歩いていた。
湾内はファイルを9冊、泡浮はダンボール2箱を持ち上げて危ない手付きで震えている。
「重い......ですわね」
「そう......ですわね。新学期ですの......で」
窓枠の少し出っ張った部分に軽く乗せると休憩するように一息入れた。
「はあ」
湾内は盛大に溜息を吐きながら夏休みの自分の不甲斐なさに嘆いた。
「結局、サソリさんとは何も進展がありませんでしたわ......夏が最大のチャンスでしたのに」
恋人としてのイベントに欠かせない夏休み
夏祭りや海で泳いだりして仲を深めるべきだったのに
部活にほとんど時間を取られてしまうし、常時サソリさんの居場所が分からない等が重なり、めっきり会う機会が薄れてしまった
「折角水着を買いましたのに......サソリさんに見せる事も出来ず......うぅ」
「まあまあ、またチャンスが来ますわよ」
「そうだと宜しいのですの......その為には早めに用事を片付けていざ情報収集ですわ!......ととっ!」
腕を突き出して気合を入れる湾内だがファイルの山が崩れそうになり慌てて押さえる。
あと少し進めば職員室が見えてくる。
運び終われば御坂さん達と連絡を取ってサソリさんとの交流をしませんと!
静かな闘志に燃えながらファイルを持ち上げる湾内に泡浮が苦笑いを浮かべながら、最後の道のりを考えながらダンボールを持ち上げた。
そして廊下の角を曲がると扇子を持った古風な女性とぶつかってしまいバランスを崩した。
「きゃ」
「あっ!?」
盛大にファイルをばら撒き落としながら湾内は尻餅をつき、強打した部分を摩る。
「いたた......」
「大丈夫ですの?」
泡浮がダンボールを置いて湾内の側に駆け寄るが古めかしい艶やかさを持った女性が申し訳なさそうに手を差し伸ばしていた。
「申し訳ありません。不注意でしたわ。オケガは?」
「あ......いえ。こちらこそ」
制服の上からでも分かる抜群なプロポーションに湾内と泡浮が少しだけ見惚れていた。
「ん?」
「まあ、婚后光子さんと云うのですね」
「ええ」
「すごいですわー。転入試験は一般入試より難関と聞きますのに」
扇子をポケットにしまい転ばしてしまったお詫びに荷物を運ぶの手伝いをしてくれる。
古風な女性は『婚后光子』といい、難関の常盤台の編入試験を突破した努力家。
ペットのニシキヘビ『エカテリーナ』ちゃんを溺愛している。
能力名『空力使い(エアロハンド)』
大能力(レベル4)
「あ、あら。まったく大したものではありませんでしたわ。わたくしとしてこだわりはなかったのですが常盤台が我が校へどぉ~~~~~~~~~~~~~~してもと言うものですから」
「「さすがですわー」」
↑基本的に人を疑わない2人
照れたように頬を緩ませる婚后に惜しみない笑顔で応える湾内と泡浮。
「失礼いたします」
無事荷物を職員室に運び終えて出入口で礼をする3人。
「しかし、広い校舎ですわね。それに常盤台は独自の決め事も多いですし戸惑う事も......」
用事が片付き自分達の教室に戻り始めると困ったように入ったばかり婚后が声を漏らした。
「でしたら。『派閥』に入るといいかもしれません」
「派閥?」
「基本は同好の士の集まりですので、入って相談すれば色々とサポートして頂けると思いますわ」
「はー。そんな事が」
感心したように口元を扇子で隠しながら婚后が言う。
「!噂をすれば」
窓から外を端目で見ていた泡浮が外にいた集団を見つけて声をあげた。
婚后と湾内が窓から覗き込むと30人くらいの集団がゾロゾロと同じ方向に歩いている。
真面目そうに眼鏡を掛けた女性。
本を持った女性。
談笑する女性。
ドリルヘヤーをした女性等、十人十色の言葉通りの様々な人が集まって移動している。
そして、1番の先頭には金髪ロングの女性が陣取っていた。
側から見れば目立たない訳のない異様な集団に婚后は目を丸くした。
「ずいぶん大所帯ですのね。大名行列のような......」
「はい。あちらが常盤台最大規模を誇り、女王の異名を持つ超能力者(レベル5)『心理掌握(メンタルアウト)』。食蜂様の派閥ですわ」
湾内が少しだけ憧れを抱きながら説明をしているが、婚后はその荘厳さ規律正しさに釘付けとなり、先頭の食蜂なる人物と自分を重ね合わせる。
元々負けん気の強い性格の婚后は決意を固めて窓枠に腰掛けた。
あの場所が自分が居るべき場所
「決めましたわ。わたくし自分の派閥を立ち上げます」
「え」
この時は派閥作りが想像するよりも簡単ではない事を知らず。
自分の能力に自惚れていた婚后だった。
一方その頃......
常盤台中学の正門前に赤い髪をして外套を着たサソリが地図と目の前の建物を見比べていた。
「場所的には此処みたいだが......此処って......」
「大っきい建物だね~パパ」
フウエイが門に昇って、目を光らせている。
「はあ......マジか」
さっきから確認をしているが見覚えがある建物って云えばそうだろうが
御坂達が居る所でやんのかよ
身体計測......
波乱の予感がサソリの中で警報のように鳴り響いた。
「きたきた~」
「そんなに身を乗り出したらバレるよー!畜生道」
常盤台中学の屋上で双眼鏡を覗き込んでニヤニヤしている畜生道と丸眼鏡を掛けて白衣の研究者に変装した人間道が準備を進めていく。
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