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普通だった少年の憑依&転移転生物語

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【ハリー・ポッター】編
  181 二年目の終わり

SIDE ロナルド・ランスロー・ウィーズリー

期末試験前日の夜、ロックハート〝元〟先生が退職──と云うより〝入院〟するとダンブルドア校長から通達があった。……その発表には多くの生徒──とりわけスリザリン生が歓喜して、先生方も──これまたとりわけスリザリンの寮監であるスネイプ先生が喜んでいた。

故に、試験を監督すべき教師が不在となった〝闇の魔術に対する防衛術〟の試験はダンブルドア校長の監督下で、二人一組で──決闘みたいな形式で行われ、〝決闘クラブ〟で習った〝武装解除〟〝目隠し〟〝全身金縛り〟の呪文を互い互いに掛け合う形式だった。

俺は──もとい、俺、アニー、ハーマイオニーの三人はもちろん軽く通過(パス)した。……寧ろ、それらの呪文を〝無言〟で使えた俺達三人は満点にプラスαされたのを試験の後にダンブルドア校長からこっそりと教えられた。

ちなみにその時の俺のパートナーはもはやお馴染みであるネビルで、ネビルは〝武装解除〟と〝全身金縛り〟を成功させていたので、ネビルも〝闇の魔術に対する防衛術〟の試験を無事に合格(パス)したと見る。

……俺の〝無言呪文〟を見たネビルが、その後〝弟子入りしたい〟みたいな事を言ってきて──それを俺が承諾したりみたいな一幕が有ったりしたのだが、それは蛇足だろう。

閑話休題。

そしてスネイプ先生が上機嫌の内に期末試験もあっという間に全ての試験が終わった。

順位の方はまだ出ていないが、それなりに──去年ほどではないが良い点数は取れている自信がある。

(……少なくとも5位以内に入っていればいいかね)

試験の最終日──新たに俺達の訓練に加わる事となったネビルをアニーとハーマイオニーに会わせた夜、俺はベッド腰掛けながらそんな事を考える。

去年の順位は、俺が一位を取れたが、アニーとハーマイオニーからしたら主席は十分に射程範囲だった。……つまり、今年の順位は誰が主席になっているかは判らない。

ちなみに、ネビルが〝俺達の訓練に加わりたい〟と言ったのは昨日の今日だったので今日のところは説明がてら、アニーやハーマイオニーと同様──“勿体ない資質(ポテンシャルヒット)”でネビルの資質(ポテンシャル)を引き出すだけにとどまった。

……ネビルの資質(ポテンシャル)は、主に〝映画〟で──知っていた通り〝大器晩成型〟で、ネビルの覚醒が早まったと云うわけになる。……ネビルは自信こそ付ければワープ進化するのは〝騎士団〟編を観ての通りである。

(……ま、なるようにしかならないか)

色々と思考してみた結果、そんな風に落ち着く。ある人はそれを〝投げっぱなしジャーマン〟と言ったり言わなかったりするのだが、俺は腰掛けていたままだったベッドに背を預け──そのままゆっくりと睡魔に身を委ねた。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

試験の結果が発表された。どうやら俺の心配は杞憂(きゆう)だったようで、俺は二年連続で主席を獲得した。……それでも下二人との点差も〝どんぐりの背比べ〟状態になっているので俺もうかうかはしていられない。

……ちなみに俺が手ずから勉強を見たネビルは2つ、シェーマス1つ、ディーンは3つと云った具合に去年より順位を少しだげだが、上げていたので三人から結構な感謝をされたり。

閑話休題。

(……どうするか…)

朝食の席、アニーとネビルに挟まれつつ味噌汁──もとい和食に焦がれながら考えるのはこれから──三年時、来年の事。

……鬼に笑われるかもしれないが、もう〝知識〟的に考えればシリウス・ブラックがアズカバン──犯罪を犯した魔法使いを収容する監獄から脱走して、吸魂鬼(ディメンター)がホグワーツ近辺に放たれるまで片手で数えられるくらいになった。

(そういや、シリウス・ブラックは〝どうやって〟──は、まぁ想像が付くとして…)

吸魂鬼(ディメンター)は〝人間〟の生気や楽しい気分を啜って生きているのは、改めて〝知識〟を前提に吸魂鬼(ディメンター)の生態についてある程度詳細に調べたから知っている。

そしてその事から、動物の姿となった〝動物もどき(アニメーガス)〟には吸魂鬼(ディメンター)が襲い難くなるということまでは類推出来た。

……しかし、今俺が思考を回しているのはそこではない。

(……〝どうやってピーター・ペティグリューを発見せしめたのか〟)

以上の点が気になっていた。シリウス・ブラックは12年もの間──恐らくは無実の罪で収容されていた。

いつでも脱獄出来たなら〝10年〟かそこらで脱獄していてもおかしくなかったはずである。〝10年〟ならばちょうど〝ハリー・ポッター〟がホグワーツに入学した年である。

……俺がもしもシリウス・ブラックの立場で、言い方は悪いかもしれないが──後見人(ちちおや)ヅラがしたいのなら〝ハリー・ポッターの入学〟に合わせて脱獄する。……だから俺はシリウス・ブラックが〝12年〟──実に中途半端な時期に脱獄した事が気になった。

……そこで、こうして──〝シリウス・ブラックについて〟改めて考えていると、色々と〝見えてくるもの〟もある。

〝ハリー・ポッター〟に親友(ジェームズ・ポッター)の影をシリウス・ブラックが重ねているのは〝騎士団編〟からして想像に難くない。

(……〝〝10年〟で脱獄しなかったのは〝ハリー・ポッター〟が原因と云うわけではない〟──つまりはそういう事)

だとしたら〝ハリー・ポッター〟に憐憫(れんびん)の念を懐かざるを得ない。

……(もっと)もハリー・ポッターもハリー・ポッターで色々と〝あれ〟だから、どっこいどっこいではある。そこら辺で〝人間っぽさ〟の整合性を取っていて、〝それはそれで良い〟と云う人も多いからこそ〝【ハリー・ポッター】シリーズ〟は大ヒット作になったのだろうが…。

閑話休題。

(それなら、シリウス・ブラックに〝脱獄を決意する理由〟が出来るはずだよなぁ…)

逸れかけていた思考を〝シリウス・ブラックが脱獄した理由についての考察〟に戻す。

〝息子(ハリー・ポッター)〟もまた脱獄の一部かもしれないが、主だった〝理由〟としては至らない。……それなのにシリウス・ブラックはアズカバンからの脱獄を決意して──さらには脱獄せしめた。

……もうそこまでくると、一つくらいしか〝理由〟を思い至らない。

(〝アズカバンで〝ピーター・ペティグリュー〝を発見した〟。……まぁ、この辺りが順当か)

そこまで考えて一旦思考を落ち着かせる。……アズカバンでどうやってピーター・ペティグリューを発見したのかと云う──至極真っ当な疑問には一時的に蓋をする。

「……はぁ~」

しかしその疑問は頭の中で蓋に閉じ込められたままのを良しとせず、蓋から洩れ出るかの如く思考の端で(うごめ)き蓋から湧いて来て──それと同時に溜め息も洩らしてしまった。

「ロンが溜め息なんて珍しいね。昨日人魚になった夢でも見た?」

「嫌味か。……そろそろスキャバーズに一発芸でも覚えさせようて頭を捻らせていただけだよ」

俺が溜め息なんか()くのを珍しがったアニーは【日刊予言者新聞】から顔を上げながらそう諧謔(かいぎゃく)を込めて言ってきたので、かじったトーストをオレンジジュースで流し込んで、アニーの言葉に俺もまた諧謔を込めて返す。

……場所を取られるのが嫌なので──〝浮遊〟させてあるスキャバーズの檻から〝キーキー〟と甲高い(こえ)が聞こえてきたが敢えてスルー。

閑話休題。

「そうして(ウィーズリー)(スキャバーズ)におんぶにだっこで生活していくのであった…」

「あはははっ、確かにスキャバーズは12年も生きているらしいから話題性はバッチリだよね」

「まぁ確かにな──っ」

そうこうアニーとふざけ合っていると、アニーが何と無しに置いたであろう【日刊予言者新聞】が目に入り──〝とある事〟を閃いた。

(……ん? いや、ちょっと待てよ…。いけるか…?)

「……いや、本当に一山当てられるか?」

(シリウス・ブラックがスキャバーズを──ピーター・ペティグリューを【日刊予言者新聞】で発見出来る可能性は低いが、少なくとも〝スキャバーズ〟を矢面に出す必要がある…)

「……いやいや、一山当てるって云うくらいなら〝コレ〟くらいは当てないと」

「まぁ所詮は鼠だからな──っ」

俺は皮算用ながら〝スキャバーズ・プロデュース・プロジェクト〟なるものを構想しついると、アニーは呆れたような表情で【日刊予言者新聞】を開き、とある一面を俺に示す。……俺はその一面のをざっと読み始めた。


――――――――――――――

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――――――――――――――


(……この感じなら十中八九一等が当たるな…。……いけるか…?)

「……おお、こりゃあ上手い具合にいけそうだ。……アニー、ありがとう」

「ど、どういたしまして…?」

両手でアニーの両手を包み込む様に握り、ちゃんとアニーの目を見てお礼を言う。……するとアニーは軽く頬をそめながら目を逸らしてしまったのはご愛敬。

……しかしここは食堂には生徒の数は(まば)らなれど──朝食の席で、近くにはネビルも居たのをうっかりと忘れていた。

「……どうでもいいけど──君達僕が隣にいるの気付いててやってる?」

「ごめん、ネビル」「ネビル、すまん」

ネビルは「ひどいッ!」と撃沈した。

「……まぁ、ともかく──いっちょ、賭けてみるかな」

10ガリオンくらいならノータイムで出せる俺は、そう呟きながら財布の紐を(ゆる)める事を決めた。

(……そういえば、ドビーについては済んだとして──なんだかんだと、バジリスクがノータッチだったなぁ…。……その辺についてもその内〝テコ入れ〟する必要がありそうだ…)

そんな事を考えていると、瞬く間に時が過ぎて──今年もまたグリフィンドールが寮対抗杯を獲得した。

……意外な事に、ハッフルパフとレイブンクロー──スリザリン以外の生徒からはグリフィンドールの連覇は受け入れられている様だ。……バジリスクの驚異があったお陰かもしれない。

閑話休題。

そして、俺達ウィーズリー家からしたら激動の夏が来た。

SIDE END

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

SIDE OTHER

「……さて──どういうことがあったのか説明してもらいましょうかな、ダンブルドア」

【ホグワーツ魔法魔術学校】の校長室にて、高級ロ設えのローブを纏い傍らに屋敷下僕妖精を携えた銀髪の男性──ルシウス・マルフォイは苛立たしげにダンブルドアに詰め寄った。

「はて、ルシウス、儂は何をお主に説明せねばならぬのか判らぬよ」

しかしダンブルドアはルシウスの恫喝(どうかつ)染みた詰問(きつもん)に眉を一つも動かさずにそう返す。そんなダンブルドアの態度にルシウスは更に怒りを沸騰させかけるが、もともと〝アルバス・ダンブルドア〟と云う人物の狸ぶりを知っていたので、寸でのところで平静を取り戻す。

「……どうにも去年に続き、今年もまた騒動があったとか…」

ルシウスがそう興味深げに訊くとダンブルドア「おお、その事か!」と、声をあげ手を叩く。

「どうやら今年もヴォルデモート卿が暗躍していただけの話じゃよ」

「ほう、かの≪闇の帝王≫がまた…」

「しかし、幸運な事にの脅威が蔓延(はびこ)りそうになった時〝とある生徒達〟のおかげで、取り返しのつかない結果になる前に騒動は収まってくれたのじゃ」

「それは幸運な事ですな」

ルシウスはぎりり、と歯を鳴らすとルシウスの隣に控えていた屋敷下僕妖精が短く悲鳴をあげる。その屋敷下僕妖精──ドビーは屋敷に帰ったら八つ当たりをされるのを知っているのだ。

そんなルシウスを見てダンブルドア「のう、ルシウス」と語りかける。その口調は普段の彼からは想像出来ない──〝好好爺〟然とした態度が全く見てとれなかった。

「今後、我が校でヴォルデモート卿の所縁の品が見つかったら覚悟しておくのじゃ」

「どう覚悟しておけばいいので…?」

「……アズカバンで今もなおヴォルデモート卿を信望しておる輩達の前で、ルシウス──お主の現状を〝うっかり〟と口を滑らせてしまうかもしれぬ」

「……私に何をお望みで?」

一瞬牽制程度だとルシウスは考えたが、ダンブルドアから脅迫されている事を悟り直ぐ様そう返す。

「理事達の中には、君を〝脅威〟だと思っている方が何人が居るようじゃ」

「理事会からの脱会ですか。……ですがホグワーツにどれだけ献金(こうけん)してきたかは判っているはず」

「無論〝只で〟とは言わぬ。お主が儂のお願いを聞いてくれたのなら、〝これ〟をお主に渡そうと思う」

ルシウスはダンブルドアが机から出した黒いカバーの──[T・M・リドル]と書かれた書物を見て目を(みは)った。……しかし、あまりにも意外な出来事だったのでその本が〝不自然に〟膨らんでいたのは気づかなかった。

……何しろルシウスからしたら目の前の人物──ダンブルドアが破棄なりしていると思っていたシロモノなのだ。

「それは…?」

何とか取り繕い、ルシウスはしらばっくれる。

「ヴォルデモート卿の学生時代のモノじゃ──闇の魔術が掛かっておる」

「……なるほど、実に興味深いですな。……よろしいでしょう」

ルシウスは脳内で算盤(そろばん)を弾き、〝どちらが不利益になるか〟を考えて、その場で理事会からの脱会を宣言する。……何しろその〝日記〟をジネブラ・ウィーズリーに〝無断で〟持たせて、ヴォルデモートの不興を買う事が半ば確定していた矢先の僥倖(ぎょうこう)だ。ここでダンブルドアからの提案を承諾しなければ、下手すればヴォルデモートに殺される。

「……では、近い内に」

「また会おう、ルシウス」

こうして二人の密談は終わる。

しかし、ルシウス・マルフォイは知らなかった。

……その〝日記〟が〝どこぞの転生者〟の手により〝双子の呪文〟で本物そっくりに複製されていて──その本に挟まれている二足の靴下がルシウスを通して屋敷下僕妖精のドビーに渡る様に〝実行〟されている事なんて。

ルシウス・マルフォイは、知らなかった。

SIDE END 
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