この素晴らしいめぐみんに祝福を!
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この恐ろしい敵から逃走を!
まだ少し寒い朝。空は青く澄み渡り、爽やかな風が小気味いい。
春になり芽吹き始めた草が一面に生い茂るのどかな丘に、大きな声が響き渡った。
「エクスプロージョンッ!!!!!!!」
ズドドドドドーン!的な音が鳴り響き、先程までののどかさはどこへやら、辺り一面クレーターである。
「・・・うん。いつ見てもドン引きの威力だな」
俺はこの凄惨な破壊を引き起こした爆裂少女を見て、率直な感想を述べた。
いやいや、ほんとこいつだけは敵に回したくない。
「どうですかカズマ!この開けた土地に爆裂魔法を撃ち込んでみたかったのです!」
そんな恐ろしい犯行声明をいい笑顔で言うめぐみん。いや、もう慣れたけどさ。
「そうだな。さっきまであそこにあった岩も粉々だし、威力、音、見た目共に申し分なかった。まさに会心の一撃。ナイス爆裂!」
「ありがとうございます!次はもっと凄いのを撃てるよう頑張りますね!」
そう言って笑いあう俺とめぐみん。日本に居たときは、こんなこと想像もしなかった。
・・・まぁ異世界でもイレギュラーらしいけど。
俺は苦笑しながら、力を使い果たして倒れているめぐみんを起こし、背中に乗せた。
女の子ってのは軽いんだなとか、少し育ったのかなとか色々思うところはあるな。
「カズマ、今何かよこしまなことを考えてませんでしたか?」
「え!?い、いや考えてないよ!?あー、そんなことよりめぐみん、今日朝飯…」
どうする、と俺が露骨に話をそらしにかかった時。
俺の敵感知能力が反応した。
「…めぐみん。なんか猛烈に嫌な予感がするんだが…」
「…奇遇ですねカズマ。私も嫌な予感がします」
俺達が恐る恐る振り返ると、背後には黒い大きな体と、鋭い爪と牙、獰猛な目…。
「ばか野郎!初心者殺しじゃねぇか!」
「カズマ!早く!早く逃げてください!」
「元はと言えばお前のせいだろうが!ええい、逃走スキル発動!」
「・・・カズマは便利ですね」
「おいあんまり舐めたこと言ってると降ろすぞ?」
ピンチになってもどこか楽しそうなめぐみんに釣られて、俺まで笑顔になってくる。
まったく、日本に居た時はこんなこと想像もしなかった。でも…
「悪くない、よな」
「ん?カズマ、何か言いましたか?」
背中からめぐみんの怪訝そうな声が聞こえてくる。
「何でもねぇよ!ほら、ちゃんと掴まっとけよ」
俺はそう言うと、走る足に力を込めた。
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