オズのビリーナ
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第八幕その十
「悲しいの」
「そうしたお話なの」
「奇麗で悲しいの」
それが銀河鉄道の夜という作品です。
「だから一度読んだら忘れられないの」
「じゃあオズの国の鉄道もなのね」
「夜空を飛ぶのならね」
それならというのです。
「そうしたイメージかも知れないわね」
「成程ね」
「ええ、じゃあ今から」
「カリフ王にお会いしましょう」
「どうぞ」
ノームの人達が案内してくれてでした、そうしてです。
一行はノーム王のお部屋に入りました。土の中に金や銀、宝石で飾られたそのお部屋の中に少し痩せた長いお髭のノームが玉座に座っていました。
ノームの一人が王様に一礼してから述べました。
「トロット王女とその御一行が来られました」
「おや、また急に」
玉座に座っている王様、カリフ王はお部屋に入って来たトロット達をその報告と一緒に見て声をあげました。
「来たね」
「ええ、実はドワーフ族と闇エルフ族のお話を聞いてね
「来たんだ」
「お邪魔したの」
トロットがカリフ王にお話します。
「こちらにね」
「ということは」
「協力させてくれるかしら」
「君達がかい」
「ええ、これはオズの王国のことだからね」
「解決しないといけない」
「そうしたものだから」
それでというのです。
「是非共ね」
「それは悪いね」
カリフ王はトロットの申し出を聞いて有り難そうですがそれでいて申し訳なさそうなお顔になってそのうえでトロットに言いました。
「手伝ってもらうなんて」
「だからこれはね」
「オズの国のことだからだね」
「私もオズの国の王女だから」
それ故にというのです、再び。
「こうした時に動いてこそよ」
「オズの国の王女だっていうんだね」
「だから気にしないで」
「そこまで言うのならね」
「それにお互い知らない訳じゃないし」
トロットはにこりと笑ってこうも言いました。
「そうでしょ、私達は」
「うん、今では我々も君達とはね」
「お友達よね」
「最初は酷いものだったけれど」
オズの国の人達とノーム族の関係、それがです。
「変わったね」
「そうなったし」
「いいんだね」
「友達を助けることは当然のことよ」
まさにというのです。
「だから気にしないで」
「それじゃあ一緒に頼むよ」
「ドワーフ族とエルフ族は何処でもああだし」
「それは聞いていたよ、わしも」
カリフ王は玉座で困ったお顔になって述べました。
「彼等の相性の悪さは、しかしね」
「実際にその目で見て」
「実感したよ」
つくづくという言葉でした。
「そうなんだとね」
「殴り合いにならないだけましね」
「それはオズの国だからね」
争いのない国だからです。
「彼等もそこまではしないよ」
「幸いなことにね」
「そのことは幸いにしてもだよ」
「ああしていつも言い合っていがみ合っていると」
「同じ地下に済む人間としては困るんだ」
「だから仲裁に乗り出していたのね」
「そうだよ、けれど中々上手くいっていなかったから」
それでとです、カリフ王はトロット達を見ながら言います。
「君達の助力頼もしく思うよ」
「じゃあ頑張るわね」
「頼むよ、それと」
ここでカリフ王はこうも言ったのでした、急に剣呑な様子になって。
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