Fate/Godhood Trickster~神格の道化師~
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第2話~お茶目の末路~
前書き
第2話です。
……言い忘れてました、ロキの台詞などにはおふざけという名の戯れ言が多く入ってるかもなので注意です。
……【ロキ】の召喚を終えて十分後。
ロキは主人の【イリヤ】とメイドの【セラ】、【リーゼリット】の三人と共に城の地下から出てきた。ちなみに、ロキ達がいる土地は極寒と言ってもいい程に雪が降り積もっており、さらに現在は夜中の0時を回っているせいか地上は何故か地下よりも肌寒くなっている。そのせいか地下の入り口から出てきたイリヤは体を震わせながら防寒具を着用し始めた。
「さ、寒い寒い……」
「大変だねご主人~あれっ?二人はご主人のあれ着なくていいの?とっても寒そうだよ~?」
「ご心配なく」
「・・・・・・」
「……ちぇっ、面白くないな~」
自分と同じく冷気を何とも思っていないセラとリーゼリットを見てロキは呟いた。
二人はロキの言葉に耳を傾けようともしていないのか、ロキは無視してイリヤの方に目を向けていた。イリヤは-3℃というとんでもない冷気を何とも思っていない人外三人の後ろに立ち、現在も防寒具を着ようと奮戦していた。そして、約三分後に防寒具の着用を終え、冷気との死闘を終わらせた……筈だった。
――くちゅん!
突然、イリヤがくしゃみを放った。
防寒具を着たのは良いが、あまりに時間を掛けすぎた事によりイリヤの体温はとても低くなっていた。その証拠に、彼女の顔は今現在城外で降り続けている雪に負けず劣らず真っ青になっていた。
「大丈夫ですかお嬢様!?」
「どう見ても凍えてる」
「へっくちゅん!……も~!何で城の中がこんなに寒いのよ~!」
「……仕方ないなぁご主人は……」
ガチガチに震えているイリヤを見て、ロキは某猫○ロボットの様な言葉を呟いた。
そして、ロキは四次元……ローブの中に手を突っ込むと、何処からともなく剣を取り出した。突然の出来事にイリヤは驚き、メイド二人はイリヤの前へと立ち塞がる様にするとロキを睨み付け警戒した。そんな二人に対し、ロキは笑顔で剣の刃を二人の前に出した。
……かと思いきや一気に自分の頭上へと剣を掲げた。
このロキの意味不明な行動に対して三人が不思議に思っていると、頭上に掲げた剣の刃から突然、大きな炎が現れた。
「……火?」
「……宝具、【形無き災害】で生み出した炎だ。ご主人、これで暖まるといい。……大丈夫、炎は魔力で作られたもので出力は押さえている。この程度では相手を殺すことは勿論、火傷すら負わせることもできないよ。
……何故かそこで怖い顔をしているメイドさん達?」
「……次からは私たちに言ってからしなさい【道化師】」
「次やったら駄目」
二人はそう言うと城の階段へと歩き始めた。
ロキは反省の色も見せないわざとらしい笑顔を続けている。そんな事をしばらく続けていると、いつの間にかロキの足元に立っていたイリヤが、彼のローブの袖を引っ張った。
「……その火で暖かくなってもいい?」
「当然だよご主人」
ロキはそう言うと、レーヴァテインをイリヤの目の前へと下ろした。
しかし、近づけた炎に抵抗があったイリヤは、炎より少し離れた所で手を伸ばしていた。……これでは暖まらない。ロキはそう思うと、イリヤの目の前で自分の手を笑顔で炎に突っ込んだ。いきなり炎に手を突っ込んだロキに対してイリヤは驚き、彼の手と顔を交互に観察するように頭を動かしていた。当然、ロキは手を炎に突っ込んだまま、表情は笑顔のままだった。
……普通の人間ならビビって炎の中に手を突っ込む様なことはしない。しかし、イリヤはロキを信じて試しに炎に手を突っ込んだ。
「……暖かい///」
「なっ、暖かいだろう?
……あ、良い子のご主人(と読者諸君)は普通の炎でこんな事をするなよ?絶対に火傷するからな?これはロキさんの不思議な力でやってるだけだからな?やるなよ!?絶対にやるなよ!?」
「あはははは、そんなの言われなくても分かってるよ!」
ロキの戯れ言(注意)に対してイリヤはポカポカしながら笑顔でそう言ったのだった……読者の皆、絶対に真似しちゃ駄目だからね?
……それから時が過ぎ……
レーヴァテインでしばらく暖まっていたイリヤはリーゼリットと風呂に、ロキは自分の自室へと案内するセラと共に行動をしていた。そして今、ロキに対する天罰?が落ちようとしているのであった。
「……何処まで行くのかな~?もう最上階じゃないかなここ?」
「もう少しです」
……いや、もうそれ道中で三回くらい聞いたんですけど。
「もう少しです」という魔法の言葉を三回も言ってきた無愛想なメイドに対し、ロキは心の中でつっこんだ。しかし、今回のもう少しは真実だったのか、ツッコミを入れた瞬間にセラは立ち止まった。目の前には一つの扉があり、どうやらそこが自分の自室かとロキ思った。
「お待たせしました。ここが今日から貴方の部屋になります」
「お~そっかそっか~何かご主人の部屋よりすっげ~離れてる気がするんだけど、気のせいかな?」
「気のせいです」
「僕、一応イリヤの【サーヴァント】何だけどさ、身辺警戒とか守護とかも仕事に入ってるんだけど」
「聖杯戦争の時でお願いします」
「何かさ、ここは道中通ってきた所よりも随分と埃が溜まっている気がするんだけど」
「何分大きな城ですので、ここは掃除が追い付いていないのです。
……それにここはあまり使いませんし(小声)」
「おい、『ここはあまり使いません』って言ったよね?完全にここ物置か何かだよね?絶対そうだよね!あっ、ごめんなさいせめて物置ではない事を否定してください!……嘘だよね!?仮にもお嬢様の使い魔だよ!?嘘って言ってよ!嘘だと言ってよバー○ィ!」
ロキの戯れ言混じりの抗議が始まったが、セラは耳を貸さず、何の躊躇もなく扉を開けた。
その先にあるものは当然ロキの予想通り、埃が被った物……圧倒的な数の物が置かれた元広間だった。当然、誰がどう見てもこれは【物置き部屋】という奴である。
「……デスヨネー」(棒)
「今日からここが貴方の部屋です。浴室とトイレは道中に通ってきた道を行けばあります。ベッドと電灯代わりの道具ならあのキャンプ用のテントの中にあります。鍵は内側と外側で掛けることが出来ます。これが鍵です。
……あ、それと掃除用具は一式全て右端にありますので気が向いたらここを掃除しておいてください。それではおやすみなさい」
――ガチャン……カチャリ
「……反論の時間も与えず逃げやがった」
しかもご丁寧に鍵まで掛けて、その上部屋の掃除を押し付けて逃げやがった。
HAHAHA、何て嫌われ様だ。一体この仕打ちは何に対する報復なんだ。……100%、今までのおふざけに対する彼女なりの報復である。嵐の様に消えたメイド【セラ】の顔を思い浮かべながらロキは笑った。そして笑いながら自分の自室となる部屋を改めて見渡した。
……誰がどう見てもゴミ箱の様な扱いを受けた【物置き部屋】である。主の城でなければ真っ先に火を放つべきレベルの。
「まあサーヴァントだから死ぬ様な事態では無いけど……泣けるぜ(苦笑)
……はぁ、取り敢えず軽く掃除しよっか」
せめて寝床は確保しよう。
荒れ果てた部屋の掃除の目標決めたロキはそう決意し、部屋の隅に置いてある箒を手に取ったのだった。
後書き
ロキの宝具説明
・【形無き災害】(オリジナル)
"魔法によって様々な災害をもたらす"とされている宝具。能力は持ち主のイメージによって様々な災害(火事、台風、地震など)を起こす。さらに、元々の原型が無いため、この宝具が姿を現す時、持ち主がイメージする形へと変化する。尚、どのような形になったとしても"災害をもたらす"能力は変わらない。
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