歌集「春雪花」
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夜の闇に
恋そ時雨し
初春の
想いぞ降りて
君を待ちにし
年も明け、辺りには祝賀の雰囲気が漂う。
しかし…私は新年を祝う気分になどなれず、ただ彼のことだけを考えてしまう…。
もう…どれほど会っていないだろうか…。
彼にとって、私はその他大勢…。
もし仮に…今、私が消えたとしても、彼には何の不都合もないのだ…。
そんなことを考えつつ…来るはずもない彼を、今日も待ち続ける…。
初春の
夜にそぼ降るは
なみだ雨
冷たき雫に
身も凍りける
元日から…時季外れの雨が降る…。
今季は雪が少なく、田畑さえ見えているほど…。
その雨は、私が彼に会えないことを嘆く哀しみの涙なのか…それとも、淋しさに喘ぐ私を打つためのものなのか…。
一つ分かることは…それはただただ冷たく、私の体を凍らせてしまうかと思えた…。
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