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Three Roses

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第二十六話 叔父として王としてその十一

「そうなる様にしていきます」
「そうすれば必ずです」
「何時かは」
 オズワルド公も司教もマイラの前に片膝をついた、家臣としての礼だった。
「お子を授かります」
「そしてそのお子がです」
「必ずやこの国の王になられます」
「そうなられますので」
「そうですね、では」
 強い決意をだ、マイラはここでも見せた。
「私は」
「それでなのですが」
 ここでオズワルド公は言った。
「太子はお子を王にされることもです」
「尽力して下さいますね」
「間違いなく」
「そうした方ですね」
「はい、あくまで我々の為に動いて下さいます」
 ただし目的は違う、彼は彼の考えと目的がありその為に動いている。実はマイラ達もこのことには気付いている。
「あの方は」
「そうですね」
 マイラもオズワルド公の言葉に頷いた。
「あの方は」
「ですから」
「あの方の」
「お子を生まれて下さい」
「そうですね、しかし」
 ここでだ、マイラは太子の狙いを言った。
「私達の子が王になれば」
「ロートリンゲン家の方です」
「そうなります」
 オズワルド公も司教もその通りと話した。
「そしてこの国はです」
「実質はロートリンゲン家の領地になります」
「そうなりますが」
「旧教の信仰は守られ」
「この国の正しい姿は守られます」
「そして四国も統一されます」
 そうなるというのだ、そしてだった。
 その話の中でだ、マイラは考える顔で言った。
「ロートリンゲン家であってもですか」
「はい、エヴァンズ家でもあります」
「マイラ様のお子ですから」
「このことは事実です」
「紛れもなく」
「そうなりますか、それでは」
 マイラは二人の側近の言葉も入れて頷いた、そのうえでまた言った。
「これはいいことですか」
「そうなります」
「そう思っていいかと」
 二人も素直に述べた、マイラへの忠誠心は確かなので最初から彼女を騙すつもりもない。騙してもマイラは聡明なのでそうしたことはすぐにわかる。
 そこまでわかっていてだ、二人は自分達の主に話した。
「ですから」
「太子との間にお子を」
「お子をもうけられて下さい」
「それが第一です」
「わかりました」
 マイラはまた頷いた。
「それでは」
「そしてです」
「この国は旧教に戻ります」
「そのうえでロートリンゲン家の後ろ盾も得て」
「四国も統一されます」
「そのうえで王国と対する」
「悪いことはありません」
 二人で話す、そしてだった。 
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